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平安の終焉、鎌倉の始まり
呪われた坂東こと関東
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平安時代は、律令体制の中で風俗習慣の確立がおこなわれた時代であったが、律令体制が崩壊していった時代でもあった。豪華絢爛とも言える、王朝文化の中で、闇は育まれて、日ノ本を蝕んでいったのである。
律令体制の崩壊は、土地が国有されることから、私有されることへの課題にあった。国有地はともかくとして、私有地というものは、所有権が存在し、所有権をめぐる争いとなった。
さらにいえば、技術・技能の浸透と拡散によって、国が規定した専門職でのみ扱ってきた、様々な製品の生産量が大きく伸びていった時代でもあった。これは、賤民と呼ばれ、技能技術を持つ者に奴婢として仕えた者達によって成し遂げられたのである。
土地から生産される財、材料を加工し生産されることによる財、財を生業として職を構成する。無数に生まれた、財を為せる職が、百姓と称されるようになったのである。
律令の規定に存在しない、財が増えれば、財を得た者と得られなかった者が生まれる。財を得られなかった者は、財を得た者を妬み、訴訟で奪い、力で奪い、財を得ようとしていった。
日ノ本最強の怨霊となった、平将門は、そうして生まれたモノであった。
怨霊を生み出すのは、絶望である。絶望によって、怨霊は生まれる。
絶望を生み出すのは、既存の権力体制そのものである。既存の権力体制が生み出した絶望が、怨霊を生み出していくのである。巨大な怨霊を生み出してしまえば、その地は呪われてしまう。呪いは、既存権力への呪いとなり、既存権力からの脱却を求めることとなる。
呪われた土地に配流されて、既存権力の絶望を知り、独自の体制を築くために構築したのが、源頼朝が築いた政治体制であった。清盛と頼朝の違いは、既存権力を侵蝕して一門一党を救うか、既存権力から独立して新たな世界を築くかであった。
財を為すだけで考えれば、既存権力を侵蝕した方が大きな財を為し得る。これが平安末期を飾る平家の隆盛を生み出したのであった。
既存権力に依存することが出来なかった頼朝にとって、関東は、別天地であった。既存権力への恨みが残る大地。怨霊に呪われた大地、それが関東であったのである。
律令体制の崩壊は、土地が国有されることから、私有されることへの課題にあった。国有地はともかくとして、私有地というものは、所有権が存在し、所有権をめぐる争いとなった。
さらにいえば、技術・技能の浸透と拡散によって、国が規定した専門職でのみ扱ってきた、様々な製品の生産量が大きく伸びていった時代でもあった。これは、賤民と呼ばれ、技能技術を持つ者に奴婢として仕えた者達によって成し遂げられたのである。
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怨霊を生み出すのは、絶望である。絶望によって、怨霊は生まれる。
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財を為すだけで考えれば、既存権力を侵蝕した方が大きな財を為し得る。これが平安末期を飾る平家の隆盛を生み出したのであった。
既存権力に依存することが出来なかった頼朝にとって、関東は、別天地であった。既存権力への恨みが残る大地。怨霊に呪われた大地、それが関東であったのである。
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