140 / 213
旅立った僕達
水面の上の二人
しおりを挟む
多くの広葉樹を見る事の出来る湖の水辺を歩いている。
渡し舟があったが、船頭が不在だったので、仕方なしに水鏡になった湖の水辺を僕ら行く。
湖の水は澄み、魚が幾度も水面に顔をのぞかせる。やはりここでも、フィーナと写真を撮りたいが、そんなに何枚も撮っていると電池が足りなくなってしまう。……うん? ところで、フィーナどうやって電源を、とっているのだろうか? 後で、聞いてみよう。
そんな事を考えて歩いていると、ぬいぬいが小走りに湖に走って行く。彼の後を追い僕が付いていくと――。
「おい、これを見ろ」
彼は指さす先の湖には、水面の揺らめきはないけれど、水中に女性が居る。
試しに僕は手を突っ込もうとしたら、「おい!」と、言われぬいぬいに腕を掴まれた。
「ウンデーネ、こいつの代わりに見てやれ」
そう言って僕の後ろで、どれどれ?って言う感じに見ているウンデーネに、ぬいぬいは告げる。
彼女は、口元に手をやり首をかしげると。「わかった」と言って、荷物を置いて手を突っ込むが、どこまでも触れる物がないようで、思い切ってそのまま飛び込んでしまった。
そんな彼女をも、今回もぬいぬいが止めようとしたが、そんなぬいぬいだけを慌ててみんなが引っ張る。
「ぬいぬいさん、ちゃんと自分の非力さを自覚してくださいよ」と、ミッシェルは言うと、どこからともなく現れたぬいぬいの杖の一振りで、「うぇ――まずぅ……なんですかこれ!?」と、うぇうぇ言い出す。
「これは好き嫌いを直す魔法、このまずい味の後に食べると素材本来の味に気付く魔法だ」
「なんて魔法かけ」ミッシェルが話している途中で、彼の口に何か放り込むが、「うわぁぁぁ」なんか、すぅーすぅーする。これ何ですか? 「お前の嫌いなハッカ飴だが、うむ」
「全然美味しくないじゃないですか。もう!?」
地団駄を踏むミッシェルに、ぬいぬいは、「そういう事もあるのか……」と、目を見開き驚いていた。
「ハヤト、遊んでいないで、こっちに来てください」
向かった先では、ずぶ濡れの男性が、四つん這いになり荒く息している。
僕らの来た方角から、ウンデーネが水を滴らせて歩いて来た。
「主様、水の中には女の子はいなかった。」
「ありがとうウンデーネ、では、彼女が居るのは水面の僅かな部分だけなのかもね」
そう言うと男性は泣き出し、僕らは少し途方にくれるが、そこはルイスわかっている部分だけでも報告を始める。
「ウンデーネが、飛び込んだ後の水面は、なおも女性が我々に何か訴えるので、それにしたがったら彼を見つけて保護しました。それでも彼は女性の元に行こうとはしていましたが、女性は彼を助ける様に私達に要請しているので、彼が何も考えず湖に飛び込んだのでしよう」
「お前達に何がわかる。俺の気持ちもわからないくせに!」
「じゃー貴方は、貴方を助けようとして湖に飛び込んだ、彼女の気持ちがわかるんですか!!」
そう言って勝手に飛び込んだ、ウンデーネを指さす。こんな時だけ感のいいウンデーネは、「頑張ったのにひどい!」と、言ってフィーナの後ろに隠れた。
「そうだったんですか、すみませんでした……」
「もう、いきなり飛び込まないでください」と、フィーナにバスタオルでウンデーネを拭く。フィーナの体の横から見え隠れする彼女は拭いて貰いニコニコだ。
その後、彼は、責任を感じ我々を家へと招待した。彼の家は、一人で住まいには少し大きい一戸建てで、船の船頭の独占商売は結構儲かるんだな……と僕を感心させた。
彼の振舞う、魚料理の後に彼は、水面に移る彼女の事を話出した。
「親父から船頭を継ぎ、一年位してから彼女の事に気付いたのです。そして寂しいこの暮らしの中で、彼女だけが俺の安らぎである事に気付いたのです。しかし夢中になる俺に比べ彼女は段々現れてくれなくなった……。だからつい彼女の腕を引き留めようとして湖に落ちたのですが……もしかしたらこのまま逝けたた彼女に会える気がして……しかしあまりの苦しさに、いつの間にか助けを呼んでしまった様です……」
みんな一同黙って聞いていた。中にかモリモリ魚をたべ、生で食べそうな勢いの子も居たが……。みんな黙って居たのは事実は,ミッシェルはよく頑張った。
「とりあえず氷の魔法でも覚えますか……」
「あっ!……はい!」そもそも、こんな所に住む人は結構器用な人が多いが、恋の力は凄まじく次に朝には、彼は……。
「覚える事が出来ました!」と、日が上がりだして、すぐの僕らを起こしてまわったらしい。
そして彼は、氷越しに彼女に触れ、泣いて喜んだらしいのだ。
ちなみに、僕の夢は、フィーナと素敵な湖でデートする夢だったのでまぁ……仕方ないよね……。起きられなくても。
つづく
渡し舟があったが、船頭が不在だったので、仕方なしに水鏡になった湖の水辺を僕ら行く。
湖の水は澄み、魚が幾度も水面に顔をのぞかせる。やはりここでも、フィーナと写真を撮りたいが、そんなに何枚も撮っていると電池が足りなくなってしまう。……うん? ところで、フィーナどうやって電源を、とっているのだろうか? 後で、聞いてみよう。
そんな事を考えて歩いていると、ぬいぬいが小走りに湖に走って行く。彼の後を追い僕が付いていくと――。
「おい、これを見ろ」
彼は指さす先の湖には、水面の揺らめきはないけれど、水中に女性が居る。
試しに僕は手を突っ込もうとしたら、「おい!」と、言われぬいぬいに腕を掴まれた。
「ウンデーネ、こいつの代わりに見てやれ」
そう言って僕の後ろで、どれどれ?って言う感じに見ているウンデーネに、ぬいぬいは告げる。
彼女は、口元に手をやり首をかしげると。「わかった」と言って、荷物を置いて手を突っ込むが、どこまでも触れる物がないようで、思い切ってそのまま飛び込んでしまった。
そんな彼女をも、今回もぬいぬいが止めようとしたが、そんなぬいぬいだけを慌ててみんなが引っ張る。
「ぬいぬいさん、ちゃんと自分の非力さを自覚してくださいよ」と、ミッシェルは言うと、どこからともなく現れたぬいぬいの杖の一振りで、「うぇ――まずぅ……なんですかこれ!?」と、うぇうぇ言い出す。
「これは好き嫌いを直す魔法、このまずい味の後に食べると素材本来の味に気付く魔法だ」
「なんて魔法かけ」ミッシェルが話している途中で、彼の口に何か放り込むが、「うわぁぁぁ」なんか、すぅーすぅーする。これ何ですか? 「お前の嫌いなハッカ飴だが、うむ」
「全然美味しくないじゃないですか。もう!?」
地団駄を踏むミッシェルに、ぬいぬいは、「そういう事もあるのか……」と、目を見開き驚いていた。
「ハヤト、遊んでいないで、こっちに来てください」
向かった先では、ずぶ濡れの男性が、四つん這いになり荒く息している。
僕らの来た方角から、ウンデーネが水を滴らせて歩いて来た。
「主様、水の中には女の子はいなかった。」
「ありがとうウンデーネ、では、彼女が居るのは水面の僅かな部分だけなのかもね」
そう言うと男性は泣き出し、僕らは少し途方にくれるが、そこはルイスわかっている部分だけでも報告を始める。
「ウンデーネが、飛び込んだ後の水面は、なおも女性が我々に何か訴えるので、それにしたがったら彼を見つけて保護しました。それでも彼は女性の元に行こうとはしていましたが、女性は彼を助ける様に私達に要請しているので、彼が何も考えず湖に飛び込んだのでしよう」
「お前達に何がわかる。俺の気持ちもわからないくせに!」
「じゃー貴方は、貴方を助けようとして湖に飛び込んだ、彼女の気持ちがわかるんですか!!」
そう言って勝手に飛び込んだ、ウンデーネを指さす。こんな時だけ感のいいウンデーネは、「頑張ったのにひどい!」と、言ってフィーナの後ろに隠れた。
「そうだったんですか、すみませんでした……」
「もう、いきなり飛び込まないでください」と、フィーナにバスタオルでウンデーネを拭く。フィーナの体の横から見え隠れする彼女は拭いて貰いニコニコだ。
その後、彼は、責任を感じ我々を家へと招待した。彼の家は、一人で住まいには少し大きい一戸建てで、船の船頭の独占商売は結構儲かるんだな……と僕を感心させた。
彼の振舞う、魚料理の後に彼は、水面に移る彼女の事を話出した。
「親父から船頭を継ぎ、一年位してから彼女の事に気付いたのです。そして寂しいこの暮らしの中で、彼女だけが俺の安らぎである事に気付いたのです。しかし夢中になる俺に比べ彼女は段々現れてくれなくなった……。だからつい彼女の腕を引き留めようとして湖に落ちたのですが……もしかしたらこのまま逝けたた彼女に会える気がして……しかしあまりの苦しさに、いつの間にか助けを呼んでしまった様です……」
みんな一同黙って聞いていた。中にかモリモリ魚をたべ、生で食べそうな勢いの子も居たが……。みんな黙って居たのは事実は,ミッシェルはよく頑張った。
「とりあえず氷の魔法でも覚えますか……」
「あっ!……はい!」そもそも、こんな所に住む人は結構器用な人が多いが、恋の力は凄まじく次に朝には、彼は……。
「覚える事が出来ました!」と、日が上がりだして、すぐの僕らを起こしてまわったらしい。
そして彼は、氷越しに彼女に触れ、泣いて喜んだらしいのだ。
ちなみに、僕の夢は、フィーナと素敵な湖でデートする夢だったのでまぁ……仕方ないよね……。起きられなくても。
つづく
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる