363 / 480
第363話
しおりを挟む
ヨシナリは大きく息を吐く。
相手がこちらを舐めていなければ勝つ事は難しかっただろう。
もう一度やれば確実に負けるであろう相手だったが、次の機会はお互いに本当に愛機を駆っての物になるだろう。 その時はまた別の手で潰せばいい。
エラーを大量に吐いて見え辛いが一応は視界は生きている。
まんまるはどうなったのかと確認するとちょうど一機撃破した所だった。
「や、やりましたぁ。 一機仕留めましたよぉ!」
「お疲れ様です。 残り一機、油断せずに仕留めましょう」
どうやら最後の一機はタヂカラオの支援に専念していたお陰でまんまるの方へはあまり意識を割いていなかったようだ。 まさか返り討ちに遭うとは思わなかったようで、動きにはかなりの動揺が見えた。
そんな相手は敵ではなく、まんまるが追い込んでヨシナリが狙撃して決着。 勝利となった。
「さ、流石ですぅ、タヂカラオさんに勝つなんて凄いですぅ! 」
控室に戻ったと同時にまんまるがわっしょいわっしょいと持ち上げ始めた。
それを苦笑して流し、今回も碌に活躍できなかったホーコートは変わらずに不貞腐れた態度だ。
ヨシナリは内心で小さく溜息を吐く。 そろそろきつくなってきたからだ。
今回の勝ちは実際、運の割合が大きい。
ヨシナリの機体は足回りに不安を抱えており、タヂカラオはヨシナリを手下に欲しがっていた。
恐らくは実力差を見せつけて心を折り、後でまたスカウトをかけようとでも考えていたのだろう。
本気で仕留めたいのならもっと早く勝負をかける事が出来たはずだ。
それをやらなかったのは勝ち方にこだわったから。 結局、そこに隙が生まれた結果、勝ちを拾えたのだが、最後のマウントを取った後に関してもギャンブルだった。
相手はヨシナリよりも遥かに高い近接スキルを持っており、タックルが成功するか怪しい上、マウントを取れたとしても頭突きで頭部をどの程度破壊で出来るのかもギャンブルだ。
場合によってはヨシナリの視界も死んでいた可能性がある。 拳銃を奪う所までは組み立ててはいたが、視界を奪う事に失敗、または自分の視界が死んだ場合、取れなかった可能性が高い。
考えれば考えるほどに再現性が薄い運任せの戦い方だった。
勝てたのだから良かったと気楽に考えたい所ではあるが、次以降もこの調子で勝てると思い込むのは危険だ。 そうこうしている内にウインドウがポップアップ。
どうやら次の試合はルール変更があるようだ。
次回は四チーム十二人の参戦でとある都市を移動し、目標地点に到達すれば終了との事。
――?
違和感のある内容だ。 他のチームに対する言及がない。
一応、他のイベントと同様に撃破した場合、スコアとして計上されて最終的な報酬に上乗せされるのだろうが、この書き方だと撃破は必須ではないように見える。
「こ、今回は四チーム参加なんですねぇ。 ど、どうしましょうかぁ?」
「いえ、ルールを見る限り、他のチームを仕留める事は勝利条件に含まれてません。 下手に仕掛けて敵対するのも馬鹿らしいので出くわしたら協力を呼び掛けてみましょう。 ――要はこっちから仕掛けるのは厳禁です。 いいですね?」
「はぃぃ、分かりましたぁ」
ホーコートには何も言わない。
言っても反発されるのが目に見えているのでやらかしたらこちらで処理する事も視野に入れなければならないというのは面倒だなと小さく溜息を吐く。 読み終わり、一番下を見ると確認ボタンがあったので何だこれとタップすると別のウインドウが開いた。
「交換所?」
「武器の交換ができるみたいですねぇ」
どうやら武器を同グレードの物と交換できるようだ。
加えて、次回の支給分はここで済ませるようで、好きな武器を一つ受け取れるらしい。
何でいきなりと思ったが、意図があるんだろうなと何となく察してはいたので今は考えるだけ無駄だ。 折角なので入れ替えるとしよう。
ヨシナリはボルトアクションの狙撃銃と自動拳銃、突撃銃、後はブレード。
まんまるはヨシナリとほぼ同じ構成だが、ブレードではなく散弾銃にしたようだ。
一応、項目を隅々まで見たのだが、武器のみでセンサー系のパーツなどは対象外だった。
武器に関しては好きにしていいが、スペックに関してはナチュラルなⅠ型でやれと言う事だろう。
――最初は武装にランダム性を持たせる事での対応力を見るといった所か?
