ウロボロスの尾を断つ神剣ー連理の枝の巫女ー

バイブルさん

文字の大きさ
55 / 103
3章 砂漠の国の救世主物語

52話 だるまさんが……転んだなのですぅ!

しおりを挟む
 通気口から出たアリア達は祭壇に向かう通路で配置に付く兵士達の背後をコッソリと通り過ぎ、姿が見えなくなる曲がり角にやってくると安堵の溜息を吐く。

「つ、疲れた……無駄に息を止めてたから窒息するかと思った」
「まったくレイアは馬鹿なの。普通の呼吸音でばれる相手なら足音を忍ばせたぐらいじゃまったく無駄なの」
「そうだね、息ぐらいで気付かれるかどうかはともかく、あれぐらい離れていたら足音を忍ばせなくてもばれなかったかもね」

 そう言うダンテが来た道の曲がり角からコッソリと覗いて、遠くに見える兵士の後ろ姿を見つめる。

 そして、不思議そうに首を傾げるダンテが呟く。

「あの兵士達は僕達を迎え討とう、もしくは、捕縛が目的だと思うんだけど……どうしてあんな前で張ってるの? もっと下がって枝別れしてた通路が集まる場所で配置すれば楽だろうに?」

 ダンテが言うように覗き込むと数ある各通路に数名の兵士が配置に付いているが、その背後には拓けた場所に繋がっている場所がある。
 そこに人を配置すれば散らばっている兵士を集結させる事が出来るのに、というのがダンテの考えである。

 そんなダンテの言葉に言い忘れてたとばかりに額を叩くデングラが言う。

「それは、あの場所のトラップでゴーレムが現れるようになってるからだ。あの場所にいるモノを無差別に襲うから配置出来ない」
「へぇ……番人か」
「いや、人相手ではなくカエルのモンスターが万が一、出ようとした時の時間稼ぎ目的だと俺様は聞いてる」

 だから、番人というより防人だと言うデングラにアリアが聞く。

「デングラ、さっき何か忘れてた、と言いたげにしてたけど、何? その後に話したゴーレムのトラップの話が出たから凄く不安」
「うむ、それがな、ここにはトラップが沢山あってな……」
「確保!!」

 ダンテがミュウを指差してアリアとレイアに指示を出す。

 2人は何故? と聞きたそうにする素振りすら見せずにミュウの腕を1つずつ抑えにかかる。

 抑えられたミュウは挙動不審にうろたえる。

「がぅ! ミュウ、悪くない、まだ何もしてない。言い訳を聞いて欲しい!」
「もう、その言動が既に不安を誘うの!」

 無実を訴えるミュウに疑わしいと視線を向けるスゥを始め、アリア達も見つめる。

 それを見たデングラが困った様子で聞いてくる。

「何故、ミュウの腕を抑えているんだ?」
「ミュウは罠を見つけると発動させちゃうから本当に危ないんだ……」
「押すな、と書かれてたら迷わずに押すのがミュウだからな」

 数々のミュウのやらかしを思い出すように溜息を吐くレイアの言葉に頷くダンテはトラウマになっている『試練の洞窟』で大量の蛇の中にダイブさせられた悲しい記憶が蘇り、身を震わせる。

 若干、涙目のダンテがデングラに確認する。

「この先にもトラップが?」
「ある。だが、俺様は、というか王族の男子はそれを覚えさせられるから知っているから大丈夫だ」

 付いてこい、と先導するように前を歩くデングラに付いて行くアリア達。

 デングラの後ろを付いて歩きながらレイアは首を傾げる。

「どうして、王族の男子だけ?」
「レイアッ!」

 なんとくといった気負いのない声音で問うレイアにスゥがキツメの声音でレイアの名を呼ぶ。

 何故、スゥに怒るように言われたのか分からないレイアに振り返ったデングラが悲しそうに口にする。

「ここにあるトラップの大半は生贄の王族の女子を外に出さない為のモノだからだ」

 漸く、スゥが黙らせようとした意味を理解したレイアはバツ悪そうに頬を掻く。

 生贄に素直に応じた娘達がどれだけいただろうか?

 当然のように逃げ出す者もいただろうが逃がす訳にはいかなかった以上、考えられる処置であった。

 そして、何より、今、デングラの妹のリアナがまさに人身御供されそうになっている状態ではデリカシーに欠ける質問であった。

 勿論、レイアに他意がなかった事に気付いていたデングラは白い歯を見せて笑みを作る。

「俺様はここのトラップは全て把握している。安心して付いてこい!」
「その……デン、ごめん」

 謝るレイアに「気にするな」と笑みを大きくするデングラは再び、アリア達を引率するように前を歩き始める。

 アリア達は前を行くデングラを追いかけるように歩き始めた。



 デングラの案内で無事に祭壇に着いたアリア達は祭壇を見つめ、唖然のしてしまっていた。

 何故なら、祭壇の階段を真っ白な芋虫が降りてきてるような姿があった為である。

 最初に立ち直ったデングラは真っ白な芋虫に叫ぶ。

「リアナ!? 助けに来たぞ!」

 真っ白な芋虫、もとい、デングラの妹のリアナらしく駆け寄るデングラの背を見つめるアリア達も落ち着いてきて、目に映る真っ白い物体が人で猿轡された女の子だと認識する。

 さすがデングラの妹でヒーローの助けをおとなしく待つ王女様ではない逞しい王女様のようであった。

 助けに来たと喜色を見せるデングラがリアナに駆け寄る姿にその場でビックンビックンと跳ね上がって見せるリアナは顔を紅潮させる。

「おお、俺様が助けに来たのがそんなに嬉しいか!」

 違う、違うとばかりに必死に被り振るリアナを抱きあげるデングラは猿轡を取ってやる。

 慌てて来た道の先の祭壇を振り返ったリアナは顔を強張らせてデングラを見つめる。

「すぐに出発しましょう。アイツと戦うハメに……」

 リアナがそう言った瞬間、地響きがしたと同時に祭壇の上に水かきが付いた大きな手が載る。

 すると、飛び上がるように祭壇の上に降り立つ巨体をアリア達は茫然と見つめる。

 見つめる先には巨大なアマガエルの姿が現れる。

「顔だけでアタシの身長ぐらいないか?」

 頬を引き攣らせるレイアに同調するアリア達であったが想像を超える姿に苦笑いしか浮かばない。

 そのテカテカの肌を見た爬虫類も両生類も苦手なダンテが身震いをする。

 あたふたするアリア達に縛られたままのリアナが声を張り上げる。

「もう、ここから逃げ切れませんよ。こうなったら戦って道を切り開くしかない!」
「う、ううぅぅ! こうなったらヤケだ!」

 その叫びがキッカケになってアリア達は戦闘体勢になり、身構えた。
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...