上 下
78 / 87

27-2 春の園遊会

しおりを挟む
「何処ってそんなのは決まって、」


「声が大きい! ちょっとこっちに来てください」


 ペイトンの心底憤慨した声にアデレードは焦った。

 当たり前の話だが、向こうの声がこちらに聞こえるようにこっちの声もあちらに聞こえる。

 アデレードは掴んでいた腕に縋りついてぐいぐい引っ張った。

 
「ちょっ、き、君、そんなに引っ付いて……」


「いいから黙って。早く、早く!」


 さっきはびくとも動かなかったが、今度はアデレードが進むままに、ペイトンも露店裏とは逆方向の表通りの方へずるずるついてきた。

 相手に話し声が届かない位置まできてアデレードが掴んでいた腕を離すと、


「こ、こんな場所で抱きつくなんて……」


 と、ペイトンはぶつぶつ文句を言った。

 ペイトンが明らかに騒ぎを起こそうとしているから止めたのであって、今の一連の行動を抱きつくカウントされると心外なのだが。

 けれど、触れられるのが嫌でペイトンがエスコ―トの際にも極力身体を離しているのは理解している。

 とっさのこととは言え悪かったかな、と、


「すみません」


 とアデレードは素直に謝罪した。


「いや、別に謝られることじゃないが」


 じゃあなんなの? と思うものの、それより何故ペイトンがここにいるのかという疑問が先に立った。


「社交クラブに行ったんじゃなかったんですか?」


「行くわけないだろ」


 なんでだよ、行けよ、という感情しかない。


「そんなことより! 君は、あんなこと言われて放っておくつもりか!」


 とペイトンは再び興奮し始めた。


「旦那様も聞いてらしたのですね」


「何を呑気に……君は売られた喧嘩はもれなく買うんじゃなかったのか?」


「時と場合によりますよ。人気のない場所にいる複数の男性相手に飛び込むのは危険だと思ってやめました」


「だから僕が行くと言っているだろう」


「王家主催の園遊会ですよ? あの程度の陰口を叩かれたくらいで騒ぎにしたら、こっちの評判が落ちます」


「そんなことは関係ない。敵前逃亡する気か? 君らしくない」


「いや、別に私好きで喧嘩しているわけじゃないですけど」


 絡んでくるからやむなしに反撃しているだけだ。

 基本的には平和主義だし、穏やかに暮らしていたい。

 好戦的な人物像を勝手に練り上げられても困る。

 さっき東広場にいたときだって明らかに敵意を向けられていたが華麗に無視していただろうに。

 ペイトンが気づいていたかは知らないが。


「だが、やられたらやり返すんだろ?」


「……私がいいって言っているんですから、もう良くないですか?」


「良くない」


「王家の催しで騒ぎを起こすことの方が、よっぽど良くないでしょ」


「わかった。君はここで待っていなさい」


 言うな否やペイトンがさっさと歩き出すので、アデレードは腕を掴んだ。


「ちょっと君!」


 ペイトンが蛇にでも遭遇したみたいに飛び退くので、アデレードはちょっと笑ってしまったが、すぐに表情を引き締めた。


「あの、なんて言うつもりなんですか?」


「え?」


「不細工じゃないって侮辱の言葉としては弱いですよ? それに陰口言っているのはあの人達だけじゃないから、いちいち文句つけていたらキリがないんです。だから抗議は不要です」