後はリーダーを決めさせることで個々の挙動――要は集団での行動を観察?
試されているというよりは観察されている様であまり面白くはないが、気にしていても仕方がないので目の前の事に集中する事でこのゲームを楽しむとしよう。
待機時間が終了し、フィールドへの移動が始まった。
開始地点はどこかの地下通路。
目標の位置はマーキングされているのか大雑把な方角と距離が示されていた。
「あ、ちょっと待ってくれ」
開始と同時にホーコートがさっさと消えようとしていたので呼び留める。
「あぁ? なんスかねぇ?」
口調からもう駄目だと見切りは付けたが最低限、言っておかなければならない事がいくつかあった。
「どうせ合わせる気がなさそうだし、好きにしたらいいと思うけど他のチームに仕掛けるのだけは止めて貰っていいかな?」
「黙って撃たれろってのかよ?」
「いいや、応戦はしてもいいけど、先に仕掛けるのだけは止めてくれって話」
「なんでだよ?」
一応、聞こえるように言ったつもりだったのだが、聞いてなかったのかよ。
ホーコートの態度に少しだけ不快になったが、我慢しろと自分に言い聞かせて自制。
「味方になってくれるかもしれないから、可能な限り心証を悪くしたくないんだよ」
「は、コバンザメ野郎は媚びを売るのに必死って訳かよ」
「……好きに取れば? 一応、警告はしたから後はお好きにどうぞ」
ホーコートは大きく舌打ちしてさっさと進んでいった。
まんまるが黙っているのは何でかと思ったが、無言で散弾銃を持ち上げようとしていたのでヨシナリは慌てて銃口を下ろさせる。
「そこまでしなくていいです」
「あいつ、余計な事しかしませんよぉ?」
「俺もそうだと思いますけど、やるんならやらかした後にしましょう」
一応、ヨシナリとしては歩み寄ったつもりだったのだが、相手にその気がないなら時間の無駄だ。
警告もしたのでチームメイトとしての最低限の義理は果たした。
「これからどうしますぅ?」
「あぁ、まずは他のチームを探しましょう。 四チームを同時に投入してる所を見ると、一チームではまず攻略できない難易度でしょうし、味方を増やしたいです」
「分かりましたぁ。 では、前に出るので後ろはお願いしますぅ……」
方針が決まったのでまんまるとヨシナリは移動を開始した。
相手がこちらを舐めていなければ勝つ事は難しかっただろう。
もう一度やれば確実に負けるであろう相手だったが、次の機会はお互いに本当に愛機を駆っての物になるだろう。 その時はまた別の手で潰せばいい。
エラーを大量に吐いて見え辛いが一応は視界は生きている。
まんまるはどうなったのかと確認するとちょうど一機撃破した所だった。
「や、やりましたぁ。 一機仕留めましたよぉ!」
「お疲れ様です。 残り一機、油断せずに仕留めましょう」
どうやら最後の一機はタヂカラオの支援に専念していたお陰でまんまるの方へはあまり意識を割いていなかったようだ。 まさか返り討ちに遭うとは思わなかったようで、動きにはかなりの動揺が見えた。
そんな相手は敵ではなく、まんまるが追い込んでヨシナリが狙撃して決着。 勝利となった。
「さ、流石ですぅ、タヂカラオさんに勝つなんて凄いですぅ! 」
控室に戻ったと同時にまんまるがわっしょいわっしょいと持ち上げ始めた。
それを苦笑して流し、今回も碌に活躍できなかったホーコートは変わらずに不貞腐れた態度だ。
ヨシナリは内心で小さく溜息を吐く。 そろそろきつくなってきたからだ。
今回の勝ちは実際、運の割合が大きい。
ヨシナリの機体は足回りに不安を抱えており、タヂカラオはヨシナリを手下に欲しがっていた。
恐らくは実力差を見せつけて心を折り、後でまたスカウトをかけようとでも考えていたのだろう。
本気で仕留めたいのならもっと早く勝負をかける事が出来たはずだ。
それをやらなかったのは勝ち方にこだわったから。 結局、そこに隙が生まれた結果、勝ちを拾えたのだが、最後のマウントを取った後に関してもギャンブルだった。
相手はヨシナリよりも遥かに高い近接スキルを持っており、タックルが成功するか怪しい上、マウントを取れたとしても頭突きで頭部をどの程度破壊で出来るのかもギャンブルだ。
場合によってはヨシナリの視界も死んでいた可能性がある。 拳銃を奪う所までは組み立ててはいたが、視界を奪う事に失敗、または自分の視界が死んだ場合、取れなかった可能性が高い。
考えれば考えるほどに再現性が薄い運任せの戦い方だった。
勝てたのだから良かったと気楽に考えたい所ではあるが、次以降もこの調子で勝てると思い込むのは危険だ。 そうこうしている内にウインドウがポップアップ。
どうやら次の試合はルール変更があるようだ。
次回は四チーム十二人の参戦でとある都市を移動し、目標地点に到達すれば終了との事。
――?
違和感のある内容だ。 他のチームに対する言及がない。
一応、他のイベントと同様に撃破した場合、スコアとして計上されて最終的な報酬に上乗せされるのだろうが、この書き方だと撃破は必須ではないように見える。
「こ、今回は四チーム参加なんですねぇ。 ど、どうしましょうかぁ?」
「いえ、ルールを見る限り、他のチームを仕留める事は勝利条件に含まれてません。 下手に仕掛けて敵対するのも馬鹿らしいので出くわしたら協力を呼び掛けてみましょう。 ――要はこっちから仕掛けるのは厳禁です。 いいですね?」
「はぃぃ、分かりましたぁ」
ホーコートには何も言わない。
言っても反発されるのが目に見えているのでやらかしたらこちらで処理する事も視野に入れなければならないというのは面倒だなと小さく溜息を吐く。 読み終わり、一番下を見ると確認ボタンがあったので何だこれとタップすると別のウインドウが開いた。
「交換所?」
「武器の交換ができるみたいですねぇ」
どうやら武器を同グレードの物と交換できるようだ。
加えて、次回の支給分はここで済ませるようで、好きな武器を一つ受け取れるらしい。
何でいきなりと思ったが、意図があるんだろうなと何となく察してはいたので今は考えるだけ無駄だ。 折角なので入れ替えるとしよう。
ヨシナリはボルトアクションの狙撃銃と自動拳銃、突撃銃、後はブレード。
まんまるはヨシナリとほぼ同じ構成だが、ブレードではなく散弾銃にしたようだ。
一応、項目を隅々まで見たのだが、武器のみでセンサー系のパーツなどは対象外だった。
武器に関しては好きにしていいが、スペックに関してはナチュラルなⅠ型でやれと言う事だろう。
――最初は武装にランダム性を持たせる事での対応力を見るといった所か?
後はリーダーを決めさせることで個々の挙動――要は集団での行動を観察?
試されているというよりは観察されている様であまり面白くはないが、気にしていても仕方がないので目の前の事に集中する事でこのゲームを楽しむとしよう。
待機時間が終了し、フィールドへの移動が始まった。
開始地点はどこかの地下通路。
目標の位置はマーキングされているのか大雑把な方角と距離が示されていた。
「あ、ちょっと待ってくれ」
開始と同時にホーコートがさっさと消えようとしていたので呼び留める。
「あぁ? なんスかねぇ?」
口調からもう駄目だと見切りは付けたが最低限、言っておかなければならない事がいくつかあった。
「どうせ合わせる気がなさそうだし、好きにしたらいいと思うけど他のチームに仕掛けるのだけは止めて貰っていいかな?」
「黙って撃たれろってのかよ?」
「いいや、応戦はしてもいいけど、先に仕掛けるのだけは止めてくれって話」
「なんでだよ?」
一応、聞こえるように言ったつもりだったのだが、聞いてなかったのかよ。
ホーコートの態度に少しだけ不快になったが、我慢しろと自分に言い聞かせて自制。
「味方になってくれるかもしれないから、可能な限り心証を悪くしたくないんだよ」
「は、コバンザメ野郎は媚びを売るのに必死って訳かよ」
「……好きに取れば? 一応、警告はしたから後はお好きにどうぞ」
ホーコートは大きく舌打ちしてさっさと進んでいった。
まんまるが黙っているのは何でかと思ったが、無言で散弾銃を持ち上げようとしていたのでヨシナリは慌てて銃口を下ろさせる。
「そこまでしなくていいです」
「あいつ、余計な事しかしませんよぉ?」
「俺もそうだと思いますけど、やるんならやらかした後にしましょう」
一応、ヨシナリとしては歩み寄ったつもりだったのだが、相手にその気がないなら時間の無駄だ。
警告もしたのでチームメイトとしての最低限の義理は果たした。
「これからどうしますぅ?」
「あぁ、まずは他のチームを探しましょう。 四チームを同時に投入してる所を見ると、一チームではまず攻略できない難易度でしょうし、味方を増やしたいです」
「分かりましたぁ。 では、前に出るので後ろはお願いしますぅ……」
方針が決まったのでまんまるとヨシナリは移動を開始した。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

びるどあっぷ ふり〜と!
