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夏休み
公園のカミナリ
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猫達は、今日も朝から神社の社務所で、奉納の舞の朝稽古やっていた。
「お父さん、どう? 僕うまく踊れてる?」
僕は、踊り用のジャージの袖を指先でつまみながら、目の前に座って見ていたお父さんの所まで聞きに行った。
「すごい上手になって来たよ。鏡合わせで立ってたおかげで、ふたりとも相手の踊りがよく見える様になったからかな? 舞を踊りる時の手の上げ下ろしスピードもあってきたし……。そうだ! 明日は、最後に一度、薄い白い布を付けてた踊ってみようか?」
「毎年、思うけど、あれは結構気になるんだよな……」
あずき先輩は、踊りが、終わったらさっさとあぐらをかいて座っている。
「あずきは子どもの頃は、こうすると顔に付けている布を追い回すところがあったからね。しっぽの動きも凄くて本番どんな感じになるんだろうと心配したな……。まぁ、私としては、猫の姿の君達の奉納の舞も見てみたいけどね」
「じゃ――僕が、見せてあげるね」
僕は、猫の姿に戻ったけれど……なかなか人間の時の様に上手くいかなった。そう言えば猫は、2本の足で立てなかったんだった。
でも、お父さんは、「上手だねぇ……カメラで撮っていいかな?」
と言って写真を取り出した。
「稲穂が、人間になったから、今日の練習は終わりだな……」
あずき先輩は、僕の横を通ってる途中に、猫の姿になると写真を撮っているお父さんの座らせて、膝の上に寝てしまった。その後はよくわからない。いつもの突然現れる、僕のしっぽに釣られてしまい僕はそいつを捕まえるためにぐるぐると大忙しだったから。
☆★☆★☆
忙しいさなか、みずほちゃんが社務所に、瑞穂ちゃんが入って来て僕達を見て驚いて止まった後、忙しい僕の横に座って背中を撫でる。新しい相手の出現に興奮した僕は、みずほちゃんの肩へ駆け上がる。
「なんか痛いよ、稲穂。もう詰め伸びてない?」そう言って、みずほちゃんが僕を捕まえようとした時……。
「待って! 動かないで」と、言ってお父さんが携帯を向ける。バシャ、パシャ、パシャ
あずき先輩が寝てて動けないのに、3枚も写真を撮るお父さん。そして写真を確認する。
「見たい!」
お父さんはみずほちゃんに見せる為、一度携帯をポケットにしまって、あずき先輩を抱っこして連れて来る。僕達を見つめたお父さんは、あずき先輩をみずほちゃんのひざの上に寝かせてそのまま写真を取り出した。
パシャ、パシャ、パシャ、僕達の周りをまわるお父さん。そんなお父さんに飛び掛かる僕。
失敗!?
「もうーー!跳んだら痛いよ。稲穂。そしてお父さんはいい加減写真見せて!」
「ごめん、ごめん。ところで……瑞穂は、朝ごはんの事を、いいに来たんじゃないのかい?」
朝ごはん!そう聞いてお父さんの事を見ると、あずき先輩を抱いたみずほちゃんが、お父さんのおひざの上に座って居た。みずほちゃんが今度は、それを携帯でパシャパシャ写真を撮ってた。
「あっ! そうだった」
みずほちゃんは携帯をポケットに入れ、一度あずき先輩をおろし立ち上がりと、寝ぼけまなこのあずき先輩をまた抱っこし歩き出す、同じく立ち上がったおとうさん、僕を抱っこしておうちへと連れて行ってくれる。
おちでは、美味しそうな魚の匂いがしている。みずほちゃんが僕を床に下ろしてくれたら、慌てて台所の僕達用の丸椅子の上の座る。
目の前に美味しそうな料理を、のせている皿がたくさん並んでいる。
にゃ~ん『美味しそう。早く食べる』と言ってたら、みずほちゃんが抱っこしてくれて……あれ? いつものご飯だった。あれ?
