9 / 30
一章
■9.同族の風紀委員長
しおりを挟む
「セス先生、マフラー、遅くなってしまって…ありがとうございます。助かりました」
「いえいえ」
週初めの慌ただしさを乗り切り、気がつけば…あっという間に、放課後になってしまった。
「ルトエくんよかったら、またお茶でも…」
「終わったー?かいちょ早く帰ろーよー」
保健室の外で待っているといったフェルドが扉を開け、私を呼んでいる。
「すみません。セス先生。今日はちょっと…」
優しいセス先生の誘いを断るのは気が引けるけれど……。
「それは…残念…」
「あっはっは~、そう残念でした。かいちょはおれと帰る約束をしてるんですー」
「…………アンヴィルくん」
「あ~~~?」
「僕は別に生徒同士の友情を邪魔するような狭量な先生じゃないんですよ?」
「友情……。ふふっ友情かぁ…」
セス先生に、友情といわれ、思わず笑ってしまった。
「ぇう!?か、かいちょ?」
そう私とフェルドはいい友人関係を築けている。それが嬉しい。
私にまた仲のよい友人が出来た事が、とても嬉しい。
「………ぐ…ぐぐぐ…」
「おや。どうしたんですか?友情に何か不満でも?」
「んぐっ…」
「!」
ま、まさか友人だと思っていたのは、私だけだったのだろうか。
そう考えれば、あのフェルドの表情も納得出来る。
確かにフェルドにはいつも迷惑をかけている…し、…そうか……友人ではな…かっ…。
「ぇう!?か、かかかかいちょ!?ちょっ…なんて目で、こっち見んの…」
「すまない…友人と思われるのは迷惑だったのか…と…」
「はぁあああ!?そんな事ない。うんうん。そんな事あるはずもないよーおれたち親友でしょ!!!」
「親友……!」
「…ぷっ」
「ちょっ!?何笑ってんだ、この魚野郎」
「いえいえ、青春でいいなぁと」
「っもういい!かいちょ帰ろ!」
「あ、ああ。セス先生それではまた」
「はい。またね…。僕の楽器」
保健室に背を向け、フェルドに引っ張られつつ廊下を進む。
「は……は…っ…フェ……」
「……ん…うわ!?ごめんかいちょ」
「いや…ははは…相変わらず足が速いなフェルドは」
走っていたわけじゃないのに、…情けない事に、廊下を歩くうち、息があがってしまった。
だが体が温まった分、寒い外へいく準備が出来てよかったかもしれない。
「あーーほんとごめん。休も…かいちょ」
「いや大丈……夫?」
フェルドが誘導しようとする、昇降口付近に置かれたベンチへ目をやれば…すでに誰かが座って…いや横たわっているのが見える。
「…フェルド」
「ん?え…あ、誰か寝てる」
「寝てるというか…」
ひょっとしたら、具合が悪いのではと思い近づけば、相手は見知った相手だった。
「げぇ、鬼風紀じゃん」
「こら、先輩に失礼だろう」
「えーーーじゃあ鬼風紀委員長センパイさんで」
「う、うーーん」
さっきセス先生も気にしてなかったし、フェルドの人懐こいところは長所だから、まぁいいのか。
「かーお、真っ白だね。貧血かな?」
「…おそらくは」
彼…イニアス先輩は、私と同族…つまり吸血鬼だ。
となれば……。私は自分の持っている凝固血液剤を、鞄から出す。
その手を…意識がないと思っていたイニアス先輩がしっかりと掴んだ。
「よせ…不要だ」
「イニアス先輩、よかった」
「…くそ…よりによって、おまえらに見つかるとは…」
「はっ!なーーにいってんだ。この鬼風紀。こんな場所で寝ておきながら勝手な事をー。学び舎はみんなのもんなんすよーーーセンパイ!」
「…やかましい」
「フェルド……その……」
「はいはい。黙りますって」
「イニアス先輩、保健室へは…」
「いい、それも不要だ」
「しかし……」
「いらん!」
そうはいっても、とても動けそうには見えない。
だが…嫌がっている相手を無理やり保健室に抱えていくというのも……うーーーん。
「かいちょ~~~鬼風紀もこういってる事だし、ほっといていんじゃないの」
「……フェルド」
「あん?」
「セス先生をここまで連れてきてくれないか?」
「え~~~~」
「おい!!貴様いい加減にしろっ。不要だと…い……っ…」
そういって起きあがろうとしたイニアス先輩は意識を失った。
「いえいえ」
週初めの慌ただしさを乗り切り、気がつけば…あっという間に、放課後になってしまった。
「ルトエくんよかったら、またお茶でも…」
「終わったー?かいちょ早く帰ろーよー」
保健室の外で待っているといったフェルドが扉を開け、私を呼んでいる。
「すみません。セス先生。今日はちょっと…」
優しいセス先生の誘いを断るのは気が引けるけれど……。
「それは…残念…」
「あっはっは~、そう残念でした。かいちょはおれと帰る約束をしてるんですー」
「…………アンヴィルくん」
「あ~~~?」
「僕は別に生徒同士の友情を邪魔するような狭量な先生じゃないんですよ?」
「友情……。ふふっ友情かぁ…」
セス先生に、友情といわれ、思わず笑ってしまった。
「ぇう!?か、かいちょ?」
そう私とフェルドはいい友人関係を築けている。それが嬉しい。
私にまた仲のよい友人が出来た事が、とても嬉しい。
「………ぐ…ぐぐぐ…」
「おや。どうしたんですか?友情に何か不満でも?」
「んぐっ…」
「!」
ま、まさか友人だと思っていたのは、私だけだったのだろうか。
そう考えれば、あのフェルドの表情も納得出来る。
確かにフェルドにはいつも迷惑をかけている…し、…そうか……友人ではな…かっ…。
「ぇう!?か、かかかかいちょ!?ちょっ…なんて目で、こっち見んの…」
「すまない…友人と思われるのは迷惑だったのか…と…」
「はぁあああ!?そんな事ない。うんうん。そんな事あるはずもないよーおれたち親友でしょ!!!」
「親友……!」
「…ぷっ」
「ちょっ!?何笑ってんだ、この魚野郎」
「いえいえ、青春でいいなぁと」
「っもういい!かいちょ帰ろ!」
「あ、ああ。セス先生それではまた」
「はい。またね…。僕の楽器」
保健室に背を向け、フェルドに引っ張られつつ廊下を進む。
「は……は…っ…フェ……」
「……ん…うわ!?ごめんかいちょ」
「いや…ははは…相変わらず足が速いなフェルドは」
走っていたわけじゃないのに、…情けない事に、廊下を歩くうち、息があがってしまった。
だが体が温まった分、寒い外へいく準備が出来てよかったかもしれない。
「あーーほんとごめん。休も…かいちょ」
「いや大丈……夫?」
フェルドが誘導しようとする、昇降口付近に置かれたベンチへ目をやれば…すでに誰かが座って…いや横たわっているのが見える。
「…フェルド」
「ん?え…あ、誰か寝てる」
「寝てるというか…」
ひょっとしたら、具合が悪いのではと思い近づけば、相手は見知った相手だった。
「げぇ、鬼風紀じゃん」
「こら、先輩に失礼だろう」
「えーーーじゃあ鬼風紀委員長センパイさんで」
「う、うーーん」
さっきセス先生も気にしてなかったし、フェルドの人懐こいところは長所だから、まぁいいのか。
「かーお、真っ白だね。貧血かな?」
「…おそらくは」
彼…イニアス先輩は、私と同族…つまり吸血鬼だ。
となれば……。私は自分の持っている凝固血液剤を、鞄から出す。
その手を…意識がないと思っていたイニアス先輩がしっかりと掴んだ。
「よせ…不要だ」
「イニアス先輩、よかった」
「…くそ…よりによって、おまえらに見つかるとは…」
「はっ!なーーにいってんだ。この鬼風紀。こんな場所で寝ておきながら勝手な事をー。学び舎はみんなのもんなんすよーーーセンパイ!」
「…やかましい」
「フェルド……その……」
「はいはい。黙りますって」
「イニアス先輩、保健室へは…」
「いい、それも不要だ」
「しかし……」
「いらん!」
そうはいっても、とても動けそうには見えない。
だが…嫌がっている相手を無理やり保健室に抱えていくというのも……うーーーん。
「かいちょ~~~鬼風紀もこういってる事だし、ほっといていんじゃないの」
「……フェルド」
「あん?」
「セス先生をここまで連れてきてくれないか?」
「え~~~~」
「おい!!貴様いい加減にしろっ。不要だと…い……っ…」
そういって起きあがろうとしたイニアス先輩は意識を失った。
0
お気に入りに追加
575
あなたにおすすめの小説
魅惑の果実
rAi
BL
男女問わず見惚れる程の容姿をもつのに無自覚な羽琉
そんな羽琉がホモ8割の男子校に!?
果たして羽琉の、運命やいかに!←
⚠
ボーイズラブ小説です
まだまだ初心者なので、読みにくい所がございましたら申しわけありませんm(_ _)m
運命の相手 〜 確率は100 if story 〜
春夏
BL
【完結しました】
『確率は100』の if story です。本編完結済です。本編は現代日本で知り合った2人が異世界でイチャラブする話ですが、こちらは2人が異世界に行かなかったら…の話です。Rには※つけます。5章以降。「確率」とは違う2人の関係をお楽しみいただけたら嬉しいです。
最凶のダンジョンで宿屋経営
藤雪たすく
BL
ある日俺は居眠り運転事故に巻き込まれて死亡。
……あれ?死んでない?目を開けるとそこは最凶と恐れられるダンジョンでした。
気儘なスキルのせいで何故かダンジョンで宿屋をはじめる事に。日本人のおもてなし力を異世界の奴等にも見せてやる……って俺、引きこもりでコミュ症だった。
最凶と恐れられるダンジョンでスローライフは出来るのか?
※完全なるご都合主義、なんでもありです。
※他サイト様からの転載となります。
宰相閣下の絢爛たる日常
猫宮乾
BL
クロックストーン王国の若き宰相フェルは、眉目秀麗で卓越した頭脳を持っている――と評判だったが、それは全て努力の結果だった! 完璧主義である僕は、魔術の腕も超一流。ということでそれなりに平穏だったはずが、王道勇者が召喚されたことで、大変な事態に……というファンタジーで、宰相総受け方向です。
勇者の俺は鬼畜魔王と旅をする
空谷
BL
ある晩目が覚めると、いわゆるはじまりの町にいた。俺は勇者で魔王を倒す運命にあるらしい。その魔王に気に入られ、嬲られながら旅をすることになった。
BLエロファンタジー。
番になんてなりませんっ!
今野ひなた
BL
――彼が、運命だと思った。
開幕失恋失礼しますと保健室の扉を開けた東雲八雲。幼馴染である保険医、西野叶はエロ本を読みながらそれを聞き流す。
事情があり学校の外では同棲中の二人のいつもの日常。
それがΩである八雲ののヒートによって壊れ始め……?
ツンデレ高校生とぐだぐだ保険医の幼馴染ラブ!
他サイトからのお引越しです。
完結済。毎日7時、19時2話ずつ更新です。
同作者作「オメガバースの言いなりにはならない」https://www.alphapolis.co.jp/novel/80030506/970509497のスピンオフになっています。読まなくても大丈夫になってますが読んでいただけるともっと楽しめます。
俺のご主人様がやらかしました【できる時に更新】
矢崎 恵美
BL
佐賀 唯斗は幼い頃事故にあい、両親を失ってしまった。そして両親の親友だった瀬戸夫妻に拾われた唯斗は執事として瀬戸 歩に仕えていた。
そんなある日、月城学園に通う際唯斗達の事が可愛すぎて不安だという瀬戸夫妻に変装を強いられ目立たないようなるべくテストでは手を抜きC~Dクラスぐらいの目安にしようと歩と話をしそんな歩果てを抜きすぎてFクラスになってしまい夫妻が理事長に頼み唯斗も歩むと同じになり、何故かそんな変装した唯斗にイケメンたちが付きまとう話
(あらすじ書くの下手すぎて小説内容少し違ってしまったらごめんなさい。もしかしたらR18を保険としてタグをつけときます)
スランプ中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる