魔王がやって来たので

もち雪

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ふたたび動き出す世界

異世界の成り立ち

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 日曜日の朝は、いつまで眠っていられる素敵な曜日だ。

 ただし目の前に居る魔王が、来なければの話だが……。朝早くに、家のチャイムが鳴り……3回目のチャイムまで、ベッドでやり過ごしていた。

「いつまで寝ておる」
 と言う、魔王の声とともに、掛布は剥がされた。

「何故、魔王が!?」

「何故?か……ふむ……」
 そう言うと、魔王は少し考えこんでいるようだった…………。
 
「とりあえず駅前のブレッド佐藤で、買って来たパンで朝食にするぞ。」
 
 魔王は、手に持った紙袋を振りながらそう言うと、キッチンに向かった。
 
「ありがとうございます、いただきます――何をお飲みになられますか?」
 
「買って来た。カフェオーレやいちごジュースならあるぞ」

 紙袋の中身を無造作にキッチンの机の上に転がす。透明なビニール袋にいれられたパンと飲み物が転がり落ちてきた。それを魔王は、1つずつ等間隔に机の上にならべる。

 魔王がキッチンのテーブルに座り、僕もその前に座る。
 
 ブレッド佐藤は、バターの味のしっかり味わえる、サクサクなのだけれど……パラパラこぼれる少し前の独特のな触感のクロワッサンが人気なのだが、それが2つと餡子の入った餡子のクロワッサンが1つ入っている。半熟卵カットされているお惣菜パンに、明太子が練りこまれたフランスパン、カレーパン、チーズのパンなど合わせて10個が堂々と並んでいる。
 
「この2つのパンとカフェオーレいただきます」
 
 
「我はこれとこれをするか――じゃー残りはフィーナの土産するか……」

 そう言うと今度は、丁寧にパンといちごジュースをしまう。

 良いパパである。
 
「今日、彼女は来ないのですか?」
 
「そうだ、これは食事の後に話そう」

(何か魔王にしては歯切れの悪い言い方なような?)

「「いただきます」」

 ぼくは魔王の顔を見つめた。

「なんだ? このパンが食べたいのか?」

「やっー魔王もいただきますって言うんですね――?」
 
「言う者いる。 異世界は、こっちで言う地獄なのだから」
 
「へっ?」

「もともと、こちらの世界の神話では、天とか楽園とか言う存在から、この世界は派生しているのだろう?」


「そこから一段落ちた存在が、異世界ではないか?と異世界の神話から読み取る事が出来る」

「【魔獣王サーグラの伝説】
 ある日、1つの卵が天より落ち、そこから魔獣王サーグラが産まれた。
 サーグラが駆けた後には、植物が生い茂り多くの魔物が生まれた。
 全ての地を駆けた時、サーグラの前に月から卵が落ちて来る。その卵からは輝く様な美しさを持つ、妃ヘルドーラが誕生した。と、言う伝説じゃな」

 朝食時間にいきなり語られる伝説に、僕はいささかめんくらいなが……、静かにその話に耳を傾ける。


「まぁ伝説通りなら、こちらから異世界へ行くのはたやすいのに、逆は一部の力のある者しか出来ないのもうなずける。それについて詳しい文献を探してみたのだが……」

「で、結果は、どうだったんですか?」

「うーん調べていく内に、触れてはいけない存在ってのがあらわれてな……」

「現れる? ですか……?」

「だから、触れてはいかんと言っておるだろう、こちらの世界にもいろいろ居るだろう? 映画でみたぞ」

(映画鑑賞まで……しかも、いろいろ?どれだけエンジョイ勢……)

「そういうわけで、今は書庫の奥の奥の封印の棚に、資料のすべてを封印中だ……やはり戦いが一番だ……」
 そう言い静かにイチゴジュースを飲んだ。


 魔王の話はいつも結果が、伴なわない……。ただの怪談好きなのかもしれないし、ただやばい逸話話を掘り起こしてはいわく付きの危険な得体の知れないを作り出す、危険人物なのかもしれない。
 魔王と言う役職だけで、後者な気は十分にする。

「甘いな……これ……」
 魔王は、僕の猜疑心など知らずに、呑気なものである。

 つづく
 
 
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