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三章

15.叫ぶ奴隷商と演者たち

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「あああああああああああああああああああああああああああああ」
「ボス、ボス落ち着いてー」

「ああああああああああああああああ!虫ぃ!そこぉおお!」
「ボ、ボスぅうううー」

「あああああ!汚ったねええええええ!!!」



「………っ……っ…っ!!」
はーーくっそ。想定以上にごみの家だった。
一気に危険な部分を処理し、多少見える状態になってくる。


「ボスさん、ボスさん!出来ました」
「おお、いいぞ。メイラ」

「へえーー」
「おい、バル!お前は何してる……。どうしてメイラがキレイにした机に、本を積み上げる」
「え?え??だって空いてたから、本を片付けようと」
「ただ積み上げただけを、片付けとはいわない」
「そんな!?」
「もういい、出ていけ…」
「えー」

「さっきも、片付けようとしたら、それは捨てるなだ、なんだと…邪魔ばかりしやがって」
「だって必要なもので…」
「全部ごみだった!」
「そんな!?」

「じゃあ何が捨てられたかいってみろ。必要なら覚えているよな?」
「………た、大切な思い出?」
「………」

「あ、バルさん…そこどいてください」
「メイラぁああ!?」
「これも、捨てますよ」
「それは駄目ー。まだ底にちょっとだけ残ってるから」

「………」
「…」

「バル…」
「バルさん」

「な、何ぃー?」

「出ていけ」
「ちょっと、お散歩でもしてきてください」

「ボスよりマイルドだけど、メイラまでおれを追い出そうとしている!?」

その後も、中々家から出ようとしない障害物は、メイラのさらなる邪魔発言を受け、やっと家から出でいく。

諦め悪く、暫く家の前に居座っていたが、それも不快だったので、オレがこの家の中から出ないという事を条件に、さらに遠くにいく事を了承させた。

去り際、厭味ったらしくこちらへ視線を投げてきたが、知った事か…。邪魔にも程がある。





「で、何しにきたの鼠」
「いやだから、ボスに家から追い出されたから、一応報告をって思って」
「……色々と突っ込みどころが多過ぎる」
「ねーーー」

城の部屋ここから出さないようにって、僕…再三いったよね」
「聞いたなーー」
「それでなんで鼠の家にいってるの…」
「……おれの家が汚かったから」
「…訳がわからない」

「……その…メイラだっけ、鼠が保護している子はどうしてる訳?」
「ボスと一緒に掃除してる」

「………」
「…」

「……貴族の家の子だよね?」
「いやほらメイラ、自分の事は自分でやろうとする子だから」
「……貴族の家の子が?」
「メイラ、いい子だからなぁ」

「……はぁ…。鼠も…出でいけといわれても、家の前で待機するぐらいしてよ」
家の前それも却下された」

「はぁああ。それで…今、警護は誰がついてるの?」

「……………」
「おい…鼠…ふざけるなよ…」

「いえ、ふざけてなど……詳細はこれから説明致します。ルートハルト様・・・・・・・

「………」
「……………」

「……その説明が…これ以上、を怒らせるものでないといいなぁ…鼠……」
「もちろん……です」
「…お前の首が飛ばないうちに。話せ」

「はっ。まず…ユユカルロ様・・・・・・は、負けを認めました。今日は・・・オレの負けだ…と」
「……………そうか」

「ですので」
「そうだな…負けを認めたなら…。ライは本当に鼠の家の掃除だけをしに外へ出た訳か。少なくとも今日は・・・
「はい」

「ただ掃除をしにいくだけのつもりの、そのライに警護をつけたら…」
「怒るでしょうね。ユユカルロ様・・・・・・の事です、警護ではなく…監視されていると勘違いされる事は間違いない…。そうして怒らせた場合、今日は・・・…大丈夫でも……」

「明日以降の、扱いの難度が桁違いに跳ね上がるな」

「……はっ。ですので、今日だけでなく、明日以降がある場合も、ユユカルロ様・・・・・・には警護をつけない事をお許しください」
「わかった。鼠、今回の件は罪に問わないと約束する」
「感謝します」


「…………」
「……あ、いなくなった。」

「鼠、扉閉めて」
「あいーー」


「それにしても、ライにも困ったものだよねえ。悪徳だなんだといってるくせに、商品に信じて貰えないと不貞腐れて暴走するって…なんなんだか……」

「監視がいる=オレの言葉を信じてないのか…になるのがボスなので。あ、さっき話した事自体は全部本当だから」
「わかってるよ…。警護をつけるのは諦める」

「警護つけた方が、事態を悪化させる可能性が高まるボスってなんなんだろう…」
「野生動物じゃないの」

「あーーー」
「はぁーー」

「にしても王様モードのあんた…心臓に悪いわーー」
「たまにはいいでしょ。と話すのも」
「えーーー中身の変態っぷりを知っていると…どうにもねぇ」

「いうね。潜入奴隷というくらいだし、そこは演技でカバーしなよ」
「まぁーー。そこは一応頑張りましたよー」

「それで、わざわざ部屋の扉を少し開けておいて、会話を聞かせたかったのは誰?」
「王妃狙いのご令嬢」
「はい?」

「どうにもね、革命王様の王妃になりたぁい!って子がいて」
「うわーーー」
「それが…」

「もうわかった…味方側の…それも無視出来ない家の娘なんだね」
「正解!さらにいうと、正規の執務室じゃなくて…変態が集中する為に、こっそりこもっているこの隠し部屋まで探れるタイプの熱烈な子!!」
「うわぁー」

「あんた見目はいいし…見目だけは変態っぽくないからなぁ…惚れちゃったんだろうね」
「見目は…って失礼だな」
「常に鼻血出しときけばいいと思うよ…変態王」
「そんな王でいいと思うの?」

「……よくないね」
「…だろうね」

「……」
「………」

「ともかくさ、ついでだから、おれの家の掃除期間に、そっちも掃除…ボスにぶつけて片付けちゃおうと思って」
「それは…正直助かる…けど、掃除期間・・って?今日だけじゃすまない程、鼠の家って汚いの?」

「いやキレイにするだけなら、今日で終わりそう」
「まぁ…ライだもんね」

「でも、見えないあれこれまで徹底的にやるだろうから」
「あぁ…ライだもんね」

「そーー。言質をとったのは今日・・だけだったけど、あの感じだと思ったより時間稼げそう」
「何よりだね」

「体の為には、まだ寝かせておくのがいいけど…」
「結局閉じ込めた方が、脱走だなんだで、悪化させそうなのは、もう悟った。そこは僕も負けを認める」

「今日も鎖外す際に、怪我作ってたしなぁー」
「は!?まさか自分で外したの?鼠に命令したんじゃなくて?」
「腕は自分であっさりと…。足はおれだけど、こっちが切らなくても時間の問題だった…」

「………」
「…」

「はぁあ~~縛っても、か。…サラスさんの想定以上にライの脱走力はある訳か」
「ボスの凄さが凄い…。拝んどこう」
「やめろ」

「ま、そういう脱走に悩まされるより、掃除やら、王妃狙いの子やらの、どうでもいいような事をやらせておくのがいいって判断」

「そうだね。ところでさっきは確認出来なかったけど。鼠の家はもちろん安全なんだよね?」
「ボスいわく、汚ったねええええええ!家なんですけどね。防犯面はご安心あれー」
「そうでなきゃ、本当に鼠の首をもいでるところだよ」
「……こっわ」

「ライの商品たちの居住区だよね?」
「のーー、中でもかなり中心部の家」

「なら…平気か…。かなり遠巻きでもいいから、やっぱり警護はつけたいけど」
「それなんだけど、ボスの動きに対応出来るような手練れは、本気で用意出来ないから無理」
「……粛清側にいってるから、か」
「それ」
「…こればっかりは仕方ないね」

「まぁ襲われた時には……警護がいる時より、いない時の方が楽っていうボスあるある問題があるから……おれだけの方がいいかも…」
「…はぁああ……ライのバカは…警護を助けようと動くからな」

「で、それをカバー出来る程の手練れが」
「いないんだよー今はーーー!?ああああライのバーーカ」

「はーーーボスの凄さが凄い…。拝んどこう」
「やめろ…」
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