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二章 自分探しをしてみた
2 新しい生活も、こういうもの
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1・
あれから数日。
総じて痛い目に遭ったので、しばらくナンパしないことにした。
だが来賓としては、龍神の神殿での仕事がなくて暇だ。
別にしなくていいと言われて渡された、本と勉強道具のみある。
しなくていいっつったって、バンハムーバの歴史と礼節と政治経済、軍務に関する本を読まないのは気が引ける。
が、したいことをしろという悪魔神官の命令なので、それを探すために部屋でボーッとする日々。
何だか無気力だが、俺にはちょうど良い休暇になっていると思う。
俺は精神的にも肉体的にも、余裕が必要な時期なんだ。
とか思って気を抜いてソファーでなんか横になっていると、ナナちゃんが飛んできて俺を捕獲する。
初日に俺にキスマークつけまくった男は、俺の警護員ということで常に傍におり、隙さえあれば飛びかかってくる。
おかげで、自分が嫌だというのに攻めてくる野郎の迷惑さと鬱陶しさと精神ダメージがどんなものか、とても身に染みてよく分かるようになった。
たった数日で、シナモンちゃんに土下座して謝罪したくなった。
しかしもう二度と連絡を取らない約束なので、心で思うだけにしておく。
そしてナナからの拷問は、今まで俺の罪を償うために、一線を越えない以外は好きにさせてある。
見てくれは美人にモテる図なのだが、心底恐ろしい……。
そうして今日もゲッソリしているところに、客があった。
バンハムーバ母星まで同行してくれたハルシオンが、登場してくれた。
「た、助けて~」
「! お邪魔ですか?」
「違う! 助けろ!」
と叫んでみてもお客様が助けてくれる訳はないから、久しぶりにあらがって突き飛ばして自由を獲得した。
ナナに茶を入れろと言うと、ぶー垂れながら行ってくれた。
「ハルシオン、よく来てくれた。泊まっていけ?」
「そういう訳にはいきません。私は貴方がどういう状況なのか確認しに来たのと、これを渡そうと思いまして……」
ハルシオンは、持っているカバンから紙切れを取り出した。
「ミリスは知っていますよね? カート商会所属の、宇宙の歌姫と呼ばれている歌手ですが」
「ああ知ってる。落ち目だったカート商会を立て直した、稼ぎ頭だろう? せっかくカート商会の船に乗れたんだから、会いたかったなあ」
でも、相手は超実力派の売れっ子だ。宇宙文明のあちこちでコンサートを開き、金を荒稼ぎして……いやいや、人々を魅了している。
「で、それは何?」
「バンハムーバ母星でコンサートがありまして、久しぶりに会いに行くんです。良ければ、チケットをどうぞ」
俺はハルシオンの手から、チケットをもぎ取った。
「行くに決まってるだろ。……って、これ、ゴールドチケットじゃないか! どうやって入手した!」
「向こうで確保してもらえました」
「向こう?」
「ミリスは私の姪です」
「おじさん」
俺はハルシオンに抱きついた。それをお茶を持ってきたナナに見られ、しばらく緊急事態に陥った。
ゴールドチケットは、何とか死守した。
危険になったハルシオンには、早いこと帰ってもらった。
そしてナナが、二枚あるチケットのうちの一枚を狙いに来る。
「ホルン! 悪魔神官! どこにいる!」
「その呼び名は変えて下さい」
ホルンは、呼んだらどこからか来てくれた。
「二日後の夜、俺とコンサートに行け!」
「ヤアアア! ホルンと浮気しないで!」
「承知しました。外出の手はずを整えます」
「ホルン、待って! 私も連れて行って!」
ハイテンションのナナは、ホルンを追いかけて立ち去ってくれた。
俺はそのまま、翌日まで行方をくらました。
