魔王がやって来たので

もち雪

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さよなら海の見える街

迷わせの森

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 僕らは森に入った
 始め、森に不信感を持ったのはぬいぬいだった。

 「この森はおかしい、よくないものを感じる」

 それを聞き、僕らは考えた結果、僕とスフィンクスが空からの偵察を行うことになった。

 しかし飛びだった僕たちを、深い森の木々がはばむ。

 うっそうとした森の木は、僕らを決して森の外に出さないのだ。
 
 諦め、パーティーに戻った僕らは、ぬいぬいの忠告を聞く。

「もうすぐ、何かが出て来るはず、それは誰でも絶対に心を許すな」そう彼言う。
 
 ヘンゼルとグレーテルふたりが向かった先は、お菓子の家。お菓子さえ食べなければ、彼らは魔女から逃げ伸びたのか?

 答えはわからない。
 
 そして僕らは夜の道を歩き、そしていつもの様に火を焚きながら森で寝ようとする。

 もちろん寝ずの番を、する人物はいる。

 だが、この森はそれを許さないらしく、複数の獣の群れの足音や息遣いを聞くのだ。

 しかしどんなに探しても、誰もいない。
 
 安全確保出来ないのなら、この場所で寝ることは出来ない。

 向かうべき場所へ、向かわなくてはならないらしい…。
 
 そして辿りついたのは、普通の家だ。

 こんな鬱蒼とした場所にあるべきではない。そう普通に考えればそうだが、僕らはなにかを倒す為にその家の扉をノックした。
 
 そうすると老夫婦が、優しく僕らを出迎えてくれた。

 こんな老夫婦を倒す事になるのか、と、うんざりしたが……中には入ると、息子夫婦、その娘までもが出迎えてくれる。

 ただ一人若奥さんは少し挨拶しただけで、僕たちの事をよく思っていない事がわかった。
 
 しかし大きく見ると、彼らは少しいびつだった。しかしその正体はわからない。
 
 僕らはあえて一つの部屋を希望し、夜が明けるのをまった。
 そしてただ息を殺して観察していた。

 何、もしくは誰が、この森はの元凶なのか?
 
 優しいそうな老夫婦か、それとも息子夫婦か、その娘なのか?
 
 いびつさの原因は、すぐわかった。優しそうな老夫婦の夫がお酒を飲んで、声をあげて怒鳴りだしたのだ。

 今までの違和感が、少しわかった。
 優しい老人の顔色を、皆が伺い様子を見ていた。

 でも、それだけはない気がする。
 
 けれども僕とルイス、ミッシェルが老人のところに行くすこぶる機嫌が良くなる。
 
 でも、話ていると、この国の兵士の事について、お嫁さんにひつこく聞き出す。

 わからないではゆるされず、興味がないと言っても聞く。

 あまりにネチっこく、僕らが話しをそらしてもダメだった。

 でも、他人の家庭の事どうしていいのかわからない。

 そして最終的に、お嫁さんがそれに嫌悪感を出すと、突然怒りだすので、慌ててお嫁さんが、僕らを連れだしてくれた。

「いつもそうなんですか?」 僕は思わず聞いてしまう。

「あ……もうすぐ私たち家族は、この家からでるんです。だから大丈夫ですよ」

 思わず「大変ですね」と言ったら僕らに、光る玉をくれた。
 
 そして「お皿を洗わないと」、と言って行ってしまった。

「誰が、元凶だからないって言っただろう…彼女に気を許し過ぎだ」
 
「ぬいぬい、すみません。でも、こんな物を貰いましたよ」そう言って光の球をぬいぬいに手渡す。

 すると、それはいきなり話だした!

「あぁ! すみません! 閉じ込められましたか?」

「あぁ、森から出れない。そして怪し家に来ている」

「少し離れたところにそれを置いてください!」

 ぬいぬいは、それを聞きベッドの上に光の球を置き離れた。

 ベッドの上に、女性が現れた。彼女の面影はどこかで見た事がある。

「母がすみません」

 そう言った彼女は、若夫婦の夫に似ていた。なるほど見た事あるわけだ。
 
「あなたは、老夫婦の娘さんですか?」
 
「いえ、若夫婦の娘の成長した姿が、私です」
 
「私達家族は、この後すぐ別居したのですが、悪い事に母はこの後、強力な魔女になってしまいました。そしてなんの因果かこの時の気持ちだけが強く残り、何故か逃げてしまったんです。しかし現実では、もっと曲者の母もこの時の事だけは思いだすのがいやらしく、代わり私が夢を終わらせにやってきました」
 
「では、終わらせるための詠唱します。『明けない夜は無く、人は強く暗闇は負けない! 打ち滅ぼせ全ての悪夢を!!』」

 
 彼女かそう言うと、すべての情景がゆっくりと剥がれ落ちていく、人だったものはもういない。
 
「あのあなたのお母さんは?」

「大丈夫。今も元気でふてぶてしいです。あの世界は母の哀しみからなる物なので、弱く見えたかもしれませんが、本物の母はもっと理不尽ですよ。まぁ、あった事自体は本当ですが……。ですが、そこに貴方がたを巻き込んでいい通りはない。本当にすみませんでした」
 
 彼女はそれだけ言うと、光の球に戻ってしまった。

 そしてぼくの手から離れ、わずかに残っている黒い丸い球にひついて地面にもぐってしまった。

 ぬいぬいが言った。「黒いのが嫁の記憶であり今回の原因で、光の球は後から嫁か、娘かがかけた魔法で、悪夢が発現すると、光も稼働するようになっている。しかし何故? 同じ親族でここまでこじれてしまったのか?こわい、こわい」

 今回の件で、僕を含め若者たちはしばらくどんよりとしていたが、それもわずかな期間だけだった。

      つづく
 
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