魔王がやって来たので

王の命

朝のひととき

　朝は早く執事に起こされる。
　「ハヤト、おはようございます」
　彼は、部屋のカーテンを開け、窓を次々に開けていく。

「おはようございます……ルイス」

　窓を開け終わった彼は、僕の横に立つ、僕がベットから立ち上がると着替えている間に、次々にベットメイキングして行く。僕の手伝う隙などは、全く無い。
　
「お目覚めはいかがですか？」

「うーん、ルイスが来てからは、寝起きが、良くなってきたような気がします。いろいろ運動している、おかげですかねぇ」

「それは、ようございました。レム睡眠とノンレム睡眠の周期を測定しい、一番起こすのに適した時間に起こす事によって得られるパフォーマンスでも、あるんですよ」

「うん？、あ……それは、聞いたことがあります。やっぱりそういう事もあるのですね」

「では、私はウンディーネを起こしてきます」

　ルイスは、そう言って部屋の入り口で一礼し立ちさろうとしたが、呼び止める。

「ルイス、僕も一緒に行きます。彼女の面倒は、主である僕が当分見た方がいいと思うので」

　僕達ふたりが連れ立って彼女の部屋に行くと、「「おはようございます、ウンディーネ」」と、眠り姫の様に眠りについている、ウンディーネに声をかけた。

　ルイスは、僕の部屋と同様にカーテンと窓を開けて回る。僕は、眠っている彼女に触るわけもいかず、彼女のベットに腰掛け、ふたたび声をかける事にした。

「ウンディーネ起きてください、お――い起きろウンディーネちゃん」

　彼女の目がぱちっとひらき、こちらを見つめる、彼女の青色の瞳が宝石の様にキラキラときれいだ。彼女は、ガバッと起き上がると僕に抱きつき――。

「主様あるじさま、夢ではないのですね。レインは、幸せです」

　僕は、ゆっく彼女の手を体から外していく。

「ウンディーネ、自分の名前を言ってもいいの？」

「ふたりだけのレインと呼んでくださった方が」

　そう言って顔を赤らめる彼女。

「そういう事は、ハヤトの役に立ってから言った方がいいですよ」

　彼女の背後の窓側からルイスが、声をかけた。

「ルイス！　私の名前を聞かれたからには、死んでもらうしかありません……」

「ウンディーネ、そう言うのは駄目だから……今回は、君のミスだし……君もルイス……う――ん」
　僕は、顔を覆い考えた。

「主様、大丈夫ですか？」

　ウンディーネは、僕の行動に驚いている様で、ルイスはただ黙っているのはわかった。

「大丈夫だから……ちょっと待ってね」

　どこからか来たウンディーネに、誰かが常識を教えるのは大切だ。しかしルイスを筆頭に、適材じゃない人物と忙しすぎる人物しか僕の周りに居ない……。ここは、まずルイスに聞くしかないが、まず朝食にしょう。身支度もしたいし……。

「ちょっとふたりに相談があるけど……まずは朝食にしょう。僕の相談はすぐに決められるものではないしね」

「はい……でも、大丈夫ですか？　主様あるじさま」「かしこまりました。朝食の用意を致します」

　僕は大丈夫である事をウンディーネに説明すると、僕らは一度解散し、次集まったのはダイニングルームだった。

　ダイニングルーム入ると、いままでは奇数の人数でもダイニングテーブルの長い辺側に別れて座っていたが、今日は当主が座る短い辺の側に僕の席は設けられた。
　僕達は、それぞれの席に着く。そして僕の話を待つようにふたりは僕の顔を見る。

「僕はいただきます」と言い、ウンディーネは僕の真似をして、ルイスは祈った。僕達は朝食を食べだし――食べ終わる間際にウンディーネの話を持ち出した。

「話と言うのはほかでもないのだが、こちらの世界に不慣れなウンディーネを、教育する人物に心辺りはないだろうか？」

「私では、不適任なのでしょうか？」

「そうだよ、わかっているでしょう？　彼女は女性で、僕と同じで何もしらない。なら女性としてするべき事も知らないはずだ。出来たら、冒険へ出る前提で彼女を導く人が欲しい。でも、僕の周りには、適役と言っていい人は皆、忙しい。過労死させない為にも是非他の人物に頼みたい」

「探しては、みますが……彼女の様な偉大な精霊はアストラル世界いるからこそ、不死身で永遠なのです。だからこちらへは皆、滅多に来ません。そんな精霊を導く存在など滅多にいませんよ」

「まぁ、そうだよね。ウンディーネ、君はこちらに頼りべきウンディーネっていないの？」

「ウンディーネは、主様あるじにお会いしたくてここに来たので、仲間にも理由も話さないで来たからいないかな？……」

「そっか……、君の仲間に人さらいと、間違えられる危険もあるわけだね。ははは、困ったな……」
　本当に困った。打つ手なし！

「そういうわけだから、ルイス――君だけが頼りなので、出来るだけお願いします」

「わかりました。一応、頭には入れておきます」

　朝食で、少しは進んだ話もあったが、ほぼ進展はしなかった。まぁ、僕には畑仕事がまっている。詳しくは明日かな……。


　　　　つづく