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アプリで知り合ったイケおじとソフトSMプレイに挑戦する話
13 カラオケでイチャイチャ
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この前は色々あったけど、またすぐ秋雄さんと会うことになった。
秋雄さんはいつも昼頃に帰ってくる。それから俺の父さんが帰ってくるまでの間、服のお礼と称してまたいつもようにあんなことやこんなことする……はずだったが今回は違う。
秋雄さんは午後から用事があったのを忘れていたのだ。
前日に「時間がないから今度にしよう。ごめんね」とLINEが来たけど「昼飯食う時間もない?」と食い下がると「それくらいなら」と了承してくれた。
ちょっと無理矢理だったかな?と思ったけど秋雄さんの顔が見たかった。落ち込んだり傷ついたりしていないか心配だったし、いやらしいことしないでちゃんと謝りたかった。
夏休みなだけあって人で賑わっている駅前の広場で、秋雄さんがスマホをいじって立っている。
「ごめん、遅くなっちゃった!」
「あ、いいよ。俺も今来たし」
走って駆け寄ると秋雄さんはパッと顔を上げさらに目を細くして微笑む。毎回この笑顔にキュンとしてしまう……。
仕事帰りで下は作業着っぽいが上は私服に着替えていてボーダーの半袖シャツで、フワッとデオドラントの香りとタバコの臭いがした。これが秋雄さんの匂いだった。
「暑いね」
「うん、日焼けしちゃう」
「気にしてんだ、そういうの」
「まぁね~」
なんとなく会話がぎこちない。そりゃそうだろって感じだけど……。
そんな思いをかき消すためこの暑さに意識を向ける。
降り注ぐ太陽とアスファルトの反射熱で焼かれ歩いてるだけで結構汗をかくし、のぼせたように頬が熱い。
別に日焼けして肌が黒くなるのは構わない。ただ紫外線によってシミやシワができるのがイヤだった。
トモナガさんは今まで可愛がってきた人たちの中で俺が一番若いと言った。無駄な抵抗だとわかっているがこの十代特有の若い肌や髪を保っていたい。だから女みたいに日焼け止めや化粧水を塗るし、髪も自然乾燥はやめてブローしている。
大河や光太郎は女みたいだって笑うだろうし、こういった努力をトモナガさんに知られるのは恥ずかしい。
秋雄さんはファッションやビジュアルに興味なさそうだから、着飾らなくて気楽だ。
自分をさらけ出してるってのとは違う。どうせヤるだけだし……と怠けているだけだ。
今日だって全然おしゃれじゃないし……こんなダサい格好でトモナガさんに会いたくない。
「とりあえず飯行こうか。ゆうはなんか食いたいモンとかある?」
ゆうって呼ばれてドキッとする。エッチする時以外は大体ゆうって呼ばれるし敬語も使わない。俺はこっちの方が好きなんだけど……ま、いっか。
「なんでもいいよ」と答えると「2人きりになりたい」とカラオケに連れて行かれた。
フロントで「おタバコはお吸いになりますか?」と店員に尋ねられると、秋雄さんは申し訳なさそうな顔で俺を見た。
「いいよ、吸っても」
「ごめん、ありがと」
部屋の番号と利用時間などが書かれた紙とドリンクバーのジュースを持って案内された部屋に入り、秋雄さんはすぐにタバコを吸った。美味そうな感じはしなくて緊張を紛らわすために吸っているように見えた。
狭い部屋の中に煙がフワッと漂い、すぐ隣に座っていた俺はいけないと思いつつ我慢できずむせてしまった。
「あ、ごめん、ホント」
慌てて十分残っているタバコを灰皿に押し当てて消そうとするので逆に俺が慌てて止める。
「気にしないで!もったいないじゃん!」
「いや、でも」
「じゃあ1本だけにして。あとは我慢してね」
「あぁ、そうするかな」
秋雄さんは俺に押される形でまたタバコを吸う。タバコを挟んでいない左手がもどかしそうにテーブルをカリカリと引っ掻いていた。
「タバコ吸ってる人、かっこいいもん。好きだよ」
「ゆうは吸わないの?」
「うん。吸わない」
高いし、美容にも健康にも悪いからだ。
「お父さんとか彼氏さんは吸わないの?」
「親父は禁煙成功してそれから吸ってないな……トモナガさんは……あ、彼氏のことね。そういや禁煙中って言ってたかも」
「禁煙かぁ。中学校の時から吸ってたから吸わないっての信じられねぇなあ」
「あはは、やっぱり不良だったんだ。ピアスの痕すごいよね」
塞がった穴が連なった耳たぶを指差すと「そうでしょ」と笑った。
そうこうしているうちにタバコは吸い終わりリラックスしたムードが流れる。
デンモクでフードを注文すると話題は自然に前に会った時のことになる。
「……この前はズボンとタオルありがとう。みっともない真似してごめん」
「ううん、俺もなんかわけわかんなくなって……イライラしてて……酷いことしちゃった。なんであんなことしたんだろって自分でも思ってる」
こうやって話してるのが不思議なくらい酷いことをした。秋雄さんはそんな俺とまだ別れたくないと言っていた。
「あのさ、ゆうは俺が嫌って言い出せないって……思ってる?」
「……うん。あんなに痛がって辛そうにしてるのになんでって……」
「それは潮吹きの時……だよな?」
素面で潮吹きと言うのが恥ずかしいのかカッと頬が赤くなる。かわいいなぁって思いを堪えて頷くと、「ちょっとこれ見て欲しい」ってスマホをテーブルの上に出し動画を再生する。
全裸の男がベッドの上で拘束され足を開いて寝かされている。股の間にスーツの男が座り屈辱的な言葉を浴びせながら亀頭を執拗にローションガーゼで擦っている。
全裸の男は苦悶の表情を浮かべながら喘ぎ声ではなくうめき声を上げていた。
『う、うおぉお……やめてくれ……痛い……』
『やめてもいいけど、そしたらアンタの家族がどうなるかわかってんのかよ?』
『うっ、そ、それだけは……!』
この動画は仕事でミスした男が家族を人質に取られ上司のオモチャにされる……という内容のM向けのAVだった。
男優が一際大声を上げ、潮という名のおしっこを撒き散らし気を失ったところで動画を停止する。
「最近こういうのにハマってて……ゆうがしてくれるって言うからラッキーだな~って思ってて」
「えーと、こういうのってのは?」
「ずーっと亀頭だけ責められて無理矢理潮吹かされるみたいな……」
秋雄さんの言いたいことがなんとなくわかって「イヤとか痛いとか言ってもやめないみたいな?」と念を押すよう尋ねると気まずそうだが大きく頷く。
「ゆうは俺が嫌って言えないようなヤツだと思ってるかも知れないけど……それは誤解だよ。
そもそもゆうは俺が嫌がるようなことしてないし……。
ちゃんとあの合言葉……なんて言うんだっけ?セーフワード?も決めてくれたし……。
だから安心して思いっきり妄想通りに乱れたっていうか……ギャーギャー喚いた分気持ちよかった……」
「気持ちいい?って聞いたらわかんないって言ったじゃん……」
「潮吹き自体は気持ちいいとかはわからなかったよ。でもそれが逆に……すっごい良かった。自分でやってみたけど手加減して結局できなかったからさ。やってもらえて嬉しかった」
「そうだったんだぁ……」
苦痛でしかないと思っていた潮吹きだが、秋雄さんはちゃんと感じてて痛みでもがく自分に酔っていたのだ。
それなのに俺は……勝手に自分の意見が言えないヤツだと決めつけてイライラしていたのだ。
脱力してガクッとうなだれてしまう。なにもかも俺の思い込みだったなんて……。
みっともなく丸めた背中を秋雄さんが優しく撫でてくれる。温かくて気持ちいい。
「ゆうがなんで怒ってるかわからなかった。
あの時に気付いて、ちゃんと気持ちよかった、嫌じゃなかったって説明できたらよかったんだけど……気ィ動転してダメだった。その後もまた……気持ちよくなりすぎて、その、漏らしたし……情けねーなー、俺……」
情けなくなんかないと言いたくて顔を上げようとしたけど、できなかった。
「恥ずかしいからこの前のことは忘れて欲しいな。綺麗さっぱりなかったことにして、また色々してほしいよ。ゆうがよかったらだけど」
そこでようやく顔を上げると秋雄さんは上機嫌な顔でニコニコしている。
「いいに決まってんじゃん!」
「良かった」
ドアがノックされ店員さんが注文したものを持って入ってくる。
秋雄さんは腹が減っていたようで言葉の続きを言わないままスパゲッティにがっつく。あとピザも頼んだようだ。俺は家に帰ったら父さんが作り置きしてくれた昼飯があるからワッフルにした。
「秋雄さんって一人暮らし?」
「うん。そうだよ」
「ご飯とかどうしてんの?」
「外で食うか惣菜とレトルトだなぁ」
「そっかぁ」
寂しいね、と言いかけてやめる。
「あのさぁ、無理だったらホントいいんだけど」と前置きをして口に残ったスパゲッティを飲み込んでから語り出す。
「上からそろそろ有休消化してくれって言われてさ、予定もないから適当に次の水曜を有休にしたんだけど……丸1日休みだからもしよかったらゆうとどっか行きたいなって……思ったりしたんですけど……」
……エッチのお誘いじゃなくてデートのお誘いってこと?
秋雄さんは自信なさげにどんどん声が小さくなり最後は敬語になっていた。
「え……行きたい!!めっちゃ嬉しい!!デートじゃん!」
俺が興奮して大声を出すと言い出した秋雄さんがビックリしている。
「え……いいの?」
「いいに決まってんじゃん!もう大歓迎!」
「彼氏さん怒んない?」
「えー怒んないよ。トモナガさん、病気に気をつけてればセフレも恋人も作ってもいいって言ってるし。結婚してる人は手を出さないみたいだけど」
「恋人はいいんだね……」
「うん。結婚してないと慰謝料請求できないみたいだから恋人はいいんだって」
秋雄さんはあからさまに顔をしかめる。法が及ばないから浮気で人の心を傷つけても罰はない。以前、トモナガさんは「社会的制裁ってやつも効かないし……」と言っていたし、いろんな意味で無敵だ。
しかし実際のところトモナガさんが可愛がっている人たちに恋人やセフレがいるのかはわからない。俺は嫉妬してしまうから他の人のことを聞きたくなくて何も言わないでってお願いしてあるからだ。
「ゆうは行きたいところとかある?やっぱ買い物とか?」
「買い物は別に他の人とできるし……デートって言ったら美術館とか水族館かなぁ。女の子とプラネタリウムには行ったことあるけど、つまんなかった」
「女の子と?」
「あ、言ってなかったっけ?俺バイで彼女もいたんだよ」
「そうなんだ、てっきりオッサンにしか勃たないと思ってた」
「ふふふ、可愛かったらイケるんだよね」
ワッフルの生クリームだけを掬い取って食べる。
そういえばワッフルとかパンケーキも食べに行ったなぁ。
「考えても決まんないし……秋雄さんが行きたい場所に連れて行ってよ」
「俺の行きたい場所か……競馬場とかパチンコかもよ?」
「ギャンブル好きなの?」
「あはは、全然やらねぇよ。……じゃあ、考えとくね」
「そしたら当日まで秘密にしててね。楽しみにしてる!」
「うーんそう言われると……」
「もう、そんな顔しないで!秋雄さんとならどこ行っても楽しいって」
秋雄さんは俺の理想の男だ。見てるだけ……視姦してるだけで十分楽しいからお世辞じゃない。
俺はまだ子供だからトモナガさんとデートしたことないし……わりと本気でワクワクしちゃう。
眉を寄せて考えを巡らせる秋雄さんにふざけて密着するよう抱きつくとギョッとされる。
「え……す、するの?」
「あー、違う違う!」
誤解されてしまい、慌てて身を引く。ここでヤッたら通報されるかも知れない。秋雄さんもホッとしてピザを頬張り始める。
「いじめられるのは好きだけど、人に見つかりそうな場所でヤるのって好きじゃないんだよね。露出とか青姦とか。捕まるかも知れないのによくやるよな~って思う」
「そっかあ。まぁそれはみんな同じだよね。他に嫌いなことってない?」
「えー、道具使うのも嫌だな。自分でも使わないようにしてるし。クセになってそれなきゃイケない体になりそうじゃん」
「うんうん、わかるわかる」
「ゆうはそういうのないの?」
「えー……強いて言えば3Pとか?スワッピングとか?他の人としてるのとか絶対見たくない。嫉妬しちゃうから……」
「そっか。俺もそういうの無理だなぁ。AVでもさ、急に何人も出てくると萎える」
「……1人のご主人様にじっくりいじめられるのが好きってこと?」
俺のいやらしい質問に秋雄さんはちょっと恥ずかしそうにして「そういうこと」と答え、笑った。
秋雄さんと別れ家に帰って早々にシャワーを浴び、服を洗濯して染み付いた汗とタバコの臭いを洗い流す。
高校生の息子からタバコの臭いがしたら親はどう思うんだろうか。そんな風に考えながら父さんが帰宅する前にとっとと証拠隠滅した。
秋雄さんはいつも昼頃に帰ってくる。それから俺の父さんが帰ってくるまでの間、服のお礼と称してまたいつもようにあんなことやこんなことする……はずだったが今回は違う。
秋雄さんは午後から用事があったのを忘れていたのだ。
前日に「時間がないから今度にしよう。ごめんね」とLINEが来たけど「昼飯食う時間もない?」と食い下がると「それくらいなら」と了承してくれた。