その後いつもの様にいっぱいあそんで、時には、あずき先輩にシャーッって怒られる。そして眠くなっ寝てたら、みずほちゃんがに起こされた。
外は、雨が降り出したようだ。
「ご神託がくだりました。」
みずほちゃんはいつもの様にそう言うのだった。
本殿での儀式も済まさせると、雨がガラスあたり音が聞こえている、雨はちょっと強くなって来た様だ。本殿を出ると屋根の下に居るのに雨が当たっている。
「稲穂どうしょう? 最近すぐ雷になるから心配……」
僕を心配するみずほちゃんはかがんで、僕に目線を合わせながらそう言った。
「うん……困ったね……でも、行かないとね~誰かが困るし」
巫女姿のみずほちゃんは、人間になった僕の手を、少し痛いほど握ってる。
「瑞穂、猫達にはうちの神代神社の神様からの加護があるから大丈夫だよ。あずきも長い間、『虫のお知らせ屋』やっているけど、そんなに危ないお仕事はそうない様だしね」
でも、凄く心配ってみずほちゃんの顔に書いてある。
「じゃ……俺がついて行く」
僕達を心配だったのか、あずき先輩が本殿の階段横の見えない場所に立っていた。
「あずき先輩……好き!」「あずき!」
僕とみずほちゃんは、あずき先輩の所まで行くと、ふたりで手をつないで、くるくるあずき先輩の周りをまわった。
「まわるな、まわるな、なんか少し酔った感じになるから、後、濡れるからちゃんと傘を使え」
あずき先輩は、2本の傘を差し出した後に、目を隠して僕達を見ない様にしていた。僕も止まったらなんか少し目がくるくるしている感じがして、目の周りを隠した。瑞穂だけは、「そうなんだ」って平気そうにしてたけど……。
気付くと鞄が大きく膨らんでいる様な?
中を調べると、大きな鞄からあまがっぱと長靴が、出てきた。黄色地に、ねこ柄でかわいい。あずき先輩のかっぱは、オレンジ色だった。
「派手だな……なんで、オレンジなんだ?」
そう言ってカッパを広げると、ピラッと紙が落ちてきた。あずき先輩が、拾って読む。
「見せて!見えて!」
僕はあずき先輩の周りでぴよんぴょん跳ぶ。
「うーん、なんか雨の日に黄色が、一番見えやすくて、オレンジも見えやすい方らしい」
僕は、あずき先輩から手渡された、紙をみるがいろいろ書いてあって文字は分からなかったが、描かれている比較の絵では黄色が見やすかったので。
「だね!」っと言った。
僕達は、社務所まで行って、カッパを上に着てから街へ向かった。
道路を、くねくね曲がりながら行くと、公園があり、そこが目的地のはずが誰もいない。雨は凄く降って来て、なんだかもうかっぱは役に立っていなかった。
公園の敷地に入って探すと、滑り台の下に空間があった。秘密基地みたい。入ってみるとそこに小学生位の男の子が、おやまさん座りで座っている。とても濡れているので、どこからか帰る途中にここで雨宿りをしているのだろう。
「この子か?」
あずき先輩が僕に聞く。僕は、うなずき――。
「そうみたい」と、答えた。その頃には雷が、鳴りだして僕達みんなに危険である事を知らせている。
その子はすでに泣き出し、恐怖に震えていた。僕は、震える彼の手に自分の手を重ねる。
「君に謹んで申し上げまする。ここから出ないでお願い」
っと言ったが、ゴロローガッシャーンと言う。カミナリの音にかき消され、彼に伝わったかどうかは、わからない。
「もう、うち帰りたい……もう、やだ」
「これは、まずいな……」
あずき先輩の言葉と誰かの知らせる危険信号が、僕の体の中でうずまくと。その時男の子の後ろの壁にたてかけてあるダンボールの板に注目した。
僕はそこの後ろに素早く隠れる。その時、またカミナリの音は近くで聞こえて来ていた。
「ミャーァー」
猫の僕は、段ボールの後ろから声を出す。丁度、カミナリの鳴ってない時だったので、彼は僕に気付いた様だ。段ボールをどかし僕を抱っこする。彼の心臓の音が聞こえる。ドックン、ドックン、ドックン
彼はちょっと落ち着いてきたかもしれない。その時、ドォーンズシャ! まじかでカミナリが鳴った!
あずき先輩の「オッッ」と言う声と。
「わぁっ――!? 大丈夫だよ。猫ちゃん」彼の声は少し震えていたが、これなら大丈夫かもしれない。
そう思った時、ふたたびドッカーンと言う音、光、木の裂ける音。
「うぁぁ――こわぁ――ほんと怖いって!!」って言うあずき先輩の声が、少しの間も待たずに聞こえて来た。
「怖かったね猫ちゃん」と彼は、少し泣いていたが、これでもう大丈夫。危険はさった。
しばらくするとカミナリが止み、しばらくすると雨もやんだ。彼は、僕の頭をなで、僕はのどを鳴らす。
「猫ちゃん僕のおうちに行こうか……」、そう言って彼が立ち上がると、僕は彼の手から逃げて草むらに隠れる。しばらく彼は僕を探していたが、諦めた様で――。
「猫ちゃん、バイバイ、ありがとう……」
そう言って彼は帰って行った。僕も帰ろう……。滑り台の下の空間へ行くと、あずき先輩が今度はおやまさん座りをしていた。
「怖かった……、稲穂ちょっと抱っこしてやろう……特別だぞ?」
そう言って、僕を抱っこするが、あずき先輩の心臓の音は凄く早くて……落ち着くまでになんだか時間がかかってた。
やっと心臓の落ち着いたあずき先輩と帰る途中で、みずほちゃんと会った。
とても心配して迎えに来てくれた、みずほちゃん。とっても怖かった僕とあずき先輩。
「ふたりとも今、猫に変わっても抱っこ出来ないの。猫になって汚れちゃったら、お風呂です」
大きい猫さんのあずき先輩はしぶしぶって感じで、「わかっている」って言った。
先に猫になっていて良かった。とりあえず、みずほちゃんに手を伸ばし抱っこして貰おうとするけど、ふたりとも気にせずどんどん帰り道を歩いて行く。
あずき先輩は、まだ怖いのかな? いいよ、いいよ。抱っこさせてあげます。
そうして家まで抱っこされて歩いた。
家に着くと、傘をかたずけたみずほちゃんに渡される。玄関に上がったあずき先輩は猫の姿に変わり、まるくなってすやすや眠ってしまう。
おやすみなさい。ありがとう。
「あずき、そこで寝ると踏まれちゃうってば!」
その後、みずほちゃんが、あずき先輩を運んでくれました。
おわり
「お父さん、どう? 僕うまく踊れてる?」
僕は、踊り用のジャージの袖を指先でつまみながら、目の前に座って見ていたお父さんの所まで聞きに行った。
「すごい上手になって来たよ。鏡合わせで立ってたおかげで、ふたりとも相手の踊りがよく見える様になったからかな? 舞を踊りる時の手の上げ下ろしスピードもあってきたし……。そうだ! 明日は、最後に一度、薄い白い布を付けてた踊ってみようか?」
「毎年、思うけど、あれは結構気になるんだよな……」
あずき先輩は、踊りが、終わったらさっさとあぐらをかいて座っている。
「あずきは子どもの頃は、こうすると顔に付けている布を追い回すところがあったからね。しっぽの動きも凄くて本番どんな感じになるんだろうと心配したな……。まぁ、私としては、猫の姿の君達の奉納の舞も見てみたいけどね」
「じゃ――僕が、見せてあげるね」
僕は、猫の姿に戻ったけれど……なかなか人間の時の様に上手くいかなった。そう言えば猫は、2本の足で立てなかったんだった。
でも、お父さんは、「上手だねぇ……カメラで撮っていいかな?」
と言って写真を取り出した。
「稲穂が、人間になったから、今日の練習は終わりだな……」
あずき先輩は、僕の横を通ってる途中に、猫の姿になると写真を撮っているお父さんの座らせて、膝の上に寝てしまった。その後はよくわからない。いつもの突然現れる、僕のしっぽに釣られてしまい僕はそいつを捕まえるためにぐるぐると大忙しだったから。
☆★☆★☆
忙しいさなか、みずほちゃんが社務所に、瑞穂ちゃんが入って来て僕達を見て驚いて止まった後、忙しい僕の横に座って背中を撫でる。新しい相手の出現に興奮した僕は、みずほちゃんの肩へ駆け上がる。
「なんか痛いよ、稲穂。もう詰め伸びてない?」そう言って、みずほちゃんが僕を捕まえようとした時……。
「待って! 動かないで」と、言ってお父さんが携帯を向ける。バシャ、パシャ、パシャ
あずき先輩が寝てて動けないのに、3枚も写真を撮るお父さん。そして写真を確認する。
「見たい!」
お父さんはみずほちゃんに見せる為、一度携帯をポケットにしまって、あずき先輩を抱っこして連れて来る。僕達を見つめたお父さんは、あずき先輩をみずほちゃんのひざの上に寝かせてそのまま写真を取り出した。
パシャ、パシャ、パシャ、僕達の周りをまわるお父さん。そんなお父さんに飛び掛かる僕。
失敗!?
「もうーー!跳んだら痛いよ。稲穂。そしてお父さんはいい加減写真見せて!」
「ごめん、ごめん。ところで……瑞穂は、朝ごはんの事を、いいに来たんじゃないのかい?」
朝ごはん!そう聞いてお父さんの事を見ると、あずき先輩を抱いたみずほちゃんが、お父さんのおひざの上に座って居た。みずほちゃんが今度は、それを携帯でパシャパシャ写真を撮ってた。
「あっ! そうだった」
みずほちゃんは携帯をポケットに入れ、一度あずき先輩をおろし立ち上がりと、寝ぼけまなこのあずき先輩をまた抱っこし歩き出す、同じく立ち上がったおとうさん、僕を抱っこしておうちへと連れて行ってくれる。
おちでは、美味しそうな魚の匂いがしている。みずほちゃんが僕を床に下ろしてくれたら、慌てて台所の僕達用の丸椅子の上の座る。
目の前に美味しそうな料理を、のせている皿がたくさん並んでいる。
にゃ~ん『美味しそう。早く食べる』と言ってたら、みずほちゃんが抱っこしてくれて……あれ? いつものご飯だった。あれ?
その後いつもの様にいっぱいあそんで、時には、あずき先輩にシャーッって怒られる。そして眠くなっ寝てたら、みずほちゃんがに起こされた。
外は、雨が降り出したようだ。
「ご神託がくだりました。」
みずほちゃんはいつもの様にそう言うのだった。
本殿での儀式も済まさせると、雨がガラスあたり音が聞こえている、雨はちょっと強くなって来た様だ。本殿を出ると屋根の下に居るのに雨が当たっている。
「稲穂どうしょう? 最近すぐ雷になるから心配……」
僕を心配するみずほちゃんはかがんで、僕に目線を合わせながらそう言った。
「うん……困ったね……でも、行かないとね~誰かが困るし」
巫女姿のみずほちゃんは、人間になった僕の手を、少し痛いほど握ってる。
「瑞穂、猫達にはうちの神代神社の神様からの加護があるから大丈夫だよ。あずきも長い間、『虫のお知らせ屋』やっているけど、そんなに危ないお仕事はそうない様だしね」
でも、凄く心配ってみずほちゃんの顔に書いてある。
「じゃ……俺がついて行く」
僕達を心配だったのか、あずき先輩が本殿の階段横の見えない場所に立っていた。
「あずき先輩……好き!」「あずき!」
僕とみずほちゃんは、あずき先輩の所まで行くと、ふたりで手をつないで、くるくるあずき先輩の周りをまわった。
「まわるな、まわるな、なんか少し酔った感じになるから、後、濡れるからちゃんと傘を使え」
あずき先輩は、2本の傘を差し出した後に、目を隠して僕達を見ない様にしていた。僕も止まったらなんか少し目がくるくるしている感じがして、目の周りを隠した。瑞穂だけは、「そうなんだ」って平気そうにしてたけど……。
気付くと鞄が大きく膨らんでいる様な?
