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第285話
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星座盤にとってのイベント戦は終了したので報酬が支給された。
ヨシナリは約束通り、全員で頭割りにするが――
「俺は契約によって動いたに過ぎない。 報酬は不要だ」
ベリアルだけは受け取りを拒否した。
上位のランカーにとってGはそこまで重要ではないらしく貰ってもあまり使い道がないとの事。
それでもとヨシナリは小さく首を振る。
「これは貴公と俺達が共に戦った証のような物だ。 勲章の類と思って受け取ってくれ」
「……ふ、そこまで言われては、な」
ベリアルは納得したように頷くと報酬を受け取った。
これで契約は完了となる。 ヨシナリはふうと小さく息を吐く。
「一先ずはこれで二人との契約は完了となります。 どうでしょう? もしも気に入ったのなら正式に所属してくれるとありがたいんですが……」
ヨシナリの言葉にベリアルは小さく首を振る。
「魔弾の射手よ。 この闇の王と轡を並べ戦場を駆け抜けた戦友よ。 貴様と共に次なる戦場を目指すのも悪くないと思っている。 だが、今はその時ではない」
「今は?」
「あぁ、先の戦いで俺は新たな境地に至った。 それを完全に我が力とした時、俺達は再び並び立つだろう。 ――光と闇は表裏一体。 いくら深き闇に沈もうとも星はその瞬きで道を示す、か。 貴様には教えられた。 戦友よ、待っていろ。 この闇の王が更なる力を付けて凱旋するその時を!」
「あぁ、待ってるよ。 戦友、一緒に戦ってくれてありがとう!」
「ふ、さらばだ。 また会おう!」
そう言ってベリアルはログアウト。
断られてしまったが望みがありそうな感じだったので今後に期待しよう。
ヨシナリは内心で待っているぞと思い、グロウモスの方へ視線を向ける。
「グロウモスさんはどうします?」
「わ、私は、お世話になろうかと思います。 はい、よろしくお願いします」
そう言ってグロウモスはちらりとヨシナリの方を見ると「ふへへ」とちょっと気持ちの悪い笑みを浮かべた。 その視線に若干背筋が寒くなったが、新しい仲間が増えたのだ。
祝うべき瞬間だった。
「ありがとう。 では改めてよろしく!」
「よ、よろしく」
ヨシナリが手を差し出すとグロウモスは若干の躊躇いの後にしっかりと握った。
「いや、後衛増えてくれるのはマジでありがてぇ」
「ヨシナリ君が前に出るようになったから狙撃手のポジションが空いとったからなぁ。 助かるよー」
マルメルとふわわも正式加入した新戦力に諸手を上げて喜んでいた。
ヨシナリとしてもグロウモスの参加は非常にありがたい。 イベントのローテーション的に次は侵攻戦の復刻だ。 あの地獄の極寒惑星を生き残るには少しでも戦力が欲しかった。
ヨシナリとしてもあのサメとイカは是非とも始末してやりたいと思っているのでモチベーションは高い。
「ささ、リーダー。 仲間も増えた事だし、今後の方針的な物をお願いしますよ」
不意にマルメルがそんな事を言ってきたのでしょうがないなと思いながらヨシナリは何を言おうかとすこし考える。
「恐らく次のイベントは侵攻戦の復刻になると思うので準備をしつつ、いつも通りユニオン戦をこなして連携を磨いていこうと思う。 それとそろそろ全員の個人ランクを上げておきたい」
「具体的には?」
「Dランクを目標にして頑張っていこう。 最終的にはCからBで安定できればと思ってる」
「もしかして報酬がPになるから?」
「はい。 今後、上位のランカーと戦う為には今の機体ではスペック差で負けます。 ジェネシスフレームは今の俺達では現実的ではないので上位のフレームの入手を狙うべきかと」
「って事はエンジェルとかキマイラ?」
「それでもいいけど、最近実装されたプラスフレームが現実的だと思ってる」
ソルジャー、パンツァー、キマイラに実装された上位フレーム。
使用感はそのままに、より強力な機体として扱う事ができる。 何よりもソルジャー+はキマイラを買うよりも安いので乗り換える事に対するハードルが低い。
当然ながらいい事ばかりではない。
プラスは上位のフレームで装備制限もノーマルよりも緩和されているが、あくまで緩和なのだ。
シックスセンスのような高性能な装備は使用できない。 そこと折り合いを付けられれば強化の選択肢としては決して悪い判断ではなかった。
実装されてからヨシナリもスペックを確認したのだが、構成次第では充分に上位のフレームと対等以上に戦えるレベルにまで持って行けると判断している。
特にソルジャータイプは外付けの武装による拡張性が高い。 スパルトイのような強化外装にプラス限定ではあるが、テラリアのようなデチューンしたエネルギーウイングも装備が可能となるので無理にエンジェルフレームを狙う必要がなくなった点も大きい。
――随分とハードルを落としてきたな。
運営が方針を変えたのだろうか? それとも低ランクのプレイヤーに下駄を履かせる為の措置?