ちょっと無理矢理だったかな?と思ったけど秋雄さんの顔が見たかった。落ち込んだり傷ついたりしていないか心配だったし、いやらしいことしないでちゃんと謝りたかった。
夏休みなだけあって人で賑わっている駅前の広場で、秋雄さんがスマホをいじって立っている。
「ごめん、遅くなっちゃった!」
「あ、いいよ。俺も今来たし」
走って駆け寄ると秋雄さんはパッと顔を上げさらに目を細くして微笑む。毎回この笑顔にキュンとしてしまう……。
仕事帰りで下は作業着っぽいが上は私服に着替えていてボーダーの半袖シャツで、フワッとデオドラントの香りとタバコの臭いがした。これが秋雄さんの匂いだった。
「暑いね」
「うん、日焼けしちゃう」
「気にしてんだ、そういうの」
「まぁね~」
なんとなく会話がぎこちない。そりゃそうだろって感じだけど……。
そんな思いをかき消すためこの暑さに意識を向ける。
降り注ぐ太陽とアスファルトの反射熱で焼かれ歩いてるだけで結構汗をかくし、のぼせたように頬が熱い。
別に日焼けして肌が黒くなるのは構わない。ただ紫外線によってシミやシワができるのがイヤだった。
トモナガさんは今まで可愛がってきた人たちの中で俺が一番若いと言った。無駄な抵抗だとわかっているがこの十代特有の若い肌や髪を保っていたい。だから女みたいに日焼け止めや化粧水を塗るし、髪も自然乾燥はやめてブローしている。
大河や光太郎は女みたいだって笑うだろうし、こういった努力をトモナガさんに知られるのは恥ずかしい。
秋雄さんはファッションやビジュアルに興味なさそうだから、着飾らなくて気楽だ。
自分をさらけ出してるってのとは違う。どうせヤるだけだし……と怠けているだけだ。
今日だって全然おしゃれじゃないし……こんなダサい格好でトモナガさんに会いたくない。
「とりあえず飯行こうか。ゆうはなんか食いたいモンとかある?」
ゆうって呼ばれてドキッとする。エッチする時以外は大体ゆうって呼ばれるし敬語も使わない。俺はこっちの方が好きなんだけど……ま、いっか。
「なんでもいいよ」と答えると「2人きりになりたい」とカラオケに連れて行かれた。
フロントで「おタバコはお吸いになりますか?」と店員に尋ねられると、秋雄さんは申し訳なさそうな顔で俺を見た。
「いいよ、吸っても」
「ごめん、ありがと」
部屋の番号と利用時間などが書かれた紙とドリンクバーのジュースを持って案内された部屋に入り、秋雄さんはすぐにタバコを吸った。美味そうな感じはしなくて緊張を紛らわすために吸っているように見えた。
狭い部屋の中に煙がフワッと漂い、すぐ隣に座っていた俺はいけないと思いつつ我慢できずむせてしまった。
「あ、ごめん、ホント」
慌てて十分残っているタバコを灰皿に押し当てて消そうとするので逆に俺が慌てて止める。
「気にしないで!もったいないじゃん!」
「いや、でも」
「じゃあ1本だけにして。あとは我慢してね」
「あぁ、そうするかな」
秋雄さんは俺に押される形でまたタバコを吸う。タバコを挟んでいない左手がもどかしそうにテーブルをカリカリと引っ掻いていた。
「タバコ吸ってる人、かっこいいもん。好きだよ」
「ゆうは吸わないの?」
「うん。吸わない」
高いし、美容にも健康にも悪いからだ。
「お父さんとか彼氏さんは吸わないの?」
「親父は禁煙成功してそれから吸ってないな……トモナガさんは……あ、彼氏のことね。そういや禁煙中って言ってたかも」
「禁煙かぁ。中学校の時から吸ってたから吸わないっての信じられねぇなあ」
「あはは、やっぱり不良だったんだ。ピアスの痕すごいよね」
塞がった穴が連なった耳たぶを指差すと「そうでしょ」と笑った。
そうこうしているうちにタバコは吸い終わりリラックスしたムードが流れる。
デンモクでフードを注文すると話題は自然に前に会った時のことになる。
「……この前はズボンとタオルありがとう。みっともない真似してごめん」
「ううん、俺もなんかわけわかんなくなって……イライラしてて……酷いことしちゃった。なんであんなことしたんだろって自分でも思ってる」
こうやって話してるのが不思議なくらい酷いことをした。秋雄さんはそんな俺とまだ別れたくないと言っていた。
「あのさ、ゆうは俺が嫌って言い出せないって……思ってる?」
「……うん。あんなに痛がって辛そうにしてるのになんでって……」
「それは潮吹きの時……だよな?」
素面で潮吹きと言うのが恥ずかしいのかカッと頬が赤くなる。かわいいなぁって思いを堪えて頷くと、「ちょっとこれ見て欲しい」ってスマホをテーブルの上に出し動画を再生する。
全裸の男がベッドの上で拘束され足を開いて寝かされている。股の間にスーツの男が座り屈辱的な言葉を浴びせながら亀頭を執拗にローションガーゼで擦っている。
全裸の男は苦悶の表情を浮かべながら喘ぎ声ではなくうめき声を上げていた。
『う、うおぉお……やめてくれ……痛い……』
『やめてもいいけど、そしたらアンタの家族がどうなるかわかってんのかよ?』
『うっ、そ、それだけは……!』
この動画は仕事でミスした男が家族を人質に取られ上司のオモチャにされる……という内容のM向けのAVだった。
男優が一際大声を上げ、潮という名のおしっこを撒き散らし気を失ったところで動画を停止する。
「最近こういうのにハマってて……ゆうがしてくれるって言うからラッキーだな~って思ってて」
「えーと、こういうのってのは?」
「ずーっと亀頭だけ責められて無理矢理潮吹かされるみたいな……」
秋雄さんの言いたいことがなんとなくわかって「イヤとか痛いとか言ってもやめないみたいな?」と念を押すよう尋ねると気まずそうだが大きく頷く。
「ゆうは俺が嫌って言えないようなヤツだと思ってるかも知れないけど……それは誤解だよ。
そもそもゆうは俺が嫌がるようなことしてないし……。
ちゃんとあの合言葉……なんて言うんだっけ?セーフワード?も決めてくれたし……。
だから安心して思いっきり妄想通りに乱れたっていうか……ギャーギャー喚いた分気持ちよかった……」
「気持ちいい?って聞いたらわかんないって言ったじゃん……」
「潮吹き自体は気持ちいいとかはわからなかったよ。でもそれが逆に……すっごい良かった。自分でやってみたけど手加減して結局できなかったからさ。やってもらえて嬉しかった」
「そうだったんだぁ……」
苦痛でしかないと思っていた潮吹きだが、秋雄さんはちゃんと感じてて痛みでもがく自分に酔っていたのだ。
それなのに俺は……勝手に自分の意見が言えないヤツだと決めつけてイライラしていたのだ。
脱力してガクッとうなだれてしまう。なにもかも俺の思い込みだったなんて……。
みっともなく丸めた背中を秋雄さんが優しく撫でてくれる。温かくて気持ちいい。
「ゆうがなんで怒ってるかわからなかった。
あの時に気付いて、ちゃんと気持ちよかった、嫌じゃなかったって説明できたらよかったんだけど……気ィ動転してダメだった。その後もまた……気持ちよくなりすぎて、その、漏らしたし……情けねーなー、俺……」
情けなくなんかないと言いたくて顔を上げようとしたけど、できなかった。
「恥ずかしいからこの前のことは忘れて欲しいな。綺麗さっぱりなかったことにして、また色々してほしいよ。ゆうがよかったらだけど」
そこでようやく顔を上げると秋雄さんは上機嫌な顔でニコニコしている。
「いいに決まってんじゃん!」
「良かった」
ドアがノックされ店員さんが注文したものを持って入ってくる。
秋雄さんは腹が減っていたようで言葉の続きを言わないままスパゲッティにがっつく。あとピザも頼んだようだ。俺は家に帰ったら父さんが作り置きしてくれた昼飯があるからワッフルにした。
「秋雄さんって一人暮らし?」
「うん。そうだよ」
「ご飯とかどうしてんの?」
「外で食うか惣菜とレトルトだなぁ」
「そっかぁ」
寂しいね、と言いかけてやめる。
「あのさぁ、無理だったらホントいいんだけど」と前置きをして口に残ったスパゲッティを飲み込んでから語り出す。
「上からそろそろ有休消化してくれって言われてさ、予定もないから適当に次の水曜を有休にしたんだけど……丸1日休みだからもしよかったらゆうとどっか行きたいなって……思ったりしたんですけど……」
……エッチのお誘いじゃなくてデートのお誘いってこと?
秋雄さんは自信なさげにどんどん声が小さくなり最後は敬語になっていた。
「え……行きたい!!めっちゃ嬉しい!!デートじゃん!」
俺が興奮して大声を出すと言い出した秋雄さんがビックリしている。
「え……いいの?」
「いいに決まってんじゃん!もう大歓迎!」
「彼氏さん怒んない?」
「えー怒んないよ。トモナガさん、病気に気をつけてればセフレも恋人も作ってもいいって言ってるし。結婚してる人は手を出さないみたいだけど」
「恋人はいいんだね……」
「うん。結婚してないと慰謝料請求できないみたいだから恋人はいいんだって」
秋雄さんはあからさまに顔をしかめる。法が及ばないから浮気で人の心を傷つけても罰はない。以前、トモナガさんは「社会的制裁ってやつも効かないし……」と言っていたし、いろんな意味で無敵だ。
しかし実際のところトモナガさんが可愛がっている人たちに恋人やセフレがいるのかはわからない。俺は嫉妬してしまうから他の人のことを聞きたくなくて何も言わないでってお願いしてあるからだ。
「ゆうは行きたいところとかある?やっぱ買い物とか?」
「買い物は別に他の人とできるし……デートって言ったら美術館とか水族館かなぁ。女の子とプラネタリウムには行ったことあるけど、つまんなかった」
「女の子と?」
「あ、言ってなかったっけ?俺バイで彼女もいたんだよ」
「そうなんだ、てっきりオッサンにしか勃たないと思ってた」
「ふふふ、可愛かったらイケるんだよね」
ワッフルの生クリームだけを掬い取って食べる。
そういえばワッフルとかパンケーキも食べに行ったなぁ。
「考えても決まんないし……秋雄さんが行きたい場所に連れて行ってよ」
「俺の行きたい場所か……競馬場とかパチンコかもよ?」
「ギャンブル好きなの?」
「あはは、全然やらねぇよ。……じゃあ、考えとくね」
「そしたら当日まで秘密にしててね。楽しみにしてる!」
「うーんそう言われると……」
「もう、そんな顔しないで!秋雄さんとならどこ行っても楽しいって」
秋雄さんは俺の理想の男だ。見てるだけ……視姦してるだけで十分楽しいからお世辞じゃない。
俺はまだ子供だからトモナガさんとデートしたことないし……わりと本気でワクワクしちゃう。
眉を寄せて考えを巡らせる秋雄さんにふざけて密着するよう抱きつくとギョッとされる。
「え……す、するの?」
「あー、違う違う!」
誤解されてしまい、慌てて身を引く。ここでヤッたら通報されるかも知れない。秋雄さんもホッとしてピザを頬張り始める。
「いじめられるのは好きだけど、人に見つかりそうな場所でヤるのって好きじゃないんだよね。露出とか青姦とか。捕まるかも知れないのによくやるよな~って思う」
「そっかあ。まぁそれはみんな同じだよね。他に嫌いなことってない?」
「えー、道具使うのも嫌だな。自分でも使わないようにしてるし。クセになってそれなきゃイケない体になりそうじゃん」
「うんうん、わかるわかる」
「ゆうはそういうのないの?」
「えー……強いて言えば3Pとか?スワッピングとか?他の人としてるのとか絶対見たくない。嫉妬しちゃうから……」
「そっか。俺もそういうの無理だなぁ。AVでもさ、急に何人も出てくると萎える」
「……1人のご主人様にじっくりいじめられるのが好きってこと?」
俺のいやらしい質問に秋雄さんはちょっと恥ずかしそうにして「そういうこと」と答え、笑った。
秋雄さんと別れ家に帰って早々にシャワーを浴び、服を洗濯して染み付いた汗とタバコの臭いを洗い流す。
高校生の息子からタバコの臭いがしたら親はどう思うんだろうか。そんな風に考えながら父さんが帰宅する前にとっとと証拠隠滅した。
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