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第355話
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「取り敢えず、上を取られるのは不味いんでさっさと崖を登ってしまいましょう」
「はいぃ」
ヨシナリが先導し、まんまるがそれに続く。
こうして見るとまんまるというプレイヤーは非常に分かり易い。
強い者には従順で弱者には辛辣。 長い物には巻かれろと言わんばかりの分かり易さだ。
だが、今回に限ってはそれが大きくプラスに働く。 主体性がないのは大きなマイナスだが、扱いやすい味方という面ではこれ以上の人材はいないだろう。
加えて技量も高い。 狙撃に関してはグロウモスやセンドウには劣るが、任せれば充分な戦果を上げる。
ポンポンが気に入っている理由もこの辺りに起因するのだろう。
後は自分がリーダーとして相応しいと見せつけ続ければ、信頼関係は維持できる。
「――で? お前はどうするんだ? さっきから黙って付いて来ているけど、協力する気がないなら邪魔だからどこかに行ってくれないか?」
問題はさっきから無言で付いて来ているホーコートだ。
協力する気があるのなら貴重な戦力なので可能な限り活かす方向で考えるが、ないのであれば口にした通りステージギミックとして使い潰すつもりだ。 囮、盾、使い道はいくらでもある。
状況判断能力や即席で連携を組める技量面でも期待できないので、ヨシナリからすれば何をしでかすか分からないのでくっつかれるのはノイズでしかない。 残念ながら、態度の悪い同年代の野郎相手に優しくしてやれるほどヨシナリは人間ができていないので構ってやる理由も余裕もない以上、目障りでしかなかった。
「悪いけど半端は止めてくれ。 お前は味方か? そうでないないなら俺達のいない所で好きにしてくれ。 これ以上、その不貞腐れた態度でへばりついて足を引っ張るつもりなら敵よりも先にお前を片付けなきゃならなくなる」
本気だった。 返答次第で今回からホーコートを敵とみなすつもりだ。
次回以降は真っ先に潰して武器を奪えばいい。 離れて戦ってくれるなら攪乱程度の使い道はあるが、それすらもできないのならいない方がマシだ。
――こ、こいつマジかよ。
ホーコートは震える。
ヨシナリの口調は平坦ではあったが、本気であると何となくだが理解できた。
要は邪魔するなら敵とみなして排除すると言っているのだ。 たかがゲームで凄まれたぐらいでと思うかもしれないがこのICpwの圧倒的なリアルがそれを否定する。
しかもまんまるに至ってはヨシナリの背後でそっと狙撃銃を持ち上げていた。
恐らくはヨシナリがやれと言ったらあの女は間違いなく嬉々として自分に牙を剥く。
訳が分からない。 あのまんまるというプレイヤーはBランク。
かなり上位のプレイヤーのはずなのに格下のヨシナリにこうまで従順なのは一体何なのか?
それほどまでに二人の上下関係は明白だった。
最初に抱いた印象――というよりは噂によって植えつけられた先入観も合わさって、他人に寄生するコバンザメ野郎。 いいポジションに顔だけ出して成果を掻っ攫う小狡い奴。
それによって自分が強いと勘違いしている小物。 だから、ホーコートは最初はかなり下に見ていた。 反発したのもそれが大きな理由だったが、蓋を開けてみればどうだ?
さっきの戦闘ではホーコートを囮にし、二機を撃墜。 当のホーコートは無様に這いつくばっているだけ。
屈辱だった。
だから今回は囮にされないように二人に張り付きつつ活躍のチャンスを窺うつもりだったのだが、それを許さないと突き放される。 普段の彼であるならそうかよと言って離れるのだが、この視界がほぼゼロの状態で孤立する事の危険性が分からないほど馬鹿ではなかった。
「――当ててやろうか? この状況で孤立するのが不安なんだろ?」
ヨシナリはそんなホーコートの思考をあっさりと看破する。
「それはこっちも同じなんだ。 この後の戦闘でパ二くって適当に暴れて、うっかり流れ弾に当たった結果、負けましたなんて事になったら俺はお前を許せそうにない。 だからはっきりと邪魔だって言ってんだよ」
「は、はぁ? そんなの俺には関係――」
「黙れ。 俺達はガチでこのゲームを遊んでんだ。 その考えを押し付ける気はないけど、お前の態度は許容できない。 邪魔するなら消えろ」
感情的になっているようには見えないが言葉には明確な拒絶があった。
「そうですぅ。 存在するだけでも目障りなのに邪魔までする奴は要らないですぅ。 戦力的にも無価値な雑魚は消えろですぅ!」
「お、お前はそれでいいのかよ!? こんな奴にパシリみたいに扱われて――」
ホーコートはまんまるに矛先を変えたが、彼女は鼻で笑う。
「お前、馬鹿で雑魚な上、節穴ですぅ? さっきの戦闘で二機撃破したの誰ですかぁ? ヨシナリさんがこの中で一番強くて指揮官に向いてるからに決まってるからですぅ! ってか、さっさと決めろですぅ、私はお前をぶち殺せるなら喜んでやりますよぉ?」