新規の登録者は世界中で増え続けているのでそれも関係しているのかもしれない。
どちらにせよ中堅よりもやや下のプレイヤーからすればありがたい話だった。
「あぁ、プラスかぁ。 実際、どうなんだ?」
「ウチはソルジャープラスでいいかなって思ってるよー。 キマイラやエンジェルタイプはどうもしっくりこなくてなぁ……」
「私はキマイラが欲しいと思って、る」
マルメルは乗り換えるなら高性能が良いと思っている様だ。
その考えは間違っていないとは思うが、ヨシナリとしてはソルジャー+を強く勧めたかった。
マルメルのプレイスタイル的に高速戦闘――要は反応速度を要求される挙動の機体は相性が余り良くない。 彼の本領は中衛で、どっしりとした安定感のある戦い方が最大の強みだと思っているからだ。
その為、エンジェルタイプは微妙、キマイラも重装甲の機体があるにはあるが、格闘戦に寄っているのでこちらも噛み合わない。 資産、プレイスタイルを加味するとソルジャー+が最も好相性といえる。
次にふわわだが、彼女に関しては言う事はない。
何故なら彼女は戦い方から人型でないとパフォーマンスを発揮できないだろうからだ。
当人もそれを自覚しているからこそのソルジャー+を選んでいる。 そこまで分かっているのならヨシナリから言う事は何もなかった。
グロウモスに関しても同様だ。
恐らくは静音性と走破性に優れたキマイラパンテラを狙っているのだろう。
可変機は変形時に携行武器と干渉するので動き回る彼女のスタイル的に選択肢は減るが長所を伸ばすという点ではいい判断だと思っていた。
ヨシナリは約束通り、全員で頭割りにするが――
「俺は契約によって動いたに過ぎない。 報酬は不要だ」
ベリアルだけは受け取りを拒否した。
上位のランカーにとってGはそこまで重要ではないらしく貰ってもあまり使い道がないとの事。
それでもとヨシナリは小さく首を振る。
「これは貴公と俺達が共に戦った証のような物だ。 勲章の類と思って受け取ってくれ」
「……ふ、そこまで言われては、な」
ベリアルは納得したように頷くと報酬を受け取った。
これで契約は完了となる。 ヨシナリはふうと小さく息を吐く。
「一先ずはこれで二人との契約は完了となります。 どうでしょう? もしも気に入ったのなら正式に所属してくれるとありがたいんですが……」
ヨシナリの言葉にベリアルは小さく首を振る。
「魔弾の射手よ。 この闇の王と轡を並べ戦場を駆け抜けた戦友よ。 貴様と共に次なる戦場を目指すのも悪くないと思っている。 だが、今はその時ではない」
「今は?」
「あぁ、先の戦いで俺は新たな境地に至った。 それを完全に我が力とした時、俺達は再び並び立つだろう。 ――光と闇は表裏一体。 いくら深き闇に沈もうとも星はその瞬きで道を示す、か。 貴様には教えられた。 戦友よ、待っていろ。 この闇の王が更なる力を付けて凱旋するその時を!」
「あぁ、待ってるよ。 戦友、一緒に戦ってくれてありがとう!」
「ふ、さらばだ。 また会おう!」
そう言ってベリアルはログアウト。
断られてしまったが望みがありそうな感じだったので今後に期待しよう。
ヨシナリは内心で待っているぞと思い、グロウモスの方へ視線を向ける。
「グロウモスさんはどうします?」
「わ、私は、お世話になろうかと思います。 はい、よろしくお願いします」
そう言ってグロウモスはちらりとヨシナリの方を見ると「ふへへ」とちょっと気持ちの悪い笑みを浮かべた。 その視線に若干背筋が寒くなったが、新しい仲間が増えたのだ。
祝うべき瞬間だった。
「ありがとう。 では改めてよろしく!」
「よ、よろしく」
ヨシナリが手を差し出すとグロウモスは若干の躊躇いの後にしっかりと握った。
「いや、後衛増えてくれるのはマジでありがてぇ」
「ヨシナリ君が前に出るようになったから狙撃手のポジションが空いとったからなぁ。 助かるよー」
マルメルとふわわも正式加入した新戦力に諸手を上げて喜んでいた。
