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タイムリミット

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「離れでセロと暮らそうと思うの!」

スジャーナが突然きて言い出した。

「どうしたんだ急に?」

俺は正直驚きを隠しきれない。

「いえ、ね、私は残念だけどもう子供が産めないわ」

「そうだな」

「だから、もう受け入れる事にしたわ、私だって貴族だもの、子供を産む事の出来ない女に価値が無い事位解るわよ...だから諦めたの」

「そうか、理解してくれて助かるよ」

「どうせ、貴方は側室を貰うわよね..跡取りは必要だからね」

「そうだな...済まない」

「良いのよ、仕方ない事だわ...だからね、もう心の整理をする事にしたのよ...どうせあの部屋も側室に引き渡さなければならないなら早い方がよいわ」

「本当に良いんだな」

「ええ」

「それはそうと、最近は随分セロと仲が良いんだな」

「そうね...だってもう私にはあの子しか居ないじゃない? 貴方は側室をやがて迎えるわ..そうしたら私より側室と一緒にいなきゃ不味いわよ! それに、子供が出来たら私なんかに構っている暇はないわ」

「本当に済まないな」

「別に良いわ..だけど、悪いけど、今の地位は勇者の貴方と大魔法使いの私で築いた物だから悪いけど財産は分割して貰うわよ」

「それは仕方ないな..お前と俺で築いた物だ..だが家を潰す様な金額は駄目だ」

「解っているわ」

「なら良い」

「それじゃ私は行くわね」

.........何だろうか...何故か俺が捨てられたような気がするのは気のせいか。



「ねえセロ...今日から離れで暮らすわよ」

「急にどうしたの?お母さま!」

「セーロー....此処には貴方と私しか居ないのよ?」

「スジャーナ」

「なぁにセロ」

《まさか、此処まで変わってしまうなんて...流石に想定外だ》

「どうして急に離れで暮らす事になったのですか?」

「だって、ほらもう私は子供が産めないじゃない...だからアベルは側室を迎えなくちゃいけないわ..なら寝室も全部明け渡した方が良いじゃない」

「スジャーナ、それ本当は違うでしょう、絶対」

「そうね、だって私が好きなのはセロよ..だったらアベルの傍にいる必要はないじゃない..離れに行ったらもう人目を気にせず居られるわ..特に夜はね」

《やりすぎたのか..確かに暇さえあれば抱き続けていたが...まるで別人じゃないか》

「そうだね、凄く楽しそうだ」

《確かに気は楽になったが...》

「あのさ..側室がきたらスジャーナはどうなっちゃうの?」

「気にしてくれるの? 本当にセロは優しいわね..もうお役御免だわ..そうね私もセロと一緒に王都に行こうかしら..ここに居ても意味無いし..お金は気にしないで良いわ..それなりの金額が貰えるはずだから一生お金には困らないわ」

「うん、楽しそうだね!」

「セロならそう言ってくれると思ったわ!」

ラドルフ家は勇者であるアベルと大魔法使いのスジャーナが作った家だ。

スジャーナの言う通りでも結構な金額が貰えるだろう..だがそれで良いのか...

少なくとも、側室に子供が出来たら...ラドルフの跡取りはそいつだ。

幾ら財産を分けてくれるって言っても限界はある筈だ...少なくとも半分半分という訳にはいかない筈だ。

それに、多分貴族で居られるかどうか解らない..スジャーナの価値も..僕と同じでほぼ無くなる。

そう考えるなら...アベルが側室を貰う前に..殺さなければならない。

アベルが側室を貰う前に殺せれば...スジャーナは女伯爵となる筈だ。

だが、アベルは勇者だった筈だ...どの位強いんだ。

「スジャーナ僕に魔法を教えて...あとスジャーナが大魔法使いだった時の事教えて」

「どうしたのセロったら!」

「だって、僕はスジャーナの事知らないんだもの..好きな人の事をもっと知りたいんだ」

「急にもう..良いわよ..後で教えてあげる」

《この子は本当にずるいわ..いつもドキドキさせられる..もう離れる事は出来ないわ》











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