中を調べると、大きな鞄からあまがっぱと長靴が、出てきた。黄色地に、ねこ柄でかわいい。あずき先輩のかっぱは、オレンジ色だった。
「派手だな……なんで、オレンジなんだ?」
そう言ってカッパを広げると、ピラッと紙が落ちてきた。あずき先輩が、拾って読む。
「見せて!見えて!」
僕はあずき先輩の周りでぴよんぴょん跳ぶ。
「うーん、なんか雨の日に黄色が、一番見えやすくて、オレンジも見えやすい方らしい」
僕は、あずき先輩から手渡された、紙をみるがいろいろ書いてあって文字は分からなかったが、描かれている比較の絵では黄色が見やすかったので。
「だね!」っと言った。
僕達は、社務所まで行って、カッパを上に着てから街へ向かった。
道路を、くねくね曲がりながら行くと、公園があり、そこが目的地のはずが誰もいない。雨は凄く降って来て、なんだかもうかっぱは役に立っていなかった。
公園の敷地に入って探すと、滑り台の下に空間があった。秘密基地みたい。入ってみるとそこに小学生位の男の子が、おやまさん座りで座っている。とても濡れているので、どこからか帰る途中にここで雨宿りをしているのだろう。
「この子か?」
あずき先輩が僕に聞く。僕は、うなずき――。
「そうみたい」と、答えた。その頃には雷が、鳴りだして僕達みんなに危険である事を知らせている。
その子はすでに泣き出し、恐怖に震えていた。僕は、震える彼の手に自分の手を重ねる。
「君に謹んで申し上げまする。ここから出ないでお願い」
っと言ったが、ゴロローガッシャーンと言う。カミナリの音にかき消され、彼に伝わったかどうかは、わからない。
「もう、うち帰りたい……もう、やだ」
「これは、まずいな……」
あずき先輩の言葉と誰かの知らせる危険信号が、僕の体の中でうずまくと。その時男の子の後ろの壁にたてかけてあるダンボールの板に注目した。
僕はそこの後ろに素早く隠れる。その時、またカミナリの音は近くで聞こえて来ていた。
「ミャーァー」
猫の僕は、段ボールの後ろから声を出す。丁度、カミナリの鳴ってない時だったので、彼は僕に気付いた様だ。段ボールをどかし僕を抱っこする。彼の心臓の音が聞こえる。ドックン、ドックン、ドックン
彼はちょっと落ち着いてきたかもしれない。その時、ドォーンズシャ! まじかでカミナリが鳴った!
あずき先輩の「オッッ」と言う声と。
「わぁっ――!? 大丈夫だよ。猫ちゃん」彼の声は少し震えていたが、これなら大丈夫かもしれない。
そう思った時、ふたたびドッカーンと言う音、光、木の裂ける音。
「うぁぁ――こわぁ――ほんと怖いって!!」って言うあずき先輩の声が、少しの間も待たずに聞こえて来た。
「怖かったね猫ちゃん」と彼は、少し泣いていたが、これでもう大丈夫。危険はさった。
しばらくするとカミナリが止み、しばらくすると雨もやんだ。彼は、僕の頭をなで、僕はのどを鳴らす。
「猫ちゃん僕のおうちに行こうか……」、そう言って彼が立ち上がると、僕は彼の手から逃げて草むらに隠れる。しばらく彼は僕を探していたが、諦めた様で――。
「猫ちゃん、バイバイ、ありがとう……」
そう言って彼は帰って行った。僕も帰ろう……。滑り台の下の空間へ行くと、あずき先輩が今度はおやまさん座りをしていた。
「怖かった……、稲穂ちょっと抱っこしてやろう……特別だぞ?」
そう言って、僕を抱っこするが、あずき先輩の心臓の音は凄く早くて……落ち着くまでになんだか時間がかかってた。
やっと心臓の落ち着いたあずき先輩と帰る途中で、みずほちゃんと会った。
とても心配して迎えに来てくれた、みずほちゃん。とっても怖かった僕とあずき先輩。
「ふたりとも今、猫に変わっても抱っこ出来ないの。猫になって汚れちゃったら、お風呂です」
大きい猫さんのあずき先輩はしぶしぶって感じで、「わかっている」って言った。
先に猫になっていて良かった。とりあえず、みずほちゃんに手を伸ばし抱っこして貰おうとするけど、ふたりとも気にせずどんどん帰り道を歩いて行く。
あずき先輩は、まだ怖いのかな? いいよ、いいよ。抱っこさせてあげます。
そうして家まで抱っこされて歩いた。
家に着くと、傘をかたずけたみずほちゃんに渡される。玄関に上がったあずき先輩は猫の姿に変わり、まるくなってすやすや眠ってしまう。
おやすみなさい。ありがとう。
「あずき、そこで寝ると踏まれちゃうってば!」
その後、みずほちゃんが、あずき先輩を運んでくれました。
おわり
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