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10章 DT、マリッジブルーを味わう
280話 自分達でなんとかしようとするお年頃のようです
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アリア達に遅れる事、数時間後に出発したテツ達は馬車を駆けさせて街道を走っていた。
少し思ってたより遅くはなったがテツの見立てでは夕方には追い付きそうだと見ていた。
テツは楽しそうな会話をする姉達の姿を隠している荷物を半眼で見つめる。
見つめる山となってる荷物の大半が美容に関係したものであった。
勿論、いざという時に備えた服も幾通りにも用意されていた。
いくらなんでもそんなにいらないだろうとテツは思うが姉達に言わせるとそれを備えるのが乙女であり、女の矜持だそうだ。
確かに美容用品もそうだが、服に関しても今はダンガ以上な場所は確かにない。だから、ダンガ製品を押さえておきたいのは分かるが、持ってき過ぎである。
「足りなくなりそうになったらエリーゼさんに手紙を運んで貰ってメグさんに必要なモノを運ばせる気がするんだけどな……」
テツは青い空を見つめながら、吐息を吐くような声で呟くがホーラが反応する。
「何か言ったさ?」
「ううん、いい天気だな~って言っただけ」
咄嗟にテツがそう言ったが露骨に言い訳ぽかったかと思ってるとディータが「確かにそうですね」と相槌を打ってくれ、2人もそれに便乗して天気の話に移行したのでテツは難を逃れた。
ホッと溜息を吐くと再び馬車に積まれた沢山の荷物の脇に使いこまれたリュックが1個あるのを見つめる。
そのリュックが今、テツが身に着けているモノ以外の全ての荷物であった。
「アリア達は、ユウの目が無くなった事で遊び呆けたり、修行をサボったりしないようにしっかり監督しないといけないさ!」
「そうですね。抑圧されてたモノも少しはあるでしょうが、限りなくダンガで節制してた意識は残すように指導しないといけません」
ホーラとポプリの姉としても弟、妹に対する教育方針を熱く語るが、する必要があるのだろうかと思う。
まず贅沢したいと思ってもそんな余剰なお金を使う程に余裕は出ないだろうし、テツにも覚えがあるが、今、アリア達は鍛えれば鍛えただけ強くなるのがはっきりと実感できる時期である。
むしろ、雄一の目がない事で無茶しないように監督する方が大事だとテツは思う。
と思うのだが、監督する姉達のこの有様、馬車に積まれた姉2人の荷物を見て、アリア達がどう思い、どう考えるだろうとテツは苦笑いが漏れる。
姉2人も雄一の目がある所ではそういうのを節制して、旅の時は荷物を最小限に留め、雄一に時折、「少しは無駄があってもいいんだぞ?」と言わせるホーラとポプリであるが蓋を開ければこんなものである。
おそらく、節制、などを意識し、気持ちを緩むのを阻止する為に監督されるのはホーラとポプリであろう。
そうテツは確信しているが決して口にするつもりはない。
姉達に正論を言って無事に済んだ試しがないからであった。ぶっちゃけると、単純に触らぬ神にたたりなし、の精神であった。
テツがそんな事を考えながら御者をしてた頃、姉達はアリア達の近況話に移行していた。
「最近のダンテ達はどうですか? 頑張っているようだったので口を挟んだり見学を避けてはいましたが、ホーラ達から見て忌憚のない意見を聞かせて貰いたい」
ディータがホーラ達にダンテ達の成長具合などを問うとホーラとポプリは考え込みつつ、口にしていく。
「そうですね。地力は付いてきてるとは思いますが、少し乱暴になってきてるでしょうか? 力の使い方から思考も込みで?」
「そういう意味ではダンテは自制できてる方だとは思うさ。ただ、ダンテの場合は尻込みしてると捉えるかどうかで答えが変わってしまうけどね」
2人の意見を聞いていたテツも似たような感想を受けていた。
ザガンから帰ってきた時のアリア達と比べて、慎重さが欠けてるように思い、力技に訴え、考えが浅い行動が目に付き始めていた。
巴にあれほどやられて刻まれた恐怖も良く言えば自信、悪く言えば自惚れが出始めて忘れ始めているアリア達であるとテツは見ていた。
そろそろ、言葉ではなく身を持っての教訓を思い出してくれるように手を尽くさないといけないところだが、そういった事が不得手のテツは困っていた。
「なるほど、ダンテ達の力を見るついでに私が出てきた杭を打つ役をしましょう。ホーラ達にされても慣れが出てるでしょうし、普段、家事しかしてない私にやられたら良い意味でショックを受けるでしょうしね」
ディータならできるだろうとテツだけでなくホーラ達も思ったようで即答でお願いしていた。
アリア達がディータという人物をどう見てるか分からないが、テツはディータと夜に戦う事になったら負けると見立ていた。
それはホーラ達も同じ見解で、雄一はともかく、リホウは良くディータとそれ以外の集団を1人で相手して圧倒したと感心するばかりだが、その手法は秘匿されていた。
ここまでの事はディータ本人から聞いた事であるが、それ以降の事はリホウに口止めをお願いされたらしく話してはくれてない。
「できれば、ペーシア王国に着く前にお願いするさ。きっと、悩むのは後にしてきっと浮かれてるだろうから」
「はい、では、キュエレーで早速、ダンテ達を揉んであげます」
力強く言うディータであるがテツは力加減ができるのだろうかと苦笑を浮かべた。
変な所で不器用なディータである事をテツだけでなくホーラ達も知ってるが、心配してるのはテツのみであった。
ホーラ達からすれば実践的で良いと切って捨ててそうである。
アリア達の件はそれで落ち着きをみせ、ホーラがポプリに思い出したかのように質問した。
「そういえば、なんでアンタ、こんな時期に国に帰る話になったんだい? 特別、女王が必要とする行事ないさ?」
「ホーラ達には話してもいいけど、しばらくは口外は控えてくださいね?」
信頼してくれてるから話すと言ってくれているポプリの言葉にホーラ達は頷き、御者してるテツも当然とばかりに見えてないと分かっていたが頷く。
ポプリから話された話はこうだ。
暖かくなってきて、作物を育てる為に畑を耕していると白い菌糸に似たモノが続出しているらしい。
時折、見かける土が駄目になったモノかと思われたが学者達が言うには似てるのは見た目だけで菌糸ではないらしいという報告が上がった。
従来の菌糸であれば対応策は確立されているが、ヘタな事をすれば今年の収穫が大変になる事が受け合いなので責任人が責任を取る為に女王であるポプリが陣頭指揮を執る事になったそうだ。
「何やら大変な事になってるけど、すぐに出て来れないさ?」
「そうね、そうならないとは言わないけど、最終的にはホーエンさん経由でアグートに浄化をお願いして手を打とうとは思ってる」
「土で起きてる事なんですからアイナに頼む方が良いのでは?」
ディータが正論を言うが、「アグートで駄目だったら呼んで~」と言って話を切り上げて眠ったそうである。
とことん、雄一が介入しないと最初から動いてはくれない土の精霊獣のアイナであった。
ポプリにしても雄一を巻き込むのは避けたい想いがあり、引き下がったようである。
そこでテツは眉を寄せる。
そう、アイナにペーシア王国の地下に運んだ土の宝玉を見てきて欲しいと言われた件である。
ポプリに依頼されて、何か思い当たる事に行き当たったアイナがテツにお願いしてきたのではないかと思ったのであった。
テツは空を眺め、流れてきた雲が太陽を一瞬隠すのを見て呟く。
「偶然だよね?」
そうだと言い聞かせながらもテツはペーシア王国に着いたら早い段階で見に行った方がいいと判断する。
ただ、今、テツ達がする行動が後手になりかねない事を考え、雄一を巻き込まない行動が裏目に出るか、テツは自問自答し続けながら手綱を握り締めた。
少し思ってたより遅くはなったがテツの見立てでは夕方には追い付きそうだと見ていた。
テツは楽しそうな会話をする姉達の姿を隠している荷物を半眼で見つめる。
見つめる山となってる荷物の大半が美容に関係したものであった。
勿論、いざという時に備えた服も幾通りにも用意されていた。
いくらなんでもそんなにいらないだろうとテツは思うが姉達に言わせるとそれを備えるのが乙女であり、女の矜持だそうだ。
確かに美容用品もそうだが、服に関しても今はダンガ以上な場所は確かにない。だから、ダンガ製品を押さえておきたいのは分かるが、持ってき過ぎである。
「足りなくなりそうになったらエリーゼさんに手紙を運んで貰ってメグさんに必要なモノを運ばせる気がするんだけどな……」
テツは青い空を見つめながら、吐息を吐くような声で呟くがホーラが反応する。
「何か言ったさ?」
「ううん、いい天気だな~って言っただけ」
咄嗟にテツがそう言ったが露骨に言い訳ぽかったかと思ってるとディータが「確かにそうですね」と相槌を打ってくれ、2人もそれに便乗して天気の話に移行したのでテツは難を逃れた。
ホッと溜息を吐くと再び馬車に積まれた沢山の荷物の脇に使いこまれたリュックが1個あるのを見つめる。
そのリュックが今、テツが身に着けているモノ以外の全ての荷物であった。
「アリア達は、ユウの目が無くなった事で遊び呆けたり、修行をサボったりしないようにしっかり監督しないといけないさ!」
「そうですね。抑圧されてたモノも少しはあるでしょうが、限りなくダンガで節制してた意識は残すように指導しないといけません」
ホーラとポプリの姉としても弟、妹に対する教育方針を熱く語るが、する必要があるのだろうかと思う。
まず贅沢したいと思ってもそんな余剰なお金を使う程に余裕は出ないだろうし、テツにも覚えがあるが、今、アリア達は鍛えれば鍛えただけ強くなるのがはっきりと実感できる時期である。
むしろ、雄一の目がない事で無茶しないように監督する方が大事だとテツは思う。
と思うのだが、監督する姉達のこの有様、馬車に積まれた姉2人の荷物を見て、アリア達がどう思い、どう考えるだろうとテツは苦笑いが漏れる。
姉2人も雄一の目がある所ではそういうのを節制して、旅の時は荷物を最小限に留め、雄一に時折、「少しは無駄があってもいいんだぞ?」と言わせるホーラとポプリであるが蓋を開ければこんなものである。
おそらく、節制、などを意識し、気持ちを緩むのを阻止する為に監督されるのはホーラとポプリであろう。
そうテツは確信しているが決して口にするつもりはない。
姉達に正論を言って無事に済んだ試しがないからであった。ぶっちゃけると、単純に触らぬ神にたたりなし、の精神であった。
テツがそんな事を考えながら御者をしてた頃、姉達はアリア達の近況話に移行していた。
「最近のダンテ達はどうですか? 頑張っているようだったので口を挟んだり見学を避けてはいましたが、ホーラ達から見て忌憚のない意見を聞かせて貰いたい」
ディータがホーラ達にダンテ達の成長具合などを問うとホーラとポプリは考え込みつつ、口にしていく。
「そうですね。地力は付いてきてるとは思いますが、少し乱暴になってきてるでしょうか? 力の使い方から思考も込みで?」
「そういう意味ではダンテは自制できてる方だとは思うさ。ただ、ダンテの場合は尻込みしてると捉えるかどうかで答えが変わってしまうけどね」
2人の意見を聞いていたテツも似たような感想を受けていた。
ザガンから帰ってきた時のアリア達と比べて、慎重さが欠けてるように思い、力技に訴え、考えが浅い行動が目に付き始めていた。
巴にあれほどやられて刻まれた恐怖も良く言えば自信、悪く言えば自惚れが出始めて忘れ始めているアリア達であるとテツは見ていた。
そろそろ、言葉ではなく身を持っての教訓を思い出してくれるように手を尽くさないといけないところだが、そういった事が不得手のテツは困っていた。
「なるほど、ダンテ達の力を見るついでに私が出てきた杭を打つ役をしましょう。ホーラ達にされても慣れが出てるでしょうし、普段、家事しかしてない私にやられたら良い意味でショックを受けるでしょうしね」
ディータならできるだろうとテツだけでなくホーラ達も思ったようで即答でお願いしていた。
アリア達がディータという人物をどう見てるか分からないが、テツはディータと夜に戦う事になったら負けると見立ていた。
それはホーラ達も同じ見解で、雄一はともかく、リホウは良くディータとそれ以外の集団を1人で相手して圧倒したと感心するばかりだが、その手法は秘匿されていた。
ここまでの事はディータ本人から聞いた事であるが、それ以降の事はリホウに口止めをお願いされたらしく話してはくれてない。
「できれば、ペーシア王国に着く前にお願いするさ。きっと、悩むのは後にしてきっと浮かれてるだろうから」
「はい、では、キュエレーで早速、ダンテ達を揉んであげます」
力強く言うディータであるがテツは力加減ができるのだろうかと苦笑を浮かべた。
変な所で不器用なディータである事をテツだけでなくホーラ達も知ってるが、心配してるのはテツのみであった。
ホーラ達からすれば実践的で良いと切って捨ててそうである。
アリア達の件はそれで落ち着きをみせ、ホーラがポプリに思い出したかのように質問した。
「そういえば、なんでアンタ、こんな時期に国に帰る話になったんだい? 特別、女王が必要とする行事ないさ?」
「ホーラ達には話してもいいけど、しばらくは口外は控えてくださいね?」
信頼してくれてるから話すと言ってくれているポプリの言葉にホーラ達は頷き、御者してるテツも当然とばかりに見えてないと分かっていたが頷く。
ポプリから話された話はこうだ。
暖かくなってきて、作物を育てる為に畑を耕していると白い菌糸に似たモノが続出しているらしい。
時折、見かける土が駄目になったモノかと思われたが学者達が言うには似てるのは見た目だけで菌糸ではないらしいという報告が上がった。
従来の菌糸であれば対応策は確立されているが、ヘタな事をすれば今年の収穫が大変になる事が受け合いなので責任人が責任を取る為に女王であるポプリが陣頭指揮を執る事になったそうだ。
「何やら大変な事になってるけど、すぐに出て来れないさ?」
「そうね、そうならないとは言わないけど、最終的にはホーエンさん経由でアグートに浄化をお願いして手を打とうとは思ってる」
「土で起きてる事なんですからアイナに頼む方が良いのでは?」
ディータが正論を言うが、「アグートで駄目だったら呼んで~」と言って話を切り上げて眠ったそうである。
とことん、雄一が介入しないと最初から動いてはくれない土の精霊獣のアイナであった。
ポプリにしても雄一を巻き込むのは避けたい想いがあり、引き下がったようである。
そこでテツは眉を寄せる。
そう、アイナにペーシア王国の地下に運んだ土の宝玉を見てきて欲しいと言われた件である。
ポプリに依頼されて、何か思い当たる事に行き当たったアイナがテツにお願いしてきたのではないかと思ったのであった。
テツは空を眺め、流れてきた雲が太陽を一瞬隠すのを見て呟く。
「偶然だよね?」
そうだと言い聞かせながらもテツはペーシア王国に着いたら早い段階で見に行った方がいいと判断する。
ただ、今、テツ達がする行動が後手になりかねない事を考え、雄一を巻き込まない行動が裏目に出るか、テツは自問自答し続けながら手綱を握り締めた。
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