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本編
大好きな事は続けたらいい
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「一つ開発されて流行る物があると、えいきょうを受けて、おとろえる物があったり、するんだね。」
う~ん、とオランネージュは、猫ちゃんぬいぐるみを頬に当てて考え込んだ。
「それって、どうしようもない事だよね。」
だって、だからって、変わらないって選択肢はないから。
「時代を経ても、変わらない良さもあるんだけどね。今までの肖像画工房は、工夫していかないとでしょうね。それでも仕事は、減るだろうと思います。俺のいた世界でも、ほとんどの人は、記録として肖像画を描いてもらう人、いなかったから。」
時代は流れ、変わっていく。残酷なようだが、その波が来てしまえば、当事者は、必死で波を漕いで活路を見つけるしかないのだ。
「でも、呑気にそうとばかりも、言ってられない。工房の職人達は、食っていかなきゃだもの。それでも、ボン様が、自分で考えたい、って言った意味が分かったよ。だって、表現するって事は、その人が生きる事だから。代わりに何でも用意してやったって、代わりに生きてあげる事は出来ない。手応え、感じたいですよね。」
竜樹の言葉に、紫色の目を、ゆらゆら、と揺らがせて、ボンは頷く。
「私は、いつだって、家族が用意してくれた道に沿って歩いていくだけだった。煩雑な領地の運営や政治、社交は、跡取りと次男の兄2人がやってくれ、肖像画工房も、母が、趣味として働けば良いんじゃない、って用意してくれた、先祖代々お得意先がウチの工房でした。」
お客様に頼まれたら、嫌とは言えないから、仕方なく雇ってくれた。
ボンには、生きていかなきゃいけない、食べなきゃいけない、その中で表現する、という切羽詰まったものがない。
「どこか貪欲じゃない、て言われます。だから、芸術作品、じゃなくて、職人の仕事、なんだって。勿論、職人が悪い訳じゃない。でも、やっぱり、強い光に憧れます。」
それはどうしようもない事なんだろう。
人は、自分にないものに、憧れるものだから。
「う~ん。でもだからって、食い詰めてみてもね。職人仕事が芸術じゃない、なんて思わないよ。整ったものにはその良さが。幸せの芸術には、幸せの芸術の良さがあるよね。それに満足に食べていけないと、表現できないから。」
心地よく、人をほんわりうっとりさせる、幸福の芸術。不遇の中から、強い光を求める切実な強さと、どちらが良いか、なんて言えない。そしてその2択じゃなくても、良いんじゃない?
「わ、私には、食い詰める勇気、ないです。怖いし、お腹減ったら絵が描けなくて困るし、お金が無ければ、好きな絵や作品が買えないし。いや、父母が買ってくれますけど。うん、だから、ダメ、なんです。」
しょんぼりする。本当は、一歩踏み出したいんだね。でも、勇気が、出なくて、怖くて。
「ダメって事は、ないよ~。環境は人それぞれじゃん。」
不思議そうな顔をして、オランネージュが竜樹に。
「竜樹は、お金がなくて生活に困ってる、民や子供の生活に、ずいぶん寄りそってる、と思うけど、お金持ちを否定しないんだね?」
お金を、だれかが集中してもっていて、ずるいとかないの?
「生活に困る人が沢山いたり、あんまり偏ってたら、やだなと思うけど。お金がないと、出来ない事ってあるからね。それに、誰もが大きいお金を、上手く使えるとは、それで幸せになれるとは、限らないし。」
宝くじの話、したでしょ。大金当たって、妬まれて殺されちゃう人もいたりする。
「だから、お金を使って、皆の幸せや未来を創れる、お金の使い方の上手い人に、お金持ちになって欲しいかな。そういう人は、応援しちゃう。」
「私も応援しちゃうな。」
オランネージュが、うんうんと猫ちゃんを頷かせる。
「大きい意味でお店屋さんやったり、応援したりするのも、未来のオランネージュの仕事だよ。だから結構、未来は楽しいだろ?」
はた、と手を止めて。
「うん!楽しいかも!」
ニココ!と猫ちゃんの手で◯を作った。
「まあ、ボン様の話に戻るけど、そもそもボン様の作品を見た事ないから、何を言っても説得力ないよね。」
「お、甥っ子の店に、少し、置いてもらってます。」
でもほんと、面白みのない絵なんです。ボンは、恥いる。
竜樹は、そんな事ないよ、とは言わなかった。言ってみても、ボンが納得できる訳じゃない、その場しのぎだからだ。でも、お店にあるよって言うって事は、見てもらいたくない訳じゃないんだ。
「とにかく、絵画が写真に劣るなんて事はないですよ、これからも。だって、できる事、表現できる事が、違う訳だし。」
写真を絵画に活用した作家も、確かいたよ。光の入り具合、一瞬の切り取り方。撮影したものを、絵にしたり。影響し合う事はあれど、殺し合う事はない。
「実在するものを撮るんじゃない所、そのものを描くのではない所を、アピールするか。まだ写真は、修正は出来ないものな。あー、推理作家がいて。」
ふんふん?すいりさっか?
って、なに?
「謎の殺人事件なんかを、探偵が見事に解決したりする物語を書く人だよ。まあ、日常物っていう、殺人が起こらない謎を解く小説もあるけど。」
「なぞのさつじんじけん!!」
キラン!とオランネージュの瞳が光る。まぁ、まぁ、今は推理小説の事は置いといて。
「その、推理作家の本のシリーズの表紙を描いていた、イラストレーターさんがいて、作者の作家さんにも高評価だったんだけど、ある時から仕事が無くなったんだ。さて、何故でしょう。」
???
「手抜きしちゃった?」
「違います。答え出ないと思うから言うけど、その作家さん、下唇が厚くて出っ張ってたんだ。作家さんの横顔のシルエットを表紙にしたイラストレーターさんは、その特徴をキチンと捉えて絵にしちゃった。作家さんは、それが嫌だったんだね。自分の気にしてる所を、絵にされて。」
あっ!!
「絵なら、修正して描けます!目を大きくも、顎をシュッと細くさせても、ちょうどいい具合に!」
「うんまあ、肖像画の工房の職人さん達は、とっくに気付いてやってそうだけど、写真もいいけど、絵もいいよ、って、俺たちは言える訳じゃない?」
テレビや、新聞で。
「そうかあ!テレビや、新聞が、ある意味、わかった気がする!最新の、物ばっかりを、追い求めるだけじゃないんだね!」
「私の描く肖像画が、いまいち人気なかったのも、それでした•••。嘘が、描けなくて。」
とほほ。
ハハハ!
「何だ、結構、ボン様、芸術家気質じゃないか!」
まぁまぁひとまず、甥っ子さんの店に行ってみようじゃないか?
「オランネージュ殿下。」
何とか一つ方針が出来て、皆で一息、果実水の残りを飲んでいると。従者さんが、オランネージュにお伺いを立ててきた。
「子供新聞の取材が来ております。ご対応されますか?」
「うん。会うよ。竜樹とボン、私も甥っ子ちゃんのお店に行きたいから、ちょっと待っててくれない?」
良いよ~。
構いませんよ。
「オランネージュ様~!写真館、もりあがってるね~!!」
「すごい、お客さんいっぱい!」
ジェムにロシェにアガット、それから狼耳のアルディ王子が、わわわ~っと。報道、の赤い腕章が光っている。
ふこふことアルディ王子の尻尾は靡いているし、ふむす!と勢いこむジェムは、片手に鉛筆、もう片手にメモで、しっかり記者さんだ。
「ジェム、ロシェ、アガット、アルディ王子。子供新聞の売れ行きはどうだった?」
竜樹が聞く。
ふわっと思い出して興奮したのか、それぞれ、指を立てて、頬に手を当てて、手をギュッと握って、パタパタ手を振って。
「子供新聞、けっこう売れてる!」
「ひろばの屋台地図、べんりって、ひょうばん!買った人から話をきいた人が、どんどん来たよ!」
「屋台地図でおいしいってなった屋台が選ばれて、今日も屋台で出てるってのも、よかったみたい!みんな、じょうほう、知りたいって!」
「コーディネーターの記事も、ほめられたよ!コーディネーターにお世話になった人や獣人もきて、買ってくれた!お互い、分かって良かったって、仲良くしていきたいって。これからもよろしくねって、言われたんだ!」
うんうん。
「良かったなあ、みんな。」
取材も編集も、皆すごく頑張って作成したのだ。売れて、嬉しい。
「テレビのみらいも、すっごく皆きょうみあるみたい。みのがした番組を、あとから見られるようにしたい、っていうの、良いなって、嬉しいって!そうなったら、テレビ買うかもって。」
そう、竜樹は、テレビで見逃した放送を、後から見られるようにしたい、とチリに言ってみたのだ。皆、働いてる昼間はみられない。リアルタイムで見る良さもあるが、ニリヤの番組を、途中から買った人でも楽しめるようにしたかった。後々ドラマなども見られるようにしたいし。
チリは、今までの放送も、全部とってあるから、それは簡単にできます、と言っていた。データの入った魔石を魔道具で繋げて、見たい人の操作で、雷の魔法で送れる。ただ、データが膨大になっていくのを防ぐために、全てを対象にするのではなく、ある程度の期間限定で公開するとか、取捨選択は必要だ。
「おお~。それはニリヤに報告しなくちゃな!」
「うん!ほうこくだ!」
ジェム達とアルディ王子は、そこそこ新聞が売れさばけてきたので、一旦取材に来たそうだ。
「オランネージュ様のところの写真館も、お客さんに、すっごく評判だったから、来てみたんだ。かいじょうの、いっぱんさんかのお店も、売れてる所やそんなに売れてない所も、皆すごくうれしそうに、話しながら売り買いしてたよ。」
「お店やさんって、たのしいよね~!」
ね~!とオランネージュとジェム達アルディ王子が、見合って頷き合う。
「そうだ、取材しなきゃ!オランネージュ様、お話聞かせてください。」
「はい、どうぞ~。」
ふふふ。
楽しそうに取材する子供達を見ていたら、一ついい事、思いついた。
「ボン様。ボン様も、絵を皆に見せる、お店屋さんみたいなものを、やってみたら?楽しいと思うよ。」
「わ、私ですか?ええと、甥っ子の今日の店は、手伝うつもりですけど。竜樹様、どうぞ呼び捨てで、ボンとお呼びください。何だかこそばゆくて•••。」
「はい、ごめんよ。何か最初から、いきなりは呼び捨てできなくて。美術館て、この世界にはあるの?」
「びじゅつかん•••?」
ボンにはきっと、向いている。
美術館の館長、兼、キュレーター。
ついでに絵だって、描き続けたら良いじゃない。
大好きな事は、続けたらいい。
う~ん、とオランネージュは、猫ちゃんぬいぐるみを頬に当てて考え込んだ。
「それって、どうしようもない事だよね。」
だって、だからって、変わらないって選択肢はないから。
「時代を経ても、変わらない良さもあるんだけどね。今までの肖像画工房は、工夫していかないとでしょうね。それでも仕事は、減るだろうと思います。俺のいた世界でも、ほとんどの人は、記録として肖像画を描いてもらう人、いなかったから。」
時代は流れ、変わっていく。残酷なようだが、その波が来てしまえば、当事者は、必死で波を漕いで活路を見つけるしかないのだ。
「でも、呑気にそうとばかりも、言ってられない。工房の職人達は、食っていかなきゃだもの。それでも、ボン様が、自分で考えたい、って言った意味が分かったよ。だって、表現するって事は、その人が生きる事だから。代わりに何でも用意してやったって、代わりに生きてあげる事は出来ない。手応え、感じたいですよね。」
竜樹の言葉に、紫色の目を、ゆらゆら、と揺らがせて、ボンは頷く。
「私は、いつだって、家族が用意してくれた道に沿って歩いていくだけだった。煩雑な領地の運営や政治、社交は、跡取りと次男の兄2人がやってくれ、肖像画工房も、母が、趣味として働けば良いんじゃない、って用意してくれた、先祖代々お得意先がウチの工房でした。」
お客様に頼まれたら、嫌とは言えないから、仕方なく雇ってくれた。
ボンには、生きていかなきゃいけない、食べなきゃいけない、その中で表現する、という切羽詰まったものがない。
「どこか貪欲じゃない、て言われます。だから、芸術作品、じゃなくて、職人の仕事、なんだって。勿論、職人が悪い訳じゃない。でも、やっぱり、強い光に憧れます。」
それはどうしようもない事なんだろう。
人は、自分にないものに、憧れるものだから。
「う~ん。でもだからって、食い詰めてみてもね。職人仕事が芸術じゃない、なんて思わないよ。整ったものにはその良さが。幸せの芸術には、幸せの芸術の良さがあるよね。それに満足に食べていけないと、表現できないから。」
心地よく、人をほんわりうっとりさせる、幸福の芸術。不遇の中から、強い光を求める切実な強さと、どちらが良いか、なんて言えない。そしてその2択じゃなくても、良いんじゃない?
