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獅子宰相と呼ばれた男
強者の論理01 獅子宰相と呼ばれた男
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昭和 5年(1928年)フランス金解禁
日本金解禁
昭和 6年(1929年)アメリカ、株価の大暴落始まる。
昭和 8年(1931年)イギリス金輸出禁止
昭和 9年(1933年)アメリカ金輸出禁止
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辞任した、原敬に代わって、政権を担当したのは、最大野党であった、憲政会の加藤高明であった。加藤高明の下で、大蔵大臣を務めたのが、獅子と呼ばれた男、濱口雄幸であった。外務大臣幣原喜重郎が担い、親米路線への転換を図ったが、内務大臣若槻礼次郎による保護貿易政策、経済打開に向けて対立することとなった。
イギリスによる、金本位停止は、日本経済にとっては、最悪のタイミングであった。イギリスが金本位を停止したことで、アメリカへの投機的な投資が発生し、アメリカも耐えられなくなって、金輸出禁止に踏み切ることとなった。
高橋政策の中で、絞り始めた、外国為替投資であったが、不十分な状態であり、急降下する為替の影響は、昭和恐慌直後の日本財政を逼迫させたのである。
政府資産を担保として、定額手形の増刷で、銀行の取り付け騒ぎを沈静化させたものの、経済の混乱は継続し、膨大な金が日本から流出していったのである。満洲利権で稼いだ5億の半分が溶けて、海外へと流出したと言われている。結果として、濱口としては、緊縮財政を取らなければならなくなった。
海軍および陸軍の予算についても、一時的に定額手形としたため、陸海軍は海外からの武器調達を、止められることとなった。
陸海軍双方から、抗議が起き、統帥権侵犯問題とも言われたが、濱口は決断実行した。
実質として、陸海軍の予算そのものは削減されなかったこともあり、定額手形決済が可能なドイツだけでなく、フランス、イタリア、オランダ、スペインが定額手形取引を承認したことで、実質的な影響を抑えることができた。これは、金輸出禁止が、各国経済を一時的に破綻へ追い込んだ結果でもあった。
ただ、アメリカ・イギリスとの交易は冷え込む結果となった。イギリスは、連合王国内をポンド経済圏として、イギリスポンドとオーストラリアポンドの流通を認め、不換紙幣であるオーストラリアポンドは、圏外取引に使用され、インド洋を中心としたブロック経済を形成していったのである。
国際連盟参加国の中で、イギリス・アメリカの金本位体制離脱に被害を受けた、フランス、イタリア、オランダ、といった国々は、ポンドやドルの投資を引き上げざるをえなくなった。東ユーラシアから東南アジアに利権を有していることもあって、日本が発行する定額手形決済を受け入れ、「特区」および東南アジアに投資せざるをえなかったのである。
金輸出停止によって、アメリカへの輸出に制限がかかったことで、生糸生産をおこなっていた繭農家は壊滅的な打撃を受けることとなった。地方農家の財政逼迫は緊急課題であり、濱口は、米および生糸の国家買い取り制度を実行した。これは、米相場と生糸相場制度を破壊するモノであったが、暴落を重ねた相場停止は、農家の救済には役立ったのである。
しかしながら、生糸の生産や農家の作付けには、国家規定による制限がかかり、内地の新田開墾は無くなり、繊維産業の生産量にも制約がかかったのである。
内務省に食糧管理局を設置、食糧管理法を策定し、米穀配給通帳を発行したのである。
俗に言われる「配給米」制度の始まりである。遼東半島から輸入される「満洲米」、タイから輸入される、「タイ米」については、自主流通米とされ、低価格取引の対象となった。米穀配給通帳によって、国産米の流通に制約がかかり、自主流通米となった「満洲米」「タイ米」が流通市場に流れることになった。
「満洲米」「タイ米」の流通量増加は、「特区」との貿易赤字増加、タイとの貿易赤字発生という結果を生んだのである。タイとの貿易赤字増加は、タイの経済発展を促す結果となった。原動機付きリヤカーの発展形となるバスやタクシーが生まれ、タイ国製の小型三輪車が、複数の会社で生産されるようになったのである。統制型エンジンは、日本からの輸出だけでなく、レム・チャパン港の工務学校で生産され、販売されていた。
レム・チャパン港の工務大学校では、耕耘機の製作も始まり、タイ版の農業車モータリゼーションが始まったのである。
昭和 5年(1928年)フランス金解禁
日本金解禁
昭和 6年(1929年)アメリカ、株価の大暴落始まる。
昭和 8年(1931年)イギリス金輸出禁止
昭和 9年(1933年)アメリカ金輸出禁止
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辞任した、原敬に代わって、政権を担当したのは、最大野党であった、憲政会の加藤高明であった。加藤高明の下で、大蔵大臣を務めたのが、獅子と呼ばれた男、濱口雄幸であった。外務大臣幣原喜重郎が担い、親米路線への転換を図ったが、内務大臣若槻礼次郎による保護貿易政策、経済打開に向けて対立することとなった。
イギリスによる、金本位停止は、日本経済にとっては、最悪のタイミングであった。イギリスが金本位を停止したことで、アメリカへの投機的な投資が発生し、アメリカも耐えられなくなって、金輸出禁止に踏み切ることとなった。
高橋政策の中で、絞り始めた、外国為替投資であったが、不十分な状態であり、急降下する為替の影響は、昭和恐慌直後の日本財政を逼迫させたのである。
政府資産を担保として、定額手形の増刷で、銀行の取り付け騒ぎを沈静化させたものの、経済の混乱は継続し、膨大な金が日本から流出していったのである。満洲利権で稼いだ5億の半分が溶けて、海外へと流出したと言われている。結果として、濱口としては、緊縮財政を取らなければならなくなった。
海軍および陸軍の予算についても、一時的に定額手形としたため、陸海軍は海外からの武器調達を、止められることとなった。
陸海軍双方から、抗議が起き、統帥権侵犯問題とも言われたが、濱口は決断実行した。
実質として、陸海軍の予算そのものは削減されなかったこともあり、定額手形決済が可能なドイツだけでなく、フランス、イタリア、オランダ、スペインが定額手形取引を承認したことで、実質的な影響を抑えることができた。これは、金輸出禁止が、各国経済を一時的に破綻へ追い込んだ結果でもあった。
ただ、アメリカ・イギリスとの交易は冷え込む結果となった。イギリスは、連合王国内をポンド経済圏として、イギリスポンドとオーストラリアポンドの流通を認め、不換紙幣であるオーストラリアポンドは、圏外取引に使用され、インド洋を中心としたブロック経済を形成していったのである。
国際連盟参加国の中で、イギリス・アメリカの金本位体制離脱に被害を受けた、フランス、イタリア、オランダ、といった国々は、ポンドやドルの投資を引き上げざるをえなくなった。東ユーラシアから東南アジアに利権を有していることもあって、日本が発行する定額手形決済を受け入れ、「特区」および東南アジアに投資せざるをえなかったのである。
金輸出停止によって、アメリカへの輸出に制限がかかったことで、生糸生産をおこなっていた繭農家は壊滅的な打撃を受けることとなった。地方農家の財政逼迫は緊急課題であり、濱口は、米および生糸の国家買い取り制度を実行した。これは、米相場と生糸相場制度を破壊するモノであったが、暴落を重ねた相場停止は、農家の救済には役立ったのである。
しかしながら、生糸の生産や農家の作付けには、国家規定による制限がかかり、内地の新田開墾は無くなり、繊維産業の生産量にも制約がかかったのである。
内務省に食糧管理局を設置、食糧管理法を策定し、米穀配給通帳を発行したのである。
俗に言われる「配給米」制度の始まりである。遼東半島から輸入される「満洲米」、タイから輸入される、「タイ米」については、自主流通米とされ、低価格取引の対象となった。米穀配給通帳によって、国産米の流通に制約がかかり、自主流通米となった「満洲米」「タイ米」が流通市場に流れることになった。
「満洲米」「タイ米」の流通量増加は、「特区」との貿易赤字増加、タイとの貿易赤字発生という結果を生んだのである。タイとの貿易赤字増加は、タイの経済発展を促す結果となった。原動機付きリヤカーの発展形となるバスやタクシーが生まれ、タイ国製の小型三輪車が、複数の会社で生産されるようになったのである。統制型エンジンは、日本からの輸出だけでなく、レム・チャパン港の工務学校で生産され、販売されていた。
レム・チャパン港の工務大学校では、耕耘機の製作も始まり、タイ版の農業車モータリゼーションが始まったのである。
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