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 私は悲しくなっていた。

「……ごめんなさい」

 そう言った私に詩諺しおんは焦る。

「な、何をっ」

「別れよう」

 その言葉を言った私を詩諺しおんは青褪めた顔で見てきた。私だって詩諺しおんのそんな顔は見たくなかった。
 だけどもう無理だと思った。

「弟さんの動画でも、あんなの送られて来て、私すごく嫌な気持ちだったんだよ?

 キララさんって人はシオンって呼んでるし、今更双子ですって言われても、もう付き合って半年以上も経ったのに兄弟の事も教えてくれてなかったのかって、逆に嫌な気持ちになるじゃん……

 信じたかったけど、あんな動画見ちゃったら無理だよ」

「そ……、そんなぁ……
 俺、凛子りんこのこと本気で好きなんだよっ!!
 それこそ、汚したくないくらいっ!!」

 そんなこと言われても全然嬉しくない。

 それどころか、……さっきから頭の隅で詩諺しおんの尻が揺れていてツラい。
 後、その動画を観て喜んだ攻太せたくんの輝かしい笑顔がチラついててツラい……

 私の眉間に寄ったシワに気付いた詩諺しおんが泣きそうな顔で言った。

「あいつが、キララが変な事するから悪いんだ!
 スマホは壊してやったけど、もう一発殴ってやればよかった!!」

「はぁ?」

 地団駄を踏みながら口走った詩諺しおんの言葉に、私の心は冷え切った。

「殴ったの?」




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