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「……え? ?」

 最初に声を発したのは母でした。

「……ど、どういうことだ? べ、は?」

 父の声も戸惑いに染まっています。
 そんな両親をしっかりと見て、返事をしました。

「はい。お母様、お父様。
 が、ベアトリーチェですわ」

 その言葉を聞いた両親は一気に青褪め震え出しました。

「ち、違うっ?! 違う!!
 お前はベアトリーチェじゃない?!」

「どういうことだ?! ベアトリーチェは!? 私達の娘はどこに行った?!」

 騒ぐ両親に悪魔がニッコリと笑い返しました。

「何を言っておられるのですか?
 はここにいるでしょう?
 あなた方の娘、が」

 悪魔の言葉を受けて、わたくしも両親に向けて微笑みました。
 魔法陣が発動する前と変わらないの顔で。
 変わったのは立っていた位置が少しだけ横にズレている事でしょうか。
 当然、妹は『わたくし』になったのですから、が立っていた場所には誰も居ません。

「違う!!!」
「お前はベアトリーチェじゃない!!」

 騒ぐ両親にわたくしは困って首を傾げました。

「そう言われましても……わたくしはですわ。

 通りに」

 その言葉に母の顔からは血の気が失せ、父の顔は絶望に染まりました。
 そんな両親に悪魔が優しく声を掛けます。

「願いは、『エカテリーナの全てが欲しい』でした。
 ね? だから、
 んだよ」

 楽しそうな悪魔の言葉が理解できた両親が膝から崩れ落ちました。

 そう、これがアナタたちが望んだこと。

 わたくしの全てを望んだ妹は、わたくしの手に入れて、

 わたくしエカテリーナになったのよ。
 
 
 
 
 
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