177 / 533
本編
伴侶はどうですか?
しおりを挟む
竜樹が、おしゃべりしてみてね、としてから、最初は皆、戸惑い。でもちょっとずつ真剣に、魔道具を駆使したりもして、身近な人たちと話し始めた。
ざわざわ、と大勢の人が話し合う声がうねりとなって、会場内を埋め尽くす。
「あ、段々と毛氈からはみ出して、自由に他の家族達とも話し合ってるね。」
「うむ。まあ、血が近い弊害の話もあったしな。」
ファヴール教皇が、ペロリとシュークリームを2つ食べ紅茶をすすり、一つ目のシュークリームを齧り中の竜樹と、顔見合わせてダベる。
「薄々気づいてはいても、なあなあにしてきたものが、神の名において、はっきりとされてしまった。婚約者のいる者達は喫緊に話し合いたいだろうし、それ以外の者も、テレビやラジオ、教科書作りの就職を望むかどうか、誰と組むかで、今、頭はいっぱいだろう。」
「それにひても、もむもむ。」
神様の独り言を聞いた、って、皆すごく信じてくれるんですね。そんなの嘘だ!とかなくて。
竜樹の疑問に。
「それはそうだろう。神の声を騙った者は、その罪の度合いにより、雷に打たれて神罰をもらう。その場でだ。子供の嘘などでは、神もちょっとピリッとするくらいに手加減してくれるが、それでもピシャン!と、嘘を言った瞬間に、いきなり雷に打たれては、誰も嘘をまこととは言い切れない。」
故に、神の言葉に関して嘘を言う者は、この世界では、いない。
「はぁ~!この世界は、本当に神様の存在が、皆の生活に、近いんですね。」
「神器を持つお方が、何を言うか。」
ふはは!
ファヴール教皇は、いかにも可笑しげに、口元を緩ませて笑った。
1刻ほど、自由に話してもらって、竜樹は会を締めるために、質疑応答をし始めた。
「どうやってお試しの番組を作ったらいいですか?具体的に教えて下さい。」
「自分が得意だったり、伝えたい事をなんでも、工夫して番組にして下さい。こちらで、ラジオなら音を録る録音機、テレビなら映像を撮るためのカメラを貸し出します。それで録った音や映像を、これまた貸し出す編集機を使って、まとめて下さい。何でも良いから、最初は撮って、録音して、手応えを感じてみて下さい。カメラや編集機は、ラジオ番組やテレビ番組を毎日、朝から夜まで番組を流すように将来するので、その時に使いますから、ちゃんと返して下さいね。壊したら弁償です。因みに、録音機は金貨3枚、カメラは一台金貨5枚。音と映像の編集機は金貨6枚します。」
「あにめーしょんを作る時も、そのカメラですか?」
「上から据え置きの、カメラが必要でしょうね。アニメーションを作る場合は、また機材が違うのです。できるだけ希望の表現が出来るように相談にものりますが、アニメーションを作るのは時間もかかるので、今回は見送って下さい。例外として、新設するアニメーション制作会社の社員達は、アニメーションでお試し番組を作ってもらいます。」
「教科書を作りたい人は、どうしたらいいですか?」
「試しに、これは学んでおくべき!と思う項目を、子供向けに、分かりやすく、実際に紙に書いて作成し、見本として提出してください。こちらもチームで応募しても良いですよ。枚数制限はありませんが、多ければいいとは限りません。少なすぎても、判断に迷うので、10ページ以上で、程よく、を自分の判断で。」
「ギフトの御方様は、伴侶をお求めではないですか?どんな方が好ましいと思われます?」
ぎょっ!とジェム達や、教会の子らが、わらわらと立ち上がり。
「伴侶を求めてないです。添ってくれる方がいるなら、子供達のお母さんになってくれて、子供達に好かれる方が良いです。お母さんはもういるし、子供達にも浮気する姿を見せたくないので、お父さんとして、身を律します。」
ほっとして、座った。
「米粉のパンは、どこに行けば買えますか!?」
「王都に、明日から開店するお店ができます。ルリのみせ、と言います。米粉も売っているので、ご自宅の料理人にパンを作らせたいお家の方、問い合わせはそちらに。小麦アレルギーのある子のお家優先にはなります。お店までの地図を、ご希望の方にはお渡しできます。」
「本当に伴侶はいらないですか?ギフトの御方様の、お仕事の助けになる、貴族として身分も充分な女性が沢山います。新しい血といえば、ギフトの御方様も、新しい血をお持ちでしょう?」
「すみません。家庭を壊したくありません。父ちゃんに女ができた、って子供を泣かせたくないです。」
うんうん、とジェム達、教会の子達が頷いている。
『私たち 耳が不自由な者も 視力が弱い方も 番組を作ってみて いいのですよね!』
「ぜひ!ご応募、お待ちしております。」
その後も何だかんだと話があって、ひとしきり応答する。
「では、これから申し込みを受け付けます。今、申し込みたい方は、どうぞ。これから自由解散になります。晩餐の時間までは、会場で色々な方と打ち合わせしてくださって構いません。ちょっとしたお茶とお茶菓子は出ますが、夕飯は出ないので、お腹に都合を聞いて、お時間許すまでどうぞ。」
