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第三章 この世界の不条理
第70話 アナザーSIDE 戻ってきた男女
しおりを挟むあれはとんでもない悪夢だった。
あの異世界はなんだったのだろうか?
ジョブやスキルは貰ったが、異世界でやっていた事は、貴族令嬢とのSEXだけだった。
美味しい物を食べて、殆ど一日中服も着ないでSEX漬けの毎日。
夢のようなハーレム生活…だが、可笑しな事に、俺の心は日に日に女が嫌いになっていく。
女を抱くのが楽しかったのは僅か数日。
日に日に女が嫌いになって行く。
臭いは気持ち悪いし…男と違って柔らかいぶよぶよした体。
柔らかい脂肪をぶら下げてなんて醜悪なんだ!
もう気持ち悪くて抱く事なんて出来ない。
その症状が更に進み、見るだけで吐き気がしてきた。
だれか、女を駆逐してくれ。
もし、それをしてくれるなら、俺は悪魔にでも魂を売る。
◆◆◆
俺は女を見るのも嫌になったので引き篭もる事になった。
周りからは『限界か』『潮時か』そんな声が聞こえてきたが…理解は出来ない。
だが、引き篭もりを許して貰えただけでも良かった。
女が居る世界で暮すなんて信じられなかった。
だが…
「やめてくれ、女が居る世界で生きて居たくないんだ」
「それもすぐ治る」
俺はロープで縛られ連れ去られた。
そして魔方陣に放り込まれ…帰ってきた。
悍ましい…女が居る世界。
俺の家族には母以外に姉や妹が居た。
「どうしたんだい優斗」
「目を覚ました」
「良かったお兄ちゃん」
「うわぁぁぁぁぁぁーーーーー」
俺は気持ち悪くなり…病室を飛び出した。
そのまま…車道に飛び出し…
ドガッ
強い衝撃を食らって意識を失った。
どうやら、車に跳ねられたようだ。
「う~ん…あれっ母さん?」
「心配したんだから、行方不明から帰ってきたと思ったら、急に道路に飛び出して」
「3週間も意識が無かったんだから」
「良かったよ、お兄ちゃん」
「…ありがとう」
俺はなんで女が嫌いだったんだ…解らない。
◆◆◆
「そこの彼女! 良かったら俺と付き合わない?」
「いいよ」
「えっ…良いの? 初めてナンパに成功した」
「そう? それじゃお茶でもする? 勿論奢ってはくれるんでしょう?」
「勿論」
これが正常な状態よね…
全く、あの世界はなんなのよ…
今迄、こういうナンパなんか、凄く嫌いだったのに、あそこから帰ってきてからは凄く嬉しく感じる。
男が向ける憎悪の様な目。
拒絶する態度。
だけど、この世界の男は優しく、私を受け入れてくれる。
それが凄く心地よい。
『それが凄く怖い』
私はあの世界を経験したせいでチョロい女になってしまったのかも知れない。
男にチヤホヤされるのが心地よい。
そのうち、ホテルまで付き合ってしまうのでは無いか。
そう思うと…自分が怖くなる。
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