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1-2 アデレード・バルモア
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▽▽▽
アデレード・バルモアの初恋は物心つく前から始まり一月前に終わった。
相手はリコッタ伯爵家の嫡男レイモンドで、母親同士が学生時代の友人同士だった。だから、二人はお腹の中にいる頃から両家を行き来していて、その後も家族ぐるみの付き合いは続き、アデレードは気づいた時にはレイモンドを好きだった。
幼い頃はレイモンドの方もアデレードを好いており「大きくなったらアデレードをお嫁さんにする!」と皆の前でしょっちゅう宣言していた。
だが、子供はいつか大人になる。
幼馴染同士の結婚とはロマンチックであるが、世界は広く、出会いも多い。アデレードはずっとレイモンドを慕っていたけれど、レイモンドは変わっていった。
レイモンドは母親譲りの端正な顔立ちで文武両道になんでもできる。おまけにリコッタ伯爵家は、爵位こそ伯爵位であるが紡績業で財をなしている資産家で裕福だ。モテないはずがない。
一方、アデレードは侯爵家の令嬢であること以外、特筆すべき優れたところのない娘に成長した。
そんなアデレードをレイモンドは疎ましげに扱うようになった。
更に周囲もそれに便乗し「高位貴族であることを盾に無理やりレイモンドに関係を迫る厚顔無恥な女だ」と誹謗中傷するようになった。
だが、レイモンドの母親であるリコッタ夫人は、アデレードを実の娘のように可愛がっていたし、外面の良いレイモンドは両家の親の前ではアデレードに気のある素振りを見せていた。更に、
「わざわざ婚約なんてする必要はないだろう。学園を卒業すればちゃんと結婚してやる。それまで自由にさせてくれ。お前がせっつかなければ親も余計なことは言わない」
とアデレードに言い含めていた。
学生のうちは遊びたいから婚約という契約に縛られたくない、という意味にほかならない。だが、当時お花畑脳であったアデレードは「卒業したら結婚するとプロポーズしてくれた!」と有頂天になった。
毎日毎日鏡を見ていると変化に気づかないように、幼い頃、自分に優しかったレイモンドを頭に刷り込んでしまっていたから、全てを良い方に捉えた。
レイモンドが家族の前では良い顔で振る舞うのも、アデレードの盲目な思考を加速させた。
そんな中、三月前、メイジーというリコッタ伯爵の遠縁の娘がレイモンドの屋敷で居候を始めたことにより状況が変わった。
父親に「新しい環境に慣れるまで面倒を見るように」と頼まれたレイモンドは、四六時中メイジーと過ごすようになった。
他の女性を優先するのはいつものことだが、今回は「父親の頼み」という名目がある。これまでの「親の前ではバレないように」という態度を翻して、レイモンドはアデレードよりメイジーを優先した。
そして、一月前アデレードはある事件がきっかけでとうとうブチ切れたのだ。
「お父様、フォアード侯爵のご子息が結婚相手を探しているお話、私が立候補したいのですけれど?」
「え、お前はレイモンドを好いているだろう?」
「それはもうよいのです」
レイモンドがアデレードを冷遇していることを、家族が全く気づいていなかったわけではない。
バルモア家の面々はアデレードに甘いため「アデレードが納得しているなら」と一任してきた。
そのアデレードがレイモンドに見切りをつけたことに、喜びはすれ反対するはずはない。正式な婚約を結んでいなかったことも良いように働いた。
話はトントン拍子に進み、アデレードは本日、遠路遥々隣国であるバリバラ王国のフォアード侯爵家へ嫁いできたのだ。
「お嬢様、顔合わせは如何でした?」
応接間を出て案内された部屋では、自国から連れてきた侍女のバーサが既に荷解きを始めていた。
「あのクソ野郎と比べたら誰でもマシだと思いますけどね」
バーサが何の躊躇いもなく言うのでアデレードは笑った。クソ野郎が誰なのかは聞くまでもない。
バーサはアデレードより六歳年上の商家の生まれで元踊り子という異色の職歴を持つ侍女だ。自分の力で生きる度量があるからか明け透けな発言をする。上品な貴族令嬢とは相入れないはずだが、アデレードとは妙に気が合って三年前からアデレード付きの侍女としてバルモア家で奉公している。
「私は彼を愛さないし、彼は私を愛することで折り合いがついたの。口約束だと後で揉めるかもしれないから早急に書面にして署名してもらうわ」
「え、どういうことですか?」
あまり物事に動じないバーサが困惑するので、アデレードはまた笑って、応接間での出来事を話した。
ペイトンとは、かなり難ありの相手だと分かっていて結婚した。
知っていて敢えて選んだのは「私が不幸な結婚をしたらレイモンドが罪悪感を抱くかもしれない」という非常に捻じ曲がった思考に陥っていたからだ。
物心つく前からずっと好きだった人に失恋し自暴自棄になっていた。
冷静になれば「私が誰と結婚しようがレイモンドは何とも思わない」と簡単にわかるのにその時はまともな考えじゃなかった。
今は随分落ち着いたけれど、自分から「結婚したい!」と押しに押しまくっていたので引くに引けず、やはり何処か投げやりなまま「まぁ、いいか」と嫁いできた。
尤も一年間の白い結婚制度を使用するという前提なのだが。
白い結婚制度とは、貿易に関する国際法が制定される以前に、他国間で詐欺が横行していた時代の不文律だ。
姻族になることで信頼を得る慣習があった。自分の娘を相手国へ嫁がせ、事業が安定すれば離縁させ母国に戻ってこさせる。
普通の政略結婚と何が異なるかといえば「離婚することが前提」であること。
現在もその思想は根強く残っている。つまり、他国との事業提携を名目に結婚するならば、白い結婚で罷り通り、離婚しても後ろ指を指される心配はない。
バルモア夫妻もフォアード侯爵も、自分達の子供が「問題あり」だと重々承知していた。故に、白い結婚として推し進めることに決めた。
両家が立ち上げた新規事業は手堅いものだから、軌道に乗るまで恐らく一年も掛からないだろう。
だから白い結婚期間を一年として。その後、二人が仲睦まじく婚姻関係を続けてくれたら儲けもん、くらいの感覚で。
この件に関しては、アデレードもペイトンも承知している。白い結婚は結婚式を挙げないことが第一前提として必要だ。
後出しできないし、周囲からも非常に分かりやすい制度だ。
だが、恐らくペイトンは「そんなことを言いながら、なし崩し的に婚姻関係を継続させる気だ」とでも考えていたのだろう。
でなければ初対面で開口一番「君を愛することはない」など言わない。どれだけ自意識過剰なのか。
(でも、あんな約束を引き受けるなんて意外だわ)
アデレードは、バーサに応接室での話を語りながら、ペイトンの様子を思い浮かべて笑いそうになった。
「それってつまりどういうことですか?」
余すことなく起こった出来事を喋り終えても、バーサの困惑は消えなかった。
「私がどんなに蔑ろにしても、向こうは変わらず私を好きってことじゃない?」
「え、どうしてそんなこと承諾しちゃったんですか?」
「さぁ? 動揺していたから流れでかしら」
アデレードも改めて、なんで承諾しちゃったの、と思ったが、特に自分が困ることにはならないし、下手に撤回して不利益を被ることになるのは御免なので、宣言通りさっさと契約書を作ることにした。
アデレード・バルモアの初恋は物心つく前から始まり一月前に終わった。
相手はリコッタ伯爵家の嫡男レイモンドで、母親同士が学生時代の友人同士だった。だから、二人はお腹の中にいる頃から両家を行き来していて、その後も家族ぐるみの付き合いは続き、アデレードは気づいた時にはレイモンドを好きだった。
幼い頃はレイモンドの方もアデレードを好いており「大きくなったらアデレードをお嫁さんにする!」と皆の前でしょっちゅう宣言していた。
だが、子供はいつか大人になる。
幼馴染同士の結婚とはロマンチックであるが、世界は広く、出会いも多い。アデレードはずっとレイモンドを慕っていたけれど、レイモンドは変わっていった。
レイモンドは母親譲りの端正な顔立ちで文武両道になんでもできる。おまけにリコッタ伯爵家は、爵位こそ伯爵位であるが紡績業で財をなしている資産家で裕福だ。モテないはずがない。
一方、アデレードは侯爵家の令嬢であること以外、特筆すべき優れたところのない娘に成長した。
そんなアデレードをレイモンドは疎ましげに扱うようになった。
更に周囲もそれに便乗し「高位貴族であることを盾に無理やりレイモンドに関係を迫る厚顔無恥な女だ」と誹謗中傷するようになった。
だが、レイモンドの母親であるリコッタ夫人は、アデレードを実の娘のように可愛がっていたし、外面の良いレイモンドは両家の親の前ではアデレードに気のある素振りを見せていた。更に、
「わざわざ婚約なんてする必要はないだろう。学園を卒業すればちゃんと結婚してやる。それまで自由にさせてくれ。お前がせっつかなければ親も余計なことは言わない」
とアデレードに言い含めていた。
学生のうちは遊びたいから婚約という契約に縛られたくない、という意味にほかならない。だが、当時お花畑脳であったアデレードは「卒業したら結婚するとプロポーズしてくれた!」と有頂天になった。
毎日毎日鏡を見ていると変化に気づかないように、幼い頃、自分に優しかったレイモンドを頭に刷り込んでしまっていたから、全てを良い方に捉えた。
レイモンドが家族の前では良い顔で振る舞うのも、アデレードの盲目な思考を加速させた。
そんな中、三月前、メイジーというリコッタ伯爵の遠縁の娘がレイモンドの屋敷で居候を始めたことにより状況が変わった。
父親に「新しい環境に慣れるまで面倒を見るように」と頼まれたレイモンドは、四六時中メイジーと過ごすようになった。
他の女性を優先するのはいつものことだが、今回は「父親の頼み」という名目がある。これまでの「親の前ではバレないように」という態度を翻して、レイモンドはアデレードよりメイジーを優先した。
そして、一月前アデレードはある事件がきっかけでとうとうブチ切れたのだ。
「お父様、フォアード侯爵のご子息が結婚相手を探しているお話、私が立候補したいのですけれど?」
「え、お前はレイモンドを好いているだろう?」
「それはもうよいのです」
レイモンドがアデレードを冷遇していることを、家族が全く気づいていなかったわけではない。
バルモア家の面々はアデレードに甘いため「アデレードが納得しているなら」と一任してきた。
そのアデレードがレイモンドに見切りをつけたことに、喜びはすれ反対するはずはない。正式な婚約を結んでいなかったことも良いように働いた。
話はトントン拍子に進み、アデレードは本日、遠路遥々隣国であるバリバラ王国のフォアード侯爵家へ嫁いできたのだ。
「お嬢様、顔合わせは如何でした?」
応接間を出て案内された部屋では、自国から連れてきた侍女のバーサが既に荷解きを始めていた。
「あのクソ野郎と比べたら誰でもマシだと思いますけどね」
バーサが何の躊躇いもなく言うのでアデレードは笑った。クソ野郎が誰なのかは聞くまでもない。
バーサはアデレードより六歳年上の商家の生まれで元踊り子という異色の職歴を持つ侍女だ。自分の力で生きる度量があるからか明け透けな発言をする。上品な貴族令嬢とは相入れないはずだが、アデレードとは妙に気が合って三年前からアデレード付きの侍女としてバルモア家で奉公している。
「私は彼を愛さないし、彼は私を愛することで折り合いがついたの。口約束だと後で揉めるかもしれないから早急に書面にして署名してもらうわ」
「え、どういうことですか?」
あまり物事に動じないバーサが困惑するので、アデレードはまた笑って、応接間での出来事を話した。
ペイトンとは、かなり難ありの相手だと分かっていて結婚した。
知っていて敢えて選んだのは「私が不幸な結婚をしたらレイモンドが罪悪感を抱くかもしれない」という非常に捻じ曲がった思考に陥っていたからだ。
物心つく前からずっと好きだった人に失恋し自暴自棄になっていた。
冷静になれば「私が誰と結婚しようがレイモンドは何とも思わない」と簡単にわかるのにその時はまともな考えじゃなかった。
今は随分落ち着いたけれど、自分から「結婚したい!」と押しに押しまくっていたので引くに引けず、やはり何処か投げやりなまま「まぁ、いいか」と嫁いできた。
尤も一年間の白い結婚制度を使用するという前提なのだが。
白い結婚制度とは、貿易に関する国際法が制定される以前に、他国間で詐欺が横行していた時代の不文律だ。
姻族になることで信頼を得る慣習があった。自分の娘を相手国へ嫁がせ、事業が安定すれば離縁させ母国に戻ってこさせる。
普通の政略結婚と何が異なるかといえば「離婚することが前提」であること。
現在もその思想は根強く残っている。つまり、他国との事業提携を名目に結婚するならば、白い結婚で罷り通り、離婚しても後ろ指を指される心配はない。
バルモア夫妻もフォアード侯爵も、自分達の子供が「問題あり」だと重々承知していた。故に、白い結婚として推し進めることに決めた。
両家が立ち上げた新規事業は手堅いものだから、軌道に乗るまで恐らく一年も掛からないだろう。
だから白い結婚期間を一年として。その後、二人が仲睦まじく婚姻関係を続けてくれたら儲けもん、くらいの感覚で。
この件に関しては、アデレードもペイトンも承知している。白い結婚は結婚式を挙げないことが第一前提として必要だ。
後出しできないし、周囲からも非常に分かりやすい制度だ。
だが、恐らくペイトンは「そんなことを言いながら、なし崩し的に婚姻関係を継続させる気だ」とでも考えていたのだろう。
でなければ初対面で開口一番「君を愛することはない」など言わない。どれだけ自意識過剰なのか。
(でも、あんな約束を引き受けるなんて意外だわ)
アデレードは、バーサに応接室での話を語りながら、ペイトンの様子を思い浮かべて笑いそうになった。
「それってつまりどういうことですか?」
余すことなく起こった出来事を喋り終えても、バーサの困惑は消えなかった。
「私がどんなに蔑ろにしても、向こうは変わらず私を好きってことじゃない?」
「え、どうしてそんなこと承諾しちゃったんですか?」
「さぁ? 動揺していたから流れでかしら」
アデレードも改めて、なんで承諾しちゃったの、と思ったが、特に自分が困ることにはならないし、下手に撤回して不利益を被ることになるのは御免なので、宣言通りさっさと契約書を作ることにした。
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