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1章 DT、父親になる
29話 世界二位でいいらしいです
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ソラ村から、とんぼ返りした雄一達は、夕方には帰宅する事ができた。
早い帰りにびっくりした様子のシホーヌとアクアだったが、雄一が背負うエルフの少年を見て、何やら納得したようで2人は顔を見合わせる。
シホーヌが空き部屋に走り、エルフの少年を寝かせる準備をする為に向かい、アクアは井戸に向かい、そこに置かれている桶と手拭を取りに走った。
ホーラは雄一に近づいて、
「じゃ、アタイは冒険者ギルドに事情説明してくるさ」
「頼む、俺も必要と言われたら、明日にでも出向くと伝えてくれ」
頷いたホーラは、玄関に向かって歩いていった。
雄一は、背中にいるエルフの少年を抱え直すとシホーヌが呼ぶ部屋へと向かって行った。
桶を持ったアクアも雄一に続くように入ってくる。
「ユウイチ、他に必要なモノはないのですぅ?」
「そうだな、この子が目を覚ました時に、水を飲ませたいからコップと水差しを持って来てくれるか?」
シホーヌは、「分かったのですぅ」と雄一に答えると部屋から出ていく。
「では、後で、主様の夕食をこちらに運んできますね」
「ありがとう、でも、子供達が食べてからでいいからな?」
はい、と笑顔を浮かべたアクアが部屋のドアを閉じて出ていくと廊下で、
「アリア、ミュウ。今日は、主様のところに行ってはいけませんよ? 寝てる子もいますから、この部屋に近づかないようにね?」
アクアが、2人の手を取って連れていく姿が壁越しでも見えそうで笑みを浮かべ、アクアに感謝する。
桶に引っかけられている手拭を水に浸し、しっかり水気を切り、エルフの少年の顔や手の汚れを拭いていってやる。
時折、「お父さん、お母さん、ごめんなさい」などの言葉を呟きながら涙を流す少年の涙を手拭で拭ってやる。
彷徨わせるように右手を上げる少年の手を雄一は掴んで、しっかりと握ってやる。
そうすると、ホッとしたような表情をして、若干表情を穏やかして寝息が落ち着きだすのを見て雄一も安堵の溜息を吐き、見守り続けた。
それから、しばらくの時が流れ、月の傾きから日付は変わっただろうという時間になると、エルフの少年の瞼が痙攣するのに気付いた雄一は見つめる。
目を開いたかと思えば、弾けるように起き上がろうとするのに気付き、雄一は肩を押さえる。
あああっ!!! と叫んで、暴れるエルフの少年の耳元で大きめの声で伝える。
「もう、終わったんだ! モンスターもいない。自分をしっかり持て!!」
雄一の声にびっくりしたように、ビクッと体を震わせてキョロキョロと目で辺りを見渡す。
正面にいる雄一を見て、あっ、と小さい声を出して、自分の置かれている状況を少し理解したようで唇を噛み締める。
落ち着いたようだと思った雄一は、コップに水を汲み、少年に差し出す。
「ガブ飲みはするな、胃がビックリするからな?」
雄一は、少年にコップを握らせる。
コップに視線をやりながら、雄一に話しかけてくる。
「貴方が、村で僕を助けてくれた人ですよね?」
雄一は、ああ、と答えると、聞き辛そうにしたエルフの少年は、踏ん切りをつけるようにして聞いてくる。
「お母さんは……?」
「勝手して悪いとは思ったが、あの場で埋葬させて貰った。村の人達は、申し訳ないが、できるだけ集めて、火葬しかしてやれてない」
雄一の言葉を聞いて、顔を顰める。
「村で生き残ったのは、僕だけですか?」
「おそらくは……勿論、村の外に脱出して逃げ伸びた者がいるかもしれないがな」
エルフの少年は、首を横に振り、言ってくる。
「あの襲われ方で、村から脱出できた者がいたとは思えません。村のどこかで隠れてやり過ごした僕達のようしてなければ……」