2・
翌日に、バンハムーバ軍人さんたちが迎えに来てくれた。
一部だけに正体がバレている状態といっても、子供の龍神の宇宙の移動には絶対に宇宙戦艦を使うらしいと、いま知った。
おちおち星の外に行きたいなんて言えないぞと思ったが、いやそれよりもセレブ生活に慣れてしまって遠慮なく使ってもいいんじゃないかとも思った。
俺はどっちかというと、慣れたい。
なので無事にナナを置き去りにできた隣の星への旅は、短かったが色んな意味で楽しかった。
一日かからず母星の龍神の神殿に到着し、一泊させてもらった。
龍神シーマ様とコーネリア様に会って話をしたところ、二人もミリスのコンサートに誘われていた。
一度は一緒に行こうかという話になったものの、それじゃあ龍神がバレバレになるので、俺たちは最初の予定通りに一般市民スタイルで行くことになった。
そしてコンサート当日の夕方、初めて神官姿じゃない服を披露したホルンと一緒に、神殿近くのコンサート会場に徒歩で出かけて行った。
多くの人がコンサート会場を目指している路上で、ホルンが周辺を見回し始めた。
「何か嗅ぎつけたのか」
「残念ながら、そうです。貴方がここにいるのがバレていますね。ただ、蛇とだけ思われています」
「一般市民の情報網、恐るべしだな。んで、どうすんだ? このまま行けそうか?」
「無理です。かなり悪意を感じます。貴方が行けば、周囲にも被害が及びます」
「うん……そっか、儚い時間だったな……」
俺は路上で、真っ白に燃え尽きそうになった。
「とりあえず、裏手方面に回りましょう。迎えに来てくれるようです」
「あ、他のがか。じゃあ、このチケットはどうすればいい? 入れないんじゃ、持っていても無意味だ」
「チケットだけでも、後にプレミアが付きますよ」
「いや、こういうのは使わないと」
俺は周囲を見回した。
ダフ屋行為は禁止の筈だが、スケッチブックなどにチケットを譲ってと書いて持っている人たちがいる。
金のやり取りを書いていないので、警察も取り締まりをしていないのか。
実際は、当たり前だけど交渉で値段を決めてるのにな。
とか思いつつ、いかにもファン過ぎてチケット持ってないのに田舎から出て来てしまった風の女子二名に近付いていった。
チケット入りの封筒を、彼女らに差し出した。
「事情があって行けなくなったんだ。タダで貰ってくれ」
「え……? え? いいんですか!」
「いいとも。じゃあ、俺たちの代わりに楽しんでって」
普通の女の子はやはりいいなと思いつつ、笑顔で手を振ってお別れした。
ホルンに腕を引かれて会場の裏手に行くと、道の途中で討ち入り前っぽい雰囲気をかもし出すハルシオンが立っていた。
ハルシオンについて行くと、スタッフ用の入り口に到着し、そこでアリアナとクールベに出会えた。
お客様用のカードを貰え、ホルンと一緒に会場内に入れた。
そして長々と廊下を歩いて行った先が、ミリスの控え室だった。
控え室にはスタッフだけでなくミリス本人もおり、ロルシュが扉の前で警備員風に立っている。
「どういうこと?」
「ミリスさんは、アリアナさんとクールベさんの長女ですよ。ちなみにあのアリスリデル様は、アリアナさんのご長男です」
ホルンが教えてくれたあと、しばらく正気に戻れなかった。
俺が部屋の隅っこに座ったので、俺を取り巻きたい皆が壁ぎわに寄ってきて俺を見下ろし、変な状況で作戦会議が始まった。
「ということで、防衛戦を開始します」
ホルンが言った。
「もうちょっと説明してくれよ。俺はポドールイ人じゃないから、声に出してもらわないと察せない」
「何が起こるのかすぐに分からないのは、不便ですねえ」
「分かる方がおかしいと、理解してもらいたい」
「私も前世は普通のバンハムーバ人ですので、その気持ちも少しは分かりますよ」
「……そういえばお前、俺の前世知ってるだろ? どこの誰だよ」
「その話はまた後で。今は、貴方を犯罪者として糾弾し、英雄なんかじゃないと決めつけたい者達の暴走を止めましょう」
「俺が悪いのね」
「いいえ、全然。彼らは前々から、私たちポドールイ人も標的にしていました。私たちの戦うべき相手でもあります」
「ポドールイ人に喧嘩売ってきてるのか? なんて恐ろしいことを!」
俺なら絶対に完全服従すっぞ。
「彼らは民間でとても力を持ってしまった魔術師などの、犯罪者集団です。主に実力派のお偉い人たちを目の敵にして、襲って倒すのを楽しんでいます」
「ああ、そういう奴らか。でも、ということは強いのでは?」
「ええ、とてもね。彼らは私たちの実力を良く知っていて、それぞれに見合う戦闘力を準備しているようです。なので、我々も相当に気が抜けません」
「そうなのかよ……厄介だなあ、犯罪者って」
と言ってから、俺もそうじゃんと気付いた
微妙な雰囲気になり、俺は壁ぎわで立ち上がった。
「エリック様は違いますよ。全然違います」
「どこが」
「向こうは人を傷つけることに躊躇無く、虐げて快感を得ています。貴方は人を虐めて楽しいんですか」
「いや。でも結果的に――」
「貴方の病は、冷静ささえあれば克服できます。決して感情に流されず、溺れそうになってもそれが正しいかどうか考え続けて下さい。それを忘れなければ、貴方は本来の貴方に戻れます。大丈夫、自分を信じて」
「……」
正直、信じられない。俺は人が傷ついているのに気付かなかった。
「……それも、病が治れば大丈夫です。あと少し、頑張りましょう」
ホルンが手を上げて俺に向けてきたので、物凄くビクついた。
「止めろ! お前に触られたら怖いんだよ!」
「そうですか」
ホルンは何故か笑顔で手を引いた。こいつ、おかしい……のは前からか。
「ではエリック様、貴方には一番の強敵が待つ会場前広場の制圧担当を任せます。一人で行ってきて下さいね?」
「ごめんなさい」
謝罪したが、全員一致でそれが決まってしまった。ええ?
あれから数日。
総じて痛い目に遭ったので、しばらくナンパしないことにした。
だが来賓としては、龍神の神殿での仕事がなくて暇だ。
別にしなくていいと言われて渡された、本と勉強道具のみある。
しなくていいっつったって、バンハムーバの歴史と礼節と政治経済、軍務に関する本を読まないのは気が引ける。
が、したいことをしろという悪魔神官の命令なので、それを探すために部屋でボーッとする日々。
何だか無気力だが、俺にはちょうど良い休暇になっていると思う。
俺は精神的にも肉体的にも、余裕が必要な時期なんだ。
とか思って気を抜いてソファーでなんか横になっていると、ナナちゃんが飛んできて俺を捕獲する。
初日に俺にキスマークつけまくった男は、俺の警護員ということで常に傍におり、隙さえあれば飛びかかってくる。
おかげで、自分が嫌だというのに攻めてくる野郎の迷惑さと鬱陶しさと精神ダメージがどんなものか、とても身に染みてよく分かるようになった。
たった数日で、シナモンちゃんに土下座して謝罪したくなった。
しかしもう二度と連絡を取らない約束なので、心で思うだけにしておく。
そしてナナからの拷問は、今まで俺の罪を償うために、一線を越えない以外は好きにさせてある。
見てくれは美人にモテる図なのだが、心底恐ろしい……。
そうして今日もゲッソリしているところに、客があった。
バンハムーバ母星まで同行してくれたハルシオンが、登場してくれた。
「た、助けて~」
「! お邪魔ですか?」
「違う! 助けろ!」
と叫んでみてもお客様が助けてくれる訳はないから、久しぶりにあらがって突き飛ばして自由を獲得した。
ナナに茶を入れろと言うと、ぶー垂れながら行ってくれた。
「ハルシオン、よく来てくれた。泊まっていけ?」
「そういう訳にはいきません。私は貴方がどういう状況なのか確認しに来たのと、これを渡そうと思いまして……」
ハルシオンは、持っているカバンから紙切れを取り出した。
「ミリスは知っていますよね? カート商会所属の、宇宙の歌姫と呼ばれている歌手ですが」
「ああ知ってる。落ち目だったカート商会を立て直した、稼ぎ頭だろう? せっかくカート商会の船に乗れたんだから、会いたかったなあ」
でも、相手は超実力派の売れっ子だ。宇宙文明のあちこちでコンサートを開き、金を荒稼ぎして……いやいや、人々を魅了している。
「で、それは何?」
「バンハムーバ母星でコンサートがありまして、久しぶりに会いに行くんです。良ければ、チケットをどうぞ」
俺はハルシオンの手から、チケットをもぎ取った。
「行くに決まってるだろ。……って、これ、ゴールドチケットじゃないか! どうやって入手した!」
「向こうで確保してもらえました」
「向こう?」
「ミリスは私の姪です」
「おじさん」
俺はハルシオンに抱きついた。それをお茶を持ってきたナナに見られ、しばらく緊急事態に陥った。
ゴールドチケットは、何とか死守した。
危険になったハルシオンには、早いこと帰ってもらった。
そしてナナが、二枚あるチケットのうちの一枚を狙いに来る。
「ホルン! 悪魔神官! どこにいる!」
「その呼び名は変えて下さい」
ホルンは、呼んだらどこからか来てくれた。
「二日後の夜、俺とコンサートに行け!」
「ヤアアア! ホルンと浮気しないで!」
「承知しました。外出の手はずを整えます」
「ホルン、待って! 私も連れて行って!」
ハイテンションのナナは、ホルンを追いかけて立ち去ってくれた。
俺はそのまま、翌日まで行方をくらました。
2・
翌日に、バンハムーバ軍人さんたちが迎えに来てくれた。
一部だけに正体がバレている状態といっても、子供の龍神の宇宙の移動には絶対に宇宙戦艦を使うらしいと、いま知った。
おちおち星の外に行きたいなんて言えないぞと思ったが、いやそれよりもセレブ生活に慣れてしまって遠慮なく使ってもいいんじゃないかとも思った。
俺はどっちかというと、慣れたい。
なので無事にナナを置き去りにできた隣の星への旅は、短かったが色んな意味で楽しかった。
一日かからず母星の龍神の神殿に到着し、一泊させてもらった。
龍神シーマ様とコーネリア様に会って話をしたところ、二人もミリスのコンサートに誘われていた。
一度は一緒に行こうかという話になったものの、それじゃあ龍神がバレバレになるので、俺たちは最初の予定通りに一般市民スタイルで行くことになった。
そしてコンサート当日の夕方、初めて神官姿じゃない服を披露したホルンと一緒に、神殿近くのコンサート会場に徒歩で出かけて行った。
多くの人がコンサート会場を目指している路上で、ホルンが周辺を見回し始めた。
「何か嗅ぎつけたのか」
「残念ながら、そうです。貴方がここにいるのがバレていますね。ただ、蛇とだけ思われています」
「一般市民の情報網、恐るべしだな。んで、どうすんだ? このまま行けそうか?」
「無理です。かなり悪意を感じます。貴方が行けば、周囲にも被害が及びます」
「うん……そっか、儚い時間だったな……」
俺は路上で、真っ白に燃え尽きそうになった。
「とりあえず、裏手方面に回りましょう。迎えに来てくれるようです」
「あ、他のがか。じゃあ、このチケットはどうすればいい? 入れないんじゃ、持っていても無意味だ」
「チケットだけでも、後にプレミアが付きますよ」
「いや、こういうのは使わないと」
俺は周囲を見回した。
ダフ屋行為は禁止の筈だが、スケッチブックなどにチケットを譲ってと書いて持っている人たちがいる。
金のやり取りを書いていないので、警察も取り締まりをしていないのか。
実際は、当たり前だけど交渉で値段を決めてるのにな。
とか思いつつ、いかにもファン過ぎてチケット持ってないのに田舎から出て来てしまった風の女子二名に近付いていった。
チケット入りの封筒を、彼女らに差し出した。
「事情があって行けなくなったんだ。タダで貰ってくれ」
「え……? え? いいんですか!」
「いいとも。じゃあ、俺たちの代わりに楽しんでって」
普通の女の子はやはりいいなと思いつつ、笑顔で手を振ってお別れした。
ホルンに腕を引かれて会場の裏手に行くと、道の途中で討ち入り前っぽい雰囲気をかもし出すハルシオンが立っていた。
ハルシオンについて行くと、スタッフ用の入り口に到着し、そこでアリアナとクールベに出会えた。
お客様用のカードを貰え、ホルンと一緒に会場内に入れた。
そして長々と廊下を歩いて行った先が、ミリスの控え室だった。
控え室にはスタッフだけでなくミリス本人もおり、ロルシュが扉の前で警備員風に立っている。
「どういうこと?」
「ミリスさんは、アリアナさんとクールベさんの長女ですよ。ちなみにあのアリスリデル様は、アリアナさんのご長男です」
ホルンが教えてくれたあと、しばらく正気に戻れなかった。
俺が部屋の隅っこに座ったので、俺を取り巻きたい皆が壁ぎわに寄ってきて俺を見下ろし、変な状況で作戦会議が始まった。
「ということで、防衛戦を開始します」
ホルンが言った。
「もうちょっと説明してくれよ。俺はポドールイ人じゃないから、声に出してもらわないと察せない」
「何が起こるのかすぐに分からないのは、不便ですねえ」
「分かる方がおかしいと、理解してもらいたい」
「私も前世は普通のバンハムーバ人ですので、その気持ちも少しは分かりますよ」
「……そういえばお前、俺の前世知ってるだろ? どこの誰だよ」
「その話はまた後で。今は、貴方を犯罪者として糾弾し、英雄なんかじゃないと決めつけたい者達の暴走を止めましょう」
「俺が悪いのね」
「いいえ、全然。彼らは前々から、私たちポドールイ人も標的にしていました。私たちの戦うべき相手でもあります」
「ポドールイ人に喧嘩売ってきてるのか? なんて恐ろしいことを!」
俺なら絶対に完全服従すっぞ。
「彼らは民間でとても力を持ってしまった魔術師などの、犯罪者集団です。主に実力派のお偉い人たちを目の敵にして、襲って倒すのを楽しんでいます」
「ああ、そういう奴らか。でも、ということは強いのでは?」
「ええ、とてもね。彼らは私たちの実力を良く知っていて、それぞれに見合う戦闘力を準備しているようです。なので、我々も相当に気が抜けません」
「そうなのかよ……厄介だなあ、犯罪者って」
と言ってから、俺もそうじゃんと気付いた
微妙な雰囲気になり、俺は壁ぎわで立ち上がった。
「エリック様は違いますよ。全然違います」
「どこが」
「向こうは人を傷つけることに躊躇無く、虐げて快感を得ています。貴方は人を虐めて楽しいんですか」
「いや。でも結果的に――」
「貴方の病は、冷静ささえあれば克服できます。決して感情に流されず、溺れそうになってもそれが正しいかどうか考え続けて下さい。それを忘れなければ、貴方は本来の貴方に戻れます。大丈夫、自分を信じて」
「……」
正直、信じられない。俺は人が傷ついているのに気付かなかった。
「……それも、病が治れば大丈夫です。あと少し、頑張りましょう」
ホルンが手を上げて俺に向けてきたので、物凄くビクついた。
「止めろ! お前に触られたら怖いんだよ!」
「そうですか」
ホルンは何故か笑顔で手を引いた。こいつ、おかしい……のは前からか。
「ではエリック様、貴方には一番の強敵が待つ会場前広場の制圧担当を任せます。一人で行ってきて下さいね?」
「ごめんなさい」
謝罪したが、全員一致でそれが決まってしまった。ええ?
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