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第131話
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標的を爆発させようとしたのはラーガストがそれに紛れて動きやすくなるからだ。
ヨシナリの弾丸は綺麗に狙った場所を撃ち抜いた。
Aランクの機体が一瞬、膨らむと大爆発を起こす。 高出力の機体はいいジェネレーターを積んでいるので爆発は派手になる。 それに紛れてラーガストは手近な機体に襲い掛かった。
一度崩れてしまえば作戦も何もなく。 その上、精神的な支柱の一つであるAランクを撃破された事での動揺も大きく、動きに精彩を欠いていた。 こうなってしまえば一回戦の時とほぼ同じ流れだ。
次々とエイコサテトラに撃破されていく敵機。 残ったもう一機のAランクが、被害を抑えようと前に出るが仲間がやられた動揺が大きいのか当初の動きとは比べものにならないほど悪い。
何故なら背後から忍び寄っていたユウヤの存在に全く気が付いていなかったからだ。
背後から散弾砲の一撃でそのまま撃破。 地上で支援していたキマイラタイプもいつの間にか全て撃破されており、こうなってしまえば勝ちは動かないが、決まった勝敗よりもヨシナリにとってはさっき掴んだ感覚の方が重要だった。
最上位のセンサー類を用いての事だったが、あの瞬間ヨシナリはあのAランクの動きを完全に読む事が出来た。 このゲームは凄まじくリアルだ。 機体に関しても可能な限りリアルを追及している。
そんなゲームだからこそ視えるのだ。 機体の各所に積まれたスラスターを噴かすタイミング、細かな挙動。 メインのブースターを使って加速する兆候。 それらを的確に察知する事が出来たのなら僅か数秒ではあるが未来すら見えるかもしれない。 少なくともあの一瞬、ヨシナリは未来が見えたかのような錯覚に陥る程に視えていた。 凄い感覚だ。
装備を変えるだけでここまで違うのか。 今もアルフレッドから送られてくる膨大な情報がヨシナリの脳へと流れ込む。 最後に残ったキマイラタイプがサブのスラスターを噴かそうとしている。
熱が溜まっていくのが見えるのだ。 どこのスラスターを使用するのかでどのような機動をするのかが見えてくる。 恐らくは加速すると見せかけての急上昇。
ラーガストはそれを読んでいる。 彼の動きは上昇と同時に加速しての先回り。
キマイラタイプが急上昇。 来た、そしてラーガストのエイコサテトラが既に先回りしている。
そしてブレードを一閃。 キマイラタイプが両断されて撃破される。
試合終了。 簡単なリザルトが表示され元の待機室へと戻された。
興奮冷めやらぬヨシナリにユウヤが小さく手を上げて近寄ってくる。
「当たれば上出来かと思ったがやるじゃないか」
「どうも。 いや、凄ぇ経験をさせてもらいましたよ。 あれ最高級の索敵システムですよね」
「あぁ、すっげー視えるだろ? 熱、動体、音響、機体内部のエネルギーの流れまで把握できる優れ物だ」
「あれだけの物、自分で使おうって考えないんですか?」
あれだけの物を支援機であるアルフレッドに積んでいるのだ。
余裕がある事の表れではあるのだろうが、それ以上に撃破されたらロストするリスクがあるのに与えている事が驚きだった。
「あぁ、俺は基本的に近~中距離戦特化だからな。 情報は多すぎるとかえって判断が鈍る。 だったらアルフレッドに積んで俺の代わりに周辺の情報収集をして貰った方が良いだろうと思っただけだ」
――やっぱりランカーって金あるんだなぁ……。
話しながらヨシナリは後で値段を調べとこうと心に決めた。
話題が尽きたタイミングでユウヤはさっさと離れていったので思考は別の事にシフト。
問題のカナタ達との戦いは次の次だ。 ちらりとトーナメント表を見ると『栄光』は既に勝利を収めている。 こちらも勝ち進めば順当に当たる事となるだろう。
気にしても仕方がない所でもあるので次の対戦相手のチームを確認するが、まだ試合中なので決まっていないようだ。 どんな感じなのかとウインドウを操作して観戦モードへ。
俯瞰で戦場が見えてくる。 戦況はもう決着が間近だった。
互いに全ての味方機が撃墜されており、リーダー同士の一騎打ちだ。
両方ともAランク。 片方が短機関銃を連射しながら距離を取ろうとしているが、もう片方はそれを許す気はないようだ。 一際目立つ機体で、赤と黒の斑模様に腕が六本。