「わ、私には、食い詰める勇気、ないです。怖いし、お腹減ったら絵が描けなくて困るし、お金が無ければ、好きな絵や作品が買えないし。いや、父母が買ってくれますけど。うん、だから、ダメ、なんです。」
しょんぼりする。本当は、一歩踏み出したいんだね。でも、勇気が、出なくて、怖くて。
「ダメって事は、ないよ~。環境は人それぞれじゃん。」
不思議そうな顔をして、オランネージュが竜樹に。
「竜樹は、お金がなくて生活に困ってる、民や子供の生活に、ずいぶん寄りそってる、と思うけど、お金持ちを否定しないんだね?」
お金を、だれかが集中してもっていて、ずるいとかないの?
「生活に困る人が沢山いたり、あんまり偏ってたら、やだなと思うけど。お金がないと、出来ない事ってあるからね。それに、誰もが大きいお金を、上手く使えるとは、それで幸せになれるとは、限らないし。」
宝くじの話、したでしょ。大金当たって、妬まれて殺されちゃう人もいたりする。
「だから、お金を使って、皆の幸せや未来を創れる、お金の使い方の上手い人に、お金持ちになって欲しいかな。そういう人は、応援しちゃう。」
「私も応援しちゃうな。」
オランネージュが、うんうんと猫ちゃんを頷かせる。
「大きい意味でお店屋さんやったり、応援したりするのも、未来のオランネージュの仕事だよ。だから結構、未来は楽しいだろ?」
はた、と手を止めて。
「うん!楽しいかも!」
ニココ!と猫ちゃんの手で◯を作った。
「まあ、ボン様の話に戻るけど、そもそもボン様の作品を見た事ないから、何を言っても説得力ないよね。」
「お、甥っ子の店に、少し、置いてもらってます。」
でもほんと、面白みのない絵なんです。ボンは、恥いる。
竜樹は、そんな事ないよ、とは言わなかった。言ってみても、ボンが納得できる訳じゃない、その場しのぎだからだ。でも、お店にあるよって言うって事は、見てもらいたくない訳じゃないんだ。
「とにかく、絵画が写真に劣るなんて事はないですよ、これからも。だって、できる事、表現できる事が、違う訳だし。」
写真を絵画に活用した作家も、確かいたよ。光の入り具合、一瞬の切り取り方。撮影したものを、絵にしたり。影響し合う事はあれど、殺し合う事はない。
「実在するものを撮るんじゃない所、そのものを描くのではない所を、アピールするか。まだ写真は、修正は出来ないものな。あー、推理作家がいて。」
ふんふん?すいりさっか?
って、なに?
「謎の殺人事件なんかを、探偵が見事に解決したりする物語を書く人だよ。まあ、日常物っていう、殺人が起こらない謎を解く小説もあるけど。」
「なぞのさつじんじけん!!」
キラン!とオランネージュの瞳が光る。まぁ、まぁ、今は推理小説の事は置いといて。
「その、推理作家の本のシリーズの表紙を描いていた、イラストレーターさんがいて、作者の作家さんにも高評価だったんだけど、ある時から仕事が無くなったんだ。さて、何故でしょう。」
???
「手抜きしちゃった?」
「違います。答え出ないと思うから言うけど、その作家さん、下唇が厚くて出っ張ってたんだ。作家さんの横顔のシルエットを表紙にしたイラストレーターさんは、その特徴をキチンと捉えて絵にしちゃった。作家さんは、それが嫌だったんだね。自分の気にしてる所を、絵にされて。」
あっ!!
「絵なら、修正して描けます!目を大きくも、顎をシュッと細くさせても、ちょうどいい具合に!」
「うんまあ、肖像画の工房の職人さん達は、とっくに気付いてやってそうだけど、写真もいいけど、絵もいいよ、って、俺たちは言える訳じゃない?」
テレビや、新聞で。
「そうかあ!テレビや、新聞が、ある意味、わかった気がする!最新の、物ばっかりを、追い求めるだけじゃないんだね!」
「私の描く肖像画が、いまいち人気なかったのも、それでした•••。嘘が、描けなくて。」
とほほ。
ハハハ!
