魔王がやって来たので

もち雪

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王の命

みんなの真剣勝負

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 僕は、大きく息を吸った。少しずっ息を整える。
「ふたりとも座って」

 僕は、席を立ち二人に座る様にうながした。
 2人は、静かに席に座る。

「馬鹿な事は考えるな、さっき言ったよなあ焦るなと、この事は、お前の手に余る」

「わかってます、でも……出来る事はしたいんです。王の身代わりにならなければ、死ぬ事はないのでしょう?」

 ぬいぬいは、何か言いたそうだった。僕の事を案じているのはわかる。
 
「スイス、知っている事すべて話してください」

「かしこまりました。そうですね……では、まず西の辺境の領主の城近くに、呪術にたけた魔族の一族がおりました。その一族の長は、西の領主の土地に、魔物を送り領土に戦火が広がりました。その由々しき事態を収めるべく我が城の王、アニス王が立ち上がり向かいますが……魔族の長を討ちとる為には、長い年月がかかりました。王妃一筋だった王が、辺境の姫君と子を成してしまうほどには……。しかし姫君は、そのお子様の事について王に話せない内、王は長を討ち取りこの城に帰還します。 この城と城下町な全てが喜び祝ったその夜、王と王妃の前に辺境の魔物の最後の呪術士の影が現れ、自分はある呪術によって死んでいる事とその死が王を殺す為だけにある事を告げると影は、王を飲み込みました」

「その子供が、オリエラなんですね……」
 
 僕が、ルイスに聞くと、何の感情も表さず「そうでございます」と、答えた。

「王の体をむしばむ呪術によって彼が、床に着くまで5年の猶予がありました。しかしその猶予の期間、呪いを解く方法は発見されず、王の身を案じた、王妃が連れて来た預言者にすがるまでなってしまいました。『王を救う人物が、西の辺境の地にいる』と予言者は予言します。しかしその頃には皆、すべての事に半信半疑で、疲れ果ててしまっていました。・王家に関する事であるのに、ギルドの冒険者にクエストとして依頼るほどには……。ですが冒険者たちは、成果を挙げで帰ってきた。彼らの連れ帰った姫君は、王の血を引くものであり王を救うものです、げんに彼女の登場ともに、先程の方法が発見され後は彼女をその贄にするれば王は助かる予定でした。しかし彼女を連れてきた冒険者は、それを反対し彼女を自分の弟子にしてしまった。今年の春先、件の預言者が新たに予言した『月』より来たる勇者をそのにえに使う案をも今度は、反対しているどうしたいんですか? ぬいぬい、貴方は?」

「おかしいだろ、自分の命を永らえさせる為だけに、自分の娘を生贄いけにえにするなんて……。例え存在さえ知らなかったとて、あの王が許すはずはない。 それにこいつにしても勇者であるけれど……それだけで、我が国だけの問題に巻き込むべきではない」

 ルイスもぬいぬいも僕が現れてから今日に至るまでに、結論は出ているのだろう。彼らの声は常に冷静に響く。

「オリエラはこの事を、知っているのですか? ぬいぬい」
 
「オリエラにはまだ伝えてない。彼女や彼女の親族も王の落とし子として保護され、王族からは親族として見られていないだけと思っている。あんな小さな娘に、誰も真実なの語れるはずもない」
 ぬいぬいの表情から苦悩が、読み取れる。自分に幼い息子が、出来た今、その苦悩はなおさら彼を苦しめていたのだろう……。

「では、彼女は何も知らないのですね……」
 僕の声が只むなしく響く。ここには誰も僕に代わりを求める者は、無くただ各々の状況が話さなければならない状況であっただけ、と、信じたい。

「わかりました。今の所は、僕が身代わりになる前提で、話を進めてください。ただ怖いだけ進まないと、すべて失ってから後悔する事になります。後、身代わりをする上で絶対条件が2つあります、1つ目、僕の命は恋人とリンク、つながっています。それを最終的に切る方法を探してください。彼女の命まで危険にさらしたくはありませんので……。2つ目は、僕は、魔王と懇意こんいの仲です。だから、僕を絶対裏切らないでください。これは命が惜しいだけで言っているのではなく。これを言うと本当に脅しみたいでいやなのですが、貴方達のためでもあります。後、絶対、僕も復讐すると思うのでよろしくお願いします」

「わかった。だが、お前……沈黙の魔王ヤーグとお前あっちの世界で一体なにやってきたんだ……」
 ぬいぬいは、驚きを隠せないようで、困惑してる様子や心のすべてを、その表情が物語っていた。

「魔王とは、寝起きを起こされて、僕の学校へ行っておみあげ買って、パン買ってこことあまり変わりませんでしたよ。重い話もここと同じ位聞きましたし」

「そうなのか? それ本当に魔王なのか?」
 ぬいぬいが、少し混乱してきている……。でも、その前に肝心のルイスと話さないと。僕はルイスに目をやる。

「かしこまりました。ハヤト様のおっしゃる通り致します。」

「じゃ――普通に話してください、この場面では。貴方は、生まれた時はからそしゃべりではないでしょう? 執事独特の言葉で、自分の気持ちを隠すのはやめてください」

「かしこまりました。」そして笑顔のルイス。身構える僕。

「何、甘えた事言ってんだこの馬鹿が、お前の生命線は、恋人の命だろう。それ切って生き残れるわけないだろう!ほんと馬鹿か?あぁ?、それに何が魔王と懇意だぁ?こっちは先祖代々魔王の敵だぞ!ふざけんな寝言は寝て言え! 復讐にしても今、してみろこの弱腰勇者! お前みたいな口だけの奴はなぁ――誰も助けられるわけないだろう!この大馬鹿野郎!」
 
「うるさい!こんなどろどろした異世界の、生き方なんか知るわけないだろう! なんでみんな苦悩してるだよ――異世界には、フィーナと猫耳とエルフと俺の仲間だけ入ればいいんだよ――も――知らん勝手にやってろよ!も――バカバカ!」

 の、後、ルイスからパンチが、入って初めて喧嘩して、ボコボコにやりあい……。ルイスが「ハヤトさん……なかなかやりますね」ってぬいぬいが家具をどかしたリビングで、ルイスが言うかから「うるさい、またかっこつけんなバーカー」って言ったらまたボコボコにやりあってしまった……。そこら辺で、ぬいぬいに魔法かけられて記憶がなくなったのだった……。

 僕が言えた事ではないが、喧嘩は良くない。

      つづく
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