欲しがり病の妹を「わたくしが一度持った物じゃないと欲しくない“かわいそう”な妹」と言って憐れむ(おちょくる)姉の話 [完]

ラララキヲ

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27>>過去の事だから?

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「な、何よ!? あの時散々わたくしを馬鹿にしたのに今更なんなの!? ティオレイド様から離れて!!
 ティオレイド様もお姉様の言葉に惑わされてはいけませんわ!」

 悔しげにそう叫ぶマリリンにカリンナもティオレイドも不思議そうな顔を向ける。

「でも、貴方がそう言ったのよ?」

「姉上はそう言っているよ? それともマリリンはそんな事を言っていないのかい?」

 カリンナの言葉に続く様にそう聞いたティオレイドにマリリンは返事に詰まってグッと唇を噛んだ。その間にマリリンの代わりにカリンナが返事をする。

「その時の会話はロッシュ様や周りに居た使用人たちが聞いていますわ。だからその後マリリンは淑女教育をもう一度受ける事になりましたの。
 ……わたくしが貴女の言葉を認めなかったばかりに……本当にごめんなさいね……」

 申し訳なさそうな表情をするカリンナにマリリンは悔しくて仕方がなかった。
 ここでカリンナに同意して責め立てれば今後カリンナがティオレイドに近付く事を認める事になる。でもはっきり否定しては自分のあの時の発言が間違っていたと認める事になる。 
 自分が間違っていたなんて認めたくないマリリンはどう返事をすればいいのか分からなくて黙り込む事しか出来なかった。握った両手の爪が食い込んで痛みを発していたがそれが分からない程にマリリンは悔しくてカリンナを睨んだ。

「あらあら、そんな顔をしては駄目よ? ティオレイド様も見ているのに」

「っ!!」

 カリンナに指摘されてマリリンは咄嗟に顔をしかめて頭をふり、そして両手で顔を覆って下を向いた。

「酷いわ、お姉様……
 今更そんな事を言うなんて……」

 マリリンは弱々しく訴える。
 震えた声で、過去の事だから……、と話を流そうとするマリリンをカリンナは見逃さない。

「えぇ……今更よね?
 優しいマリリンはわたくしを許してくれるのね。ありがとうマリリン。

 ではティオレイド様。
 今日からはわたくしとも仲良くして下さいませね」

 マリリンの耳にそんな言葉が聞こえてくる。
 瞬間、頭に血が昇ったマリリンは顔を上げて叫んだ。

「止めてよお姉様っ!!
 ティオレイド様はわたくしの婚約者よ!!!」



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