琉球お爺いの綺談

権威と権力、軍事力

権威と権力、軍事力 「特区」経済の拡大と大日本帝国護衛総体

　日本は、「特区」を中心として、アジア各国から、生産物の輸送を拡大させていた。

　郵便配達事業を拡大し、日本郵船や共同運輸会社を提携会社として、東シナ海および太平洋の物流を寡占するようになっていったのである。独占的に確保していた、満洲や樺太・南洋庁については、鉄道都市警備局を再構築して、鉄道院鉄道局、内務省都市局、逓信省郵政局といった組織へ分割拡大することで、郵便事業の拡充を図ったのである。

　タイや東南アジア地域から米を購入し、「特区」での食料生産の補助とし、「特区」の沿海州や黒竜江省を中心として生産される、大豆等の輸出が開始されたのである。南洋島嶼やタイといった地域から、ゴムの輸入を進めて、自動車や石炭や石油の輸出も開始されたのである。

　商取引で使用された、定額手形は、徐々に「特区」を中心に、アジア全域へと拡大していったのである。

　アジア地域との物資輸送は、日本郵船や共同運輸の高速輸送艦を中心として、大活躍していて、欧州航路への輸送事業へも拡大していったのである。大日本帝国護衛総体は、タイ王国のレムチャバン港を中心として、航路安全確保を図っていて、100mm砲や20mm連装機銃を搭載した、武装高速輸送艦を中心として、護衛船団を編成し、900トン級哨戒艦を航路上に展開していた。

　海賊等の取り締まりを含めて、海上警備事業をタイ王国やオランダからの委託事業として、海上交通路の確保を図っていた。軍縮範囲外とされた、水上機母艦や哨戒護衛艦を主力とする、大日本帝国護衛総体は、イギリス連合王国からの委託で、アジアから欧州への航路を含めた、商船護衛を務めたのである。

　４発の長距離水上機による、航空航路は、ニューヨークのマンハセット湾からオランダのアムステルダムエイ湖を結んで試験飛行に成功した。オランダのアムステルダムに大日本帝国護衛総体は、大使館と安土航空の水上機基地をオランダの了承で建設した。スイスのレマン湖の湖畔にも日本大使館と安土航空の水上機基地を設置して、アムステルダムからジュネーブを３時間で結ぶ定期航路とモナコまでの５時間で結ぶ航路を開設した。モナコ公国に日本領事館と安土航空の水上基地を設置して、航路の維持管理に努めたのである。欧州における、水上機航路の開設は、ロンドンのポーツマス、フランスのダンケルク、オーストリアのゼーヴァルヒェン・アム・アターゼー、ブルガリアのバルナと内陸部は湖の湖畔を起点とし、各国に安土航空と日本大使館もしくは領事館が設置されたのである。
　欧州全域で、３７機の一式大艇が飛び交い、航路の開設と旅行者の数から、スイスのジュネーブにあるレマン湖を基点として、各地を結ぶ航路として開拓されていったのである。

　国際連盟の会合が開かれれば、ジュネーブに各国の代表が集まり、国際会議だけでなく、代表による会合や、打ち合わせなども実施されていた。各国の報道機関が、４発水上機大艇「晴空」が日の丸を掲げて、着水する様子や、南方廻りで横浜から一週間で到着するのを取材していたのである。ｉｆ昭和３年、水上機としては、世界最高峰の性能を持った「晴空」が披露され、各国で報道されたのである。

　一式大艇「晴空」
　　最高速度　　　４００km/h以上
　　航続距離　　７１５３km
　旅客／乗員数　１０／６名

　取材陣が乗って、レマン湖畔を飛ぶ様子は、航空機時代の幕開けとして描かれていた。川西が基本設計をおこない、安土航空が横浜工廠と横浜大学校と協同で開発した、水陸両用双発輸送機「蒼空」も飛んでおり、陸上機との融合機として紹介された。

　二式双発水陸両用艇「蒼空」
　　最高速度　　３００km/h以上
　　航続距離　２１５０km
　旅客／乗員数　８／４名

　両用艇は、安土から飛び立ち、水上機母艦に収容され、モナコで水上機母艦から発進し、ジュネーブ郊外に建設された飛行場に着陸し、そのまま欧州の取材陣を乗せて、オランダのアムステルダムへと飛び立ったのである。機中で開発に参加した、横浜大学校生が機内サービスをしながら説明する様子が、欧州各国の新聞で報道された。

　「晴空」は、欧州各国を巡る水上機航路を飛び、「蒼空」は水陸両用を生かして、ジュネーブ郊外の飛行場とレマン湖畔の安土航空の基地を中心として、欧州旅客貨物輸送を開始したのである。日本の逓信省郵政局から代表を送り、明治２０年(1887年)に始まる万国郵便制度は、国際連盟の中に、郵便制度の国際委員会を組織し、国際郵便制度の調整が進められた。基本的に、信書・奉書を取り扱うため、国有企業としてスイスポストと連携して、欧州での郵便事業を開始したのである。

　日本からスイスまでを「晴空」で、オーストリア、ブルガリア、ペルシャ、インド、スリランカ、タイ、台湾を経由して、１０日間でレマン湖から琵琶湖へ旅することができた。水上機による移動は、天候の影響を受けるため、各地域で天候の定点観測が開始され、南洋島嶼地域での気象計測が定点観測が開始された。気象情報等を無線通信によって、イギリスのシンガポールへと情報を蓄積し、日本を含めてアジア各地に気象情報を配信を開始した。各地における疾病の発生や、伝染病の流行状況についても、同様に配信が行われたのである。

　気象情報、防疫情報については、広域情報として活用することで、物流の安定と保護を確立していった。特に、護衛総体では、「晴空」の偵察型を南洋島嶼に配備し、内地にも大きく被害を発生させる、台風情報の精度向上に努めていた。



　「特区」の経済拡大は、ｉｆ昭和３年(1926年)には、国際連盟への分担金は、1000万ポンドに達していた。「特区」は、国際連盟の委託統治業務とされ、分担金の負担は、国際連盟予算の三割を超えていた。世界恐慌の影響が少なかった、「特区」経済は、大きく飛躍して、ｉｆ昭和１０年(1933年)には、2000万ポンドを越え、分担金は国際連盟予算の６割を超えていた。



　国際連盟の事務局は、国際連盟が委託統治業務を遂行する「特区」からの収益が大きくなっていた。「特区」経済の拡大に準じて、国からの分担金は、事務局による調整から減額されていった。特に紛争を解決するため、国際連盟は武力介入をすることがあり、ｉｆ大正７年(1918年)英米日による大陸出兵は、国際連盟による武力介入の始まりとされたのである。

　イタリアが、コルフ島でイタリア人将校が殺される事件が発生した時、イタリアはギリシャへの派兵を行った。これをギリシャがイタリアを提訴したことで、常任理事国イギリス、アメリカ、日本、イタリア、フランスによる理事会が開催され、イタリアは常任理事国として拒否権を発動し、国際連盟による理事会による会議を拒否した。理事会議長であった石井菊次郎は、イタリアの行動を抑制するため、拒否権を認めたがイギリス、アメリカ、日本、フランスの四カ国による賠償金とイタリア軍の撤退を求める提案から、イタリアが拒否した場合、国際連盟による武力介入があり得るとしたのである。イタリアが他四カ国の提案を受け入れたことで、総会ではイタリア軍の撤退とギリシャへの賠償金支払いが決議されたのである。

　常任理事国が紛争の当事者となった場合は、他の国際連盟理事国が調停案を提示し、当事者が承認後に、総会での議決が実施されたのである。

　中小国同士の国境紛争の場合は、常任理事国による理事会で調停案が提示され、総会で討議され議決されることとなった。理事会は、当該国以外の国が議長となり、常任理事国の調整と提案を作成することが仕事となった。石井菊次郎が、日本代表となり、欧州における紛争については、議長を務めて、調停案を作成し、総会に提示することで議決したのである。