「他にもって……」


「さっき東広場でもヒソヒソ言われていたでしょ」


「気のせいじゃないのか」


 は? とアデレードは頭に血が上った。なんだそれ。気づいてないのは仕方ないとして、自意識過剰のように言われるのは納得できない。

 これまでの茶会だって、嫌な感じで笑われていることは訴えてきたはずだ。

 反応が薄かったのは信じていなかったと言うことか。流石にそれはないんじゃないか。

「気のせいじゃないです。私、そういうことには敏感なんで。旦那様もそうでしたよね?」


「え?」


「初めて会った時、私のこと大したことない娘だなって思ったでしょ? 私、見逃してませんから」


「な、にを……」


 アデレードは初めてペイトンと対面した日のことを鮮明に頭に浮かべて言った。

 ペイトンが女性嫌いであることは知っていたし、婚姻前の顔見せにも一度も姿を見せなかったことで、歓迎されない妻であることは分かっていた。

 別に自分でなくとも、拒絶の対応をしたことも理解している。

 でも、あの日、ペイトンが応接間に入ってきて目が合った一瞬。あの超絶失礼な発言をする一瞬前に、値踏みされたことは見逃していない。

 ただ、自分が凡庸なのは事実だから仕方ないと思っているだけだ。


「私が何処にでもいる平凡な娘で、こいつには言っていいと思ったからあの発言をしたんでしょ?」


「……僕は……別に誰だって拒絶していた」


「それは分かってます。断り方の話をしているんです」


 例えば、あの場にいたのが一言で丸めこめそうにない知的な美人だったら? 或いは、父が同席していたら、同じことを言ったか? 同じ拒絶でも別の言葉を選んだんじゃないか。

 よくいるタイプの令嬢。最初にガツンと言えば黙りそう。だから、言ってやろうと思った。それでよいと思った。そういう扱いを受けた。

 ペイトンが黙る。思うところがあるんだろう。


「別に蒸し返す気はありません。おかげでよい契約が結べたわけですし。ただ、わたしの洞察力の証明をしたかっただけです」


 あの男達に抗議しに行こうとしてくれたペイトンに対して、糾弾するような状況になってしまったことは申し訳なく思った。

 だが、不要だと言っているのに下手な正義感を出されても迷惑な話だ。

 たまたま幸運に高位貴族に生まれただけの凡庸な娘は理不尽な影口叩かれるあるあるを、美貌の侯爵家嫡男に話しても理解できないのは仕方ないのだろうけれど。

 侯爵様に頭を下げても、爵位継承権のない娘にまで媚びへつらうのは屈辱と捉える貴族男性は存外多い。

 舐めているからおだてて陰であげつらうし、弱味を握ろうと画策する。だから、こんな場所で尻馬に乗るのは愚の骨頂。


「東広場でとやかく言われていたのも事実だし、なんなら午前中の挨拶の時にも嫌な感じの人はいました。だから、王家主催の園遊会で騒ぎにするほどのことではないんです。慣れているんで平気です。お気持ちだけ受け取っておきますね」


 アデレードは笑って言った。全く笑える気分ではなかったけれど、長年の経験の賜物だ。ぐっと堪えて笑顔を作るなんてとても簡単なことだ。


「社交クラブに行かないなら、お義父様のところへ戻りましょうか」


「……駄目だろ」


「え」


「こんなことに慣れたら駄目だ」


 怒気を孕んだ声。一音一音が嫌なくらい耳に届いた。

 好き好んで慣れたわけじゃない。令嬢達にチクチク嫌味を言われている時は、ぼーっとしているくせに今日に限って何をやいのやいの言うことがあるのか。

 しつこい奴だな、もういいから放っておけよ、とアデレードはぐっと唇を噛んだ。

 それをどう解釈したのかペイトンは背を向けて歩き始める。


「待って!」


 今度は腕を掴み損ねて、ペイトンとどんどん距離が遠のく。

 アデレードは後を追ったが、裏道へ行くほど整備されてない砂利道で歩きにくい。

 そもそも高身長のペイトンが早足で進めば追いつけるはずがない。

 それでもどうにか既に露店の裏に回り込んで姿の見えなくなったペイトンの後を追った。

 少し奥まった雑木林の前にペイトンと三人の男が確認できた。

 そのうちの一人がラウル・ホイエットであることにアデレードは目を開いた。


「先程は僕の妻に随分な言いようだったな。フォアード侯爵家として重く受け取ったよ」 


「いや、あれは、」


「釈明は結構だ。今後突然生活に何らの支障が出た時、原因不明だと困惑するだろう? 先に教えておいてやろうっていうただの親切心だからな」


 アデレードからペイトンの顔は見えないが、多分笑っている。

 要約すればフォアード侯爵家はお前らと付き合いを断つがそのせいでどうなっても知らん、という意味だ。


 遠回しな嫌味は言わないタイプだと思っていたから驚いた。


「ちょっと待ってくれよ。お前だって乗り気じゃない結婚だったろう? 俺達はそんなに怒るようなこと言ったか? お前だったらもっとよい相手がいたって皆思っているぞ」


 ラウルがさも大したことない軽口だった体で言う。

 アデレードは、四人が問答している間にかなり近い位置まで歩みを進めていたが、ラウルからはペイトンが壁になり見えていなかったらしい。

 一人の男が「おいっ!」と目配せして漸くこちらの存在を認識したようだった。


「あ……」


 心底びっくりした時の呟きの声。のこのこ登場してしまったことにアデレードは一瞬たじろいだ。

 だが、自分は悪くないのだし堂々としよう、と考え直して無表情にラウルを見た。

 
「フォワード夫人! 今のは、その、違うんです」


 この状態で言い逃れなんてできないだろうに、私を何処まで舐めているんだ、と感情が凪いた。

 男達の足元には煙草の吸殻。用意された喫煙所ではなく隠れて喫煙している時点で察するものがある。

 公式な貴族の集まりで迂闊な発言はできないから仲間三人で愚痴大会というところか。本人に立ち聞きされるなんて夢にも思わなかったのだろう。

 迂闊すぎて同情のしようもない。


「夫人! 何か誤解があるようで。私達はただ、ペイトンが結婚したことが驚きでして、つい軽率な言動をしてしまっただけで」


「誠に申し訳ありません!! 私共の話を聞いてください」


 ペイトンを宥めてほしい感がありありと伝わってくる。こういう時は、

「旦那様、謝罪してくださいましたし、私なら平気ですから、どうか寛大な処置を」

 と円満解決へ導くべきだろうか。

 しかし、ここで相手の肩を持つのはペイトンにとって味方に背中を撃たれるのと同じではないか。

 ペイトンを見上げるが後頭部で表情がわからない。

 なんとなくこちらの発言を待っている風なことは理解できた。

 どうすればよいのか。

 ラウルと目が合う。午前中の出来事と先程の悪口と今の謝罪の言葉がチカチカ点滅して、


「嫌です」

 
 と気づけば言い放っていた。

 三人は絶句してますます顔色が悪くなる。

 可哀そうに、とか、気の毒に、と思わない代わりに、ざまーみろ、とも、すっきりした、とも感じもなかった。

 さっき凪いた感情が戻ってこない。振り向いたペイトンに、


「用は済んだな。行こうか」


 と告げられて、アデレードは黙って従った。


「ペイトン! 待ってくれ」

「フォアード夫人!」


「待ってください! 話を聞いてください」


 背後から必死に呼び止めてくる声。しかし、それも、


「騒ぎにして困るのは君達じゃないか」


 という冷たいペイトンの言葉にすぐに聞こえなくなった。

 ジャリジャリと砂利道を歩く音だけが二つ重なって鳴っている。

 ペイトンが後ろをついてくる。あんなこと言って大丈夫なのか。

 露店の角を曲がってラウル達から見えなくなった辺りで、


「すみません。私のせいで。有難うございました」


 とアデレードは謝罪と御礼を述べた。

 ペイトンを非難しておいて、結局庇ってもらったことがみっともなく、同時に、なんでももっているペイトンを羨ましく思った。「お前の家名とは関係を断つ」などとは自分には言えないから。

 そもそも自分にそんな権力があったら舐められることもなかった。


「別に君のためじゃない。妻が侮辱されて黙っているのはフォワード家の沽券にかかわる問題だ」


「はい、そんな自惚れはないので安心してください」


「え、いや、別にそういう意味じゃ……」


 ペイトンが焦ったように言うので、嫌味で言ったように聞こえたのかな、とアデレードも焦った。

 そんなつもりは毛頭ない。言葉選びを間違えた。今日はいろいろ失敗が多い。

 ペイトンはずっと後をついてくる。隣に並ぶ気配も追い越してくる感じもない。さっきはぐんぐん距離を離されたから歩調を合わせてくれている。

 アデレードは立ち止まって一旦振り向いて、

「誰かが自分のために抗議してくれるのは嬉しいものだから、御礼を言いたかったんです。有難うございます。だから、あの人達に本当に制裁を加えるのはやめてください。私の気は済んだので」


