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4章 DT、表舞台に立つ
108話 学校は滑り出し順調らしいです
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「おい、小僧! 確かにタダ飯を食らう気はなかったが、これはこき使い過ぎでないかの? ワシはこれでも病み上がりじゃぞ」
「ん? ああ、ジイさんが寝てる間にアクア達に診察して貰った結果、通常使いしても問題ないと太鼓判貰ってるからか弱い老人を演じても無駄だぞ」
ステテコは、驚愕の表情を見せてくるのを見て、サボろうとしてもサボらせないと雄一が心で笑みを浮かべた。
しかし、ステテコは涙目で自分の手の甲を叩き始め、「近くに女子が来て、寝てて反応しないワシの駄目な手!」と涙ながらに悔しがるのを見て、上には上……ではなく、下には下がいるものだと見つめ、ああはなるまいと心に誓う。
今、ステテコが何をやっているかというと子供達の相手である。
朝食が済むと5歳までの子供達は外で元気に遊ばせるというのが雄一流の授業であった。
自由に遊ばせるつもりは勿論あるが、やはり、大人が見てるほうが良いという事で誰かしらを置くようするつもりで、現在一番、暇を持て余しているステテコに任せた流れである。
一応、敷地から出るのは禁止しているが、どこにでもヤンチャなガキというものはいる。
軽い抑止力の目的であったが、可能性としては考えていた別の目的が主になりつつあった。
「オジイちゃん、おんぶ」
「はいよー、シルバー!」
「顔がシワシワ、引っ張ったら綺麗になるかな?」
「小僧っ! ワシを助けろっ!」
子供達に揉みくちゃにされて、マジ泣きまで5秒前といったステテコが雄一を睨んでくるがシレッとした顔で返事をする。
「ジイさんが喜ぶように女の子を沢山配置したのに……本当は嬉しいんだろ?」
雄一は小さな男の子をジャイアントスイングをしながら、楽しそうな子供の歓声と「次、僕っ!」と廻りで騒ぐのを聞きながら答える。
ジャイアントスイングしてた子を上空に放り投げて、落ちてくるのをキャッチすると驚いた顔をした子が弾けるような笑みを見せて雄一の腕から飛び降りて近くに居る子達に「すげぇーすげぇー」と説明になってない言葉を吐いている。
「違うんじゃ、この子らは孫みたいにしか見えんのじゃあ」
「いや、アンタの年から考えれば若い女は大抵、孫と変わらんぞ?」
トトランタの結婚事情から考えれば、20前後であれば充分、孫である。
雄一の言葉を受け取ったはずのステテコだが、老人特有の必殺技を使ってくる。
「はぁ、なんと言った? 最近、とんと耳が遠くなって聞こえが……」
白々しくやってくるのを半眼で見つめる雄一はジイさんの後ろのほうへと目をやる。
「ジイさん、シホーヌが呼んでるぞ?」
「うほぉい、オジイちゃんに何か用かの?」
背中に乗ってる子供達を転がすようにどかすと勢い良く立ち上がり振り返るが誰もいない。
罠にかかった事を知ったステテコが固まってるところに雄一が廻りの子供達をけしかける。
「おい、おまえら、あのスケベなジイさんを退治するぞ!」
「「「「おおっ!!!」」」」
そして、ステテコは子供の波に飲み込まれた。
しばらく時間が経ったのを見計らった雄一がハンドベルを鳴らす。
騒いでた子達がピタッと静かになり、雄一を見つめてくる。
「さあ、運動はこれで終わりだ、お昼まで勉強の時間だぞぉ」
雄一の言葉を聞いた子供達は満足するまで遊んだようで、楽しそうに笑いながら授業を受ける為にそれぞれの場所へと散っていった。
子供達が去った後に残されたのは、土埃で汚れて力なく涙を流すステテコ1人。
「ワシ……穢されたのじゃ……」
「大丈夫だ、充分、穢れてたから」
雄一の言葉にキッと睨むと溢れだす涙を腕で覆いながら家の方に走っていく。
雄一は、それを呆れた目で見つめた後、子供達が作ったゴミを拾っていると家の方からシホーヌとアクアの悲鳴と「ゴ――ン」というフライパンの音が聞こえてきて思う。
「ゼクスの言う通り、あのジイさんが死ぬのは老衰以外ないと勘違いするのも頷けるな」
ゴミを拾い終わると昼食作りの下ごしらえをしているティファーニア達の下へと向かった。
お昼も食べ終わり、リホウからダン達を王都へ向かわせたという報告を聞いているとスゥがアリア達を連れだって雄一のところへ駆けこんでくる。
「ユウパパ見て見て」
「ユウさん、スゥ凄い」
「なぁなぁ、これ何なんだっ?」
スゥ、アリア、レイアが詰め寄るように雄一に質問してくる。
ミュウは興奮してるようでガゥガゥと言いながら雄一の腕を甘噛みしてくる。
雄一はリホウと顔を見合わせるがお互い首を傾げる。
「まあ、落ち着け。何が凄いんだ?」
「ちぃ、使えねぇ。スゥ、見せてやれよ」
レイアは雄一の二の腕を拳で叩くが自分の拳のほうが痛くなったようでヤツ当たりで足を蹴ってくる。
スゥは胸を張って、エッヘンと言いそうな顔をして雄一の前に来ると空中に指を差す。
するとスゥの指先から光が照射されてるのを見て、雄一は驚いてリホウを見るとリホウも、ほぅ、と口を開けて見ていた。
リホウは雄一に見られているのに気付くと頷いてみせる。
「ええ、これは光文字ですね」
「確か、お前も使えたな? 危なくないのか」
リホウも光文字が使えると雄一は知っていたので聞くと、「アニキは小さい子には心配症ですよ」と笑ってくる。
「確かに、しっかり魔力が練れて、充分な魔力があれば危険ですが、だいたい10歳、早くても5,6歳まで生活魔法をやっと使える程度の魔力しかありませんから、せいぜい空中でお絵描きする程度ですよ」
どうやら、しっかりと教育していけばコントロールもできて危ない事もないようである。
来る日にスゥの魔力が目覚めた時に暴走しないように今の内に使えるようにしておいたほうが安全だと判断した雄一はリホウに仕事を追加する。
「光文字は使える奴がとことん少ないんだよな? じゃ、お前が先生としてしっかりコントロールできるように教育しておくように」
「へい、この子が光文字ができると分かった時点でこうなる気がしたので諦めが付いてましたよ」
雄一はリホウを指差し、スゥに笑いかける。
「スゥ、スゥの光文字の使い方を教えてくれるらしいから、しっかり覚えるんだぞ?」
「このオジサンが教えてくれるの? スゥはスゥって言うの。よろしくお願いします」
両手を前で合わせて、ペコリと下げるスゥにリホウは苦笑する。
「オジサンは止めてくれないかな? まだ若いんだから」
そう言いつつ、スゥに手を引かれながら歩くリホウにスゥが年を訪ねると、23歳と答えたリホウにスゥは笑いかける。
「ママより、オジサンなの」
そう言われたリホウが膝から崩れそうになってるのを後ろから見て笑いを堪えているとアリア達もスゥを追いかけていくの見た雄一は「邪魔しちゃ駄目だぞ」と言うと元気の良い「は――い」と聞こえるが正直怪しい。
そんな事を考えていると雄一をお昼寝に誘いに来た子供達にズボンを引っ張られて木陰で仲良くお昼寝を始めた。
ゼクスとスゥがやってきてから2週間が経った。
授業も個人差が出始め、初級を合格した者達が各自の希望する学問なり、技術の習得に励んでいる。
先程も冒険者、武芸者になりたいという希望の子達を引き連れたテツが外に走りに出かけた。
「筋トレは今の内はいらない。今はひたすら走り、柔軟だ!」
雄一に言われた事をそのままに言うテツを見て、笑いを堪えるが子供達からすれば退屈に思うんじゃ? と見ていると気合いに満ちた目で元気良く返事をする。
大半の子達は自分の意思で鍛えようと思う子達なので凄く素直だ。
そのうえ、ティファーニアの連れてきた子達からテツがどれだけ凄く、冒険者ギルドでの大会話をティファーニアからの又聞きではあるが吹聴した事により、テツの言葉が受け入れられやすい下地ができたようである。
まあ、テツの所にきてるのは直情的な近接馬鹿になりそうな子が多いのも後押しになっているようである。
物事を冷静に客観的に見るような悪く言えば冷めた子達はホーラの下で訓練を受けていた。
魔法は勿論、ポプリが担当していた。
それ以外にも鍛冶関係は商売関係の技術、知識を学ぶ為に商人ギルドからの紹介により、学校に来て貰い教鞭を取って貰っていた。
そういった学問などを捜す為に玄関の掲示板に張り付けてあるシステムを取っている。
勿論、語学の初級はクリアしないと読めない文字もあるように少し意地悪にしてあったりする。
これが功を奏したようで語学の初級の合格者が増えているようだ。
最初は、商人ギルドからの紹介だけで賄っていたが雄一の見立て通り、日の目を見られなかった者達が噂を聞きつけて、自分の技術の披露の目的と日銭を期待して自分から張り付けに頭を下げてくる者が現れ出した。
勿論、雄一に取って良い事なので、自由に張って行けと許可を出している。
始めは商人ギルドからの紹介が10件ほどあっただけであるが2週間経った今は、その3倍の30件ほどが張り付けられている。
それで選ばれた者の授業料は雄一はケチらずに奮発して多めに支払うようにしている。
その金払いの良さも酒場や冒険、商人ギルドなどで噂になっており、リホウ調べで、これからももっと増えるという報告を受けていた。
雄一は学校を興すまでに溜めた潤沢の資金が湯水のように消えていっていると廻りには思われているが実の所、ほとんど減っていなかったりする。
そのカラクリは、北川コミュニティにあった。
雄一は勿論、テツ、ホーラ、ポプリにリホウという面子がおり、そこに募ってくる冒険者達が引っ切り無しである。
そこで雄一はリホウにコミュニティ運営費と学校の運営費の為に依頼料から1割天引きするという事を告知してから入団させるように伝えた。
勿論、意識の高い者を入れているという事もあるが冒険者達にもメリットがあった。
雄一達がいるから多少の無茶もできるし、逆に危険を避けて引き下がる事もできる。
冒険者ギルドからの信用が雄一達の後ろ盾で多少の優遇された依頼も受けれるとなれば、1割程度であれば惜しくないと判断するようである。
冒険者ギルドからしても、駄目だったら雄一達が出張ると思っているので任せやすいという実情が噛み合っていた。
コミュニティもそろそろ100名の在籍になりそうという報告を受けている。
ミラーの話だと王都一のコミュニティですらその半分程度という話を聞いて雄一は苦笑した。
そんな事を考えながら掲示板を見ていると、ど真ん中にポップな絵で子供の目に止まりそうに考えられた掲示物を発見する。
『君も明日からモテモテキング!
デートの誘い方からベットへの誘い方まで完全網羅!
ラブハンター、アレキサンダー講師
詳細は商人ギルドまで』
雄一は何事もなかったかのようにその貼り紙を毟ると丸めてゴミ箱へと放り投げる。
今週に入ってから既に3回目である。
あのオッサンは学校建設も大詰めになり、暇になってきたから、あの手この手と色々やってくると頭を抱えていると玄関にリホウが現れる。
「アニキ、エイビスからの報告です。裏が取れました。ビーンズドックの夫婦の所在も判明しております」
お父さんの目をしていた雄一の目が男の目に切り替わる。
「すぐに準備を始めろ。王都に殴り込みをかけるぞ!」
雄一に頭を下げるリホウはすぐに玄関から外へと飛び出す。
玄関を背にして歩き出した雄一は、前を見据えて獰猛な笑みを浮かべた。
「ん? ああ、ジイさんが寝てる間にアクア達に診察して貰った結果、通常使いしても問題ないと太鼓判貰ってるからか弱い老人を演じても無駄だぞ」
ステテコは、驚愕の表情を見せてくるのを見て、サボろうとしてもサボらせないと雄一が心で笑みを浮かべた。
しかし、ステテコは涙目で自分の手の甲を叩き始め、「近くに女子が来て、寝てて反応しないワシの駄目な手!」と涙ながらに悔しがるのを見て、上には上……ではなく、下には下がいるものだと見つめ、ああはなるまいと心に誓う。
今、ステテコが何をやっているかというと子供達の相手である。
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自由に遊ばせるつもりは勿論あるが、やはり、大人が見てるほうが良いという事で誰かしらを置くようするつもりで、現在一番、暇を持て余しているステテコに任せた流れである。
一応、敷地から出るのは禁止しているが、どこにでもヤンチャなガキというものはいる。
軽い抑止力の目的であったが、可能性としては考えていた別の目的が主になりつつあった。
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「はいよー、シルバー!」
「顔がシワシワ、引っ張ったら綺麗になるかな?」
「小僧っ! ワシを助けろっ!」
子供達に揉みくちゃにされて、マジ泣きまで5秒前といったステテコが雄一を睨んでくるがシレッとした顔で返事をする。
「ジイさんが喜ぶように女の子を沢山配置したのに……本当は嬉しいんだろ?」
雄一は小さな男の子をジャイアントスイングをしながら、楽しそうな子供の歓声と「次、僕っ!」と廻りで騒ぐのを聞きながら答える。
ジャイアントスイングしてた子を上空に放り投げて、落ちてくるのをキャッチすると驚いた顔をした子が弾けるような笑みを見せて雄一の腕から飛び降りて近くに居る子達に「すげぇーすげぇー」と説明になってない言葉を吐いている。
「違うんじゃ、この子らは孫みたいにしか見えんのじゃあ」
「いや、アンタの年から考えれば若い女は大抵、孫と変わらんぞ?」
トトランタの結婚事情から考えれば、20前後であれば充分、孫である。
雄一の言葉を受け取ったはずのステテコだが、老人特有の必殺技を使ってくる。
「はぁ、なんと言った? 最近、とんと耳が遠くなって聞こえが……」
白々しくやってくるのを半眼で見つめる雄一はジイさんの後ろのほうへと目をやる。
「ジイさん、シホーヌが呼んでるぞ?」
「うほぉい、オジイちゃんに何か用かの?」
背中に乗ってる子供達を転がすようにどかすと勢い良く立ち上がり振り返るが誰もいない。
罠にかかった事を知ったステテコが固まってるところに雄一が廻りの子供達をけしかける。
「おい、おまえら、あのスケベなジイさんを退治するぞ!」
「「「「おおっ!!!」」」」
そして、ステテコは子供の波に飲み込まれた。
しばらく時間が経ったのを見計らった雄一がハンドベルを鳴らす。
騒いでた子達がピタッと静かになり、雄一を見つめてくる。
「さあ、運動はこれで終わりだ、お昼まで勉強の時間だぞぉ」
雄一の言葉を聞いた子供達は満足するまで遊んだようで、楽しそうに笑いながら授業を受ける為にそれぞれの場所へと散っていった。
子供達が去った後に残されたのは、土埃で汚れて力なく涙を流すステテコ1人。
「ワシ……穢されたのじゃ……」
「大丈夫だ、充分、穢れてたから」
雄一の言葉にキッと睨むと溢れだす涙を腕で覆いながら家の方に走っていく。
雄一は、それを呆れた目で見つめた後、子供達が作ったゴミを拾っていると家の方からシホーヌとアクアの悲鳴と「ゴ――ン」というフライパンの音が聞こえてきて思う。
「ゼクスの言う通り、あのジイさんが死ぬのは老衰以外ないと勘違いするのも頷けるな」
ゴミを拾い終わると昼食作りの下ごしらえをしているティファーニア達の下へと向かった。
お昼も食べ終わり、リホウからダン達を王都へ向かわせたという報告を聞いているとスゥがアリア達を連れだって雄一のところへ駆けこんでくる。
「ユウパパ見て見て」
「ユウさん、スゥ凄い」
「なぁなぁ、これ何なんだっ?」
スゥ、アリア、レイアが詰め寄るように雄一に質問してくる。
ミュウは興奮してるようでガゥガゥと言いながら雄一の腕を甘噛みしてくる。
雄一はリホウと顔を見合わせるがお互い首を傾げる。
「まあ、落ち着け。何が凄いんだ?」
「ちぃ、使えねぇ。スゥ、見せてやれよ」
レイアは雄一の二の腕を拳で叩くが自分の拳のほうが痛くなったようでヤツ当たりで足を蹴ってくる。
スゥは胸を張って、エッヘンと言いそうな顔をして雄一の前に来ると空中に指を差す。
するとスゥの指先から光が照射されてるのを見て、雄一は驚いてリホウを見るとリホウも、ほぅ、と口を開けて見ていた。
リホウは雄一に見られているのに気付くと頷いてみせる。
「ええ、これは光文字ですね」
「確か、お前も使えたな? 危なくないのか」
リホウも光文字が使えると雄一は知っていたので聞くと、「アニキは小さい子には心配症ですよ」と笑ってくる。
「確かに、しっかり魔力が練れて、充分な魔力があれば危険ですが、だいたい10歳、早くても5,6歳まで生活魔法をやっと使える程度の魔力しかありませんから、せいぜい空中でお絵描きする程度ですよ」
どうやら、しっかりと教育していけばコントロールもできて危ない事もないようである。
来る日にスゥの魔力が目覚めた時に暴走しないように今の内に使えるようにしておいたほうが安全だと判断した雄一はリホウに仕事を追加する。
「光文字は使える奴がとことん少ないんだよな? じゃ、お前が先生としてしっかりコントロールできるように教育しておくように」
「へい、この子が光文字ができると分かった時点でこうなる気がしたので諦めが付いてましたよ」
雄一はリホウを指差し、スゥに笑いかける。
「スゥ、スゥの光文字の使い方を教えてくれるらしいから、しっかり覚えるんだぞ?」
「このオジサンが教えてくれるの? スゥはスゥって言うの。よろしくお願いします」
両手を前で合わせて、ペコリと下げるスゥにリホウは苦笑する。
「オジサンは止めてくれないかな? まだ若いんだから」
そう言いつつ、スゥに手を引かれながら歩くリホウにスゥが年を訪ねると、23歳と答えたリホウにスゥは笑いかける。
「ママより、オジサンなの」
そう言われたリホウが膝から崩れそうになってるのを後ろから見て笑いを堪えているとアリア達もスゥを追いかけていくの見た雄一は「邪魔しちゃ駄目だぞ」と言うと元気の良い「は――い」と聞こえるが正直怪しい。
