128 / 158
それでも少しずつ歩む日々
夜明け前の廃虚の城からの移動
しおりを挟む
廃虚の城からの帰り道。
数々の戦いをこなしているので、アンデッドよりは元気だが、それでも夜中の戦いによって疲れていた。
その中で一段と元気が無いのは、聖女ルナ。
彼女と一緒にネクロマンサーを倒しに行った。ぬいぬいに詳しい事情を聞く為に、彼の隣に座る。
「ルナ、彼女は少し元気がない様ですですけど、どうかしましたか?」
「別に救えない命があっただけだ。よくある事で、気にする事じゃない。そう言ってもお前は行くんだろ? 行け、行けそして泥沼にはまって来い」
「そんなひどい」
「本当の事だろ?」
そう言ってにゃりと笑って、帽子を目深にかぶり「おやすみ」言って眠りについた。
彼女は、考えたい事があると言って御者の隣に座って、見張りをしている。僕は荷馬車の後ろの仕切りまで来ると、「よいしょ」と言ってそこから飛び降りた。
何人かに、僕の名前を呼ばれたが、手を振って答える。そこから走って御者とルナの座る前へと走って行い、ゆっくり出来るだけ馬を驚かせない様に前の椅子に上がり込んだ。
まぁ結果的に、御者とルナに叱られ、呆れられる事となったが。
「本当にすみません」
「これからは危ないので絶対やめてください」
二人からそんな事を言われたので、静かに座って居た。聖女ルナは、やはり何かを深く考えているようだった。
「ルナ、貴方が、考えているのはあの城のネクロマンサーについてですか?」
「そうです」
「それは彼を貴方が、救えなかったから?」
「もしかして、ハヤトそれを聞く為に、危険な真似ををしてここまで来たのですか?」
彼女の声から呆れたって気持ちに、しょうのない無い人っという気持ちを込めた笑い感じられた。希望的観測だが、うん。
「そうなんだ。凄くそうなんだ」
僕は嘘ぽい感じで2回そう言った。
「そうですか……。でも、心配に及びません。私が今、考えている事はルーティンワークにすぎません。ヒーラー特に、蘇りの魔法を使う聖女と言う職では、人の命と毎回深く関わり、そして命を選定する事も少なくありません。なので、毎回一定時間を設け、その日触れた命について考える様にしているのです。そうすれば命を軽く扱う事が無くなり、次回の成果につながると考えているからです」
「それなら邪魔してしまいましたね。すみません」
「まぁ、それは少し。でも、その行いを誰かに知っていただくのは大切な事です。一人ではいつか私の中で、命の基準が歪んでしまうかもしれません。その時は是非、教えてくださいまし。特にこれから向かうと言う魔界では、善良な者の魔物であるだけで、切り捨てなければならないかもしれません。善良な者が、禍を呼び覚ます糧になる。そんな事も考慮して考えていかなければいけない」
「そうですね。種族が違えば考え方は全然異なりますよね……。その時どうしたらいいか一緒に考えていきましょう」
そこで、彼女は少し微笑む。天使の笑み。
「でも、それでは遅いのです。戦況は刻刻と変わる事でしょう。ですが、私も伊達に聖女として、今まで生きてきたのではありません。なので、戦いの初動の生き死には私にお任せください。ですが……その基準が少しでも間違っている様ならお教えいただいて良いでしょうか? と言うことです」
「わかりました。その時は絶対言います。貴方の公正さを損なわせません」
そう言って僕とルナの話は終わった。その時、朝日が昇って来た、とか言う綺麗なおわりであったら良かったのだが、そんな事はなく。
ぼくはその後、眠気と御者の席から落ちる恐怖に戦いながら、残りの道を過ごしたのだった。
つづく
数々の戦いをこなしているので、アンデッドよりは元気だが、それでも夜中の戦いによって疲れていた。
その中で一段と元気が無いのは、聖女ルナ。
彼女と一緒にネクロマンサーを倒しに行った。ぬいぬいに詳しい事情を聞く為に、彼の隣に座る。
「ルナ、彼女は少し元気がない様ですですけど、どうかしましたか?」
「別に救えない命があっただけだ。よくある事で、気にする事じゃない。そう言ってもお前は行くんだろ? 行け、行けそして泥沼にはまって来い」
「そんなひどい」
「本当の事だろ?」
そう言ってにゃりと笑って、帽子を目深にかぶり「おやすみ」言って眠りについた。
彼女は、考えたい事があると言って御者の隣に座って、見張りをしている。僕は荷馬車の後ろの仕切りまで来ると、「よいしょ」と言ってそこから飛び降りた。
何人かに、僕の名前を呼ばれたが、手を振って答える。そこから走って御者とルナの座る前へと走って行い、ゆっくり出来るだけ馬を驚かせない様に前の椅子に上がり込んだ。
まぁ結果的に、御者とルナに叱られ、呆れられる事となったが。
「本当にすみません」
「これからは危ないので絶対やめてください」
二人からそんな事を言われたので、静かに座って居た。聖女ルナは、やはり何かを深く考えているようだった。
「ルナ、貴方が、考えているのはあの城のネクロマンサーについてですか?」
「そうです」
「それは彼を貴方が、救えなかったから?」
「もしかして、ハヤトそれを聞く為に、危険な真似ををしてここまで来たのですか?」
彼女の声から呆れたって気持ちに、しょうのない無い人っという気持ちを込めた笑い感じられた。希望的観測だが、うん。
「そうなんだ。凄くそうなんだ」
僕は嘘ぽい感じで2回そう言った。
「そうですか……。でも、心配に及びません。私が今、考えている事はルーティンワークにすぎません。ヒーラー特に、蘇りの魔法を使う聖女と言う職では、人の命と毎回深く関わり、そして命を選定する事も少なくありません。なので、毎回一定時間を設け、その日触れた命について考える様にしているのです。そうすれば命を軽く扱う事が無くなり、次回の成果につながると考えているからです」
「それなら邪魔してしまいましたね。すみません」
「まぁ、それは少し。でも、その行いを誰かに知っていただくのは大切な事です。一人ではいつか私の中で、命の基準が歪んでしまうかもしれません。その時は是非、教えてくださいまし。特にこれから向かうと言う魔界では、善良な者の魔物であるだけで、切り捨てなければならないかもしれません。善良な者が、禍を呼び覚ます糧になる。そんな事も考慮して考えていかなければいけない」
「そうですね。種族が違えば考え方は全然異なりますよね……。その時どうしたらいいか一緒に考えていきましょう」
そこで、彼女は少し微笑む。天使の笑み。
「でも、それでは遅いのです。戦況は刻刻と変わる事でしょう。ですが、私も伊達に聖女として、今まで生きてきたのではありません。なので、戦いの初動の生き死には私にお任せください。ですが……その基準が少しでも間違っている様ならお教えいただいて良いでしょうか? と言うことです」
「わかりました。その時は絶対言います。貴方の公正さを損なわせません」
そう言って僕とルナの話は終わった。その時、朝日が昇って来た、とか言う綺麗なおわりであったら良かったのだが、そんな事はなく。
ぼくはその後、眠気と御者の席から落ちる恐怖に戦いながら、残りの道を過ごしたのだった。
つづく
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
婚約者の浮気を目撃した後、私は死にました。けれど戻ってこれたので、人生やり直します
Kouei
恋愛
夜の寝所で裸で抱き合う男女。
女性は従姉、男性は私の婚約者だった。
私は泣きながらその場を走り去った。
涙で歪んだ視界は、足元の階段に気づけなかった。
階段から転がり落ち、頭を強打した私は死んだ……はずだった。
けれど目が覚めた私は、過去に戻っていた!
※この作品は、他サイトにも投稿しています。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
五年目の浮気、七年目の破局。その後のわたし。
あとさん♪
恋愛
大恋愛での結婚後、まるまる七年経った某日。
夫は愛人を連れて帰宅した。(その愛人は妊娠中)
笑顔で愛人をわたしに紹介する夫。
え。この人、こんな人だったの(愕然)
やだやだ、気持ち悪い。離婚一択!
※全15話。完結保証。
※『愚かな夫とそれを見限る妻』というコンセプトで書いた第四弾。
今回の夫婦は子無し。騎士爵(ほぼ平民)。
第一弾『妻の死を人伝てに聞きました。』
第二弾『そういうとこだぞ』
第三弾『妻の死で思い知らされました。』
それぞれ因果関係のない独立したお話です。合わせてお楽しみくださると一興かと。
※この話は小説家になろうにも投稿しています。
※2024.03.28 15話冒頭部分を加筆修正しました。
(完結)私の夫を奪う姉
青空一夏
恋愛
私(ポージ)は爵位はないが、王宮に勤める文官(セオドア)の妻だ。姉(メイヴ)は老男爵に嫁ぎ最近、未亡人になったばかりだ。暇な姉は度々、私を呼び出すが、私の夫を一人で寄越すように言ったことから不倫が始まる。私は・・・・・・
すっきり?ざまぁあり。短いゆるふわ設定なお話のつもりです。
(完結)お姉様を選んだことを今更後悔しても遅いです!
青空一夏
恋愛
私はブロッサム・ビアス。ビアス候爵家の次女で、私の婚約者はフロイド・ターナー伯爵令息だった。結婚式を一ヶ月後に控え、私は仕上がってきたドレスをお父様達に見せていた。
すると、お母様達は思いがけない言葉を口にする。
「まぁ、素敵! そのドレスはお腹周りをカバーできて良いわね。コーデリアにぴったりよ」
「まだ、コーデリアのお腹は目立たないが、それなら大丈夫だろう」
なぜ、お姉様の名前がでてくるの?
なんと、お姉様は私の婚約者の子供を妊娠していると言い出して、フロイドは私に婚約破棄をつきつけたのだった。
※タグの追加や変更あるかもしれません。
※因果応報的ざまぁのはず。
※作者独自の世界のゆるふわ設定。
※過去作のリメイク版です。過去作品は非公開にしました。
※表紙は作者作成AIイラスト。ブロッサムのイメージイラストです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる