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9章 DTの後継者候補!
246話 変わりゆくのは身体だけでなく……のようです
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休憩を挟んで食事をしているアリア達であったが、早食い競争してるのかと毎度思わされるミュウが最初に食べ終わり、初めはおとなしく皆が食べ終えるのを待っていたが退屈になったらしくウロウロし出す。
それを不安そうに見つめるダンテが声をかける。
「ミュウ、余計なモノに触れないでね?」
「大丈夫、もう2度失敗した。次はしない!」
太めの眉を弧を描かせて自信満々の笑みを浮かべるミュウに言い知れない不安を感じるダンテはアリアを見つめる。
この面子で一番の少食のアリアが食事が終えていた。
「食べ終わったところ悪いんだけど、ミュウに付いててくれない? どうも3度目がありそうで怖いから」
蛇のトラップ以降でもミュウはやらかしており、でっかいカエルが天井から落ちてきて、ヒースが悲壮な特攻をするハメになったのは記憶に新しいらしく、ヒースの顔がゲンナリしていた。
なにせ、捕食されそうになり、飲み込まれゆくヒースを助ける為に気持ち悪いと言ってられないアリア達の懸命な救助活動で助かっていたからであった。
ダンテの頼みに軽い感じで、んっ、と返事をするとミュウの傍に行くのを見て安心してダンテは食事を再開する。
こう見えて、この面子の中で意外な事にダンテの食事量が一番多い。
線の細い美少女と見間違うダンテだが、大食感だと思われているレイアやミュウよりも食べる。
それを聞かれる度に「育ち盛りだから」と照れ臭そうに言うが真実は違った。
その秘密はダンテとダンテの姉のディータの2人だけのものとダンテは思っている。
だが、事実は違う。残酷な現実はこうして生まれた。
「そういえば、ダンテって見かけに寄らず、かなり食べるよね? 嫌そうにする割に牛乳も進んで飲んでるように見えるし?」
食器を洗うティファーニアが思い出すように隣にいるディータに質問する。
それにディータは苦笑いをするようにして、「ここだけの話にしていて欲しい」と伝えると口を開く。
「どうやらユウイチのように大きな体になり、逞しい男になりたいそうだ。そこでユウイチにどうやったら成れるかと問うと、好き嫌いせずに沢山食べて体を動かしてたら、と言われて実践している」
「えっ、エルフのダンテが? でも、テツ君を見てるとそれは……」
テツはおそらくトトランタで、もっとも体を鍛えているエルフと言っても過言ではない。
そのテツも好き嫌いなく沢山食べる。
自分の婚約者の事だから当然それを知ってるし、アルビノという違いがあれど、それほど大きな差は生まれない。
むしろ、アルビノで身体能力に特化しているテツのほうがそうなりやすいと予測ができた。
言い淀んだティファーニアにディータは笑いかける。
「ダンテはまだ気付いてないが、私は知ってる。少なくともユウイチのような体格をしたエルフなど私も聞いた事がない。長身にはなれるかもしれないが、無理な相談だろうな」
弟の変な所で抜けている事が面白いらしくクスクスと笑うディータ。
本来ならすぐに教えるのが姉としての務めなのかもしれないが、心酔するユウイチのようにと頑張るダンテの努力を否定する気にはなれなかったらしい。
やっている事は少なくとも成長期を迎えるダンテにとって良い結果を生むのは間違いなく、ただ、それがダンテが望む形ではないということだけだから黙る事を決めていた。
「という事で内密で頼む」
「分かったわ」
という、やり取りがなされていた。
しかし、女の『ここだけ』というのは至る場所にあるようで、この事実を知らない男共だけで、北川家にいる女の子の間では周知の事実であった。
しっかり咀嚼して食べたダンテが最後に食事を終えて片付けるのをヒースが簡単の溜息を零す。
「しかし、何度見ても驚くほどダンテは良く食べるね?」
「育ち盛りだからねっ!」
嬉しげに破顔させるダンテがまったく変化を見せない二の腕に力こぶを作ろうとする。
ダンテ本人は、少し盛り上がってきたかな? と嬉しげに撫でるのを見たヒースが何かに気付いた顔をしてダンテに話しかける。
「もしかして、ダンテ、君はキン……」
そこまで言いかけた時、正面に座るスゥが盾を持ち上げ、自分の鎧に軽く当てて音を鳴らし、ジッとヒースを見つめる。
ビクッとしたヒースが何かを察して被り振る。
「どうしたの? ヒース、何か言いかけたようだけど?」
不思議そうに首を傾げるダンテにヒースは、引き攣った笑いを浮かべて「なんでもない」と笑う。
スゥのあれだけの挙動で黙らされるヒースは、どうやら心の深い所までアリア達に教育を施されたようである。
スゥが止めたのも女の子の満場一致でソッとしておく、という判断がされていたからであった。
あのレイアですら、触れない事を決めるほどダンテの成功を祈るばかりであった。
ヒースの様子がおかしい事に疑問を覚えたダンテが質問をしようとすると後ろから潰されたカエルのような声と鈴の音が聞こえる。
振り返るとアリアに首輪を引っ張られて尻モチを着いているミュウの姿があった。
振り返ってダンテを見つめるアリアが淡々とした声で言ってくる。
「ミュウがカードを入れると思われる場所を発見した」
それを聞いたダンテとヒースとスゥはミュウが尻モチを着いている理由に行き着き苦笑する。
「おおっ! マジか、どれだ?」
駆け寄るレイアを見つめるアリアが呟く。
「ミュウの次に危険人物のレイアが近寄るな」
そう言うと躊躇なくモーニングスターの柄でレイアの脛を強打させようとするが、笑みを浮かべたレイアが叫ぶ。
「破れたり、アリア! 何度もそれでボコボコ叩かれたら堪ったもんじゃねぇ!」
駆け寄る歩幅を直前に変えるとモーニングスターの柄を足裏で踏んで止める。
ドヤ顔全開のレイアを見つめるアリアは動揺を見せずにモーニングスターから手を離すと胸元に手を突っ込み、勢いよく引き抜く。
引き抜かれた手には真っ白なハリセンが出てくる。
「天誅!」
アリアの叫びと共にハリセンが唸るとレイアの後頭部を叩きつける。
叩く付けられたレイアは顔から地面に倒れる。
ムクリと起き上がったレイアが叫ぶ。
「なんじゃそりゃ!」
「ユウさんから譲り受けた『駄目っ子撲殺兵器 ツヴァイ』、業物」
アリアはまるでエクスカリ○ーを手に入れた人のように掲げると当然のように胸元に仕舞う。
それを見ていたレイアが嫌な汗を掻いて質問する。
「いつの間にホーラ姉のような事ができるように?」
「ママはいつでも成長している!」
最近、恒例になりつつある争いが勃発するかと思われたが、呆れた声でスゥが呼びかける。
「どうやら、ここに本当にカードを入れる場所のようなの。ダンテが動かし待ちしてるから、姉妹のじゃれ合いはそれぐらいにしとくの。もしかしたら、次の階でも戦闘があるかもしれない。気合い入れるの」
バツ悪そうにお互いを見つめ合う2人は謝ると屈んでこちらを見ているダンテの近くに移動する。
なんだかんだ言いながらもアリアとレイアがじゃれ合うように喧嘩するようになって、ダンテ達との距離感が更に縮まった事に気付いているダンテは笑みを浮かべる。
いずれ、スゥも気付く日が来るだろう、と思うダンテ。
「意外とミュウは気付いてたと言いそうだけどね」
そう呟くダンテに首を傾げるスゥが、
「どうしたの、ダンテ?」
「ううん、何でもないよ」
被り振るダンテは皆が近くにいる事を確認するとカードを掲げて言う。
「カードを挿し込むよ。何が起こるか分からないから警戒だけはしててね?」
アリア達が頷くのを確認したダンテがカードを差し込み口に当てるようにすると吸い込まれるように入っていく。
するとダンテの左側の地面が割れるようにして広がると地下に降りる階段が現れた。
「どうやら、これが最下層への道のようだね」
代表するようにダンテが口にするとスゥが先頭に立ち、その後ろをレイアとミュウが控え、アリア、ダンテと続き、殿をヒースが、という布陣を取るとアリア達は階段を降りて行く。
扉の前にやってきたスゥが一度、後ろを振り返って黙って頷くと扉に盾を当て、押し開き始める。
扉を開けると、薄暗く、とても広い空間であるが何もないように見えるスゥがゆっくりと前へと歩く。
全員が入ると明かりを点けようとアリアが魔法を使おうとした時、びっくりして手を止めてしまう。
『訓練所、踏破おめでとう!』
横手からその声を聞いたアリア達は声がした方向を睨み、身構える。
身構えるが激しい光が生まれ、目を細めたアリア達は身を硬くして動きを止めてしまった。
それを不安そうに見つめるダンテが声をかける。
「ミュウ、余計なモノに触れないでね?」
「大丈夫、もう2度失敗した。次はしない!」
太めの眉を弧を描かせて自信満々の笑みを浮かべるミュウに言い知れない不安を感じるダンテはアリアを見つめる。
この面子で一番の少食のアリアが食事が終えていた。
「食べ終わったところ悪いんだけど、ミュウに付いててくれない? どうも3度目がありそうで怖いから」
蛇のトラップ以降でもミュウはやらかしており、でっかいカエルが天井から落ちてきて、ヒースが悲壮な特攻をするハメになったのは記憶に新しいらしく、ヒースの顔がゲンナリしていた。
なにせ、捕食されそうになり、飲み込まれゆくヒースを助ける為に気持ち悪いと言ってられないアリア達の懸命な救助活動で助かっていたからであった。
ダンテの頼みに軽い感じで、んっ、と返事をするとミュウの傍に行くのを見て安心してダンテは食事を再開する。
こう見えて、この面子の中で意外な事にダンテの食事量が一番多い。
線の細い美少女と見間違うダンテだが、大食感だと思われているレイアやミュウよりも食べる。
それを聞かれる度に「育ち盛りだから」と照れ臭そうに言うが真実は違った。
その秘密はダンテとダンテの姉のディータの2人だけのものとダンテは思っている。
だが、事実は違う。残酷な現実はこうして生まれた。
「そういえば、ダンテって見かけに寄らず、かなり食べるよね? 嫌そうにする割に牛乳も進んで飲んでるように見えるし?」
食器を洗うティファーニアが思い出すように隣にいるディータに質問する。
それにディータは苦笑いをするようにして、「ここだけの話にしていて欲しい」と伝えると口を開く。
「どうやらユウイチのように大きな体になり、逞しい男になりたいそうだ。そこでユウイチにどうやったら成れるかと問うと、好き嫌いせずに沢山食べて体を動かしてたら、と言われて実践している」
「えっ、エルフのダンテが? でも、テツ君を見てるとそれは……」
テツはおそらくトトランタで、もっとも体を鍛えているエルフと言っても過言ではない。
そのテツも好き嫌いなく沢山食べる。
自分の婚約者の事だから当然それを知ってるし、アルビノという違いがあれど、それほど大きな差は生まれない。
むしろ、アルビノで身体能力に特化しているテツのほうがそうなりやすいと予測ができた。
言い淀んだティファーニアにディータは笑いかける。
「ダンテはまだ気付いてないが、私は知ってる。少なくともユウイチのような体格をしたエルフなど私も聞いた事がない。長身にはなれるかもしれないが、無理な相談だろうな」
弟の変な所で抜けている事が面白いらしくクスクスと笑うディータ。
本来ならすぐに教えるのが姉としての務めなのかもしれないが、心酔するユウイチのようにと頑張るダンテの努力を否定する気にはなれなかったらしい。
やっている事は少なくとも成長期を迎えるダンテにとって良い結果を生むのは間違いなく、ただ、それがダンテが望む形ではないということだけだから黙る事を決めていた。
「という事で内密で頼む」
「分かったわ」
という、やり取りがなされていた。
しかし、女の『ここだけ』というのは至る場所にあるようで、この事実を知らない男共だけで、北川家にいる女の子の間では周知の事実であった。
しっかり咀嚼して食べたダンテが最後に食事を終えて片付けるのをヒースが簡単の溜息を零す。
「しかし、何度見ても驚くほどダンテは良く食べるね?」
「育ち盛りだからねっ!」
嬉しげに破顔させるダンテがまったく変化を見せない二の腕に力こぶを作ろうとする。
ダンテ本人は、少し盛り上がってきたかな? と嬉しげに撫でるのを見たヒースが何かに気付いた顔をしてダンテに話しかける。
「もしかして、ダンテ、君はキン……」
そこまで言いかけた時、正面に座るスゥが盾を持ち上げ、自分の鎧に軽く当てて音を鳴らし、ジッとヒースを見つめる。
ビクッとしたヒースが何かを察して被り振る。
「どうしたの? ヒース、何か言いかけたようだけど?」
不思議そうに首を傾げるダンテにヒースは、引き攣った笑いを浮かべて「なんでもない」と笑う。
スゥのあれだけの挙動で黙らされるヒースは、どうやら心の深い所までアリア達に教育を施されたようである。
スゥが止めたのも女の子の満場一致でソッとしておく、という判断がされていたからであった。
あのレイアですら、触れない事を決めるほどダンテの成功を祈るばかりであった。
ヒースの様子がおかしい事に疑問を覚えたダンテが質問をしようとすると後ろから潰されたカエルのような声と鈴の音が聞こえる。
振り返るとアリアに首輪を引っ張られて尻モチを着いているミュウの姿があった。
振り返ってダンテを見つめるアリアが淡々とした声で言ってくる。
「ミュウがカードを入れると思われる場所を発見した」
それを聞いたダンテとヒースとスゥはミュウが尻モチを着いている理由に行き着き苦笑する。
「おおっ! マジか、どれだ?」
駆け寄るレイアを見つめるアリアが呟く。
「ミュウの次に危険人物のレイアが近寄るな」
そう言うと躊躇なくモーニングスターの柄でレイアの脛を強打させようとするが、笑みを浮かべたレイアが叫ぶ。
「破れたり、アリア! 何度もそれでボコボコ叩かれたら堪ったもんじゃねぇ!」
駆け寄る歩幅を直前に変えるとモーニングスターの柄を足裏で踏んで止める。
ドヤ顔全開のレイアを見つめるアリアは動揺を見せずにモーニングスターから手を離すと胸元に手を突っ込み、勢いよく引き抜く。
引き抜かれた手には真っ白なハリセンが出てくる。
「天誅!」
アリアの叫びと共にハリセンが唸るとレイアの後頭部を叩きつける。
叩く付けられたレイアは顔から地面に倒れる。
ムクリと起き上がったレイアが叫ぶ。
「なんじゃそりゃ!」
「ユウさんから譲り受けた『駄目っ子撲殺兵器 ツヴァイ』、業物」
アリアはまるでエクスカリ○ーを手に入れた人のように掲げると当然のように胸元に仕舞う。
それを見ていたレイアが嫌な汗を掻いて質問する。
「いつの間にホーラ姉のような事ができるように?」
「ママはいつでも成長している!」
最近、恒例になりつつある争いが勃発するかと思われたが、呆れた声でスゥが呼びかける。
「どうやら、ここに本当にカードを入れる場所のようなの。ダンテが動かし待ちしてるから、姉妹のじゃれ合いはそれぐらいにしとくの。もしかしたら、次の階でも戦闘があるかもしれない。気合い入れるの」
バツ悪そうにお互いを見つめ合う2人は謝ると屈んでこちらを見ているダンテの近くに移動する。
なんだかんだ言いながらもアリアとレイアがじゃれ合うように喧嘩するようになって、ダンテ達との距離感が更に縮まった事に気付いているダンテは笑みを浮かべる。
いずれ、スゥも気付く日が来るだろう、と思うダンテ。
「意外とミュウは気付いてたと言いそうだけどね」
そう呟くダンテに首を傾げるスゥが、
「どうしたの、ダンテ?」
「ううん、何でもないよ」
被り振るダンテは皆が近くにいる事を確認するとカードを掲げて言う。
「カードを挿し込むよ。何が起こるか分からないから警戒だけはしててね?」
アリア達が頷くのを確認したダンテがカードを差し込み口に当てるようにすると吸い込まれるように入っていく。
するとダンテの左側の地面が割れるようにして広がると地下に降りる階段が現れた。
「どうやら、これが最下層への道のようだね」
代表するようにダンテが口にするとスゥが先頭に立ち、その後ろをレイアとミュウが控え、アリア、ダンテと続き、殿をヒースが、という布陣を取るとアリア達は階段を降りて行く。
扉の前にやってきたスゥが一度、後ろを振り返って黙って頷くと扉に盾を当て、押し開き始める。
扉を開けると、薄暗く、とても広い空間であるが何もないように見えるスゥがゆっくりと前へと歩く。
全員が入ると明かりを点けようとアリアが魔法を使おうとした時、びっくりして手を止めてしまう。
『訓練所、踏破おめでとう!』
横手からその声を聞いたアリア達は声がした方向を睨み、身構える。
身構えるが激しい光が生まれ、目を細めたアリア達は身を硬くして動きを止めてしまった。
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