魔王がやって来たので

攻略！謎の塔

階層攻略 その9 ガラクタ

　15階層、そろそろ人間界で、集められる魔物はいるのかなあ？

　そう思われた時、思わぬ敵が僕らの前に現れた。

　鉄の棒をあらせた様な体に、取ってつけたような黒い仮面の頭部。

「あれについて何か知ってる?」

　僕は後ろを見てそう尋ねた。その問いに誰も答える者は居ない。少しの沈黙が訪れる。

「頭の部分に目と口がくりぬかれた様な仮面をつけたガラクタの仕掛け人形など聞いた事はない」

　ぬいぬいが、やっとそう答える。
　
　「ここで、手をこまねいて時間の無駄なのでいきますか……まず、土の魔法を何層も積み重ねて封じてみます。バックアップヨロシク!」

　僕は15階層に、上がりすぐに魔法を使いガラクタを封じ込めた。

　しかし、しかしだ。僕の放った土のブロックは、その上下の中間部分で、斜めに平行間隔で、剣先と思われるソレが出たと思ったら、そこを切断され下となった方向へと滑り落ちた。土台を失った砂のブロック上層部は、すぐさま下へと落下をし、砂埃をあげながら全ては破壊されてしまった。

　一瞬の出来事に呆けていた僕。

　そいつは土煙の中から日本刀を持って、ゆっくり土の山を乗り越えて、こちらにやってくる。日本刀の長さについてよく知らないが、僕の身長くらいの長さには見える。

　ーーガラクタなのに日本刀の達人とかどうなの!? 日本の心を舐めるの！？

　そんな事を考えているので、次々の策が浮かばない。
　
　しかしガラクタの仮面下の赤いランプが光った?  様に感じるとすぐさま刀を、振りかぶりこちらへとソレは、走ってくる。

　僕のもとへとやって来てすぐさま大振りのモーションで次の技を出す準備に入り、僕の腹へと刀を振るった。

　ガシャ――ン

　ガラクタの刃は、僕のかろうじてはった防御壁をぶちわった。

　その音を聞きヤバイっと思ったのちすぐにに、フィーナの魔法のツルで体全体を彼女のもとへひっばられたようだった。

　僕は座った彼女に背後から抱えられ、そのままゆっくり寝かされ斬られた場所を確認された。

　その際に近くで、炎の熱さと鉄が燃える匂いがしている。誰かの魔法の形跡。

「少し血が出ています。皮一枚ってところなので、動かないで……。ルナ！　ハヤトをお願いします」

　そう言うと、彼女は一人立ち上がる。僕は、何とか彼女の手を掴むが、彼女は少し困った顔で、「ほら、動いてしまったから、皮膚が切れてしまいました……」

　彼女のツタが僕に絡まり少しチクッとした。
　そして僕の意識は途切れる。

「ハヤト治療が終わりました。起きてください」

　僕は、ルナにひどく揺さぶられて起きた。

　目の前には、何か凄い圧力で壁が崩れかかっている中心にマリオネットの様にツタに絡まれて壁に固定されている、ガラクタ。

　それは機動を、停止しているようだった。

「あれフィーナがやったんですか？」

「ウンディーネが、凄い水圧でアレを徐々に破壊し、その水分で勢いをましたフィーナの細いツタがたくさん絡まり最終的に沈黙しました。最初その水さえアレは、切っていたのでなんとか勝ったってところでしょうか？」

「それはすごい……」

「では、上に行きましょうか？ 16階層は、謎に太ったヘビだったらしいのですが、戦わず通過した様です」

「ツチノコ？！」

「さあ？」

　そして僕らは歩き出した17階層、それはチーム『黄昏』が今なお攻略中のモンスターだったはずだ……。

　　　　つづく