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番外ふえええ
ガヤドッタ焦燥バースト
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「……ふっ………くっ」
焦っているせいか、いつもだったらなんて事ない山道が…木が…草が…すっごく邪魔。
あぁもう。私のバカバカーー!
わかってる、パパ上のいった事は正しい。
私がヴィーママを驚かせなくても今回の事はおこってた。でも…でも…。あれがなければもっと穏やかな警告になっていたかもしれない。
ママ上が誘拐されないですむパターンもあったかもしれない。
でも…もし…ひょっとして……。
バカ!そんな事を考える暇があるなら、足を動かしなさいよ私!!
今必要なのはそれじゃない!
自分の頭と体を叱っても、やっぱり体はうまく動いてくれない。
パパ上より少しでも先にいかなきゃ。もっと速く速く!!
ユリシットを黒かは待ってくれるっていったから、見つけてすぐどうにかされる心配はないと思うけど………。
ママ上の誘拐に関係している以上、アイツも危険かもしれない。
「ふえっ!?っ……~~~~~~」
木の根っこにひっかかって、頭から地面に突っ込んだ。
バカじゃないの…。なんてドジ……何やってるの…私。
怪我はしてないけど、湿って潰れた草と土のにおいが気持ち悪い。
立ち上がって、汚れを落とすけど…あんまりとれない……。
「う~~~~~~~~」
……もう一回よく考えてみよう。
今回の件で本当にアイツ以外に容疑者は……………。
「…………」
いない。いないわよ。やっぱり……。
ふええええええーーーーん。バカーー絶対アイツだ。
でもなんなの。まさか本当に黒…不穏分子一派って訳じゃないわよね。
その手の相手に…今も繋がりがあったとしても……今のアンタは黒じゃないでしょ。
それなら、なんで今回の件に関わってるのよ。
あぁああああああ、もうわかんない!!!
もやもやする気持ちを振り払いたくて、一度とまってしまった足を動かす。
「ふええええええええええー!!!」
そうして目的の場所へきた私は、ノーナンバー街の入り口でパパ上を待たずに中に入った。
んんっ。大丈夫!無茶はしてないから。セーフセーフ。
目的の相手を寂れた家の前で見つけたので、腕でばってんを作って全身で突っ込む。
「ドゥーーーイこの野郎ーーー!?ママ上をどこやったー」
「っ!?」
「ふええええー!とめぇ…るなぁああああー」
「い……いやですわ。ぐ……お…嬢様…ドゥーイって…どなたでしょう?」
「ユリシットモードはもういいわ!」
「……えぇ~?」
「大体ねぇ!おっぱい盛り過ぎなのよ!?」
「ぇええぇ~?」
「………ふええええ…拳を…拳を……お望みみたいね。……わかった…潰してやるわよ…おっぱい」
私は掴まれた腕を振りほどき、ドゥーイと距離をとる。
そうして手をわきわきさせたあと、思いっきり開いた。
「ふっ!!」
「………いや、よせって。わかったわかった。ちゃんと話すから…いったん落ち着け。それに誘拐犯を探しにきた奴が、そんなに大声だしてどうする?」
「ぐ、ぐぐぐ。正論」
私の手は、二つの無駄な膨らみを掴むぎりぎりでとまる。
「つっても、ここの掃除はもう終わってんだけどな」
「はぁ?」
何?掃除が何?