そんな事を考えていると雄一をお昼寝に誘いに来た子供達にズボンを引っ張られて木陰で仲良くお昼寝を始めた。
ゼクスとスゥがやってきてから2週間が経った。
授業も個人差が出始め、初級を合格した者達が各自の希望する学問なり、技術の習得に励んでいる。
先程も冒険者、武芸者になりたいという希望の子達を引き連れたテツが外に走りに出かけた。
「筋トレは今の内はいらない。今はひたすら走り、柔軟だ!」
雄一に言われた事をそのままに言うテツを見て、笑いを堪えるが子供達からすれば退屈に思うんじゃ? と見ていると気合いに満ちた目で元気良く返事をする。
大半の子達は自分の意思で鍛えようと思う子達なので凄く素直だ。
そのうえ、ティファーニアの連れてきた子達からテツがどれだけ凄く、冒険者ギルドでの大会話をティファーニアからの又聞きではあるが吹聴した事により、テツの言葉が受け入れられやすい下地ができたようである。
まあ、テツの所にきてるのは直情的な近接馬鹿になりそうな子が多いのも後押しになっているようである。
物事を冷静に客観的に見るような悪く言えば冷めた子達はホーラの下で訓練を受けていた。
魔法は勿論、ポプリが担当していた。
それ以外にも鍛冶関係は商売関係の技術、知識を学ぶ為に商人ギルドからの紹介により、学校に来て貰い教鞭を取って貰っていた。
そういった学問などを捜す為に玄関の掲示板に張り付けてあるシステムを取っている。
勿論、語学の初級はクリアしないと読めない文字もあるように少し意地悪にしてあったりする。
これが功を奏したようで語学の初級の合格者が増えているようだ。
最初は、商人ギルドからの紹介だけで賄っていたが雄一の見立て通り、日の目を見られなかった者達が噂を聞きつけて、自分の技術の披露の目的と日銭を期待して自分から張り付けに頭を下げてくる者が現れ出した。
勿論、雄一に取って良い事なので、自由に張って行けと許可を出している。
始めは商人ギルドからの紹介が10件ほどあっただけであるが2週間経った今は、その3倍の30件ほどが張り付けられている。
それで選ばれた者の授業料は雄一はケチらずに奮発して多めに支払うようにしている。
その金払いの良さも酒場や冒険、商人ギルドなどで噂になっており、リホウ調べで、これからももっと増えるという報告を受けていた。
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そのカラクリは、北川コミュニティにあった。
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そこで雄一はリホウにコミュニティ運営費と学校の運営費の為に依頼料から1割天引きするという事を告知してから入団させるように伝えた。
勿論、意識の高い者を入れているという事もあるが冒険者達にもメリットがあった。
雄一達がいるから多少の無茶もできるし、逆に危険を避けて引き下がる事もできる。
冒険者ギルドからの信用が雄一達の後ろ盾で多少の優遇された依頼も受けれるとなれば、1割程度であれば惜しくないと判断するようである。
冒険者ギルドからしても、駄目だったら雄一達が出張ると思っているので任せやすいという実情が噛み合っていた。
コミュニティもそろそろ100名の在籍になりそうという報告を受けている。
ミラーの話だと王都一のコミュニティですらその半分程度という話を聞いて雄一は苦笑した。
そんな事を考えながら掲示板を見ていると、ど真ん中にポップな絵で子供の目に止まりそうに考えられた掲示物を発見する。
『君も明日からモテモテキング!
デートの誘い方からベットへの誘い方まで完全網羅!
ラブハンター、アレキサンダー講師
詳細は商人ギルドまで』
雄一は何事もなかったかのようにその貼り紙を毟ると丸めてゴミ箱へと放り投げる。
今週に入ってから既に3回目である。
あのオッサンは学校建設も大詰めになり、暇になってきたから、あの手この手と色々やってくると頭を抱えていると玄関にリホウが現れる。
「アニキ、エイビスからの報告です。裏が取れました。ビーンズドックの夫婦の所在も判明しております」
お父さんの目をしていた雄一の目が男の目に切り替わる。
「すぐに準備を始めろ。王都に殴り込みをかけるぞ!」
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