魔王がやって来たので

もち雪

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はじめての異世界

旅の理由

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 僕はこの世界でどうしたいかと言う、レンの質問へ答えられずにいるとぬいぬいが僕に助け舟を出した。
 
「こいつは、この世界に来たばかりの赤子と同然だ。まだ、その質問は早くないか? 」

「それもそうだが……この子は、このままいくと大人のいい様にされる恐れもあるからね」

「じゃーしばらくは、お前とおれを通す様に言っとけ」

「そのつまりだが、私はハヤトにどうするか聞きたいんだよ」

「どうするんだ? 」
 レンさんと一緒にぬいぬいまで僕の事を見つめ食べる手を止めた。その後ろで心配そうのオリエラが僕を見守っている。

「僕は、魔界の狐の里へ行き、そこで話をしたい人たちがいます。好きな子の……白銀狐しろがねぎつねのフィーナの親族と話しをしに、この世界へやって来たんです」

「なんでそんな事になってんだ? 」
 ぬいぬいが驚き声をあげる。

「運命ってやつですかね? 」

「君は、私達の敵なのかい? 」
 レンの言葉に、みんなの緊張が走る。

「今は、違います、敵対する意思はないです」

「何故、今なんだ? 」ぬいぬいがそう言うと、オリエラは「そうそう」と後追いって言った。

「僕は、フィーナと彼女の事が好きだから、そして彼女の周りに居る誰かも、嫌いになれない」

「えぇー私達より? 」
 オリエラが、レンとぬいぬいの間から顔を出してきた。

「お前は何を、馬鹿な事を聞いてるんだ」

「お前は、みんなに愛され過ぎてそういう事に、どん感なのか? 」

「でも……」

「いいから、お前はあるるのサンドイッチでも食べてろ」

「はい……」

「おい、ヴ……ンなんだ、あれほら」
 そう言うとぬいぬいの顔が、少しづつ赤みをおびてくる。そして小さくため息をついて

「俺も少しあるるの、サンドイッチを食べて来るわ……」とオリエラの横に行ってしまった。

「師匠なんで、そんなに顔が赤いの!? 」

「いや、少し酔ったかもしれない……」

「大丈夫、師匠? 」

「少し、風に当たれば治る」

「師匠、何かあったらすぐ言ってね」

「わかった、わかった」

「彼は見かけ通り、結構シャイだからね……」
 
 ぬいぬいとオリエラを、見ていた僕にレンは、そうささやいた。

「とりあえず、魔界に足を踏み入れたい意思がある事を、会議では話してみるよ。それと、ぬいぬいはともかく、私は君が敵になれば躊躇ちゅうちょはしないよ」

「それは頭に入れておいて欲しい、勝てるとは思わないが必ず、命をかけて一矢報いっしむくいようと思う」

「わかりました……」

 僕がそう言うとレンはふたたび笑顔になる。

「それまでは、おおいに楽しもうじゃないか。ここは空気も料理も旨い、そして我々が戴くいただ王族の方々は、真摯でとても素晴らしい方々だ」

 レンの声に合わせる様に小鳥が鳴く、道は悪いが馬車から見える景色はとても美しい。レンやぬいぬい、オリエラ、皆良い人たちなのだ。
 
 魔物が、めちゃめちゃ性格が悪かったら、どうすればいいのか……。僕は、フィーナの隣にに立っていられるだろうか。
 
 しかし魔王なら「倒してわからせればいいだろう」いいそうで、僕を余計に悩ませた。

  つづく
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