「俺いったろ?奥離宮にいった時。…掃除係として勤める事になったって」
「掃除係…」
「掃除係」
「はい!?え、そういうあれな感じの掃除係なの!?」
「おまえ俺の経歴なんだと思ってんの?本当にただ掃除する為に奥離宮にいく訳ないだろ」
ドゥーイが私の頭をわしわしとなでる。
「ちょっ、ちょっと不敬よ」
「そうだな、高貴な御方だから…な」
「う、まぁ今は許すわ。それで何がどうしてそうなったのよ」
「発端からゼビィ様関連っていえば早いか?」
「ふええええ…やっぱりか。あの陰険…」
「今回のは宝を使っての不穏分子のあぶり出し…見せしめ…それと採用試験を兼ねてんだよ」
「…そんな予感はしてた」
「俺が黒じゃなくて安心したろ?」
「うるさい。バーーカ」
「高貴な御方は口が悪いね」
「誰かさんの影響でねー」
「っても、おまえの到着が早すぎたから…第二、第三班までは終わってないんだよ」
「ほーーん。ふーーーーん。……まだ敵がいるって事ね」
「…よせよ」
「何を?」
「…いったろ。これはこっちの試験も兼ねてるって」
「でも一人じゃ!」
「いや一人じゃないから!?外の警備候補含め、そのあたりの連携混みの試験で、人数だけならむしろ大所帯」
「え、あ…そ…そうなの…」
「はぁ………そもそもおまえも…宝側なんだから。おとなしくしておけって」
「ふーーーーん。私に一度も勝てないヤツが…よくいーーう」
「それでも…だよ」
「…………わかったわよ」
「ん」
「それじゃ、ママ上は?」
「卵の欠片は陛下に後処理を任せる為の誘導用だからな」
「あああああの陰険…!つまりママ上はこことは全然違う場所にいるって事ね」
「そーだな。餌としての役目はお忍びの段階でほぼ終わってたから。今はそれなりの屋敷に手厚く匿われているはず」
「どこよ、それ」
「今回の掃除対象が片付いたら連絡がくる予定だ」
「つまり待てって事、ね」
「その待ち時間…おまえが動くの、早過ぎたせいだからな」
「…………ふーーーんだ。私を計算にいれてないそっちが悪いんでしょー」
「いってないしな」
「!?……私の事、他の人に何もいって…な…い…の…?え?陰険にも?」
「いってない。…約束したろ。おまえが強いって事は誰にもいわないって…」
「~~~~~~~~そ、そっか」
「だからおまえは…もう少し隠す努力を…だな」
「…わかったわよ!…なら仕方ないわ。おとなしく待っててあげる」
「そーしてくれ」
「ん」
その後、パパ上と合流してから、パパ上が色々事後処理に追われたり、色々部下に指示したり、色々引き継いだりなんだりで、どっぷり夜になってから、やっとママ上のところへ向かう事が出来た。
「ふええええー待ちくたびれたわ!!」
焦っているせいか、いつもだったらなんて事ない山道が…木が…草が…すっごく邪魔。
あぁもう。私のバカバカーー!
わかってる、パパ上のいった事は正しい。
私がヴィーママを驚かせなくても今回の事はおこってた。でも…でも…。あれがなければもっと穏やかな警告になっていたかもしれない。
ママ上が誘拐されないですむパターンもあったかもしれない。
でも…もし…ひょっとして……。
バカ!そんな事を考える暇があるなら、足を動かしなさいよ私!!
今必要なのはそれじゃない!
自分の頭と体を叱っても、やっぱり体はうまく動いてくれない。
パパ上より少しでも先にいかなきゃ。もっと速く速く!!
ユリシットを黒かは待ってくれるっていったから、見つけてすぐどうにかされる心配はないと思うけど………。
ママ上の誘拐に関係している以上、アイツも危険かもしれない。
「ふえっ!?っ……~~~~~~」
木の根っこにひっかかって、頭から地面に突っ込んだ。
バカじゃないの…。なんてドジ……何やってるの…私。
怪我はしてないけど、湿って潰れた草と土のにおいが気持ち悪い。
立ち上がって、汚れを落とすけど…あんまりとれない……。
「う~~~~~~~~」
……もう一回よく考えてみよう。
今回の件で本当にアイツ以外に容疑者は……………。
「…………」
いない。いないわよ。やっぱり……。
ふええええええーーーーん。バカーー絶対アイツだ。
でもなんなの。まさか本当に黒…不穏分子一派って訳じゃないわよね。
その手の相手に…今も繋がりがあったとしても……今のアンタは黒じゃないでしょ。
それなら、なんで今回の件に関わってるのよ。
あぁああああああ、もうわかんない!!!
もやもやする気持ちを振り払いたくて、一度とまってしまった足を動かす。
「ふええええええええええー!!!」
そうして目的の場所へきた私は、ノーナンバー街の入り口でパパ上を待たずに中に入った。
んんっ。大丈夫!無茶はしてないから。セーフセーフ。
目的の相手を寂れた家の前で見つけたので、腕でばってんを作って全身で突っ込む。
「ドゥーーーイこの野郎ーーー!?ママ上をどこやったー」
「っ!?」
「ふええええー!とめぇ…るなぁああああー」
「い……いやですわ。ぐ……お…嬢様…ドゥーイって…どなたでしょう?」
「ユリシットモードはもういいわ!」
「……えぇ~?」
「大体ねぇ!おっぱい盛り過ぎなのよ!?」
「ぇええぇ~?」
「………ふええええ…拳を…拳を……お望みみたいね。……わかった…潰してやるわよ…おっぱい」
私は掴まれた腕を振りほどき、ドゥーイと距離をとる。
そうして手をわきわきさせたあと、思いっきり開いた。
「ふっ!!」
「………いや、よせって。わかったわかった。ちゃんと話すから…いったん落ち着け。それに誘拐犯を探しにきた奴が、そんなに大声だしてどうする?」
「ぐ、ぐぐぐ。正論」
私の手は、二つの無駄な膨らみを掴むぎりぎりでとまる。
「つっても、ここの掃除はもう終わってんだけどな」
「はぁ?」
何?掃除が何?
「俺いったろ?奥離宮にいった時。…掃除係として勤める事になったって」
「掃除係…」
「掃除係」
「はい!?え、そういうあれな感じの掃除係なの!?」
「おまえ俺の経歴なんだと思ってんの?本当にただ掃除する為に奥離宮にいく訳ないだろ」
ドゥーイが私の頭をわしわしとなでる。
「ちょっ、ちょっと不敬よ」
「そうだな、高貴な御方だから…な」
「う、まぁ今は許すわ。それで何がどうしてそうなったのよ」
「発端からゼビィ様関連っていえば早いか?」
「ふええええ…やっぱりか。あの陰険…」
「今回のは宝を使っての不穏分子のあぶり出し…見せしめ…それと採用試験を兼ねてんだよ」
「…そんな予感はしてた」
「俺が黒じゃなくて安心したろ?」
「うるさい。バーーカ」
「高貴な御方は口が悪いね」
「誰かさんの影響でねー」
「っても、おまえの到着が早すぎたから…第二、第三班までは終わってないんだよ」
「ほーーん。ふーーーーん。……まだ敵がいるって事ね」
「…よせよ」
「何を?」
「…いったろ。これはこっちの試験も兼ねてるって」
「でも一人じゃ!」
「いや一人じゃないから!?外の警備候補含め、そのあたりの連携混みの試験で、人数だけならむしろ大所帯」
「え、あ…そ…そうなの…」
「はぁ………そもそもおまえも…宝側なんだから。おとなしくしておけって」
「ふーーーーん。私に一度も勝てないヤツが…よくいーーう」
「それでも…だよ」
「…………わかったわよ」
「ん」
「それじゃ、ママ上は?」
「卵の欠片は陛下に後処理を任せる為の誘導用だからな」
「あああああの陰険…!つまりママ上はこことは全然違う場所にいるって事ね」
「そーだな。餌としての役目はお忍びの段階でほぼ終わってたから。今はそれなりの屋敷に手厚く匿われているはず」
「どこよ、それ」
「今回の掃除対象が片付いたら連絡がくる予定だ」
「つまり待てって事、ね」
「その待ち時間…おまえが動くの、早過ぎたせいだからな」
「…………ふーーーんだ。私を計算にいれてないそっちが悪いんでしょー」
「いってないしな」
「!?……私の事、他の人に何もいって…な…い…の…?え?陰険にも?」
「いってない。…約束したろ。おまえが強いって事は誰にもいわないって…」
「~~~~~~~~そ、そっか」
「だからおまえは…もう少し隠す努力を…だな」
「…わかったわよ!…なら仕方ないわ。おとなしく待っててあげる」
「そーしてくれ」
「ん」
その後、パパ上と合流してから、パパ上が色々事後処理に追われたり、色々部下に指示したり、色々引き継いだりなんだりで、どっぷり夜になってから、やっとママ上のところへ向かう事が出来た。
「ふええええー待ちくたびれたわ!!」
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