高鉢 健太
SF
オンライン海戦ゲームをやっていて自称神さまを名乗る老人に過去へと飛ばされてしまった。
どうやらふと頭に浮かんだとおりに戦前海軍の艦艇設計に関わることになってしまったらしい。
ライバルはあの譲らない有名人。そんな場所で満足いく艦艇ツリーを構築して現世へと戻ることが今の使命となった訳だが、歴史を弄ると予期せぬアクシデントも起こるもので、史実に存在しなかった事態が起こって歴史自体も大幅改変不可避の情勢。これ、本当に帰れるんだよね?
※すでになろうで完結済みの小説です。

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~
アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」
中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。
ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。
『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。
宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。
大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。
『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。
修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
【本格ハードSF】人類は孤独ではなかった――タイタン探査が明らかにした新たな知性との邂逅
シャーロット
SF
土星の謎めいた衛星タイタン。その氷と液体メタンに覆われた湖の底で、独自の知性体「エリディアン」が進化を遂げていた。透き通った体を持つ彼らは、精緻な振動を通じてコミュニケーションを取り、環境を形作ることで「共鳴」という文化を育んできた。しかし、その平穏な世界に、人類の探査機が到着したことで大きな転機が訪れる。
探査機が発するリズミカルな振動はエリディアンたちの関心を引き、慎重なやり取りが始まる。これが、異なる文明同士の架け橋となる最初の一歩だった。「エンデュランスII号」の探査チームはエリディアンの振動信号を解読し、応答を送り返すことで対話を試みる。エリディアンたちは興味を抱きつつも警戒を続けながら、人類との画期的な知識交換を進める。
その後、人類は振動を光のパターンに変換できる「光の道具」をエリディアンに提供する。この装置は、彼らのコミュニケーション方法を再定義し、文化の可能性を飛躍的に拡大させるものだった。エリディアンたちはこの道具を受け入れ、新たな形でネットワークを調和させながら、光と振動の新しい次元を発見していく。
エリディアンがこうした革新を適応し、統合していく中で、人類はその変化を見守り、知識の共有がもたらす可能性の大きさに驚嘆する。同時に、彼らが自然現象を調和させる能力、たとえばタイタン地震を振動によって抑える力は、人類の理解を超えた生物学的・文化的な深みを示している。
この「ファーストコンタクト」の物語は、共存や進化、そして異なる知性体がもたらす無限の可能性を探るものだ。光と振動の共鳴が、2つの文明が未知へ挑む新たな時代の幕開けを象徴し、互いの好奇心と尊敬、希望に満ちた未来を切り開いていく。
--
プロモーション用の動画を作成しました。
オリジナルの画像をオリジナルの音楽で紹介しています。
https://www.youtube.com/watch?v=G_FW_nUXZiQ
銀河戦国記ノヴァルナ 第3章:銀河布武
潮崎 晶
SF
最大の宿敵であるスルガルム/トーミ宙域星大名、ギィゲルト・ジヴ=イマーガラを討ち果たしたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、いよいよシグシーマ銀河系の覇権獲得へ動き出す。だがその先に待ち受けるは数々の敵対勢力。果たしてノヴァルナの運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる