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領主の娘はひろい世界に憧れているようです 4
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「あ、おじいさん! お待ちしていたですよ!」
老兵に化けて『シャクナの森』の広場を訪れると、キリシャは笑顔で俺を迎えてくれた。
にこーって。
はぁ……癒される……。
俺の黒い腹の中が浄化されてしまいそう。
「お嬢さんもお元気そうで。――今日も魔獣さん方とは仲良しのようですな」
キリシャのお尻の下には魔獣、黒狼がいた。
肩や頭には小鳥が、足下には子犬型の魔獣がうろちょろしている。
「はい! キリシャはお友達がいーっばいなのですよ! お友達1から12号はいつもキリシャと一緒なのです!」
「お友達に固有の名前はないのですね……」
そういうとこ、割とドライな子である。
「ところでおじいさん! キリシャは今日、おじいさんといっぱいお話するために話題を仕入れてきたですよ!」
「なんと、それは嬉しい! ちなみにどのような?」
「『高血圧』『心臓病』『糖尿病』この三つのうちからおじいさんのお好きな話題をチョイスして下さい!」
「三大成人病ォ……」
「どの話題でもキリシャが爆笑トークに持って行くですよ!」
「そんなにハードルあげて大丈夫ですか?」
キリシャは老兵に化けてる俺に、三大成人病についてのトークを展開してくれた(爆笑はしなかった)。
「いやあ、お嬢さんとのお話は本当に楽しいですな! ――ところでお嬢さん、甘いパンがあるのですが、一緒にいかがですかな?」
俺は腰の巾着をあける。
「わあ! キリシャは甘いものが大好きなのですよ! 人生も甘ければいいのですが!」
「私もよくそう思いますよ……とにかく、どうぞ召し上がれ」
ナプキンにつつんだパンを渡すと、キリシャは庶民のようにパンにかぶりついた。
「このパンとってもおいしいですよ~♡」
ほっぺを膨らませてもぐもぐしながら、にこーって笑うキリシャ。
にこーって。
はぁん……癒される。
人の頸動脈にナイフ突きつけてくるハイ・オークとか魔法で人焼こうとする爆乳文学少女は、どうかこの子を見習って欲しい(自分の事は棚に上げていくスタイル)。
「お嬢さん、お口の周りに砂糖がついていますよ」
「おっと、これは失礼したですよ! キリシャは作法がまだ完璧ではないのです! ――おじいさん、とっていただけますか?」
「もちろんですとも」
ナプキンでそっと口の周りをふいてやると、キリシャは甘えられるのが嬉しいのが心地良さそうに目をつむっていた。
これ、うちにもって帰ってもいいかな……。
「ありがとうでしたおじいさ――あ!」
キリシャはパンの残りをドレスのスカート部分に落とした。
「むう……キリシャは本当に失敗が多いのですよ! レディーとして恥ずかしいです!」
「いえいえ。子供はたくさん失敗していいんです。よろしければ染み抜きしましょうか?」
「お願いするですよ!」
お願いされたので、俺はキリシャのスカートの裾をつかみ、持ち上げた。
スカートの中に片手を入れ、染みの裏側にナプキンを当てる。
そして皮の水筒に入れて持ち歩いている水を染みの上にかけ、とんとんと叩く。
はたから見ると、老人が少女のスカートをめくりあげ、よからぬことをしているように見えるだろう。
その通りである。
俺は染みを叩きながら、先ほどのキリシャの食事の仕草について考えてみる。
豪快であわただしかった――淑女としての教育を受けてるって感じではない。
やはり、あの噂は本当なのだろうか?
――いや、今はそれよりも。
「…………」
俺はちらっと目線を下げる。
スカートの裾をつまんで持ち上げているので、キリシャの見えてはいけないところがまる見えである。
ガラス細工のような脚。
そして秘部を隠すシルクの下着――。
少しサイズが小さいようで、布がくいこんでいる。
そこの上にはちっちゃな臍。
ごくり、と俺は息を飲んだ。
あまりに無邪気なこの少女に興奮できるか少し不安だったのだが――うん大丈夫、この子は『女』だ。
やれる。
ユータロウにはもったいない、早く寝取ってやりたい。
「染み抜き、終わりましたよ」
「ありがとうですよおじいさん!」
キリシャはにこーっと笑い、意味もなく俺の肩のあたりをちょんちょん触ってくる。
どうやらなつかれたらしい。
かわええ……。
「キリシャはこのところ寂しかったですよ! 前まではユータロウやルギンが遊びにきてくれたのですが、このところは決闘の特訓だとかで忙しいみたいなのです!」
「決闘……ああ、街で噂になっていたあれですな」
キリシャをかけた、ユータロウとモンターヴォの決闘。
「キリシャを自由にしてくれるユータロウには感謝しているですが……どうして決闘という話になるのかはまったく理解できないですよ! もっとその前にやることがあるですよ!」
「……うん、まあそうですよね」
女の子って小さくても考え方がリアルなのだ。
中二を見る目はひややかです……。
はぁ……とキリシャは嘆息する。
もの悲しそうに、空を見上げる少女。
寂しいのだ、この子は。
噂によると、キリシャは家に居場所がないらしい。
実母はキリシャが幼い頃に死に、継母《ママハハ》は実の娘ばかりをかわいがってキリシャをうとんでいるとか。
領主の父も新しい妻に夢中で、キリシャを見てはくれないらしい。
彼女はだから、こんな森にまで遊びにくるのだ。
『調伏』した魔獣たちだけが、彼女の話相手なのだ。
老兵に化けて『シャクナの森』の広場を訪れると、キリシャは笑顔で俺を迎えてくれた。
にこーって。
はぁ……癒される……。
俺の黒い腹の中が浄化されてしまいそう。
「お嬢さんもお元気そうで。――今日も魔獣さん方とは仲良しのようですな」
キリシャのお尻の下には魔獣、黒狼がいた。
肩や頭には小鳥が、足下には子犬型の魔獣がうろちょろしている。
「はい! キリシャはお友達がいーっばいなのですよ! お友達1から12号はいつもキリシャと一緒なのです!」
「お友達に固有の名前はないのですね……」
そういうとこ、割とドライな子である。
「ところでおじいさん! キリシャは今日、おじいさんといっぱいお話するために話題を仕入れてきたですよ!」
「なんと、それは嬉しい! ちなみにどのような?」
「『高血圧』『心臓病』『糖尿病』この三つのうちからおじいさんのお好きな話題をチョイスして下さい!」
「三大成人病ォ……」
「どの話題でもキリシャが爆笑トークに持って行くですよ!」
「そんなにハードルあげて大丈夫ですか?」
キリシャは老兵に化けてる俺に、三大成人病についてのトークを展開してくれた(爆笑はしなかった)。
「いやあ、お嬢さんとのお話は本当に楽しいですな! ――ところでお嬢さん、甘いパンがあるのですが、一緒にいかがですかな?」
俺は腰の巾着をあける。
「わあ! キリシャは甘いものが大好きなのですよ! 人生も甘ければいいのですが!」
「私もよくそう思いますよ……とにかく、どうぞ召し上がれ」
ナプキンにつつんだパンを渡すと、キリシャは庶民のようにパンにかぶりついた。
「このパンとってもおいしいですよ~♡」
ほっぺを膨らませてもぐもぐしながら、にこーって笑うキリシャ。
にこーって。
はぁん……癒される。
人の頸動脈にナイフ突きつけてくるハイ・オークとか魔法で人焼こうとする爆乳文学少女は、どうかこの子を見習って欲しい(自分の事は棚に上げていくスタイル)。
「お嬢さん、お口の周りに砂糖がついていますよ」
「おっと、これは失礼したですよ! キリシャは作法がまだ完璧ではないのです! ――おじいさん、とっていただけますか?」
「もちろんですとも」
ナプキンでそっと口の周りをふいてやると、キリシャは甘えられるのが嬉しいのが心地良さそうに目をつむっていた。
これ、うちにもって帰ってもいいかな……。
「ありがとうでしたおじいさ――あ!」
キリシャはパンの残りをドレスのスカート部分に落とした。
「むう……キリシャは本当に失敗が多いのですよ! レディーとして恥ずかしいです!」
「いえいえ。子供はたくさん失敗していいんです。よろしければ染み抜きしましょうか?」
「お願いするですよ!」
お願いされたので、俺はキリシャのスカートの裾をつかみ、持ち上げた。
スカートの中に片手を入れ、染みの裏側にナプキンを当てる。
そして皮の水筒に入れて持ち歩いている水を染みの上にかけ、とんとんと叩く。
はたから見ると、老人が少女のスカートをめくりあげ、よからぬことをしているように見えるだろう。
その通りである。
俺は染みを叩きながら、先ほどのキリシャの食事の仕草について考えてみる。
豪快であわただしかった――淑女としての教育を受けてるって感じではない。
やはり、あの噂は本当なのだろうか?
――いや、今はそれよりも。
「…………」
俺はちらっと目線を下げる。
スカートの裾をつまんで持ち上げているので、キリシャの見えてはいけないところがまる見えである。
ガラス細工のような脚。
そして秘部を隠すシルクの下着――。
少しサイズが小さいようで、布がくいこんでいる。
そこの上にはちっちゃな臍。
ごくり、と俺は息を飲んだ。
あまりに無邪気なこの少女に興奮できるか少し不安だったのだが――うん大丈夫、この子は『女』だ。
やれる。
ユータロウにはもったいない、早く寝取ってやりたい。
「染み抜き、終わりましたよ」
「ありがとうですよおじいさん!」
キリシャはにこーっと笑い、意味もなく俺の肩のあたりをちょんちょん触ってくる。
どうやらなつかれたらしい。
かわええ……。
「キリシャはこのところ寂しかったですよ! 前まではユータロウやルギンが遊びにきてくれたのですが、このところは決闘の特訓だとかで忙しいみたいなのです!」
「決闘……ああ、街で噂になっていたあれですな」
キリシャをかけた、ユータロウとモンターヴォの決闘。
「キリシャを自由にしてくれるユータロウには感謝しているですが……どうして決闘という話になるのかはまったく理解できないですよ! もっとその前にやることがあるですよ!」
「……うん、まあそうですよね」
女の子って小さくても考え方がリアルなのだ。
中二を見る目はひややかです……。
はぁ……とキリシャは嘆息する。
もの悲しそうに、空を見上げる少女。
寂しいのだ、この子は。
噂によると、キリシャは家に居場所がないらしい。
実母はキリシャが幼い頃に死に、継母《ママハハ》は実の娘ばかりをかわいがってキリシャをうとんでいるとか。
領主の父も新しい妻に夢中で、キリシャを見てはくれないらしい。
彼女はだから、こんな森にまで遊びにくるのだ。
『調伏』した魔獣たちだけが、彼女の話相手なのだ。
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