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11章 DT、見守る愛を貫く
297話 精霊王の下に続く門らしいです
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今ある材料で判断するなら、すべき事はポロネの追跡、もしくは、匿っている者か隠匿している者達を探す事か、精霊王に直接会って、色々な事に白黒を付けるべきだと考える雄一であった。
だが、リューリカ達、四大精霊獣の力や他の精霊の力を持ってしても、何故かポロネを探査する術がないらしい。
確定事項ではないが精霊王も無理ではないかというのがリューリカ達の意見だ。なので、人海戦術で視覚で探す、本当に人が探すと同じ方法でしか発見する術がない。
雄一もまさかアリア達と一緒に住んでるとは知らず、後廻しにする事を決めていた。
ならば、所在がはっきりしている精霊王から手を付ける事にした雄一はリューリカ達に精霊王の下へと案内を頼んだ。
雄一の頼みを快諾したリューリカ達は精霊界へと繋がる門を開く。
本来、人を精霊界に連れて行ってはいけない決まりらしいが、リューリカ達にはその約束事を絶対に守らないといけない理由は既に無くなっているらしい。
だから、雄一に頼まれれば喜んで道を開く。
ついでのように同行を希望したホーエン、ミレーヌ、ポプリも雄一に消極的に頼まれただけで2つ返事で「死んでも知らんのじゃ」と適当なリューリカの言葉で見逃された。
リューリカ達に寄って開かれた精霊界への入口から入った雄一達は一面の星空、宇宙空間に放り出されたような状況に目を白黒させる。
ホーエン達は、ただただビックリして辺りを見渡し言葉がないようだが、雄一は元の世界の常識が呼吸ができないと思い込んで両手で口、鼻を押さえて息を止めて活路を見出そうとキョロキョロし出す。
雄一の様子からどういう状況か分かったレンが悪戯っ子のような笑みを浮かべて雄一の耳元で囁く。
「ユウイチ、ここは宇宙じゃないから空気はあるわよ?」
「はぁ……そういう事は早く言ってくれないか?」
胸に溜まった空気を安堵の息に変えて吐き出しながら恨めしそうにレンを見つめる。
クスクス笑うレンの様子からリューリカ達、残りの精霊獣達も気付いたようで生温かい視線を向けてきた。
ホーエン達が不思議そうに顔を見合わせた後、何があったのかと説明を求められたが雄一は説明を拒否したのは言うまでもなかった。
再び、リューリカ達に案内されながら、その宇宙空間と見間違う世界を飛ぶようにして先を行くと大きな門が見えてくる。
その門の前にはアグートの姿があり、雄一の姿に驚いたがその後ろにアグートの愛するホーエンの姿を認めて更に驚いて固まる。
目の前に雄一達が降り立つとアグートは逃げるようにホーエンの後ろに隠れながら文句を言ってくる。
「アンタ、ここで何してるの? ここは精霊以外入ってはいけない場所なのよ!」
「らしいな、だが、それを俺が守る理由はないだろう?」
アグートにシレッと言い返した雄一はリューリカ達に振り返りながら、「あるのか?」と問うが「こちら側で勝手に決めておるだけじゃ」とあっさりアグートの言葉を否定される。
ぐぬぬっ、と唸るアグートに苦笑いをするホーエンが言い聞かせに入る。
「俺も正直、精霊王に思う所があった。今回のユウイチがする事を見る事で俺の中で整理できそうな気がするんだ」
優しく見つめるホーエンの瞳にやられるアグートの頬に朱が入る。
それを後ろから見てたポプリが「チョロ過ぎる」とぼやくのを隣のミレーヌも同じく頷く。
アグートを見つめるホーエンが続ける。
「前々から精霊王とはどういうものだろう、と思っていた。世界の調整者のように言われる事があるが、相反する神が大半を取り仕切り、自然の調和をしてるのも実質は四大精霊獣だ。精霊王がしてる訳じゃない」
「その通りじゃ、時折、指示は来るが正直、有益な指示があった覚えはないのじゃ。むしろ、人間にとっては災害じゃろうな? 何の意味があったかもわからんが」
あっさりホーエンの言葉が正しい事を告げるリューリカは、本当に良い思い出がないようで顔を顰めていた。
