魔王がやって来たので

もち雪

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ふたたび動き出す世界

魔族の大学散歩

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 あれから夢の様な講義の時間は、一通り終わり。僕達は、購買へまず向かった。購買には、教科書や書籍、文具、パソコン用品、食品などいろいろな物が売っているの、フィーナはで1つ1つ関心しながら見ていた。

「あっ、こういう湯飲みを魔王様も、お使いなのですよ」

「へーやっぱりこういうのに、こだわるんだねーうちで緑茶をコーヒーカップで出した時、なんだか不満そうだったから――」

「そうですね……、一時期、ホビットの長老と湯飲みを作れ、作らないで少し険悪なムードになりましたからね……」
 フィーナの表情に少し影が落ちる……聞いてはダメな事なだったかもしれない……。

「話は変わるけど、フィーナや魔王さんにもおみあげ持って帰って貰おうとおもって――何か、気に入ったものはあるかな?」

「いいのですか?」

「うん、いいよ」
 そう言うと、フィーナは狐というより、子リスの様にいろいろ見てる。ふと、フィーナは昔ながらの飴に目を留める。懐かしい昔を思い出しているような、少し哀しい事を思い出しているような、複雑な気持ちがその表情に現れては消える。
 
 そして少し目をふせ考え込むと、違う商品へと目を移した。

 15分ほど悩んだフィーナが、選んだのは魔王の好きそうな緑茶だった。
「これにします」

「じゃー僕はこれとこれ」と言って餡子あんこのお茶菓子と彼女の迷っていた飴のいちご味。

 彼女が少し苦笑する。
「見てたのですか?」

「そうだね、見飽きなかったからね」
 その後、二人で赤い顔をして会計に並んだのだけど……ね。その後、フィーナに大学の案内をしつつ、大学の七不思議の話などしたのだけれど。

「あ――そういう事もありますよね」と言って、怖さが2段階位上のこわい話を世間話としてするので……。

 見知らぬ魔界への旅路の為に、最近また始めた剣道の稽古時間を、もっと長くするぞと胸に誓うのだった。

 食堂に着くとあっさり、魔王は見つかった。正確に言うと、魔王を取りまく集団を見つけた。周りにいる人だかりは、魔王に英語やフランス語や様々な語学で話しかけている。魔王は、見た目異国の男性で、落ち着いた感じの紳士風なので……うちの大学の好奇心旺盛な連中には見逃せない人材だったのだろう……。魔王も何かよくわからない言語で話しているが、まったく通じてないようだ。
 
 気が付くとフィーナが人込みをかき分け魔王の元に行くと……。

「南オークの言葉は、あっちの人もわかりませんよ」と、さも呆れたと言う風に言う。
 
「それもそうだな」
 と、言って魔王はニャリと笑うのだった。

 つづく
 
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