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第1章 MAXコーヒーが繋いだ奇跡

第10話 事件はびっく○ドンキーで起きているそうです。

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 電車が止まり、タクシーも長蛇の列となり途方に暮れていた。
 ただでさえ人が多く荷物も多く大変な島脱出からの帰宅。
 数少ない知り合いに連絡をして迎えに来てもらおうかなんて事も考えた。
 どうしようかと駅と会場へと顔を何度も行ったり来たり。
 そんな時に男性に声を掛けられた。

 「どうしました?何か困ってるように見えたのですが…って突然でしたよね。2ヶ月ほど前公園で一度お会いしたと思うのですが。」
 あれ?この声は…それに手に持つMAXコーヒー…やっぱり。

 どう見ても何かを被っていたと思われる髪の毛のべたつき方。
 あれは帽子でつくような跡じゃない、経験者だからわかる。あれはウィッグを被っていたことによって起こるウィッグネットの跡。

 あの名刺をくれた時、初めてだと言っていた。だから恐らく帰宅する時の事までは考えてなかったのだと推測出来る。

 公園で会ったあの人と、西4階で会った人、そして今目の前にいる人…
 同じ人物だと私にはわかる。女の勘というのもある。でも私の心の磁石は無意識にもこの人に惹かれていた。
 声ヲタを舐めるなという冗談は置いておいて。
 理由はわからない、今の私が異性に対して怯えないという事が一つの証明かもしれない。
 コスしている時以外で、家族、数人の友人、会社の人以外の異性と触れたり会話したりが怖い。
 でもこの人はあの時も、今日もそれがなかった。なぜなのかはわからないけれど…

 しかしそれを理解するのはもう少し後の話…

 
 異性に対して恐怖を感じないという事に安心感を得たと思う、そうすると自然と表情が緩んだ。緩んだと思う。緩んだだけだと思う。
 それなのに少し頬が暑い。MAXコーヒーは冷たいのに。 
 私が電車が止まり帰れない旨を伝えると彼は私を送ってくれるという。
 思わず「はい。」と肯定しちゃったよ。少しは警戒しろって私。でもダメ…他のその他大勢の恐怖の対象の中、数少ない大丈夫な人。
 きっともっと知りたいんだと思う。そう思ったら即答してた。
 でもほら、冗談だと思われちゃった。
 ヲタクに悪い人はいませんって…そりゃ大抵の人は色々弁えてるから…

 結局送ってくれる事になったんだけど、なんと家が近かった、ラッキー…って何舞い上がってるの?
 家が近いとナニがあるっていうの?
 注:地図で見ると二人の家の間には駅があって電車が走ってます。

 あ、でも連れと一緒に来たですって…そうですよね。見たところ歳そんなに変わらないでしょうし、奥さんか彼女いてもおかしくないよね。

 そう考えたら沈んだ自分を自覚した。

 え?会社の後輩で男?

 もーなにー。上げて落として上げるってこのテクニシャンめっ

 って心の中の私は何をボケて何をツッコんでるの?

 私が色々気付いてる事は言わない方がいいよね。本当にもし違った場合恥ずかしすぎるし。正解率75%はベットするには厳しいのだ。

 ただ、彼が2ヶ月前に会ったあの人で、この場にいるのは同じヲタクであって、趣味は近いと、それがわかっただけでも良いかな?

 でも彼は私を2ヶ月前公園で会った人くらいにしか認識はしてないと思うけど…

 
 駐車場までの道のりで彼はキャリーケースを持ってくれた、優しい。

 ヲタクだから私にはわかる、こういう時、男子はかっこつけたがるのだ。

 そこに甘える私もちょろいと思う。

 
 しばらく歩くと凄い痛車があった。もちろん一台どころか何台も。

 その中の一つが彼の車だと知った時は驚いた。

 まさか銀○のあやめが勢ぞろい。朝○と夕○姉妹も。あの衣装可愛いよね。馬車道でバイトすれば良かったよ、ちょっと似てるだけだけど。
 いただ○じゃんがりあんにもあったよね。

 道中手が触れて動揺しちゃった事が吹っ飛んだよ。

 少し意識してくれたかな?

 お互い無言だったもんね。中学生かって思っちゃったよ。

 痛車談義をしている中で見知らぬキャラがボンネットに描かれているのが目に入った。
 
 なんと同人活動をしていて、二次創作ゲームを作っていてその愛着あるキャラだそうで。

 銀髪で幼い顔立ち、超可愛い。1章のあやめをショートボブにして笑顔が似合うようにした感じ。
 絵描きさん良い仕事するなぁと思った。痛車を仕上げた人も良い仕事するなぁと。

 だから私は邪道だとは思わない。愛を以って誕生させたキャラはもはや娘だよ。

 どうも製作者が日本中に分かれているため完成には至らなかったみたいで残念、プレイしてみたかったと思ったのに。
 
 車を走らせ島を脱出してしばらくすると、越谷のび○くりドンキーに入る事になった。

 コ○ケ期間中は水分は大事だから摂取するけど、固形物はあまり口にしない。

 確かにお腹は減った。油断すると鳴く。ぐーぐーと口で言っても可愛くない年齢だとは自覚してるしね。やりませんよ?

 
 そして注文を終えた後事件は起こった。

 事件は会議室で起きてるんじゃない、びっくりドン○ーで起こってるんだっ!と

 今まで自己紹介すらしていなかったのだ。

 社会人のくせに基本を忘れていた。でも仕方ない、女子ばかりでみんなフレンドリーな職場だし。ついでにほとんど旦那か彼氏持ちだし。言い訳になりませんね。

 彼から先に自己紹介をしてくれました。

 私は75%の正解率で確信を得ていたので驚きは然程大きくはなかったけれど、それが100%になった事に安堵した。

 公園で会った人=西4階で撮影しあった人=今日送ってくれる目の前の人=越谷真人さん=まこPさん

 もうイコールしかない。なんて日だ。もうMAXコーヒーの人とか呼べないっ(呼んでないけど)
 
 
 まだ明らかになっていない関係性があるのだが、二人ともそこに気付くのはもう少し先の話… 


 本当の事件はこれから…

 私の自己紹介の時、彼が大声を挙げた。

 一体どっちに驚いたのだろう、本名?コスネーム?後者だよね。だってさっき一緒に写真撮りあってた相手がここにいるんだもん。

 そんなに違うのかな?

 確かに普段化粧とコスメイクは全然違うから、人によっては別人にもなりうるけども。

 どっちなのー気になるよー

 大声を出したことに周囲へ謝る彼と、悶々としている私がそこに在った。
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