再び、アグートに視線を向けるホーエンは強くアグートを抱き締める。
「俺は怖かった。もし、精霊王にお前と結ばれるのは駄目だと言われた時、お前にとってどちらがいいか、と悩む度に俺はその日が来るのをいつも恐れていた。だが、今回の事をキッカケで俺は腹を括った。例え、俺が選択した事でお前を苦しめる事になっても俺はお前を離さん! だから、今回のユウイチと精霊王のやり取りを見守ろうと思う」
ホーエンを熱い視線で見つめるアグートがホーエンの名を熱っぽい声音で呼ぶ。
それを男前に頷くホーエンはアグートの頭を片手で抱えるようにして抱き寄せる。
「こんな我儘な俺だが付いて来てくれるか?」
「勿論よ! ホーエン!!」
ホーエンとアグートがいる場所だけが異世界に繋がったかのように遠い人を見るような視線で見つめる雄一は目の端で悔しがるミレーヌとポプリの姿に気付く。
「チョロイ温い展開かと思えば、こんなどんでん返しがあるなんて!」
「これは、見せつけられた私達の気が治まりません!」
2人は雄一を半眼で人が殺せるかもしれないと思えるような圧力を込めて見つめながら、「さあ、こい!」と手招きをしてるのが目端に見えるが雄一は細心の注意を払いながら、自然さを意識して門の方へと目を向ける。
「発情したメスの相手は大変じゃのぉ? わっちが黙らせてやろうか?」
肩に背負う巴が雄一にだけ聞こえるように言ってくるが色んな意味で反応できない雄一は、聞こえないフリをするが巴に見抜かれているようで、クックク、と含み笑いをされる。
怖いモノから目を逸らす雄一はリューリカ達を見つめると全員が雄一の心情に気付いているようで、大変だね? と言いたげな優しい視線を向けられるが、男としては気付いてないフリされるのが一番の優しさだと訴えたい。
そんな気持ちを押さえて問う。
「どうやったら精霊王に会えるんだ? ホーエンの話を加味するとアグートはとっくに会ってそうな気がしたが、ここにいたという事は会うのが難しい?」
「そうね、面談の申請しても待たされるのはいつもの事ね。それが明日なのか来年なのか、それこそ人の感覚では待たされてるレベルじゃない時間を放置されて「帰れ」と言われる事もあるわよ?」
雄一にカムヒアしてた2人も今の話を聞いて我に返る。
「私達も人の王と呼ばれ、呼ばれた存在でしたが、余りに横暴と思いますよ?」
「確かに私達も誰でも会う訳ではありませんが、会う気がない時はすぐに断ります。ですが、国の重鎮が面会を求められて無視するような事をしたらマズイ事ぐらい分かっていますのに、精霊王はそれが分かってない?」
そう、精霊王にとって四大精霊と四大精霊獣は人の国の基準で考えれば、間違いなく重鎮である。
ある程度の敬意は払う相手のはずであるが、そんな横暴が許されていたのは……
「今まで、それで大きな問題になる事がなかったから事を荒立てずにいたが、そろそろケジメを付ける時なのじゃ」
「そうね、ユウイチちゃん、私達がこの門を強制的に開けちゃうから」
犬歯を見せるリューリカと今日は頑張る、と意気込むようにアイナが大きな胸を張って鼻息を荒くする。
「事を構えるのは俺だけでもいいだろうし、開けるのは俺がやった方が良くないか?」
「駄目、これは私達の決意表明。精霊王と袂を分けると伝える」
4人に遠慮した事を言う雄一にエリーゼが余り見れない真剣な表情を見せて雄一を見上げてくる。
雄一が精霊王と対立する可能性が高い、この状態で、今更か? と言われるかもしれないが、できるだけリューリカ達に迷惑かけたくなかった。
そんな雄一の二の腕にそっと触れるレン。
「ありがとう、ユウイチ。貴方の気持ちは嬉しいわ。でも私達も酔狂だけで貴方の嫁になりにきたんじゃない。この世界の為に必要なのは精霊王ではなく貴方だと見初めたからやってきたのよ?」
思い出すようにして続けるレンは、
「傍に居て、人となりを見せられて女としても惚れさせられるとは思ってなかったけどね?」
と笑われて、さすがに雄一が赤面すると背中を2か所抓る存在があるが怖くて振り向けない。
リューリカ達は雄一の様子を見て楽しそうに笑う。
ひとしきり笑うとお互い顔を見合わせて扉に向き合うと4人からオーラのような力が立ち登る。
それぞれの属性を代表するような色、赤、青、緑、橙の4色のオーラが扉にぶつかると、ギッギギ、と重々しくも耳触りな音と共にゆっくりと開いて行く。
扉の入口の先頭で立つ雄一は腹を括った男の顔をして腕組みをしながら口の端を上げて前を見つめた。
だが、リューリカ達、四大精霊獣の力や他の精霊の力を持ってしても、何故かポロネを探査する術がないらしい。
確定事項ではないが精霊王も無理ではないかというのがリューリカ達の意見だ。なので、人海戦術で視覚で探す、本当に人が探すと同じ方法でしか発見する術がない。
雄一もまさかアリア達と一緒に住んでるとは知らず、後廻しにする事を決めていた。
ならば、所在がはっきりしている精霊王から手を付ける事にした雄一はリューリカ達に精霊王の下へと案内を頼んだ。
雄一の頼みを快諾したリューリカ達は精霊界へと繋がる門を開く。
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リューリカ達に寄って開かれた精霊界への入口から入った雄一達は一面の星空、宇宙空間に放り出されたような状況に目を白黒させる。
ホーエン達は、ただただビックリして辺りを見渡し言葉がないようだが、雄一は元の世界の常識が呼吸ができないと思い込んで両手で口、鼻を押さえて息を止めて活路を見出そうとキョロキョロし出す。
雄一の様子からどういう状況か分かったレンが悪戯っ子のような笑みを浮かべて雄一の耳元で囁く。
「ユウイチ、ここは宇宙じゃないから空気はあるわよ?」
「はぁ……そういう事は早く言ってくれないか?」
胸に溜まった空気を安堵の息に変えて吐き出しながら恨めしそうにレンを見つめる。
クスクス笑うレンの様子からリューリカ達、残りの精霊獣達も気付いたようで生温かい視線を向けてきた。
ホーエン達が不思議そうに顔を見合わせた後、何があったのかと説明を求められたが雄一は説明を拒否したのは言うまでもなかった。
再び、リューリカ達に案内されながら、その宇宙空間と見間違う世界を飛ぶようにして先を行くと大きな門が見えてくる。
その門の前にはアグートの姿があり、雄一の姿に驚いたがその後ろにアグートの愛するホーエンの姿を認めて更に驚いて固まる。
目の前に雄一達が降り立つとアグートは逃げるようにホーエンの後ろに隠れながら文句を言ってくる。
「アンタ、ここで何してるの? ここは精霊以外入ってはいけない場所なのよ!」
「らしいな、だが、それを俺が守る理由はないだろう?」
アグートにシレッと言い返した雄一はリューリカ達に振り返りながら、「あるのか?」と問うが「こちら側で勝手に決めておるだけじゃ」とあっさりアグートの言葉を否定される。
ぐぬぬっ、と唸るアグートに苦笑いをするホーエンが言い聞かせに入る。
「俺も正直、精霊王に思う所があった。今回のユウイチがする事を見る事で俺の中で整理できそうな気がするんだ」
優しく見つめるホーエンの瞳にやられるアグートの頬に朱が入る。
それを後ろから見てたポプリが「チョロ過ぎる」とぼやくのを隣のミレーヌも同じく頷く。
アグートを見つめるホーエンが続ける。
「前々から精霊王とはどういうものだろう、と思っていた。世界の調整者のように言われる事があるが、相反する神が大半を取り仕切り、自然の調和をしてるのも実質は四大精霊獣だ。精霊王がしてる訳じゃない」
「その通りじゃ、時折、指示は来るが正直、有益な指示があった覚えはないのじゃ。むしろ、人間にとっては災害じゃろうな? 何の意味があったかもわからんが」
あっさりホーエンの言葉が正しい事を告げるリューリカは、本当に良い思い出がないようで顔を顰めていた。
再び、アグートに視線を向けるホーエンは強くアグートを抱き締める。
「俺は怖かった。もし、精霊王にお前と結ばれるのは駄目だと言われた時、お前にとってどちらがいいか、と悩む度に俺はその日が来るのをいつも恐れていた。だが、今回の事をキッカケで俺は腹を括った。例え、俺が選択した事でお前を苦しめる事になっても俺はお前を離さん! だから、今回のユウイチと精霊王のやり取りを見守ろうと思う」
ホーエンを熱い視線で見つめるアグートがホーエンの名を熱っぽい声音で呼ぶ。
それを男前に頷くホーエンはアグートの頭を片手で抱えるようにして抱き寄せる。
「こんな我儘な俺だが付いて来てくれるか?」
「勿論よ! ホーエン!!」
ホーエンとアグートがいる場所だけが異世界に繋がったかのように遠い人を見るような視線で見つめる雄一は目の端で悔しがるミレーヌとポプリの姿に気付く。
「チョロイ温い展開かと思えば、こんなどんでん返しがあるなんて!」
「これは、見せつけられた私達の気が治まりません!」
2人は雄一を半眼で人が殺せるかもしれないと思えるような圧力を込めて見つめながら、「さあ、こい!」と手招きをしてるのが目端に見えるが雄一は細心の注意を払いながら、自然さを意識して門の方へと目を向ける。
「発情したメスの相手は大変じゃのぉ? わっちが黙らせてやろうか?」
肩に背負う巴が雄一にだけ聞こえるように言ってくるが色んな意味で反応できない雄一は、聞こえないフリをするが巴に見抜かれているようで、クックク、と含み笑いをされる。
怖いモノから目を逸らす雄一はリューリカ達を見つめると全員が雄一の心情に気付いているようで、大変だね? と言いたげな優しい視線を向けられるが、男としては気付いてないフリされるのが一番の優しさだと訴えたい。
そんな気持ちを押さえて問う。
「どうやったら精霊王に会えるんだ? ホーエンの話を加味するとアグートはとっくに会ってそうな気がしたが、ここにいたという事は会うのが難しい?」
「そうね、面談の申請しても待たされるのはいつもの事ね。それが明日なのか来年なのか、それこそ人の感覚では待たされてるレベルじゃない時間を放置されて「帰れ」と言われる事もあるわよ?」
雄一にカムヒアしてた2人も今の話を聞いて我に返る。
「私達も人の王と呼ばれ、呼ばれた存在でしたが、余りに横暴と思いますよ?」
「確かに私達も誰でも会う訳ではありませんが、会う気がない時はすぐに断ります。ですが、国の重鎮が面会を求められて無視するような事をしたらマズイ事ぐらい分かっていますのに、精霊王はそれが分かってない?」
そう、精霊王にとって四大精霊と四大精霊獣は人の国の基準で考えれば、間違いなく重鎮である。
ある程度の敬意は払う相手のはずであるが、そんな横暴が許されていたのは……
「今まで、それで大きな問題になる事がなかったから事を荒立てずにいたが、そろそろケジメを付ける時なのじゃ」
「そうね、ユウイチちゃん、私達がこの門を強制的に開けちゃうから」
犬歯を見せるリューリカと今日は頑張る、と意気込むようにアイナが大きな胸を張って鼻息を荒くする。
「事を構えるのは俺だけでもいいだろうし、開けるのは俺がやった方が良くないか?」
「駄目、これは私達の決意表明。精霊王と袂を分けると伝える」
4人に遠慮した事を言う雄一にエリーゼが余り見れない真剣な表情を見せて雄一を見上げてくる。
雄一が精霊王と対立する可能性が高い、この状態で、今更か? と言われるかもしれないが、できるだけリューリカ達に迷惑かけたくなかった。
そんな雄一の二の腕にそっと触れるレン。
「ありがとう、ユウイチ。貴方の気持ちは嬉しいわ。でも私達も酔狂だけで貴方の嫁になりにきたんじゃない。この世界の為に必要なのは精霊王ではなく貴方だと見初めたからやってきたのよ?」
思い出すようにして続けるレンは、
「傍に居て、人となりを見せられて女としても惚れさせられるとは思ってなかったけどね?」
と笑われて、さすがに雄一が赤面すると背中を2か所抓る存在があるが怖くて振り向けない。
リューリカ達は雄一の様子を見て楽しそうに笑う。
ひとしきり笑うとお互い顔を見合わせて扉に向き合うと4人からオーラのような力が立ち登る。
それぞれの属性を代表するような色、赤、青、緑、橙の4色のオーラが扉にぶつかると、ギッギギ、と重々しくも耳触りな音と共にゆっくりと開いて行く。
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