味方はいない。 この場にいる全員は誰も彼を庇わない上、助け舟を出す気配もなかった。
ホーコートは元々、リアルではガキ大将のような立ち位置だったので、このような場を作って他人を貶めた経験はあったが逆は全くなかった。 だから、どうすればいいのかがよく分からなかったのだ。
いや、答え自体は既に出ていたのだが、それを彼の矜持が許容できないだけだった。
返答する事で起こる結果を想像し、ホーコートは諦める。 まんまるは既に引き金に指をかけていた。 引き延ばす事も出来ない。
「クソ、分かったよ!」
「何が分かったんだ?」
「アンタがリーダーだ。 従う」
まんまるがそれを聞いてつまらなさそうに狙撃銃を下ろし、ヨシナリは小さく頷いて踵を返した。
――面倒くさい。
一応は納得したようだが、信用も信頼もできない。
態度から本当に協力的なのかも怪しい仲間を抱えての戦闘は中々に神経を使う。
まんまるは後ろから撃ちたくてたまらないといった様子だったので、ホーコートが余計な事をした場合、好きにしても良いとだけ伝えてある。
フォーメーションとしてはホーコートが前衛、ヨシナリが中衛、まんまるが後衛。
ホーコートの真後ろにヨシナリが付く形になっており、まんまるが少し離れた位置にいる。
技量的に突っ込ませた方がマシという事もあるが、こうしておけば誤射で死ぬ事はない。
方針が決まったのでそのまま移動を開始。
谷底は危険なので崖上へと向かう為、急な斜面をよじ登っていた。
「な、なぁ、このまま登っても大丈夫なのかよ!?」
「下にいる方が大丈夫じゃないからな。 相手も似たような事を考えてるだろうから登り切った後の遭遇戦に注意しろ」
話している間に一番上が見えてきた。
「勢いよく行くな。 そっと様子を覗いながら登れ」
「分かってるって」
ホーコートは雑に頭を出すとキョロキョロと周囲を見回した後、一気に登り切った。
ヨシナリは小さく溜息を吐いて無言で横にずれた。 僅かに遅れて無数の銃弾がホーコートの機体に撃ち込まれ蜂の巣なった機体が力を失って落下。 ヨシナリの真横を通って崖下へ。
「だからそっと登れって言ったのに……」
ヨシナリはそう呟いてまんまるにハンドサインを送った。
「はいぃ」
ヨシナリが先導し、まんまるがそれに続く。
こうして見るとまんまるというプレイヤーは非常に分かり易い。
強い者には従順で弱者には辛辣。 長い物には巻かれろと言わんばかりの分かり易さだ。
だが、今回に限ってはそれが大きくプラスに働く。 主体性がないのは大きなマイナスだが、扱いやすい味方という面ではこれ以上の人材はいないだろう。
加えて技量も高い。 狙撃に関してはグロウモスやセンドウには劣るが、任せれば充分な戦果を上げる。
ポンポンが気に入っている理由もこの辺りに起因するのだろう。
後は自分がリーダーとして相応しいと見せつけ続ければ、信頼関係は維持できる。
「――で? お前はどうするんだ? さっきから黙って付いて来ているけど、協力する気がないなら邪魔だからどこかに行ってくれないか?」
問題はさっきから無言で付いて来ているホーコートだ。
協力する気があるのなら貴重な戦力なので可能な限り活かす方向で考えるが、ないのであれば口にした通りステージギミックとして使い潰すつもりだ。 囮、盾、使い道はいくらでもある。
状況判断能力や即席で連携を組める技量面でも期待できないので、ヨシナリからすれば何をしでかすか分からないのでくっつかれるのはノイズでしかない。 残念ながら、態度の悪い同年代の野郎相手に優しくしてやれるほどヨシナリは人間ができていないので構ってやる理由も余裕もない以上、目障りでしかなかった。
「悪いけど半端は止めてくれ。 お前は味方か? そうでないないなら俺達のいない所で好きにしてくれ。 これ以上、その不貞腐れた態度でへばりついて足を引っ張るつもりなら敵よりも先にお前を片付けなきゃならなくなる」
本気だった。 返答次第で今回からホーコートを敵とみなすつもりだ。
次回以降は真っ先に潰して武器を奪えばいい。 離れて戦ってくれるなら攪乱程度の使い道はあるが、それすらもできないのならいない方がマシだ。
――こ、こいつマジかよ。
ホーコートは震える。
ヨシナリの口調は平坦ではあったが、本気であると何となくだが理解できた。
要は邪魔するなら敵とみなして排除すると言っているのだ。 たかがゲームで凄まれたぐらいでと思うかもしれないがこのICpwの圧倒的なリアルがそれを否定する。
しかもまんまるに至ってはヨシナリの背後でそっと狙撃銃を持ち上げていた。
恐らくはヨシナリがやれと言ったらあの女は間違いなく嬉々として自分に牙を剥く。
訳が分からない。 あのまんまるというプレイヤーはBランク。
かなり上位のプレイヤーのはずなのに格下のヨシナリにこうまで従順なのは一体何なのか?