そこから、エルフの少年は、自分の気持ちを整理するように、モンスターに襲われた時の事を語り始めた。
▼
村長の最終判断で、冒険者ギルドに依頼を出す事を決まった時、村長の息子がダンガまで走った。
依頼が張り出される前の日のお昼過ぎに、申請を済まし、陽が落ちた頃に村長の息子が依頼を出して帰ってきた。
その夜の事である。ソラ村に悲劇が訪れたのは……
最初に襲われたのは、少年の隣の家だったらしい。
モンスターの怒号と、隣から聞こえる悲鳴に寝ていた少年の家族全員が起きて、家を飛び出すと、隣の家の者達が、オークに吊るし上げられ息絶えている姿を見せつけられた。
それがキッカケのように至る場所から、悲鳴と怒号が聞こえてきたそうである。
固まる少年の手を両親が掴むと森へと駆け出した。
そのまま逃げても掴まると思った親達は、森の奥にある備蓄庫に逃げ込む事にしたらしい。
備蓄庫の扉は石でできていて丈夫なうえ、取っ手がオークの蹄のようなでっかい指では掴めないタイプだったので、やり過ごそうという考えだったようである。
当初は上手くいっていたようで、時折、叩く音はするが、安全なうえ、備蓄庫だったので食べ物にも困らなかった。
そして、時間の経過が分かりにくいので、どれくらい経ったか分からなかったそうだが、人間、自分の安全が確保されると他人の心配をし出すもので、少年も例に漏れず、自分の友達の事が心配になったそうだ。
両親が寝ている隙に、扉をそっと開けて覗くと、オークと目がバッチリ合い、開いた隙間に指を挟まれて、こじ開けられ、跳び起きた両親が少年を守るように抱き締める。
オークはその時点では1匹だったので、父親が時間稼ぎをするから、母親に少年を連れて逃げるように言う。
少年がダダをこねて、みんな一緒がいいと泣くが父親は、微笑むと母親と少年を突き飛ばすように外に向かわせるとオークに特攻したらしい。
母親に連れられて、森を走り、オークに囲まれて母親に抱き締められるようにして、下敷きにされているところに雄一が来たようである。
「すまん、俺がもう少し、早くきていれば、お前の両親を助ける事ができたかもしれないのに……」
「いえ、時間感覚がおかしくなっていましたが、多分、依頼が張り出された次の日に村に来て頂けたと思います。村長は、冒険者が来るのは、張り出されて4日はかかるだろうと言っていましたから」
辛そうにはしているが、だいぶ落ち着いたようで理性の光が灯ったようである。
エルフの少年は、ベットの上で正座をすると、ゆっくりと頭を下げてくる。
「助けて頂いたのに、お礼もまだでした。有難うございました。失礼ながら、お名前を聞かせて貰って良いでしょうか?」
「雄一だ。無理に大人の対応せずに、やつあたりをしてくれて良かったんだぞ?」
エルフの少年が首を横に振って言ってくる。
「僕は、ユウイチさんが話してくれた、クソガキさんがお母さんに言われたように、引き継げるような男になりたいのです。それに……もう充分、泣かせて頂きました」
恥ずかしそうに頬を染める少年を見つめ、そうか、と雄一は呟く。
「さっきの話の続きですが、クソガキさんは、あの後、どうされているのですか?」
エルフの少年は、雄一の目の動きを見逃さないとばかりに、見つめてくるので苦笑しながら悪足掻きとばかりに目を瞑る。
「きっと、四苦八苦しながら、可愛い娘達の面倒を見てるんじゃねぇーか?」
雄一の言葉に、「そうですか」と嬉しげに笑みを初めて浮かべたエルフの少年は、再び、頭を下げて今度は頼み事をしてくる。
「助けて貰えただけで、満足するところではあるのですが、我儘ついでに、もう一つ聞いて頂けないでしょうか?」
「いってみな」
雄一は、笑みを浮かべながら、そう言うとエルフの少年は、一呼吸吐くと気合いを入れて言ってくる。
「僕をここに置いてくれませんか? 僕は、生きる目標ができたのです。少しでも近くで見ていたいのです」
お願いします、何でもしますからと、三度、頭を下げてくる。
雄一は、嘆息する。
「男が無闇に頭を下げるな。男の価値が下がる」
「僕にとって、ここは下げるに値する時です」
引かないという意思を込めた強い視線を受けて、雄一は内心、喜ぶ。
出会った時、起きた時の死んだような目が、生きた目に成っている事に。ただ、そうなった理由を思うと背中が痒くなってしまうと苦笑する。
「俺は、男には厳しいぜ?」
「耐えてみせます、そして、乗り越えてみせます!」
雄一は、へっ、と笑うとエルフの少年に問いかける。
「坊主、名は?」
「失礼しました。僕の名前は、テツです」
雄一は、うんうん、と頷き、エルフの少年、テツを見つめる。
「テツ、お前の生きる目標はなんだ?」
「ユウイチさんと肩を並べる男になる事です」
それを聞いた、馬鹿にしたような顔をして喝を入れるようにテツに言う。
「馬鹿野郎! そんな小さい事言ってどうする! 言うなら、世界一のお父さんと言われる男になります! ぐらい言えねぇーのか!!」
目指すなら、世界一だろ! とテツに叩きつけるように言うと、テツは顔を紅潮させ、震えながら言ってくる。
「はい! 僕は世界二位のお父さんになってみせます!!」
「なんで、世界二位なんだよ?」
苦笑する雄一に、テツは笑みを浮かべて言ってくる。
「世界一は目の前にいます。だから、僕はその次席を誰にも譲る気はありません!」
雄一は、馬鹿野郎がっ! とテツの頭に軽く拳骨を落とすがテツは嬉しそうに痛がる。
2人はお互いの顔を見合わせると、テンションが上がってしまい、笑いだしてしまい、しばらく笑い続けた。
そして、30分後。
雄一とテツは、廊下の板張りのうえに正座をして、眠そうにするシホーヌ達に睨まれていた。
テンションが上がり過ぎて、夜中であるというのを忘れて騒いで、寝ていた皆を起こしてしまい、お説教タイムである。
潔い土下座をする雄一に倣って、テツも一緒に頭を下げる事で許しを得た2人は、朝まで、『男の価値とは?』という議題で、熱く語り合ったそうである。
早い帰りにびっくりした様子のシホーヌとアクアだったが、雄一が背負うエルフの少年を見て、何やら納得したようで2人は顔を見合わせる。
シホーヌが空き部屋に走り、エルフの少年を寝かせる準備をする為に向かい、アクアは井戸に向かい、そこに置かれている桶と手拭を取りに走った。
ホーラは雄一に近づいて、
「じゃ、アタイは冒険者ギルドに事情説明してくるさ」
「頼む、俺も必要と言われたら、明日にでも出向くと伝えてくれ」
頷いたホーラは、玄関に向かって歩いていった。
雄一は、背中にいるエルフの少年を抱え直すとシホーヌが呼ぶ部屋へと向かって行った。
桶を持ったアクアも雄一に続くように入ってくる。
「ユウイチ、他に必要なモノはないのですぅ?」
「そうだな、この子が目を覚ました時に、水を飲ませたいからコップと水差しを持って来てくれるか?」
シホーヌは、「分かったのですぅ」と雄一に答えると部屋から出ていく。
「では、後で、主様の夕食をこちらに運んできますね」
「ありがとう、でも、子供達が食べてからでいいからな?」
はい、と笑顔を浮かべたアクアが部屋のドアを閉じて出ていくと廊下で、
「アリア、ミュウ。今日は、主様のところに行ってはいけませんよ? 寝てる子もいますから、この部屋に近づかないようにね?」
アクアが、2人の手を取って連れていく姿が壁越しでも見えそうで笑みを浮かべ、アクアに感謝する。
桶に引っかけられている手拭を水に浸し、しっかり水気を切り、エルフの少年の顔や手の汚れを拭いていってやる。
時折、「お父さん、お母さん、ごめんなさい」などの言葉を呟きながら涙を流す少年の涙を手拭で拭ってやる。
彷徨わせるように右手を上げる少年の手を雄一は掴んで、しっかりと握ってやる。
そうすると、ホッとしたような表情をして、若干表情を穏やかして寝息が落ち着きだすのを見て雄一も安堵の溜息を吐き、見守り続けた。
それから、しばらくの時が流れ、月の傾きから日付は変わっただろうという時間になると、エルフの少年の瞼が痙攣するのに気付いた雄一は見つめる。
目を開いたかと思えば、弾けるように起き上がろうとするのに気付き、雄一は肩を押さえる。
あああっ!!! と叫んで、暴れるエルフの少年の耳元で大きめの声で伝える。
「もう、終わったんだ! モンスターもいない。自分をしっかり持て!!」
雄一の声にびっくりしたように、ビクッと体を震わせてキョロキョロと目で辺りを見渡す。
正面にいる雄一を見て、あっ、と小さい声を出して、自分の置かれている状況を少し理解したようで唇を噛み締める。
落ち着いたようだと思った雄一は、コップに水を汲み、少年に差し出す。
「ガブ飲みはするな、胃がビックリするからな?」
雄一は、少年にコップを握らせる。
コップに視線をやりながら、雄一に話しかけてくる。
「貴方が、村で僕を助けてくれた人ですよね?」
雄一は、ああ、と答えると、聞き辛そうにしたエルフの少年は、踏ん切りをつけるようにして聞いてくる。
「お母さんは……?」
「勝手して悪いとは思ったが、あの場で埋葬させて貰った。村の人達は、申し訳ないが、できるだけ集めて、火葬しかしてやれてない」
雄一の言葉を聞いて、顔を顰める。
「村で生き残ったのは、僕だけですか?」
「おそらくは……勿論、村の外に脱出して逃げ伸びた者がいるかもしれないがな」
エルフの少年は、首を横に振り、言ってくる。
「あの襲われ方で、村から脱出できた者がいたとは思えません。村のどこかで隠れてやり過ごした僕達のようしてなければ……」
そこから、エルフの少年は、自分の気持ちを整理するように、モンスターに襲われた時の事を語り始めた。
▼
村長の最終判断で、冒険者ギルドに依頼を出す事を決まった時、村長の息子がダンガまで走った。
依頼が張り出される前の日のお昼過ぎに、申請を済まし、陽が落ちた頃に村長の息子が依頼を出して帰ってきた。
その夜の事である。ソラ村に悲劇が訪れたのは……
最初に襲われたのは、少年の隣の家だったらしい。
モンスターの怒号と、隣から聞こえる悲鳴に寝ていた少年の家族全員が起きて、家を飛び出すと、隣の家の者達が、オークに吊るし上げられ息絶えている姿を見せつけられた。
それがキッカケのように至る場所から、悲鳴と怒号が聞こえてきたそうである。
固まる少年の手を両親が掴むと森へと駆け出した。
そのまま逃げても掴まると思った親達は、森の奥にある備蓄庫に逃げ込む事にしたらしい。
備蓄庫の扉は石でできていて丈夫なうえ、取っ手がオークの蹄のようなでっかい指では掴めないタイプだったので、やり過ごそうという考えだったようである。
当初は上手くいっていたようで、時折、叩く音はするが、安全なうえ、備蓄庫だったので食べ物にも困らなかった。
そして、時間の経過が分かりにくいので、どれくらい経ったか分からなかったそうだが、人間、自分の安全が確保されると他人の心配をし出すもので、少年も例に漏れず、自分の友達の事が心配になったそうだ。
両親が寝ている隙に、扉をそっと開けて覗くと、オークと目がバッチリ合い、開いた隙間に指を挟まれて、こじ開けられ、跳び起きた両親が少年を守るように抱き締める。
オークはその時点では1匹だったので、父親が時間稼ぎをするから、母親に少年を連れて逃げるように言う。
少年がダダをこねて、みんな一緒がいいと泣くが父親は、微笑むと母親と少年を突き飛ばすように外に向かわせるとオークに特攻したらしい。
母親に連れられて、森を走り、オークに囲まれて母親に抱き締められるようにして、下敷きにされているところに雄一が来たようである。
「すまん、俺がもう少し、早くきていれば、お前の両親を助ける事ができたかもしれないのに……」
「いえ、時間感覚がおかしくなっていましたが、多分、依頼が張り出された次の日に村に来て頂けたと思います。村長は、冒険者が来るのは、張り出されて4日はかかるだろうと言っていましたから」
辛そうにはしているが、だいぶ落ち着いたようで理性の光が灯ったようである。
エルフの少年は、ベットの上で正座をすると、ゆっくりと頭を下げてくる。
「助けて頂いたのに、お礼もまだでした。有難うございました。失礼ながら、お名前を聞かせて貰って良いでしょうか?」
「雄一だ。無理に大人の対応せずに、やつあたりをしてくれて良かったんだぞ?」
エルフの少年が首を横に振って言ってくる。
「僕は、ユウイチさんが話してくれた、クソガキさんがお母さんに言われたように、引き継げるような男になりたいのです。それに……もう充分、泣かせて頂きました」
恥ずかしそうに頬を染める少年を見つめ、そうか、と雄一は呟く。
「さっきの話の続きですが、クソガキさんは、あの後、どうされているのですか?」
エルフの少年は、雄一の目の動きを見逃さないとばかりに、見つめてくるので苦笑しながら悪足掻きとばかりに目を瞑る。
「きっと、四苦八苦しながら、可愛い娘達の面倒を見てるんじゃねぇーか?」
雄一の言葉に、「そうですか」と嬉しげに笑みを初めて浮かべたエルフの少年は、再び、頭を下げて今度は頼み事をしてくる。
「助けて貰えただけで、満足するところではあるのですが、我儘ついでに、もう一つ聞いて頂けないでしょうか?」
「いってみな」
雄一は、笑みを浮かべながら、そう言うとエルフの少年は、一呼吸吐くと気合いを入れて言ってくる。
「僕をここに置いてくれませんか? 僕は、生きる目標ができたのです。少しでも近くで見ていたいのです」
お願いします、何でもしますからと、三度、頭を下げてくる。
雄一は、嘆息する。
「男が無闇に頭を下げるな。男の価値が下がる」
「僕にとって、ここは下げるに値する時です」
引かないという意思を込めた強い視線を受けて、雄一は内心、喜ぶ。
出会った時、起きた時の死んだような目が、生きた目に成っている事に。ただ、そうなった理由を思うと背中が痒くなってしまうと苦笑する。
「俺は、男には厳しいぜ?」
「耐えてみせます、そして、乗り越えてみせます!」
雄一は、へっ、と笑うとエルフの少年に問いかける。
「坊主、名は?」
「失礼しました。僕の名前は、テツです」
雄一は、うんうん、と頷き、エルフの少年、テツを見つめる。
「テツ、お前の生きる目標はなんだ?」
「ユウイチさんと肩を並べる男になる事です」
それを聞いた、馬鹿にしたような顔をして喝を入れるようにテツに言う。
「馬鹿野郎! そんな小さい事言ってどうする! 言うなら、世界一のお父さんと言われる男になります! ぐらい言えねぇーのか!!」
目指すなら、世界一だろ! とテツに叩きつけるように言うと、テツは顔を紅潮させ、震えながら言ってくる。
「はい! 僕は世界二位のお父さんになってみせます!!」
「なんで、世界二位なんだよ?」
苦笑する雄一に、テツは笑みを浮かべて言ってくる。
「世界一は目の前にいます。だから、僕はその次席を誰にも譲る気はありません!」
雄一は、馬鹿野郎がっ! とテツの頭に軽く拳骨を落とすがテツは嬉しそうに痛がる。
2人はお互いの顔を見合わせると、テンションが上がってしまい、笑いだしてしまい、しばらく笑い続けた。
そして、30分後。
雄一とテツは、廊下の板張りのうえに正座をして、眠そうにするシホーヌ達に睨まれていた。
テンションが上がり過ぎて、夜中であるというのを忘れて騒いで、寝ていた皆を起こしてしまい、お説教タイムである。
潔い土下座をする雄一に倣って、テツも一緒に頭を下げる事で許しを得た2人は、朝まで、『男の価値とは?』という議題で、熱く語り合ったそうである。
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