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異形手紙
異形手紙(3)
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私が足を止めたのは白く、大きく新しめな建物。
間違いなく3月まで通っていた高校だ。
母さんも通ったという、そして今は妹の灯火が勉学に勤しむ我等が母校。
母さんが通ったという事からも、歴史は長いようだ。4年前に建て替えが行われ、私は出来たてホヤホヤの校舎で授業を受けていた。
何故ここで足を止めたのか自分でもわからなかったけど、ここに何かがあるのは感じた。
「蛍火君、誰かに見つかると厄介だからそろそろ中に入ろう。この学校は裏門とか、忍び込んでもバレなさそうな入口はあるかい?」
「確か…裏門があったはずです。もう使われてないですが、よじ登れば入れると思います。」
センサー的なものはなかったはずだ。
というよりも目の前の正門や校内にセンサーが付いているという話は聞いた事ないが、実際はどうなのだろう。
「何かの縁があってここに赴いたと思うのだけど、君の母校だったりするのかな?」
「そうです、3月に卒業した高校です。結衣もここに一緒に通っていました。」
裏門まで着いた私達は身長よりやや高い門をよじ登って越え、昇降口を目指した。
「それにしても身長が低いと大変だ、蛍火君くらいの身長は欲しいね…」
鳴味少女(年齢不詳)は背が低いので門を越えるのも大変そうだった。
しかし、本当に何歳くらいなのだろうか?声は落ち着いてはいるが。
「蛍火君、私の頭から爪先まで見ていても年齢なんてわからないよ。まあ、端的に言うと私は25歳だ。」
25歳かぁ…25歳?
「25歳!?こんなに、いや、すみません。」
「こんなに、については後でじっくりと聞かせてもらうね?ほら、玄関のドアのカギが空いている、というか壊されている。中へ急ごう。」
そうして真っ暗な校内へ入っていった。
非常ベルの赤ランプくらいしか灯りは無く、スマホのライトを使って道を照らした。
「そうだ、すっかり言うのを忘れてたけどちゃんとスマホは持ってきていたみたいだね。念の為に連絡先を ー 」
ガタガタッ
ドン
目の前の教室から大きな音がした。
ガラッ
鳴味は素早く教室内を確認する。
用具入れに向かい、ドアを開ける。
すると、そこには黒い糸で体をぐるぐる巻きにされた結衣がいた。
「結衣っ!」
2人で協力し、ロッカーから教室の床に寝かせて、何とか口の糸から解く。
とても苦しそうだ、何で結衣がこんな事に。
「んぐっ、はぁ、蛍火ぁ…」
「うぅ…ごめんね、結衣」
糸は少し解きづらく、ハサミを見つけてそれで全身に巻かれた糸を切っていった。プツ、プツと切っている感じが、糸というよりも髪の毛に近かった。
「良かった…蛍火を探して、なんだか高校にいる気がして、来てみたらここに閉じ込められて、でも蛍火が見つかって良かった…」
「私も結衣が見つかって良かった…え…?」
結衣が私を探していた?
「待って結衣、それってど 」
ガラガラガラ…
教室のドアがゆっくり開き、
空気が張り詰める。
時間が止まる。
心の臓に氷柱が刺さる。
誰かに見つかった?、と考える間もなく。
ワタシ ミイツケタ
間違いなく3月まで通っていた高校だ。
母さんも通ったという、そして今は妹の灯火が勉学に勤しむ我等が母校。
母さんが通ったという事からも、歴史は長いようだ。4年前に建て替えが行われ、私は出来たてホヤホヤの校舎で授業を受けていた。
何故ここで足を止めたのか自分でもわからなかったけど、ここに何かがあるのは感じた。
「蛍火君、誰かに見つかると厄介だからそろそろ中に入ろう。この学校は裏門とか、忍び込んでもバレなさそうな入口はあるかい?」
「確か…裏門があったはずです。もう使われてないですが、よじ登れば入れると思います。」
センサー的なものはなかったはずだ。
というよりも目の前の正門や校内にセンサーが付いているという話は聞いた事ないが、実際はどうなのだろう。
「何かの縁があってここに赴いたと思うのだけど、君の母校だったりするのかな?」
「そうです、3月に卒業した高校です。結衣もここに一緒に通っていました。」
裏門まで着いた私達は身長よりやや高い門をよじ登って越え、昇降口を目指した。
「それにしても身長が低いと大変だ、蛍火君くらいの身長は欲しいね…」
鳴味少女(年齢不詳)は背が低いので門を越えるのも大変そうだった。
しかし、本当に何歳くらいなのだろうか?声は落ち着いてはいるが。
「蛍火君、私の頭から爪先まで見ていても年齢なんてわからないよ。まあ、端的に言うと私は25歳だ。」
25歳かぁ…25歳?
「25歳!?こんなに、いや、すみません。」
「こんなに、については後でじっくりと聞かせてもらうね?ほら、玄関のドアのカギが空いている、というか壊されている。中へ急ごう。」
そうして真っ暗な校内へ入っていった。
非常ベルの赤ランプくらいしか灯りは無く、スマホのライトを使って道を照らした。
「そうだ、すっかり言うのを忘れてたけどちゃんとスマホは持ってきていたみたいだね。念の為に連絡先を ー 」
ガタガタッ
ドン
目の前の教室から大きな音がした。
ガラッ
鳴味は素早く教室内を確認する。
用具入れに向かい、ドアを開ける。
すると、そこには黒い糸で体をぐるぐる巻きにされた結衣がいた。
「結衣っ!」
2人で協力し、ロッカーから教室の床に寝かせて、何とか口の糸から解く。
とても苦しそうだ、何で結衣がこんな事に。
「んぐっ、はぁ、蛍火ぁ…」
「うぅ…ごめんね、結衣」
糸は少し解きづらく、ハサミを見つけてそれで全身に巻かれた糸を切っていった。プツ、プツと切っている感じが、糸というよりも髪の毛に近かった。
「良かった…蛍火を探して、なんだか高校にいる気がして、来てみたらここに閉じ込められて、でも蛍火が見つかって良かった…」
「私も結衣が見つかって良かった…え…?」
結衣が私を探していた?
「待って結衣、それってど 」
ガラガラガラ…
教室のドアがゆっくり開き、
空気が張り詰める。
時間が止まる。
心の臓に氷柱が刺さる。
誰かに見つかった?、と考える間もなく。
ワタシ ミイツケタ
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