それほどまでに二人の上下関係は明白だった。
最初に抱いた印象――というよりは噂によって植えつけられた先入観も合わさって、他人に寄生するコバンザメ野郎。 いいポジションに顔だけ出して成果を掻っ攫う小狡い奴。
それによって自分が強いと勘違いしている小物。 だから、ホーコートは最初はかなり下に見ていた。 反発したのもそれが大きな理由だったが、蓋を開けてみればどうだ?
さっきの戦闘ではホーコートを囮にし、二機を撃墜。 当のホーコートは無様に這いつくばっているだけ。
屈辱だった。
だから今回は囮にされないように二人に張り付きつつ活躍のチャンスを窺うつもりだったのだが、それを許さないと突き放される。 普段の彼であるならそうかよと言って離れるのだが、この視界がほぼゼロの状態で孤立する事の危険性が分からないほど馬鹿ではなかった。
「――当ててやろうか? この状況で孤立するのが不安なんだろ?」
ヨシナリはそんなホーコートの思考をあっさりと看破する。
「それはこっちも同じなんだ。 この後の戦闘でパ二くって適当に暴れて、うっかり流れ弾に当たった結果、負けましたなんて事になったら俺はお前を許せそうにない。 だからはっきりと邪魔だって言ってんだよ」
「は、はぁ? そんなの俺には関係――」
「黙れ。 俺達はガチでこのゲームを遊んでんだ。 その考えを押し付ける気はないけど、お前の態度は許容できない。 邪魔するなら消えろ」
感情的になっているようには見えないが言葉には明確な拒絶があった。
「そうですぅ。 存在するだけでも目障りなのに邪魔までする奴は要らないですぅ。 戦力的にも無価値な雑魚は消えろですぅ!」
「お、お前はそれでいいのかよ!? こんな奴にパシリみたいに扱われて――」
ホーコートはまんまるに矛先を変えたが、彼女は鼻で笑う。
「お前、馬鹿で雑魚な上、節穴ですぅ? さっきの戦闘で二機撃破したの誰ですかぁ? ヨシナリさんがこの中で一番強くて指揮官に向いてるからに決まってるからですぅ! ってか、さっさと決めろですぅ、私はお前をぶち殺せるなら喜んでやりますよぉ?」
味方はいない。 この場にいる全員は誰も彼を庇わない上、助け舟を出す気配もなかった。
ホーコートは元々、リアルではガキ大将のような立ち位置だったので、このような場を作って他人を貶めた経験はあったが逆は全くなかった。 だから、どうすればいいのかがよく分からなかったのだ。
いや、答え自体は既に出ていたのだが、それを彼の矜持が許容できないだけだった。
返答する事で起こる結果を想像し、ホーコートは諦める。 まんまるは既に引き金に指をかけていた。 引き延ばす事も出来ない。
「クソ、分かったよ!」
「何が分かったんだ?」
「アンタがリーダーだ。 従う」
まんまるがそれを聞いてつまらなさそうに狙撃銃を下ろし、ヨシナリは小さく頷いて踵を返した。
――面倒くさい。
一応は納得したようだが、信用も信頼もできない。
態度から本当に協力的なのかも怪しい仲間を抱えての戦闘は中々に神経を使う。
まんまるは後ろから撃ちたくてたまらないといった様子だったので、ホーコートが余計な事をした場合、好きにしても良いとだけ伝えてある。
フォーメーションとしてはホーコートが前衛、ヨシナリが中衛、まんまるが後衛。
ホーコートの真後ろにヨシナリが付く形になっており、まんまるが少し離れた位置にいる。
技量的に突っ込ませた方がマシという事もあるが、こうしておけば誤射で死ぬ事はない。
方針が決まったのでそのまま移動を開始。
谷底は危険なので崖上へと向かう為、急な斜面をよじ登っていた。
「な、なぁ、このまま登っても大丈夫なのかよ!?」
「下にいる方が大丈夫じゃないからな。 相手も似たような事を考えてるだろうから登り切った後の遭遇戦に注意しろ」
話している間に一番上が見えてきた。
「勢いよく行くな。 そっと様子を覗いながら登れ」
「分かってるって」
ホーコートは雑に頭を出すとキョロキョロと周囲を見回した後、一気に登り切った。
ヨシナリは小さく溜息を吐いて無言で横にずれた。 僅かに遅れて無数の銃弾がホーコートの機体に撃ち込まれ蜂の巣なった機体が力を失って落下。 ヨシナリの真横を通って崖下へ。
「だからそっと登れって言ったのに……」
ヨシナリはそう呟いてまんまるにハンドサインを送った。
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