琉球お爺いの綺談

Ittoh

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あやかし

あやかし ひとならざるモノ

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 すべてを受け入れると言われた、日ノ本の中で、存在そのものが在るとされる中で、失われたモノが、あやかしひとならざるものであります。日ノ本に古来より先住するモノもあれば、大陸より逃れしモノもあり、あやかしひとならざるものの在り方は、日ノ本に馴染まなんだのであろうか。

 恐れ、怖れ、畏れ、懼れ、恐怖という言葉に代表される、生きとし生けるモノの在り様として、隔離することで、暮らしていたとされる。

 鬼と呼ばれ、土蜘蛛と呼ばれ、「風土記」の記述の中で、「まつろわぬ」とされて、滅びゆく形で消えゆく流れとなった。

 あやかしたちの在り様を決めたのは、日ノ本が日ノ本の形に纏まった時に、生きとし生ける命とされなんだことにあった。しかしながら、あやかしひとならざるものは日ノ本の民として、否定されたわけではない。五位鷺や八瀬童子の伽噺があり、伏見の稲荷狐を含めて、痕跡は日ノ本に生き残る流れとなっている。
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