 笑って言うと直ぐに前を向き歩き始めた。無性に泣きたくなった。

 そうだった。相手にやり返して欲しかったわけでも、仕返ししたかったわけでもない。ただ、一緒に怒って欲しかったのだ。ずっと。レイモンドに。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。 彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。 それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。 そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。 公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。 そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。 「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」 こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。 彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。 同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

婚約者とその幼なじみの距離感の近さに慣れてしまっていましたが、婚約解消することになって本当に良かったです

珠宮さくら
恋愛
アナスターシャは婚約者とその幼なじみの距離感に何か言う気も失せてしまっていた。そんな二人によってアナスターシャの婚約が解消されることになったのだが……。 ※全4話。

あんなことをしたのですから、何をされても文句は言えませんよね?

柚木ゆず
恋愛
 ウチことクロフフォーラ伯爵家は金銭面でとても苦しい状況にあり、何かしらの手を打たないとわたしの次か次の代で破産しかねない状態となっていました。にもかかわらず肝心の父、母、妹も、『自分さえ幸せならどうでもいい』と考えていて、対策を練ることなく日々好き放題していました。  このままでは家が大変なことになってしまう。そこでわたしは9歳の頃に、国家資格である『1級薬師』を取得してオリジナルの薬を作り、その製造と販売でクロフフォーラ家を守ろうと決意しました。  それから5年後にわたしは14歳で1級薬師となり、24歳で薬の開発に成功。侍女や使用人がサポートしてくれたおかげで無事目標を達成することができた、のですが――。父と母と妹はわたしを屋敷から追い出し、薬に関する利益をすべて自分達のものにしようとし始めたのでした。  ……そういうことをするのでしたら、こちらにも考えがあります。  全員、覚悟してくださいね?  ※体調不良の影響で現在最新のお話以外の感想欄を、一時的に閉じております。なにかございましたら、お手数ではございますが、そちらにお願い致します。

色無しのアルカナ

水城イナ
恋愛
とある世界。 シディル国の国立アカデミーの新入生である公爵令嬢アルカナ・アルフェジアは、大変憂鬱だった。 魔力のある者は必ず「七色」に分類されるはずが、自分は「色無し」だからだ。 理由がわからないままアカデミーで落ちこぼれとして生活するアルカナ。 だが、アルカナには秘密があった。 (私は無色。無色という色であり、無色の魔法が使えること―――) 自分は何者なのか。そもそも「色分け」はなぜ存在するのか。 自身の謎を追っていると、突然皇太子が接触してして、取引を持ちかけてきて…? ちょっと特別な人たちが、問題解決に帆走しながらも自身の謎を解き明かす、ファンタジーラブ。

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

『壁の花』の地味令嬢、『耳が良すぎる』王子殿下に求婚されています〜《本業》に差し支えるのでご遠慮願えますか?〜

水都 ミナト
恋愛
 マリリン・モントワール伯爵令嬢。  実家が運営するモントワール商会は王国随一の大商会で、優秀な兄が二人に、姉が一人いる末っ子令嬢。  地味な外観でパーティには来るものの、いつも壁側で1人静かに佇んでいる。そのため他の令嬢たちからは『地味な壁の花』と小馬鹿にされているのだが、そんな嘲笑をものととせず彼女が壁の花に甘んじているのには理由があった。 「商売において重要なのは『信頼』と『情報』ですから」 ※設定はゆるめ。そこまで腹立たしいキャラも出てきませんのでお気軽にお楽しみください。2万字程の作品です。 ※カクヨム様、なろう様でも公開しています。

婚約して三日で白紙撤回されました。

Mayoi
恋愛
貴族家の子女は親が決めた相手と婚約するのが当然だった。 それが貴族社会の風習なのだから。 そして望まない婚約から三日目。 先方から婚約を白紙撤回すると連絡があったのだ。

処理中です...