ヨシナリとしてもグロウモスの参加は非常にありがたい。 イベントのローテーション的に次は侵攻戦の復刻だ。 あの地獄の極寒惑星を生き残るには少しでも戦力が欲しかった。
ヨシナリとしてもあのサメとイカは是非とも始末してやりたいと思っているのでモチベーションは高い。
「ささ、リーダー。 仲間も増えた事だし、今後の方針的な物をお願いしますよ」
不意にマルメルがそんな事を言ってきたのでしょうがないなと思いながらヨシナリは何を言おうかとすこし考える。
「恐らく次のイベントは侵攻戦の復刻になると思うので準備をしつつ、いつも通りユニオン戦をこなして連携を磨いていこうと思う。 それとそろそろ全員の個人ランクを上げておきたい」
「具体的には?」
「Dランクを目標にして頑張っていこう。 最終的にはCからBで安定できればと思ってる」
「もしかして報酬がPになるから?」
「はい。 今後、上位のランカーと戦う為には今の機体ではスペック差で負けます。 ジェネシスフレームは今の俺達では現実的ではないので上位のフレームの入手を狙うべきかと」
「って事はエンジェルとかキマイラ?」
「それでもいいけど、最近実装されたプラスフレームが現実的だと思ってる」
ソルジャー、パンツァー、キマイラに実装された上位フレーム。
使用感はそのままに、より強力な機体として扱う事ができる。 何よりもソルジャー+はキマイラを買うよりも安いので乗り換える事に対するハードルが低い。
当然ながらいい事ばかりではない。
プラスは上位のフレームで装備制限もノーマルよりも緩和されているが、あくまで緩和なのだ。
シックスセンスのような高性能な装備は使用できない。 そこと折り合いを付けられれば強化の選択肢としては決して悪い判断ではなかった。
実装されてからヨシナリもスペックを確認したのだが、構成次第では充分に上位のフレームと対等以上に戦えるレベルにまで持って行けると判断している。
特にソルジャータイプは外付けの武装による拡張性が高い。 スパルトイのような強化外装にプラス限定ではあるが、テラリアのようなデチューンしたエネルギーウイングも装備が可能となるので無理にエンジェルフレームを狙う必要がなくなった点も大きい。
――随分とハードルを落としてきたな。
運営が方針を変えたのだろうか? それとも低ランクのプレイヤーに下駄を履かせる為の措置?
新規の登録者は世界中で増え続けているのでそれも関係しているのかもしれない。
どちらにせよ中堅よりもやや下のプレイヤーからすればありがたい話だった。
「あぁ、プラスかぁ。 実際、どうなんだ?」
「ウチはソルジャープラスでいいかなって思ってるよー。 キマイラやエンジェルタイプはどうもしっくりこなくてなぁ……」
「私はキマイラが欲しいと思って、る」
マルメルは乗り換えるなら高性能が良いと思っている様だ。
その考えは間違っていないとは思うが、ヨシナリとしてはソルジャー+を強く勧めたかった。
マルメルのプレイスタイル的に高速戦闘――要は反応速度を要求される挙動の機体は相性が余り良くない。 彼の本領は中衛で、どっしりとした安定感のある戦い方が最大の強みだと思っているからだ。
その為、エンジェルタイプは微妙、キマイラも重装甲の機体があるにはあるが、格闘戦に寄っているのでこちらも噛み合わない。 資産、プレイスタイルを加味するとソルジャー+が最も好相性といえる。
次にふわわだが、彼女に関しては言う事はない。
何故なら彼女は戦い方から人型でないとパフォーマンスを発揮できないだろうからだ。
当人もそれを自覚しているからこそのソルジャー+を選んでいる。 そこまで分かっているのならヨシナリから言う事は何もなかった。
グロウモスに関しても同様だ。
恐らくは静音性と走破性に優れたキマイラパンテラを狙っているのだろう。
可変機は変形時に携行武器と干渉するので動き回る彼女のスタイル的に選択肢は減るが長所を伸ばすという点ではいい判断だと思っていた。
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