全てに近接武器を握りしめている点からも接近戦を得意としている事は明らかだ。
こだわりなのかそれがないから故なのか持っている武器にも統一感がない。
実体剣、エネルギー式のブレード、以前にふわわが使っていたような柄を連結させたものに刃部分がドリルのような剣。 敵の銃撃を連結したブレードを回転させて弾き、強引に間合いを潰すべく突っ込む。
そうはさせないと相手は距離を取る。 その繰り返しだ。
――なるほど。 時間がかかる訳だ。
いつの間にか観戦者が増えている事から他の試合もほぼ終わったとみていい。
永遠に続くのかと思われたが、限界はある。 逃げている方の武器が弾切れになったのだ。
Aランクなのに随分と武装がシンプルだなと思ったが、よくよく見てみるとあちこちに破損の跡があり、恐らくは武装を積んでいたであろう場所が破壊されたのだろう。
それにより自身の強みを活かし切れず、拾った武器で応戦と。
こうなるとほぼ勝敗は決まったような物だった。 もう、いつまで逃げ切れるかの違いでしかない。
ちなみにこの勝負は制限時間がないのでどちらかが撃破されるまで終わらないので、いつまででも続けられる。 ヨシナリは両方の機体をじっくりと観察し、動きの癖を一通り見た後に観戦モードを切って退出した。
あの六本腕が相手を捕まえるまでの鬼ごっこだ。 見る価値はあまりない。
時間がありそうだったので今の内にショップでも見ておこうと思ったのだ。
リストをセンサー類だけに絞って画面をスクロール。 とりあえずはアルフレッドに積んであるのはどんな感じの奴かなと確認すると――
「うげ、P限定。 Gじゃ買えないのか……」
思わず声が漏れる。 思わず自身の所持金を確認。 元々、Pはキマイラフレーム購入の為に使わずにとっておいたので緊急ミッションやイベント報酬は大半が残っているが――
――うーん。 全てかき集めても微妙に足りない。
複合センサーシステム『シックスセンス』。
スペックを見るととんでもない代物だという事が分かる。 感知の範囲が広く、大抵の物は見えるだろう。 更に複合の名前の通り、動体や音の痕跡を辿る事でステルスすら剥がす事が可能だ。
見えていないと高を括った相手を逆に釣りだして狩る事なんて事もできそうだった。
この装備の最も優れた点はトルーパーの頭部に収まる事だ。
ヨシナリの弾丸は綺麗に狙った場所を撃ち抜いた。
Aランクの機体が一瞬、膨らむと大爆発を起こす。 高出力の機体はいいジェネレーターを積んでいるので爆発は派手になる。 それに紛れてラーガストは手近な機体に襲い掛かった。
一度崩れてしまえば作戦も何もなく。 その上、精神的な支柱の一つであるAランクを撃破された事での動揺も大きく、動きに精彩を欠いていた。 こうなってしまえば一回戦の時とほぼ同じ流れだ。
次々とエイコサテトラに撃破されていく敵機。 残ったもう一機のAランクが、被害を抑えようと前に出るが仲間がやられた動揺が大きいのか当初の動きとは比べものにならないほど悪い。
何故なら背後から忍び寄っていたユウヤの存在に全く気が付いていなかったからだ。
背後から散弾砲の一撃でそのまま撃破。 地上で支援していたキマイラタイプもいつの間にか全て撃破されており、こうなってしまえば勝ちは動かないが、決まった勝敗よりもヨシナリにとってはさっき掴んだ感覚の方が重要だった。
最上位のセンサー類を用いての事だったが、あの瞬間ヨシナリはあのAランクの動きを完全に読む事が出来た。 このゲームは凄まじくリアルだ。 機体に関しても可能な限りリアルを追及している。
そんなゲームだからこそ視えるのだ。 機体の各所に積まれたスラスターを噴かすタイミング、細かな挙動。 メインのブースターを使って加速する兆候。 それらを的確に察知する事が出来たのなら僅か数秒ではあるが未来すら見えるかもしれない。 少なくともあの一瞬、ヨシナリは未来が見えたかのような錯覚に陥る程に視えていた。 凄い感覚だ。
装備を変えるだけでここまで違うのか。 今もアルフレッドから送られてくる膨大な情報がヨシナリの脳へと流れ込む。 最後に残ったキマイラタイプがサブのスラスターを噴かそうとしている。
熱が溜まっていくのが見えるのだ。 どこのスラスターを使用するのかでどのような機動をするのかが見えてくる。 恐らくは加速すると見せかけての急上昇。
ラーガストはそれを読んでいる。 彼の動きは上昇と同時に加速しての先回り。
キマイラタイプが急上昇。 来た、そしてラーガストのエイコサテトラが既に先回りしている。
そしてブレードを一閃。 キマイラタイプが両断されて撃破される。
試合終了。 簡単なリザルトが表示され元の待機室へと戻された。
興奮冷めやらぬヨシナリにユウヤが小さく手を上げて近寄ってくる。
「当たれば上出来かと思ったがやるじゃないか」
「どうも。 いや、凄ぇ経験をさせてもらいましたよ。 あれ最高級の索敵システムですよね」
「あぁ、すっげー視えるだろ? 熱、動体、音響、機体内部のエネルギーの流れまで把握できる優れ物だ」
「あれだけの物、自分で使おうって考えないんですか?」
あれだけの物を支援機であるアルフレッドに積んでいるのだ。
余裕がある事の表れではあるのだろうが、それ以上に撃破されたらロストするリスクがあるのに与えている事が驚きだった。
「あぁ、俺は基本的に近~中距離戦特化だからな。 情報は多すぎるとかえって判断が鈍る。 だったらアルフレッドに積んで俺の代わりに周辺の情報収集をして貰った方が良いだろうと思っただけだ」
――やっぱりランカーって金あるんだなぁ……。
話しながらヨシナリは後で値段を調べとこうと心に決めた。
話題が尽きたタイミングでユウヤはさっさと離れていったので思考は別の事にシフト。
問題のカナタ達との戦いは次の次だ。 ちらりとトーナメント表を見ると『栄光』は既に勝利を収めている。 こちらも勝ち進めば順当に当たる事となるだろう。
気にしても仕方がない所でもあるので次の対戦相手のチームを確認するが、まだ試合中なので決まっていないようだ。 どんな感じなのかとウインドウを操作して観戦モードへ。
俯瞰で戦場が見えてくる。 戦況はもう決着が間近だった。
互いに全ての味方機が撃墜されており、リーダー同士の一騎打ちだ。
両方ともAランク。 片方が短機関銃を連射しながら距離を取ろうとしているが、もう片方はそれを許す気はないようだ。 一際目立つ機体で、赤と黒の斑模様に腕が六本。
全てに近接武器を握りしめている点からも接近戦を得意としている事は明らかだ。
こだわりなのかそれがないから故なのか持っている武器にも統一感がない。
実体剣、エネルギー式のブレード、以前にふわわが使っていたような柄を連結させたものに刃部分がドリルのような剣。 敵の銃撃を連結したブレードを回転させて弾き、強引に間合いを潰すべく突っ込む。
そうはさせないと相手は距離を取る。 その繰り返しだ。
――なるほど。 時間がかかる訳だ。
いつの間にか観戦者が増えている事から他の試合もほぼ終わったとみていい。
永遠に続くのかと思われたが、限界はある。 逃げている方の武器が弾切れになったのだ。
Aランクなのに随分と武装がシンプルだなと思ったが、よくよく見てみるとあちこちに破損の跡があり、恐らくは武装を積んでいたであろう場所が破壊されたのだろう。
それにより自身の強みを活かし切れず、拾った武器で応戦と。
こうなるとほぼ勝敗は決まったような物だった。 もう、いつまで逃げ切れるかの違いでしかない。
ちなみにこの勝負は制限時間がないのでどちらかが撃破されるまで終わらないので、いつまででも続けられる。 ヨシナリは両方の機体をじっくりと観察し、動きの癖を一通り見た後に観戦モードを切って退出した。
あの六本腕が相手を捕まえるまでの鬼ごっこだ。 見る価値はあまりない。
時間がありそうだったので今の内にショップでも見ておこうと思ったのだ。
リストをセンサー類だけに絞って画面をスクロール。 とりあえずはアルフレッドに積んであるのはどんな感じの奴かなと確認すると――
「うげ、P限定。 Gじゃ買えないのか……」
思わず声が漏れる。 思わず自身の所持金を確認。 元々、Pはキマイラフレーム購入の為に使わずにとっておいたので緊急ミッションやイベント報酬は大半が残っているが――
――うーん。 全てかき集めても微妙に足りない。
複合センサーシステム『シックスセンス』。
スペックを見るととんでもない代物だという事が分かる。 感知の範囲が広く、大抵の物は見えるだろう。 更に複合の名前の通り、動体や音の痕跡を辿る事でステルスすら剥がす事が可能だ。
見えていないと高を括った相手を逆に釣りだして狩る事なんて事もできそうだった。
この装備の最も優れた点はトルーパーの頭部に収まる事だ。
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