魔王がやって来たので

もち雪

文字の大きさ
上 下
35 / 158
はじめての異世界

旅の理由

しおりを挟む
 僕はこの世界でどうしたいかと言う、レンの質問へ答えられずにいるとぬいぬいが僕に助け舟を出した。
 
「こいつは、この世界に来たばかりの赤子と同然だ。まだ、その質問は早くないか? 」

「それもそうだが……この子は、このままいくと大人のいい様にされる恐れもあるからね」

「じゃーしばらくは、お前とおれを通す様に言っとけ」

「そのつまりだが、私はハヤトにどうするか聞きたいんだよ」

「どうするんだ? 」
 レンさんと一緒にぬいぬいまで僕の事を見つめ食べる手を止めた。その後ろで心配そうのオリエラが僕を見守っている。

「僕は、魔界の狐の里へ行き、そこで話をしたい人たちがいます。好きな子の……白銀狐しろがねぎつねのフィーナの親族と話しをしに、この世界へやって来たんです」

「なんでそんな事になってんだ? 」
 ぬいぬいが驚き声をあげる。

「運命ってやつですかね? 」

「君は、私達の敵なのかい? 」
 レンの言葉に、みんなの緊張が走る。

「今は、違います、敵対する意思はないです」

「何故、今なんだ? 」ぬいぬいがそう言うと、オリエラは「そうそう」と後追いって言った。

「僕は、フィーナと彼女の事が好きだから、そして彼女の周りに居る誰かも、嫌いになれない」

「えぇー私達より? 」
 オリエラが、レンとぬいぬいの間から顔を出してきた。

「お前は何を、馬鹿な事を聞いてるんだ」

「お前は、みんなに愛され過ぎてそういう事に、どん感なのか? 」

「でも……」

「いいから、お前はあるるのサンドイッチでも食べてろ」

「はい……」

「おい、ヴ……ンなんだ、あれほら」
 そう言うとぬいぬいの顔が、少しづつ赤みをおびてくる。そして小さくため息をついて

「俺も少しあるるの、サンドイッチを食べて来るわ……」とオリエラの横に行ってしまった。

「師匠なんで、そんなに顔が赤いの!? 」

「いや、少し酔ったかもしれない……」

「大丈夫、師匠? 」

「少し、風に当たれば治る」

「師匠、何かあったらすぐ言ってね」

「わかった、わかった」

「彼は見かけ通り、結構シャイだからね……」
 
 ぬいぬいとオリエラを、見ていた僕にレンは、そうささやいた。

「とりあえず、魔界に足を踏み入れたい意思がある事を、会議では話してみるよ。それと、ぬいぬいはともかく、私は君が敵になれば躊躇ちゅうちょはしないよ」

「それは頭に入れておいて欲しい、勝てるとは思わないが必ず、命をかけて一矢報いっしむくいようと思う」

「わかりました……」

 僕がそう言うとレンはふたたび笑顔になる。

「それまでは、おおいに楽しもうじゃないか。ここは空気も料理も旨い、そして我々が戴くいただ王族の方々は、真摯でとても素晴らしい方々だ」

 レンの声に合わせる様に小鳥が鳴く、道は悪いが馬車から見える景色はとても美しい。レンやぬいぬい、オリエラ、皆良い人たちなのだ。
 
 魔物が、めちゃめちゃ性格が悪かったら、どうすればいいのか……。僕は、フィーナの隣にに立っていられるだろうか。
 
 しかし魔王なら「倒してわからせればいいだろう」いいそうで、僕を余計に悩ませた。

  つづく
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

処理中です...