上 下
11 / 13

11>>現実

しおりを挟む
-




「え?」

 自分に着けられた首輪に困惑するメロディーが男たちを振り返ると、全員がいつもと変わらない優しい微笑みを浮かべていた。

「やっぱり……とてもよく似合うよ」

 うっとりとそう呟くエイドリックにメロディーは意味が分らない。

「メロディー、すっごく可愛いよ」

 セルジュが愛おしそうにメロディーを見る。

「そんな服、さっさと脱いでもっとメロディーに似合う服に着替えようよ」

 ロンゼンがそう言いながらクローゼットを開けた。中にはドレスから、ドレスの様に見えるが大事なところが隠れていない様な物や、もう服とは思えない様な物や、装飾品だとは分かるがどうやって身に着ける物か分らない物まで何やらたくさん詰め込まれていた。
 それらのいくつかを手に取ってロンゼンは悩んでいる。

 アルドーナがメロディーの両肩に手を置いて優しく撫でた。

「あぁ……やっと今日から一つになれるんだな……

 アルドーナがうっとりと呟く。
 それに答える様にエイドリックがアルドーナの肩を抱いてそのままメロディーに顔を寄せた。

「幸せになろう。
 私たち、

 美しいエイドリックの微笑みに恐怖を感じたメロディーは、カラカラに乾いた喉を気にすることすらできずに気が遠くなる。
 だけどもう……彼女に逃げ場所などなかった…………




-
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

第一王子は私(醜女姫)と婚姻解消したいらしい

麻竹
恋愛
第一王子は病に倒れた父王の命令で、隣国の第一王女と結婚させられることになっていた。 しかし第一王子には、幼馴染で将来を誓い合った恋人である侯爵令嬢がいた。 しかし父親である国王は、王子に「侯爵令嬢と、どうしても結婚したければ側妃にしろ」と突っぱねられてしまう。 第一王子は渋々この婚姻を承諾するのだが……しかし隣国から来た王女は、そんな王子の決断を後悔させるほどの人物だった。

妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――

婚約破棄されたので復讐するつもりでしたが、運命の人と出会ったのでどうでも良くなってしまいました。これからは愛する彼と自由に生きます!

柴野
恋愛
「グレース、お前との婚約破棄を宣言する!」 義妹に浮気をされ、婚約者だったハドムン殿下から婚約破棄をされてしまった。 こんなにも長い間王太子を支えて来たというのに。グレースの努力は、結局何の意味もなかったのだ。 「――ワタクシ、必ずあなたに復讐します」 そう心に誓い、平民に身を落として冒険者とやらになっただが……。 そこで、素敵な人と出会ってしまった。 この人といられるなら復讐とかどーでもいいです。とりあえずラブラブ冒険者ライフを満喫してしまいましょう! ※小説家になろうとハーメルンにも投稿しております。

婚約破棄されたので実家へ帰って編み物をしていたのですが……まさかの事件が起こりまして!? ~人生は大きく変わりました~

四季
恋愛
私ニーナは、婚約破棄されたので実家へ帰って編み物をしていたのですが……ある日のこと、まさかの事件が起こりまして!?

聖女のわたしを隣国に売っておいて、いまさら「母国が滅んでもよいのか」と言われましても。

ふまさ
恋愛
「──わかった、これまでのことは謝罪しよう。とりあえず、国に帰ってきてくれ。次の聖女は急ぎ見つけることを約束する。それまでは我慢してくれないか。でないと国が滅びる。お前もそれは嫌だろ?」  出来るだけ優しく、テンサンド王国の第一王子であるショーンがアーリンに語りかける。ひきつった笑みを浮かべながら。  だがアーリンは考える間もなく、 「──お断りします」  と、きっぱりと告げたのだった。

執着王子の唯一最愛~私を蹴落とそうとするヒロインは王子の異常性を知らない~

犬の下僕
恋愛
公爵令嬢であり第1王子の婚約者でもあるヒロインのジャンヌは学園主催の夜会で突如、婚約者の弟である第二王子に糾弾される。「兄上との婚約を破棄してもらおう」と言われたジャンヌはどうするのか…

完)嫁いだつもりでしたがメイドに間違われています

オリハルコン陸
恋愛
嫁いだはずなのに、格好のせいか本気でメイドと勘違いされた貧乏令嬢。そのままうっかりメイドとして馴染んで、その生活を楽しみ始めてしまいます。 ◇◇◇◇◇◇◇ 「オマケのようでオマケじゃない〜」では、本編の小話や後日談というかたちでまだ語られてない部分を補完しています。 14回恋愛大賞奨励賞受賞しました! これも読んでくださったり投票してくださった皆様のおかげです。 ありがとうございました! ざっくりと見直し終わりました。完璧じゃないけど、とりあえずこれで。 この後本格的に手直し予定。(多分時間がかかります)

天才手芸家としての功績を嘘吐きな公爵令嬢に奪われました

サイコちゃん
恋愛
ビルンナ小国には、幸運を運ぶ手芸品を作る<謎の天才手芸家>が存在する。公爵令嬢モニカは自分が天才手芸家だと嘘の申し出をして、ビルンナ国王に認められた。しかし天才手芸家の正体は伯爵ヴィオラだったのだ。 「嘘吐きモニカ様も、それを認める国王陛下も、大嫌いです。私は隣国へ渡り、今度は素性を隠さずに手芸家として活動します。さようなら」 やがてヴィオラは仕事で大成功する。美貌の王子エヴァンから愛され、自作の手芸品には小国が買えるほどの値段が付いた。それを知ったビルンナ国王とモニカは隣国を訪れ、ヴィオラに雑な謝罪と最低最悪なプレゼントをする。その行為が破滅を呼ぶとも知らずに――

処理中です...