「何だ、結構、ボン様、芸術家気質じゃないか!」
まぁまぁひとまず、甥っ子さんの店に行ってみようじゃないか?
「オランネージュ殿下。」
何とか一つ方針が出来て、皆で一息、果実水の残りを飲んでいると。従者さんが、オランネージュにお伺いを立ててきた。
「子供新聞の取材が来ております。ご対応されますか?」
「うん。会うよ。竜樹とボン、私も甥っ子ちゃんのお店に行きたいから、ちょっと待っててくれない?」
良いよ~。
構いませんよ。
「オランネージュ様~!写真館、もりあがってるね~!!」
「すごい、お客さんいっぱい!」
ジェムにロシェにアガット、それから狼耳のアルディ王子が、わわわ~っと。報道、の赤い腕章が光っている。
ふこふことアルディ王子の尻尾は靡いているし、ふむす!と勢いこむジェムは、片手に鉛筆、もう片手にメモで、しっかり記者さんだ。
「ジェム、ロシェ、アガット、アルディ王子。子供新聞の売れ行きはどうだった?」
竜樹が聞く。
ふわっと思い出して興奮したのか、それぞれ、指を立てて、頬に手を当てて、手をギュッと握って、パタパタ手を振って。
「子供新聞、けっこう売れてる!」
「ひろばの屋台地図、べんりって、ひょうばん!買った人から話をきいた人が、どんどん来たよ!」
「屋台地図でおいしいってなった屋台が選ばれて、今日も屋台で出てるってのも、よかったみたい!みんな、じょうほう、知りたいって!」
「コーディネーターの記事も、ほめられたよ!コーディネーターにお世話になった人や獣人もきて、買ってくれた!お互い、分かって良かったって、仲良くしていきたいって。これからもよろしくねって、言われたんだ!」
うんうん。
「良かったなあ、みんな。」
取材も編集も、皆すごく頑張って作成したのだ。売れて、嬉しい。
「テレビのみらいも、すっごく皆きょうみあるみたい。みのがした番組を、あとから見られるようにしたい、っていうの、良いなって、嬉しいって!そうなったら、テレビ買うかもって。」
そう、竜樹は、テレビで見逃した放送を、後から見られるようにしたい、とチリに言ってみたのだ。皆、働いてる昼間はみられない。リアルタイムで見る良さもあるが、ニリヤの番組を、途中から買った人でも楽しめるようにしたかった。後々ドラマなども見られるようにしたいし。
チリは、今までの放送も、全部とってあるから、それは簡単にできます、と言っていた。データの入った魔石を魔道具で繋げて、見たい人の操作で、雷の魔法で送れる。ただ、データが膨大になっていくのを防ぐために、全てを対象にするのではなく、ある程度の期間限定で公開するとか、取捨選択は必要だ。
「おお~。それはニリヤに報告しなくちゃな!」
「うん!ほうこくだ!」
ジェム達とアルディ王子は、そこそこ新聞が売れさばけてきたので、一旦取材に来たそうだ。
「オランネージュ様のところの写真館も、お客さんに、すっごく評判だったから、来てみたんだ。かいじょうの、いっぱんさんかのお店も、売れてる所やそんなに売れてない所も、皆すごくうれしそうに、話しながら売り買いしてたよ。」
「お店やさんって、たのしいよね~!」
ね~!とオランネージュとジェム達アルディ王子が、見合って頷き合う。
「そうだ、取材しなきゃ!オランネージュ様、お話聞かせてください。」
「はい、どうぞ~。」
ふふふ。
楽しそうに取材する子供達を見ていたら、一ついい事、思いついた。
「ボン様。ボン様も、絵を皆に見せる、お店屋さんみたいなものを、やってみたら?楽しいと思うよ。」
「わ、私ですか?ええと、甥っ子の今日の店は、手伝うつもりですけど。竜樹様、どうぞ呼び捨てで、ボンとお呼びください。何だかこそばゆくて•••。」
「はい、ごめんよ。何か最初から、いきなりは呼び捨てできなくて。美術館て、この世界にはあるの?」
「びじゅつかん•••?」
ボンにはきっと、向いている。
美術館の館長、兼、キュレーター。
ついでに絵だって、描き続けたら良いじゃない。
大好きな事は、続けたらいい。
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