97 / 158
王の命
日いずる国の姫君
しおりを挟む
王の身体は、亡き幻影の呪術師にとらわれている。
その為に朝、日が昇る2時間前に、城内の王の間に人々は集められていた。
王の呪い解く為の、『王奪還作戦』が今始まろうとしている。
けれど前日までの協議の時間にも、聖女と日いずる国の巫女は、現れなかった。
聖女は、日に日に悪くなる王の体調を回復をする為、巫女は急に決まったこの作戦の為に、台風の多いこの時期に船を出し嵐に巻き込まれていたとの事だ。しかしこの日、僕達は集められ僕の命運は彼女達の能力しだいだろう。いや、もう一名うちのウンディーネも回復役としてこの舞台に上がる事になっている。
最初に、王の間の扉を開けて入って来たのぬいぬいだった。彼は魔よけのペンダントやら、御神木やらつけられている僕の前まで、やって来て窓辺に座る。
「ぬいぬい、久しぶり」
「お前は、面白い恰好をしているな」
随分つかれた様な彼だったが、言っている事は、相変わらずだった。
「要点だけ言う」
「わかった」
「お前とお前の恋人をつなぐ絆みたいな、白銀狐固有の魔法については、どこを調べても出て来なかった。なので、考え方を変えて臨死状態なってしまった場合、即座にお前をいい感じに凍結する。そうすればお前の恋人も悪くて仮死状態だろう。そうする事によってお前の恋人とその仲間に委ねる事にした。
もしかしたら彼らの選択によっては、お前の守っている力が消えるかもしれない。そうすればお前が、死ぬ確率はだいぶ高くなる。それでもいいんだな?」
「うん、いいよ。ありがとう約束を守ってくれて。だけど、ただじゃ死なないから、生きぎたなく生きて生還する。絶対!」
ぬいぬいは少し鼻で笑う。「いい目だ、じゃ――頑張れよ。俺は寝る」
「今から、寝るの?」
「そうだよ、何せ急だったから……三日ほど寝てない」
「そうなんだ……ありがとうぬいぬい師匠」
彼は、後ろ向きで手を振りながら僕の前から消えると、そこら辺の神官に寝て良い場所を聞いているようだ。神官がとても驚いているのいる様だった。そうしている間に、王の間の扉が開いたままに固定されどんどん人通りが多くなる。
「あのすみません、今、よろしいでしょうか?」
巫女の衣裳を着た女性が、僕にそう尋ねた。黒い髪を1つにまとめた。秘書みたいな感じの女性だ。僕は慌てて立ち上がるとーー。
「はい、ハヤトと言います。日いずる国の巫女様、本日は来ていただいてありがとうございます」
「いえ、私は、巫女様のお付の未菜と申します。あやさと姫様は、あちらに」
そちらにはかぐや姫の様な女性が居た。耳の横の髪は、三つ編みになっていてそこには、幾つかのきれいな石も編み込まれている。彼女は、僕と未菜さんを見つけると、ずかずかと言う感じでこちらへ歩いてやって来る。
「お前が今宵の贄に選ばれた男か、お前から面妖な妖気を感じる。う――んお前、今回の呪いを飲み込むなよ」
そう言って彼女は、巫女の衣裳の袖で、顔を隠し僕を大変警戒している様だった。う……ん彼女もうちのパーティー候補なんだが、彼女は僕達と同行してくれないだろうか……? そうすれば彼女なら男女関係については、悩む事はなさそうな気はする……。
「ハヤトと言います。よくわかりませんが、悪い事態にならない様、努力します。 よろしくお願いします」
当たり障りのない挨拶をする。
あやさと姫と僕は、未菜さんを挟んで座る。そうすると、ウンディーネが、さくらの花1つ分位のケーキをたくさん持ってやって来た。
「主様、これ見てケーキ、見てたらコック長がたくさんくれたの」
彼女は、手に持つ皿を差し出して僕に見せる。
(ウンディーネ……それはたぶん、ケーキ渡して追い払われたんだと思うなぁ……)
「良かったね。ウンディーネ」
「主様、何食べる? これなんて美味しいと思うよ」
「じゃあ、いただこうかな」僕はケーキを1つ手に取って食べた。
「美味しい?」
「凄く美味しいね」
そう言った時、未菜さんは僕を驚きの顔で見る、あやさと姫はケーキを穴が開くほど見ている。きっとウンディーネもこんな顔で、見ていたんだろうな……。
「ウンディーネ、今日お世話になる日いずる国のあやさと姫様と未菜さんだよ。彼女達にもケーキをあげて貰えないかな?」
「あっ、主様のお世話をしてます。ウンディーネです。良かったらこれ」
ウンディーネの気持ちが、手に取る様にわかる……。これは、良妻アピール!
「ありがとうございます。どれをいただいていいのでしょうか?」
「これとこれなんて美味しいですよ」
ウンディーネは、チョコとチーズケーキを指さす。彼女の好きなケーキはフルーツが、ふんだんに使われたケーキだから、それ以外を指してしているのだろう。
「いただきます」未菜さんは、チョコケーキを。
「では、わらわは、これをいただくとしょう」そう言ってあやさと姫は、フルーツがふんだんに使われたケーキを、手に取って食べた。
「ウンディーネのケーキが……」彼女は凄く悲しそうな声で言う。
「姫様、勝手にとってはなりません」
「すまぬ、ウンディーネ。とっても美味しそうだったのでのう」
「いいんです……良妻ですから……。うちの主様の事をよろしくお願いします」
そう言ってまた、僕の隣に座り、少し寂しそうにケーキを食べる。あやさと姫は、未菜さんの隣から身を乗り出して見ると未菜さんと小声で話す。
そうすると、隣の未菜さんが、「これをウンディーネ様に」彼女の手には、きれいな青色の石が乗っていた。
「いいんですか?」
「はい、あやさと姫様は貢物を私達にもくださる優しい姫様なので、どうぞ、気にせずお受け取りください」
未菜さんは、そう言って誇らしげに、あやさと姫の事を話す。そして石を受け取ったウンディーネは、目を輝かせて喜ぶ。
「あやさと姫様ありがとうございます! よかったらケーキまだ食べませんか?」
「大丈夫だ、わらわはよう食べた。後は、お前が食べるとよいぞ」
彼女達は、すぐに仲良くなりそうだ。しかしあやさと姫をこの国の為に僕らのパーティーに誘うのは、いけない事のような気がするのだった。
つづく
その為に朝、日が昇る2時間前に、城内の王の間に人々は集められていた。
王の呪い解く為の、『王奪還作戦』が今始まろうとしている。
けれど前日までの協議の時間にも、聖女と日いずる国の巫女は、現れなかった。
聖女は、日に日に悪くなる王の体調を回復をする為、巫女は急に決まったこの作戦の為に、台風の多いこの時期に船を出し嵐に巻き込まれていたとの事だ。しかしこの日、僕達は集められ僕の命運は彼女達の能力しだいだろう。いや、もう一名うちのウンディーネも回復役としてこの舞台に上がる事になっている。
最初に、王の間の扉を開けて入って来たのぬいぬいだった。彼は魔よけのペンダントやら、御神木やらつけられている僕の前まで、やって来て窓辺に座る。
「ぬいぬい、久しぶり」
「お前は、面白い恰好をしているな」
随分つかれた様な彼だったが、言っている事は、相変わらずだった。
「要点だけ言う」
「わかった」
「お前とお前の恋人をつなぐ絆みたいな、白銀狐固有の魔法については、どこを調べても出て来なかった。なので、考え方を変えて臨死状態なってしまった場合、即座にお前をいい感じに凍結する。そうすればお前の恋人も悪くて仮死状態だろう。そうする事によってお前の恋人とその仲間に委ねる事にした。
もしかしたら彼らの選択によっては、お前の守っている力が消えるかもしれない。そうすればお前が、死ぬ確率はだいぶ高くなる。それでもいいんだな?」
「うん、いいよ。ありがとう約束を守ってくれて。だけど、ただじゃ死なないから、生きぎたなく生きて生還する。絶対!」
ぬいぬいは少し鼻で笑う。「いい目だ、じゃ――頑張れよ。俺は寝る」
「今から、寝るの?」
「そうだよ、何せ急だったから……三日ほど寝てない」
「そうなんだ……ありがとうぬいぬい師匠」
彼は、後ろ向きで手を振りながら僕の前から消えると、そこら辺の神官に寝て良い場所を聞いているようだ。神官がとても驚いているのいる様だった。そうしている間に、王の間の扉が開いたままに固定されどんどん人通りが多くなる。
「あのすみません、今、よろしいでしょうか?」
巫女の衣裳を着た女性が、僕にそう尋ねた。黒い髪を1つにまとめた。秘書みたいな感じの女性だ。僕は慌てて立ち上がるとーー。
「はい、ハヤトと言います。日いずる国の巫女様、本日は来ていただいてありがとうございます」
「いえ、私は、巫女様のお付の未菜と申します。あやさと姫様は、あちらに」
そちらにはかぐや姫の様な女性が居た。耳の横の髪は、三つ編みになっていてそこには、幾つかのきれいな石も編み込まれている。彼女は、僕と未菜さんを見つけると、ずかずかと言う感じでこちらへ歩いてやって来る。
「お前が今宵の贄に選ばれた男か、お前から面妖な妖気を感じる。う――んお前、今回の呪いを飲み込むなよ」
そう言って彼女は、巫女の衣裳の袖で、顔を隠し僕を大変警戒している様だった。う……ん彼女もうちのパーティー候補なんだが、彼女は僕達と同行してくれないだろうか……? そうすれば彼女なら男女関係については、悩む事はなさそうな気はする……。
「ハヤトと言います。よくわかりませんが、悪い事態にならない様、努力します。 よろしくお願いします」
当たり障りのない挨拶をする。
あやさと姫と僕は、未菜さんを挟んで座る。そうすると、ウンディーネが、さくらの花1つ分位のケーキをたくさん持ってやって来た。
「主様、これ見てケーキ、見てたらコック長がたくさんくれたの」
彼女は、手に持つ皿を差し出して僕に見せる。
(ウンディーネ……それはたぶん、ケーキ渡して追い払われたんだと思うなぁ……)
「良かったね。ウンディーネ」
「主様、何食べる? これなんて美味しいと思うよ」
「じゃあ、いただこうかな」僕はケーキを1つ手に取って食べた。
「美味しい?」
「凄く美味しいね」
そう言った時、未菜さんは僕を驚きの顔で見る、あやさと姫はケーキを穴が開くほど見ている。きっとウンディーネもこんな顔で、見ていたんだろうな……。
「ウンディーネ、今日お世話になる日いずる国のあやさと姫様と未菜さんだよ。彼女達にもケーキをあげて貰えないかな?」
「あっ、主様のお世話をしてます。ウンディーネです。良かったらこれ」
ウンディーネの気持ちが、手に取る様にわかる……。これは、良妻アピール!
「ありがとうございます。どれをいただいていいのでしょうか?」
「これとこれなんて美味しいですよ」
ウンディーネは、チョコとチーズケーキを指さす。彼女の好きなケーキはフルーツが、ふんだんに使われたケーキだから、それ以外を指してしているのだろう。
「いただきます」未菜さんは、チョコケーキを。
「では、わらわは、これをいただくとしょう」そう言ってあやさと姫は、フルーツがふんだんに使われたケーキを、手に取って食べた。
「ウンディーネのケーキが……」彼女は凄く悲しそうな声で言う。
「姫様、勝手にとってはなりません」
「すまぬ、ウンディーネ。とっても美味しそうだったのでのう」
「いいんです……良妻ですから……。うちの主様の事をよろしくお願いします」
そう言ってまた、僕の隣に座り、少し寂しそうにケーキを食べる。あやさと姫は、未菜さんの隣から身を乗り出して見ると未菜さんと小声で話す。
そうすると、隣の未菜さんが、「これをウンディーネ様に」彼女の手には、きれいな青色の石が乗っていた。
「いいんですか?」
「はい、あやさと姫様は貢物を私達にもくださる優しい姫様なので、どうぞ、気にせずお受け取りください」
未菜さんは、そう言って誇らしげに、あやさと姫の事を話す。そして石を受け取ったウンディーネは、目を輝かせて喜ぶ。
「あやさと姫様ありがとうございます! よかったらケーキまだ食べませんか?」
「大丈夫だ、わらわはよう食べた。後は、お前が食べるとよいぞ」
彼女達は、すぐに仲良くなりそうだ。しかしあやさと姫をこの国の為に僕らのパーティーに誘うのは、いけない事のような気がするのだった。
つづく
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる