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陛下への恩義
陛下への恩義04 お爺ぃは、ケンシロウが嫌いです
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救世主思想という考え方がある。
街角のバクチ場でゲーム機にもなって、幾度となくアニメ化された漫画「北斗の拳」に出て来る主人公の名前である。
「世紀末救世主伝説」という但し書きが、「北斗の拳」に付けられていた。
弱肉強食の世界が生まれ、喰らわれる弱者を救済するのが、世紀末救世主のケンシロウということになります。
強者を倒すことで、ケンシロウは弱者を一時的に救済します。
しかしながら、また別の強者が現れたら、弱者は喰われる立場に戻ります。
お爺ぃが、ケンシロウが嫌いという理由は、施しによる弱者救済は、救世でも何でもないということにあります。
自らが生きる道を築き上げてこそ、弱者救済になるのだと、お爺ぃは考えます。
お爺ぃが、ケンシロウを嫌いなのは、ケンシロウに助けられる弱者側の人間であり、強くなれなかった人間だからです。まぁ、自己嫌悪に近いですね。
お爺ぃからすれば、ケンシロウに救われたことの恩義を返すことは、ケンシロウが居なくても良い世界にすることだと考えてしまうのです。
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戦って勝つのではなく、勝っている相手に従う方が楽なのです。
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弱肉強食の中で、強くあろうとするのは、非常に強い精神が必要なのです。
しかしながら、ただ強ければ良いというものでもありません。
強靭な精神と強大な力は、極大化すれば、弱気モノを許容せず、滅ぼしていきます。
つまり、弱肉強食というのは、最終的に食う側が、すべてを滅ぼして、食えなくなって自分自身滅ぼすということなのです。
これは、国家として自律することも同じです。
「大日本帝国」は、国家として自律するために、富国強兵を目指し、突き進んだ結果として、敗戦を迎えたのです。
つまりは、「大日本帝国」は、自律に失敗したということになります。
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「大日本帝国」が、道を誤ったのは、勝ち過ぎたことである。
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幕末に圧倒的な力を見せ付けられ、富国強兵によって、追いつけ追い越せを目標として、明治維新を戦い、日清、日露を戦い、満州事変などの戦を勝ち過ぎた結果として、勝てない戦いに巻き込まれ、自滅していくのが「大日本帝国」の姿となります。
狂いが生じるのは、日露戦争に「勝ち過ぎた」結果だと、お爺ぃは考えています。
旅順を陥落させるまでは、三国干渉の復仇であり、遼東半島を確保し、鴨緑江から豆満江を防衛ラインとすれば、日本の国土保全は可能となる。
日露戦争で、満州まで勢力圏に入れたことが、「大日本帝国」の分を超えた欲望の結果ということになります。
明治維新から、勝ち過ぎた結果として、国民の暴走が始まります。つまりは、勝つことがあたりまえで、国民が無敵のスーパーヒーローのように、「大日本帝国」を捉えてしまいます。
勝って勝って勝ちまくったことで、国民の欲望が果てしなく暴走していったのです。
すべてを手に入れられるかのような、幻想を国民が抱いてしまう、非常に危険な状況に陥ります。つまりは、政治が何もしなくても、国益が護られるという幻想に陥っていくのです。
満州を手に入れた結果、広大な満州で国益を護ることは、日本にとって困難を伴っていきます。
満州の治安状況は、非常に酷いもので、「大日本帝国」の治安維持能力では限界を超えていたという。1919年4月、関東都督府陸軍部隊を引き継ぐこととなった関東軍は、総督府が軍人であったこともあり、経済に対して排他的な軍政をおこなっていた。軍規模は、1個師団6大隊となっているので、兵力1万から2万といったところである。満州全域に対して、排他的な治安維持をおこなうには、最低50万程度は必要なので、とてもではないが満州を維持管理する能力はなかったと言える。遼東半島の旅順から大連を保持することを前提とした、軍管区が関東都督府の範囲であった。平時の防衛範囲としては、遼東半島が限界であり、奉天や長春を防衛することは、非常に困難な状況にあった。
おそらく、「大日本帝国」の日露戦争後の考え方としては、旅順から大連を確保し、遼東半島の治安維持体制を確立してから、満州を狙うというものであったと推定される。1個師団6大隊は、遼東半島の維持管理に必要な軍規模ということだ。
関東軍が、鴨緑江を渡河させて、一時的な増援として引きこむことを恒常化させてしまうことで、軍事規模を拡大させるのは、満州を治安維持管理するための措置と現場では捉えていた。これを予算化することは、現場の行動を追認する行為であり、とうてい許せるようなものではない。
当時の「大日本帝国」の国力では、国内で「我田引鉄」を実施しつつ、関東軍の予算確保することは困難であった。また、一度膨らんだ予算は、そう簡単には縮減できない。関東軍内に「勝てば官軍」の風潮を抱かせ、中央からの統制能力を失わせる結果となったのである。
結果として、「大日本帝国」の中途半端で、いい加減な戦略活動が始まったのである。
街角のバクチ場でゲーム機にもなって、幾度となくアニメ化された漫画「北斗の拳」に出て来る主人公の名前である。
「世紀末救世主伝説」という但し書きが、「北斗の拳」に付けられていた。
弱肉強食の世界が生まれ、喰らわれる弱者を救済するのが、世紀末救世主のケンシロウということになります。
強者を倒すことで、ケンシロウは弱者を一時的に救済します。
しかしながら、また別の強者が現れたら、弱者は喰われる立場に戻ります。
お爺ぃが、ケンシロウが嫌いという理由は、施しによる弱者救済は、救世でも何でもないということにあります。
自らが生きる道を築き上げてこそ、弱者救済になるのだと、お爺ぃは考えます。
お爺ぃが、ケンシロウを嫌いなのは、ケンシロウに助けられる弱者側の人間であり、強くなれなかった人間だからです。まぁ、自己嫌悪に近いですね。
お爺ぃからすれば、ケンシロウに救われたことの恩義を返すことは、ケンシロウが居なくても良い世界にすることだと考えてしまうのです。
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戦って勝つのではなく、勝っている相手に従う方が楽なのです。
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弱肉強食の中で、強くあろうとするのは、非常に強い精神が必要なのです。
しかしながら、ただ強ければ良いというものでもありません。
強靭な精神と強大な力は、極大化すれば、弱気モノを許容せず、滅ぼしていきます。
つまり、弱肉強食というのは、最終的に食う側が、すべてを滅ぼして、食えなくなって自分自身滅ぼすということなのです。
これは、国家として自律することも同じです。
「大日本帝国」は、国家として自律するために、富国強兵を目指し、突き進んだ結果として、敗戦を迎えたのです。
つまりは、「大日本帝国」は、自律に失敗したということになります。
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「大日本帝国」が、道を誤ったのは、勝ち過ぎたことである。
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幕末に圧倒的な力を見せ付けられ、富国強兵によって、追いつけ追い越せを目標として、明治維新を戦い、日清、日露を戦い、満州事変などの戦を勝ち過ぎた結果として、勝てない戦いに巻き込まれ、自滅していくのが「大日本帝国」の姿となります。
狂いが生じるのは、日露戦争に「勝ち過ぎた」結果だと、お爺ぃは考えています。
旅順を陥落させるまでは、三国干渉の復仇であり、遼東半島を確保し、鴨緑江から豆満江を防衛ラインとすれば、日本の国土保全は可能となる。
日露戦争で、満州まで勢力圏に入れたことが、「大日本帝国」の分を超えた欲望の結果ということになります。
明治維新から、勝ち過ぎた結果として、国民の暴走が始まります。つまりは、勝つことがあたりまえで、国民が無敵のスーパーヒーローのように、「大日本帝国」を捉えてしまいます。
勝って勝って勝ちまくったことで、国民の欲望が果てしなく暴走していったのです。
すべてを手に入れられるかのような、幻想を国民が抱いてしまう、非常に危険な状況に陥ります。つまりは、政治が何もしなくても、国益が護られるという幻想に陥っていくのです。
満州を手に入れた結果、広大な満州で国益を護ることは、日本にとって困難を伴っていきます。
満州の治安状況は、非常に酷いもので、「大日本帝国」の治安維持能力では限界を超えていたという。1919年4月、関東都督府陸軍部隊を引き継ぐこととなった関東軍は、総督府が軍人であったこともあり、経済に対して排他的な軍政をおこなっていた。軍規模は、1個師団6大隊となっているので、兵力1万から2万といったところである。満州全域に対して、排他的な治安維持をおこなうには、最低50万程度は必要なので、とてもではないが満州を維持管理する能力はなかったと言える。遼東半島の旅順から大連を保持することを前提とした、軍管区が関東都督府の範囲であった。平時の防衛範囲としては、遼東半島が限界であり、奉天や長春を防衛することは、非常に困難な状況にあった。
おそらく、「大日本帝国」の日露戦争後の考え方としては、旅順から大連を確保し、遼東半島の治安維持体制を確立してから、満州を狙うというものであったと推定される。1個師団6大隊は、遼東半島の維持管理に必要な軍規模ということだ。
関東軍が、鴨緑江を渡河させて、一時的な増援として引きこむことを恒常化させてしまうことで、軍事規模を拡大させるのは、満州を治安維持管理するための措置と現場では捉えていた。これを予算化することは、現場の行動を追認する行為であり、とうてい許せるようなものではない。
当時の「大日本帝国」の国力では、国内で「我田引鉄」を実施しつつ、関東軍の予算確保することは困難であった。また、一度膨らんだ予算は、そう簡単には縮減できない。関東軍内に「勝てば官軍」の風潮を抱かせ、中央からの統制能力を失わせる結果となったのである。
結果として、「大日本帝国」の中途半端で、いい加減な戦略活動が始まったのである。
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