その日、貴族たちのほとんどは、時間ギリギリまで会場から帰らなかった。
赤ちゃん連れの貴族のために、各家庭に付いてきた乳母にお乳を与えさせ、控えの間が育児室と化した。
ざわざわ、と大勢の人が話し合う声がうねりとなって、会場内を埋め尽くす。
「あ、段々と毛氈からはみ出して、自由に他の家族達とも話し合ってるね。」
「うむ。まあ、血が近い弊害の話もあったしな。」
ファヴール教皇が、ペロリとシュークリームを2つ食べ紅茶をすすり、一つ目のシュークリームを齧り中の竜樹と、顔見合わせてダベる。
「薄々気づいてはいても、なあなあにしてきたものが、神の名において、はっきりとされてしまった。婚約者のいる者達は喫緊に話し合いたいだろうし、それ以外の者も、テレビやラジオ、教科書作りの就職を望むかどうか、誰と組むかで、今、頭はいっぱいだろう。」
「それにひても、もむもむ。」
神様の独り言を聞いた、って、皆すごく信じてくれるんですね。そんなの嘘だ!とかなくて。
竜樹の疑問に。
「それはそうだろう。神の声を騙った者は、その罪の度合いにより、雷に打たれて神罰をもらう。その場でだ。子供の嘘などでは、神もちょっとピリッとするくらいに手加減してくれるが、それでもピシャン!と、嘘を言った瞬間に、いきなり雷に打たれては、誰も嘘をまこととは言い切れない。」
故に、神の言葉に関して嘘を言う者は、この世界では、いない。
「はぁ~!この世界は、本当に神様の存在が、皆の生活に、近いんですね。」
「神器を持つお方が、何を言うか。」
ふはは!
ファヴール教皇は、いかにも可笑しげに、口元を緩ませて笑った。
1刻ほど、自由に話してもらって、竜樹は会を締めるために、質疑応答をし始めた。
「どうやってお試しの番組を作ったらいいですか?具体的に教えて下さい。」
「自分が得意だったり、伝えたい事をなんでも、工夫して番組にして下さい。こちらで、ラジオなら音を録る録音機、テレビなら映像を撮るためのカメラを貸し出します。それで録った音や映像を、これまた貸し出す編集機を使って、まとめて下さい。何でも良いから、最初は撮って、録音して、手応えを感じてみて下さい。カメラや編集機は、ラジオ番組やテレビ番組を毎日、朝から夜まで番組を流すように将来するので、その時に使いますから、ちゃんと返して下さいね。壊したら弁償です。因みに、録音機は金貨3枚、カメラは一台金貨5枚。音と映像の編集機は金貨6枚します。」
「あにめーしょんを作る時も、そのカメラですか?」
「上から据え置きの、カメラが必要でしょうね。アニメーションを作る場合は、また機材が違うのです。できるだけ希望の表現が出来るように相談にものりますが、アニメーションを作るのは時間もかかるので、今回は見送って下さい。例外として、新設するアニメーション制作会社の社員達は、アニメーションでお試し番組を作ってもらいます。」
「教科書を作りたい人は、どうしたらいいですか?」
「試しに、これは学んでおくべき!と思う項目を、子供向けに、分かりやすく、実際に紙に書いて作成し、見本として提出してください。こちらもチームで応募しても良いですよ。枚数制限はありませんが、多ければいいとは限りません。少なすぎても、判断に迷うので、10ページ以上で、程よく、を自分の判断で。」
「ギフトの御方様は、伴侶をお求めではないですか?どんな方が好ましいと思われます?」
ぎょっ!とジェム達や、教会の子らが、わらわらと立ち上がり。
「伴侶を求めてないです。添ってくれる方がいるなら、子供達のお母さんになってくれて、子供達に好かれる方が良いです。お母さんはもういるし、子供達にも浮気する姿を見せたくないので、お父さんとして、身を律します。」
ほっとして、座った。
「米粉のパンは、どこに行けば買えますか!?」
「王都に、明日から開店するお店ができます。ルリのみせ、と言います。米粉も売っているので、ご自宅の料理人にパンを作らせたいお家の方、問い合わせはそちらに。小麦アレルギーのある子のお家優先にはなります。お店までの地図を、ご希望の方にはお渡しできます。」
「本当に伴侶はいらないですか?ギフトの御方様の、お仕事の助けになる、貴族として身分も充分な女性が沢山います。新しい血といえば、ギフトの御方様も、新しい血をお持ちでしょう?」
「すみません。家庭を壊したくありません。父ちゃんに女ができた、って子供を泣かせたくないです。」
うんうん、とジェム達、教会の子達が頷いている。
『私たち 耳が不自由な者も 視力が弱い方も 番組を作ってみて いいのですよね!』
「ぜひ!ご応募、お待ちしております。」
その後も何だかんだと話があって、ひとしきり応答する。
「では、これから申し込みを受け付けます。今、申し込みたい方は、どうぞ。これから自由解散になります。晩餐の時間までは、会場で色々な方と打ち合わせしてくださって構いません。ちょっとしたお茶とお茶菓子は出ますが、夕飯は出ないので、お腹に都合を聞いて、お時間許すまでどうぞ。」
その日、貴族たちのほとんどは、時間ギリギリまで会場から帰らなかった。
赤ちゃん連れの貴族のために、各家庭に付いてきた乳母にお乳を与えさせ、控えの間が育児室と化した。
33
お気に入りに追加
158
あなたにおすすめの小説
男装の皇族姫
shishamo346
ファンタジー
辺境の食糧庫と呼ばれる領地の領主の息子として誕生したアーサーは、実の父、平民の義母、腹違いの義兄と義妹に嫌われていた。
領地では、妖精憑きを嫌う文化があるため、妖精憑きに愛されるアーサーは、領地民からも嫌われていた。
しかし、領地の借金返済のために、アーサーの母は持参金をもって嫁ぎ、アーサーを次期領主とすることを母の生家である男爵家と契約で約束させられていた。
だが、誕生したアーサーは女の子であった。帝国では、跡継ぎは男のみ。そのため、アーサーは男として育てられた。
そして、十年に一度、王都で行われる舞踏会で、アーサーの復讐劇が始まることとなる。
なろうで妖精憑きシリーズの一つとして書いていたものをこちらで投稿しました。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
精霊のジレンマ
さんが
ファンタジー
普通の社会人だったはずだが、気が付けば異世界にいた。アシスという精霊と魔法が存在する世界。しかし異世界転移した、瞬間に消滅しそうになる。存在を否定されるかのように。
そこに精霊が自らを犠牲にして、主人公の命を助ける。居ても居なくても変わらない、誰も覚えてもいない存在。でも、何故か精霊達が助けてくれる。
自分の存在とは何なんだ?
主人公と精霊達や仲間達との旅で、この世界の隠された秘密が解き明かされていく。
小説家になろうでも投稿しています。また閑話も投稿していますので興味ある方は、そちらも宜しくお願いします。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。
町島航太
ファンタジー
かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。
しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。
失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。
だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。
「7人目の勇者」
晴樹
ファンタジー
別の世界にある国があった。
そこにはある仕来たりが存在した。それは年に1度勇者を召喚するという仕来たり。そして今年で7人目の勇者が召喚されることになった。
7人目の勇者として召喚されたのは、日本に住んでいた。
何が何だか分からないままに勇者として勤めを全うすることになる。その最中でこの国はここ5年の勇者全員が、召喚された年に死んでしまうという出来事が起きていることを知る。
今年召喚された主人公は勇者として、生きるためにその勇者達に謎の死因を探り始める…
草食系ヴァンパイアはどうしていいのか分からない!!
アキナヌカ
ファンタジー
ある時、ある場所、ある瞬間に、何故だか文字通りの草食系ヴァンパイアが誕生した。
思いつくのは草刈りとか、森林を枯らして開拓とか、それが実は俺の天職なのか!?
生まれてしまったものは仕方がない、俺が何をすればいいのかは分からない!
なってしまった草食系とはいえヴァンパイア人生、楽しくいろいろやってみようか!!
◇以前に別名で連載していた『草食系ヴァンパイアは何をしていいのかわからない!!』の再連載となります。この度、完結いたしました!!ありがとうございます!!評価・感想などまだまだおまちしています。ピクシブ、カクヨム、小説家になろうにも投稿しています◇
【完結】異世界転移した私がドラゴンの魔女と呼ばれるまでの話
yuzuku
ファンタジー
ベランダから落ちて死んだ私は知らない森にいた。
知らない生物、知らない植物、知らない言語。
何もかもを失った私が唯一見つけた希望の光、それはドラゴンだった。
臆病で自信もないどこにでもいるような平凡な私は、そのドラゴンとの出会いで次第に変わっていく。
いや、変わらなければならない。
ほんの少しの勇気を持った女性と青いドラゴンが冒険する異世界ファンタジー。
彼女は後にこう呼ばれることになる。
「ドラゴンの魔女」と。
※この物語はフィクションです。
実在の人物・団体とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる