52 / 78
第五章 アーサーと異世界の少女
3 呼ばれた先で出会った少女
しおりを挟む
1・
冷たい石造りで薄暗い、空気の淀んだ閉鎖空間に瞬間移動した。
目の前には二本足で立って防具を身につけた犬が数匹いて、壁ぎわに追い詰めた何かに向かって刃物を振り上げている。
それが何か分からないが、止めるために暴風を発生させて、そいつらを全員床に転がした。
瞬間移動でその場に立って見下ろして、倒れているのが血まみれの女の子だと気付いた。
もう声も出せないようだが、まだ生きている。
俺は空間収納から短剣を二本取り出し、まだ襲ってこようとする犬を全員倒した。
容赦なくとどめを刺してから、すぐに女の子に飛び付いた。
お父さん、お母さんと、微かに声がする。でももう目は開かず、呼吸が強くない。
俺は回復魔法を使用して、重傷の腹部から治療してみた。様子を見ながら何度か繰り返して魔法をかけると、彼女は気付いて起き上がった。
「誰……誰なの?」
「あ、その、悲鳴が聞こえたから助けに来たんだ。あの犬みたいなのは全滅させた。もう痛いところはないかい?」
「……」
今の俺と同じぐらいの年齢に見える黒髪長髪の女の子は、まだ興奮しているようで呼吸が荒いまま周囲を見渡した。
そして犬みたいなのを発見してゾッとしたのか、凍り付いた。
「もう大丈夫だよ。この周囲に同じような魔物はもういない。分かるんだ。だから取りあえず落ち着いてくれ。それから、俺はアーサーっていう名前だ」
「……アーサー?」
俺が笑顔で名乗ると、彼女はキョトンとした。
「うちの、犬の名前よ?」
「ええ? ……うん。まあいいや。とにかく、もう痛いところがないなら、ここから移動しよう。向こうから水音がするし、血を洗い流せるかもしれない」
俺はニッコリ笑って、彼女に手を差し述べた。幸運だと思える程に、俺は美男美女の両親の血を濃く受け継げている。
案の定、彼女は頷いて手を取ってくれた。助かった。
犬たちを避けて歩き、迷宮の通路だろう場所を進んでいき、そのうち小さな水飲み場に到着できた。
まず俺がその水が安全か確認して、それからコップを取り出して彼女に貸した。
彼女は水を二杯のみ、その場にしゃがみ込んでしまった。
そういえば、さっき誕生日ケーキを保存するために空間収納に入れたと思い出した。
まだ破れた服をまとい血まみれの状態だけど、気力を取り戻させるのが先だ。
「今日、俺の誕生日だったんだ」
そう言うと、彼女は不思議そうな表情をした。
「でも両親は仕事で帰って来なくって、だから残ったケーキを持ってきたんだ。これ食べて、お祝いしてくれないかな?」
皿に乗った木の実のケーキを取り出して、銀のフォークと共に差し出した。
彼女は黙って受け取り、無言で全部平らげた。飢えてもいたようだ。
「お誕生日、おめでとう」
律儀な彼女は、そう言って少しだけど笑ってくれた。俺は、物凄く嬉しくなった。
2・
俺が通路から魔物が来ないか警戒中に、さくやと名乗った華奢な体型の彼女は水で濡らしたタオルで全身の血を拭き取り、俺の貸した服に着替えてくれた。
かくいう俺も寝間着なので、念のためにといつも三着も持たされていた服一式の一つに着替えた。
子供はよく水に飛び込んだり泥だらけになると心配するエリス母さんに、今は心から感謝した。
着替えが終わってから、もう少し歩いて移動したところに小部屋があった。そこに入って、ようやく本格的に休憩に入れた。
さくやは、俺がどこの誰か知りたがった。俺もさくやの正体を知りたい。
何しろ、彼女の着ていた白いブラウスに、佐伯斗真だった時の出身高校の校章が刺繍されていたから。
「じゃあ、ジャンケンで話す順番を決めないか?」
「良いけど、ルールは同じかしら?」
「グーとチョキとパーだろ?」
ルールを確認したのち、三番勝負でジャンケンした。俺が勝った。
「じゃあ、さくやさんからお願いします」
「分かったわ。あの、信じて貰えるかどうか分からないけれども、私たち……私は、この世界とは別の世界からやって来たの」
信じるし、分かります。
俺はそう思いつつも黙って、彼女の説明を全部聞いた。
彼女は、俺の母校に通い始めたばかりの高校一年生。ある日の放課後、数名がいる教室に召喚魔法がかかり、幾人かのクラスメイトと共にこの魔法のある世界にやって来た。
トレシス王国の王のお城に召喚され、王様たちに自分たちが世界を救う勇者だと聞かされた。
だから優秀な力を持っていると言われた。でも魔法で鑑定してみたらさくやの職業はテイマーで、勇者や賢者や聖女や竜騎士みたいな強力なものではなかった。
それでも成長すれば強くなると励まされ、みんなと一緒に旅立った。
いくつかの天空都市やフィールドを旅して、迷宮も二度潜った。
けれど、魔物と戦ってレベルアップして強くなるクラスメイトと違い、さくやは一向に強くなれなかった。契約できたのも犬が一匹だけで、それもさっきの戦闘で失い、みんなで逃げている時に遅れてしまって取り残されて……という流れらしい。
「トレシス王国なんて聞いた事ない。それに、兵士をわざわざ異世界から召喚しなくても、うちの世界は化け物みたいな勇者がたくさんいるんだけど?」
「えっと、アーサー君はエルフでしょう? エルフたちの国は、確かに多くの勇者がいるって聞いたわ。でも人間の国には、不干渉なんでしょう? だって、仲が悪いようだし」
「……そこまで悪くはない……というか、この二十年で改善され……ん?」
何か、しっくりとはまらない。
「あの、念のために聞くけれど、この世界の名前は?」
「アルダリアよ」
知らない! まずい、俺にとっても異世界だ。だけど、どうしてこんなに簡単に、異世界に来れたんだろうか?
帰れるかどうかこっそりと意識を伸ばして確認してみた。そしてすぐ、自分の家に瞬間移動で帰れない現実に遭遇した。俺も異世界迷子だ。
次に俺の話をせがまれたので、二十歳の誕生日に好きだった人に告白して玉砕して、もうヤケクソで旅立ってしまったと教えた。瞬間移動で。
そして悲鳴が聞こえたから駆けつけたと。
さくやは、それで納得してくれた。でもフラれたというところを訝しんでいる。そこは脚色無しなのに。
「そうだ。その、君らの世界の文字で君の名前を書いてくれるかな? ペンと紙はあるから」
「何でも揃ってるのねえ」
「うちの両親が心配性なんだ」
実は非常食にキャンプセットもある。本当にありがとう、タンジェリンとエリス母さん。
さくやは、漢字で名前を書いてくれた。
佐伯咲夜……。
「……お祖父ちゃんの家は南町四番地の三にあって、佐伯茂って言わないか? 父さんは正雄で、お祖母ちゃんは光子で、おばさんは冬美だろ?」
「何で分かるの?」
「以心伝心で」
佐伯咲夜ちゃん、俺の兄の娘である姪っ子さんは驚愕した。俺はコワモテ公務員の兄貴が美人と結婚できたかもしれない事実に驚愕した。
俺と咲夜は、異世界で同じように同じ家族に会いたいと強く願った。咲夜がテイマーで俺がイタチと鳥のハーフなのも関係したのか、俺たちは共鳴したんだ。
そしてできた通路を、俺がすり抜けた。そう出来なかったら、しなかったら、咲夜はこの異郷で死んでいただろう……。
状況が何とか理解できた後で、俺たちは今後を考えた。
「一応、みんなを追いかけたいの。それで……ついて来てくれるかな?」
「いいよ。俺は行く当てがないし、咲夜を一人で行かせられない。せめてこの迷宮を出るまでは、絶対に離れない」
「……ありがとう」
ずいぶん顔色の良くなった咲夜は、笑顔で握手してくれた。
そして俺たちは、共に歩き出した。
冷たい石造りで薄暗い、空気の淀んだ閉鎖空間に瞬間移動した。
目の前には二本足で立って防具を身につけた犬が数匹いて、壁ぎわに追い詰めた何かに向かって刃物を振り上げている。
それが何か分からないが、止めるために暴風を発生させて、そいつらを全員床に転がした。
瞬間移動でその場に立って見下ろして、倒れているのが血まみれの女の子だと気付いた。
もう声も出せないようだが、まだ生きている。
俺は空間収納から短剣を二本取り出し、まだ襲ってこようとする犬を全員倒した。
容赦なくとどめを刺してから、すぐに女の子に飛び付いた。
お父さん、お母さんと、微かに声がする。でももう目は開かず、呼吸が強くない。
俺は回復魔法を使用して、重傷の腹部から治療してみた。様子を見ながら何度か繰り返して魔法をかけると、彼女は気付いて起き上がった。
「誰……誰なの?」
「あ、その、悲鳴が聞こえたから助けに来たんだ。あの犬みたいなのは全滅させた。もう痛いところはないかい?」
「……」
今の俺と同じぐらいの年齢に見える黒髪長髪の女の子は、まだ興奮しているようで呼吸が荒いまま周囲を見渡した。
そして犬みたいなのを発見してゾッとしたのか、凍り付いた。
「もう大丈夫だよ。この周囲に同じような魔物はもういない。分かるんだ。だから取りあえず落ち着いてくれ。それから、俺はアーサーっていう名前だ」
「……アーサー?」
俺が笑顔で名乗ると、彼女はキョトンとした。
「うちの、犬の名前よ?」
「ええ? ……うん。まあいいや。とにかく、もう痛いところがないなら、ここから移動しよう。向こうから水音がするし、血を洗い流せるかもしれない」
俺はニッコリ笑って、彼女に手を差し述べた。幸運だと思える程に、俺は美男美女の両親の血を濃く受け継げている。
案の定、彼女は頷いて手を取ってくれた。助かった。
犬たちを避けて歩き、迷宮の通路だろう場所を進んでいき、そのうち小さな水飲み場に到着できた。
まず俺がその水が安全か確認して、それからコップを取り出して彼女に貸した。
彼女は水を二杯のみ、その場にしゃがみ込んでしまった。
そういえば、さっき誕生日ケーキを保存するために空間収納に入れたと思い出した。
まだ破れた服をまとい血まみれの状態だけど、気力を取り戻させるのが先だ。
「今日、俺の誕生日だったんだ」
そう言うと、彼女は不思議そうな表情をした。
「でも両親は仕事で帰って来なくって、だから残ったケーキを持ってきたんだ。これ食べて、お祝いしてくれないかな?」
皿に乗った木の実のケーキを取り出して、銀のフォークと共に差し出した。
彼女は黙って受け取り、無言で全部平らげた。飢えてもいたようだ。
「お誕生日、おめでとう」
律儀な彼女は、そう言って少しだけど笑ってくれた。俺は、物凄く嬉しくなった。
2・
俺が通路から魔物が来ないか警戒中に、さくやと名乗った華奢な体型の彼女は水で濡らしたタオルで全身の血を拭き取り、俺の貸した服に着替えてくれた。
かくいう俺も寝間着なので、念のためにといつも三着も持たされていた服一式の一つに着替えた。
子供はよく水に飛び込んだり泥だらけになると心配するエリス母さんに、今は心から感謝した。
着替えが終わってから、もう少し歩いて移動したところに小部屋があった。そこに入って、ようやく本格的に休憩に入れた。
さくやは、俺がどこの誰か知りたがった。俺もさくやの正体を知りたい。
何しろ、彼女の着ていた白いブラウスに、佐伯斗真だった時の出身高校の校章が刺繍されていたから。
「じゃあ、ジャンケンで話す順番を決めないか?」
「良いけど、ルールは同じかしら?」
「グーとチョキとパーだろ?」
ルールを確認したのち、三番勝負でジャンケンした。俺が勝った。
「じゃあ、さくやさんからお願いします」
「分かったわ。あの、信じて貰えるかどうか分からないけれども、私たち……私は、この世界とは別の世界からやって来たの」
信じるし、分かります。
俺はそう思いつつも黙って、彼女の説明を全部聞いた。
彼女は、俺の母校に通い始めたばかりの高校一年生。ある日の放課後、数名がいる教室に召喚魔法がかかり、幾人かのクラスメイトと共にこの魔法のある世界にやって来た。
トレシス王国の王のお城に召喚され、王様たちに自分たちが世界を救う勇者だと聞かされた。
だから優秀な力を持っていると言われた。でも魔法で鑑定してみたらさくやの職業はテイマーで、勇者や賢者や聖女や竜騎士みたいな強力なものではなかった。
それでも成長すれば強くなると励まされ、みんなと一緒に旅立った。
いくつかの天空都市やフィールドを旅して、迷宮も二度潜った。
けれど、魔物と戦ってレベルアップして強くなるクラスメイトと違い、さくやは一向に強くなれなかった。契約できたのも犬が一匹だけで、それもさっきの戦闘で失い、みんなで逃げている時に遅れてしまって取り残されて……という流れらしい。
「トレシス王国なんて聞いた事ない。それに、兵士をわざわざ異世界から召喚しなくても、うちの世界は化け物みたいな勇者がたくさんいるんだけど?」
「えっと、アーサー君はエルフでしょう? エルフたちの国は、確かに多くの勇者がいるって聞いたわ。でも人間の国には、不干渉なんでしょう? だって、仲が悪いようだし」
「……そこまで悪くはない……というか、この二十年で改善され……ん?」
何か、しっくりとはまらない。
「あの、念のために聞くけれど、この世界の名前は?」
「アルダリアよ」
知らない! まずい、俺にとっても異世界だ。だけど、どうしてこんなに簡単に、異世界に来れたんだろうか?
帰れるかどうかこっそりと意識を伸ばして確認してみた。そしてすぐ、自分の家に瞬間移動で帰れない現実に遭遇した。俺も異世界迷子だ。
次に俺の話をせがまれたので、二十歳の誕生日に好きだった人に告白して玉砕して、もうヤケクソで旅立ってしまったと教えた。瞬間移動で。
そして悲鳴が聞こえたから駆けつけたと。
さくやは、それで納得してくれた。でもフラれたというところを訝しんでいる。そこは脚色無しなのに。
「そうだ。その、君らの世界の文字で君の名前を書いてくれるかな? ペンと紙はあるから」
「何でも揃ってるのねえ」
「うちの両親が心配性なんだ」
実は非常食にキャンプセットもある。本当にありがとう、タンジェリンとエリス母さん。
さくやは、漢字で名前を書いてくれた。
佐伯咲夜……。
「……お祖父ちゃんの家は南町四番地の三にあって、佐伯茂って言わないか? 父さんは正雄で、お祖母ちゃんは光子で、おばさんは冬美だろ?」
「何で分かるの?」
「以心伝心で」
佐伯咲夜ちゃん、俺の兄の娘である姪っ子さんは驚愕した。俺はコワモテ公務員の兄貴が美人と結婚できたかもしれない事実に驚愕した。
俺と咲夜は、異世界で同じように同じ家族に会いたいと強く願った。咲夜がテイマーで俺がイタチと鳥のハーフなのも関係したのか、俺たちは共鳴したんだ。
そしてできた通路を、俺がすり抜けた。そう出来なかったら、しなかったら、咲夜はこの異郷で死んでいただろう……。
状況が何とか理解できた後で、俺たちは今後を考えた。
「一応、みんなを追いかけたいの。それで……ついて来てくれるかな?」
「いいよ。俺は行く当てがないし、咲夜を一人で行かせられない。せめてこの迷宮を出るまでは、絶対に離れない」
「……ありがとう」
ずいぶん顔色の良くなった咲夜は、笑顔で握手してくれた。
そして俺たちは、共に歩き出した。
0
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~
深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。
ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。
それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?!
(追記.2018.06.24)
物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。
もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。
(追記2018.07.02)
お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。
どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。
(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。
ちなみに不審者は通り越しました。
(追記2018.07.26)
完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。
お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
【完結】『サヨナラ』そう呟き、崖から身を投げようとする私の手を誰かに引かれました。
仰木 あん
ファンタジー
継母に苛められ、義理の妹には全てを取り上げられる。
実の父にも蔑まれ、生きる希望を失ったアメリアは、家を抜け出し、海へと向かう。
たどり着いた崖から身を投げようとするアメリアは、見知らぬ人物に手を引かれ、一命を取り留める。
そんなところから、彼女の運命は好転をし始める。
そんなお話。
フィクションです。
名前、団体、関係ありません。
設定はゆるいと思われます。
ハッピーなエンドに向かっております。
12、13、14、15話は【胸糞展開】になっておりますのでご注意下さい。
登場人物
アメリア=フュルスト;主人公…二十一歳
キース=エネロワ;公爵…二十四歳
マリア=エネロワ;キースの娘…五歳
オリビエ=フュルスト;アメリアの実父
ソフィア;アメリアの義理の妹二十歳
エリザベス;アメリアの継母
ステルベン=ギネリン;王国の王
【完結】帝国滅亡の『大災厄』、飼い始めました
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
大陸を制覇し、全盛を極めたアティン帝国を一夜にして滅ぼした『大災厄』―――正体のわからぬ大災害の話は、御伽噺として世に広まっていた。
うっかり『大災厄』の正体を知った魔術師――ルリアージェ――は、大陸9つの国のうち、3つの国から追われることになる。逃亡生活の邪魔にしかならない絶世の美形を連れた彼女は、徐々に覇権争いに巻き込まれていく。
まさか『大災厄』を飼うことになるなんて―――。
真面目なようで、不真面目なファンタジーが今始まる!
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
※2022/05/13 第10回ネット小説大賞、一次選考通過
※2019年春、エブリスタ長編ファンタジー特集に選ばれました(o´-ω-)o)ペコッ
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる