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はじめての異世界
魔法使いのぬいぬいと第二王女エリオラ
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僕はそのまま城の離れの勇者の間で、ほとんどの時間を過ごしていた。
料理なども、執事のシャルルさんがすべて用意もしてくれたので、不便がなかったが早く魔界に行かなければと逸る気持ちもあった。シャルルさんは、食事の時間になると魔法の様に現れ時間通りに去って行った。
庭にの散策にも、もう飽きた頃、レンの言っていた話相手が現れた。
まず、一人目ホイルトツェリオの第二王女のエリオラ。二人目は、魔法使いのぬいぬいだ。
僕の部屋の扉が予定と違う時間に、ノック事におかしいと思いつつ扉を開けると、小学2年生くらいのハニーブロンドの長い髪をした魔法使いの男の子、ぬいぬいが立っていた。その彼の後ろに付き、男の子の肩に手を乗せぴょんぴょん飛び跳ねていた、黒髪の長い髪の中学2年位の女の子がエリオラだった。
ぬいぬいは、部屋へはいると僕に振りかえり言った。
「お前が勇者……だな」
そう言うと、ぬいぬいは大きくため息をついた。まぁまぁ師匠、上には、上がいるものですよ」
「まぁいい、やれ」
「えっ? ここで? 」
エリオラが、驚きの声をあげる。
「ここで」
ぬいぬいは、腕を組み大きくうなづいた。
「仕方ない師匠だな……そういう事だからごめんねぇ」
そう言い彼女は、自分の鞄から木の剣を2本取り出し一本僕に投げて寄越した。それに手を伸ばしかけた時に、彼女が木の剣をおおきく円をえががく様に、振り抜こうとする姿が見えた。かろうじてその攻撃を、避け続けざまに足で、彼女の足を払う。
しかし足にその感触はなく、さっきいた場所より2歩後ろづさった場所に彼女はいた。
(まいったな……)
何とか僕の木の剣を掴み立ち上がる背中に、彼女の剣が入る。
「ヴァぅっ」
声にならない声を出しつつそのまま彼女の服を掴み、彼女を床に引き倒しそのまま彼女の首もとの横に剣の鍔をあて鞘を首に当てがった。
「そこまで!」
ぬいぬいの声が僕を制止するが、それより少し遅く入ったエリオラの蹴りで、僕は気を失ってしまったのだった。
☆★☆★☆
僕が、目を覚ますとエリオラが僕の事を心配そうに見つめていた。
「ごめんね、大丈夫? 」
起き上がろうとした僕を、彼女があわてて静止する。
「待って待つて! 今、ヒーリングを念の為かけて貰ったところだから、しばらく動かないで」
「そんな時間はいらねぇ 魔法を民間療法かなんかと一緒ににするな」
ぬいぬいが言い放つ。
「お前も最後まで気を抜くな、そうすれば防げる怪我だったぞ」
「すみません、どちらさまですか? 」
「もしや勇者……打ち所が悪くて記憶が……」
ぬいぬいもさすがに顔色を変えたが……。
「師匠……」
「なんだ?」
「私達、自分の名前も名乗ってませんよ」
「何!? 」
二人は、顔を見合わせ、少しの間たたずむが、すぐに僕に向きなおる。
「おれは魔法使いのぬいぬい、でこっちが」
「ホイルトツェリオ城の第二王女エリオラです」
「すまなかった……少し気が早かったようだ」
そいってぬいぬいは、頭を下げた。僕は異世界で三日目に王女と戦い、王女をノックアウトされたらしい……。
まったく楽しい異世界生活だ。
つづく
料理なども、執事のシャルルさんがすべて用意もしてくれたので、不便がなかったが早く魔界に行かなければと逸る気持ちもあった。シャルルさんは、食事の時間になると魔法の様に現れ時間通りに去って行った。
庭にの散策にも、もう飽きた頃、レンの言っていた話相手が現れた。
まず、一人目ホイルトツェリオの第二王女のエリオラ。二人目は、魔法使いのぬいぬいだ。
僕の部屋の扉が予定と違う時間に、ノック事におかしいと思いつつ扉を開けると、小学2年生くらいのハニーブロンドの長い髪をした魔法使いの男の子、ぬいぬいが立っていた。その彼の後ろに付き、男の子の肩に手を乗せぴょんぴょん飛び跳ねていた、黒髪の長い髪の中学2年位の女の子がエリオラだった。
ぬいぬいは、部屋へはいると僕に振りかえり言った。
「お前が勇者……だな」
そう言うと、ぬいぬいは大きくため息をついた。まぁまぁ師匠、上には、上がいるものですよ」
「まぁいい、やれ」
「えっ? ここで? 」
エリオラが、驚きの声をあげる。
「ここで」
ぬいぬいは、腕を組み大きくうなづいた。
「仕方ない師匠だな……そういう事だからごめんねぇ」
そう言い彼女は、自分の鞄から木の剣を2本取り出し一本僕に投げて寄越した。それに手を伸ばしかけた時に、彼女が木の剣をおおきく円をえががく様に、振り抜こうとする姿が見えた。かろうじてその攻撃を、避け続けざまに足で、彼女の足を払う。
しかし足にその感触はなく、さっきいた場所より2歩後ろづさった場所に彼女はいた。
(まいったな……)
何とか僕の木の剣を掴み立ち上がる背中に、彼女の剣が入る。
「ヴァぅっ」
声にならない声を出しつつそのまま彼女の服を掴み、彼女を床に引き倒しそのまま彼女の首もとの横に剣の鍔をあて鞘を首に当てがった。
「そこまで!」
ぬいぬいの声が僕を制止するが、それより少し遅く入ったエリオラの蹴りで、僕は気を失ってしまったのだった。
☆★☆★☆
僕が、目を覚ますとエリオラが僕の事を心配そうに見つめていた。
「ごめんね、大丈夫? 」
起き上がろうとした僕を、彼女があわてて静止する。
「待って待つて! 今、ヒーリングを念の為かけて貰ったところだから、しばらく動かないで」
「そんな時間はいらねぇ 魔法を民間療法かなんかと一緒ににするな」
ぬいぬいが言い放つ。
「お前も最後まで気を抜くな、そうすれば防げる怪我だったぞ」
「すみません、どちらさまですか? 」
「もしや勇者……打ち所が悪くて記憶が……」
ぬいぬいもさすがに顔色を変えたが……。
「師匠……」
「なんだ?」
「私達、自分の名前も名乗ってませんよ」
「何!? 」
二人は、顔を見合わせ、少しの間たたずむが、すぐに僕に向きなおる。
「おれは魔法使いのぬいぬい、でこっちが」
「ホイルトツェリオ城の第二王女エリオラです」
「すまなかった……少し気が早かったようだ」
そいってぬいぬいは、頭を下げた。僕は異世界で三日目に王女と戦い、王女をノックアウトされたらしい……。
まったく楽しい異世界生活だ。
つづく
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