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崩れさる僕の日常
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この世界は僕にとっては辛い事しかない。
それは、この国、いやこの世界が実力主義だからだ。
ただの実力主義なら別に構わない...努力すれば逆転できる、そんな世界なら別に仕方ないと思う。
だけど、ラグナトランは違う、産まれて直ぐに才能が解ってしまう。
それはステータスという形で現れ、そのステータスの差は絶対にひっくり返らない。
例えば魔法の才能が10ある人間と100ある人間が居たとしよう..その二人が努力して能力が上がるとしたら10の人間が努力して12になるなら、100の人間が同じ努力をすれば120になる。
能力のある者は簡単な努力で能力が向上するが、無い物はどんなに努力しても勝てない。
生まれつき全てが決まってしまう、それがこの国ラグナトランに産まれた人間の定めだ。
僕の名前はセロ...一応、ラドルフ伯爵家の長男に生まれた。
5歳まで僕はセロリックという名前だった、セロリック=ラドルフそれが正式な名前だった。
そして父も母も凄く優しく接してくれていた。
良く、貴族どうしの茶会にも連れて行って貰ったし、同じ位の友達もいた。
ちゃんと、僕付きのメイドも居た。
それが変わったのは僕が5歳の時だ。
この国の法律で5歳まではステータスを見てはいけないそう言う法律がある。
それは、自分の子供のステータスが低いとすぐに教会に捨てる親が居るからだ。
それは貴族であっても同じ。
「いよいよ今日はお前のステータスが見れる日だな」
「多分、セロリックなら沢山の才能に恵まれると思うわ」
「そりゃ、そうだろう...大魔法使いであるお前と勇者である俺の子だ..最低でも、魔法か剣術どちらかの才能に恵まれるさ」
「ふふふ..そうね、私はこの子に魔法を教えるのが楽しみだわ」
「俺は剣術と身体強化を教えるのが楽しみだ」
「両方の才能に恵まれたなら...魔法剣士に馴れるかも知れないな」
「私はそこまで高望みはしないわ..何か一つ優れた所があればそれで良いわよ」
「そうか..そうだよな」
《僕のお父様もお母さまも凄いんだ..きっと僕も..》
僕はラドルフの跡取りなんだ..偉大なる勇者のアベルと大魔法使いスジャーナの子だ、絶対に良いステータスに決まっている。
「お父様、お母さま..両方の才能を持っていたら...僕は勇者と魔法使いどっちを目指せば良いのかな?」
どっちから教われば良いのかな? 本当に疑問に思った。
「そりゃ、勇者に決まっているだろう? 俺の様になりたく無いのかセロリックは?」
「いいえ、私の様に魔法使いになりたいのよね...汗くさく剣なんて振るわないで、杖の一振りで相手を倒す方がカッコ良いわよ?」
「勇者だ」
「いいえ魔法使いよ」
「ご当主様も奥方様もセロリックお坊ちゃんが困ってますよ!」
「あらいやだごめんなさい」
「どっちでも良いぞセロリック!」
執事たちと沢山のメイドに見送られ教会に行く。
その目は物凄く皆が暖かった..この日までは。
教会に着くとお父様は金貨の入った袋を寄進していた。
平民の子供は纏めてステータスの啓示の儀式を行う。
だが、貴族の子は教会を貸し切り..一人だけ儀式を行うのが通例だ。
平民の子と違い、貴族の子はほぼ全員ステータスが高いのが当たり前だ。
それは父親や母親には優秀な者が多いからだ。
案外、両親に勇者や賢者を持つ親は少なくない。
親にとっては、自慢になりうる実の子のステータスを初めて見れる特別な日....この日は本来ならこの後、豪華な食事をして親からプレゼントを貰うのが当たり前だ。
そのプレゼントは魔力にたけた者なら、杖、剣術や槍術に優れた者ならその武器を貰う。
本来なら、僕にもそういった日になる筈だった....
司祭様に呼ばれて、祭壇に上がった。
お父様とお母さまは椅子に座って見ていた。
司祭様が祈りを捧げて..光が降りそそぐ...そして僕の手にしっかりと紙が握られていた。
司祭様やお父様やお母様が紙を覗き込んだ。
時間が凍り付いた。
「「本当にこれが俺の(私の)息子のステータスか(なの)」」
両親は真っ青になり、司祭は気まずい顔をして僕を見ていた。
それは、この国、いやこの世界が実力主義だからだ。
ただの実力主義なら別に構わない...努力すれば逆転できる、そんな世界なら別に仕方ないと思う。
だけど、ラグナトランは違う、産まれて直ぐに才能が解ってしまう。
それはステータスという形で現れ、そのステータスの差は絶対にひっくり返らない。
例えば魔法の才能が10ある人間と100ある人間が居たとしよう..その二人が努力して能力が上がるとしたら10の人間が努力して12になるなら、100の人間が同じ努力をすれば120になる。
能力のある者は簡単な努力で能力が向上するが、無い物はどんなに努力しても勝てない。
生まれつき全てが決まってしまう、それがこの国ラグナトランに産まれた人間の定めだ。
僕の名前はセロ...一応、ラドルフ伯爵家の長男に生まれた。
5歳まで僕はセロリックという名前だった、セロリック=ラドルフそれが正式な名前だった。
そして父も母も凄く優しく接してくれていた。
良く、貴族どうしの茶会にも連れて行って貰ったし、同じ位の友達もいた。
ちゃんと、僕付きのメイドも居た。
それが変わったのは僕が5歳の時だ。
この国の法律で5歳まではステータスを見てはいけないそう言う法律がある。
それは、自分の子供のステータスが低いとすぐに教会に捨てる親が居るからだ。
それは貴族であっても同じ。
「いよいよ今日はお前のステータスが見れる日だな」
「多分、セロリックなら沢山の才能に恵まれると思うわ」
「そりゃ、そうだろう...大魔法使いであるお前と勇者である俺の子だ..最低でも、魔法か剣術どちらかの才能に恵まれるさ」
「ふふふ..そうね、私はこの子に魔法を教えるのが楽しみだわ」
「俺は剣術と身体強化を教えるのが楽しみだ」
「両方の才能に恵まれたなら...魔法剣士に馴れるかも知れないな」
「私はそこまで高望みはしないわ..何か一つ優れた所があればそれで良いわよ」
「そうか..そうだよな」
《僕のお父様もお母さまも凄いんだ..きっと僕も..》
僕はラドルフの跡取りなんだ..偉大なる勇者のアベルと大魔法使いスジャーナの子だ、絶対に良いステータスに決まっている。
「お父様、お母さま..両方の才能を持っていたら...僕は勇者と魔法使いどっちを目指せば良いのかな?」
どっちから教われば良いのかな? 本当に疑問に思った。
「そりゃ、勇者に決まっているだろう? 俺の様になりたく無いのかセロリックは?」
「いいえ、私の様に魔法使いになりたいのよね...汗くさく剣なんて振るわないで、杖の一振りで相手を倒す方がカッコ良いわよ?」
「勇者だ」
「いいえ魔法使いよ」
「ご当主様も奥方様もセロリックお坊ちゃんが困ってますよ!」
「あらいやだごめんなさい」
「どっちでも良いぞセロリック!」
執事たちと沢山のメイドに見送られ教会に行く。
その目は物凄く皆が暖かった..この日までは。
教会に着くとお父様は金貨の入った袋を寄進していた。
平民の子供は纏めてステータスの啓示の儀式を行う。
だが、貴族の子は教会を貸し切り..一人だけ儀式を行うのが通例だ。
平民の子と違い、貴族の子はほぼ全員ステータスが高いのが当たり前だ。
それは父親や母親には優秀な者が多いからだ。
案外、両親に勇者や賢者を持つ親は少なくない。
親にとっては、自慢になりうる実の子のステータスを初めて見れる特別な日....この日は本来ならこの後、豪華な食事をして親からプレゼントを貰うのが当たり前だ。
そのプレゼントは魔力にたけた者なら、杖、剣術や槍術に優れた者ならその武器を貰う。
本来なら、僕にもそういった日になる筈だった....
司祭様に呼ばれて、祭壇に上がった。
お父様とお母さまは椅子に座って見ていた。
司祭様が祈りを捧げて..光が降りそそぐ...そして僕の手にしっかりと紙が握られていた。
司祭様やお父様やお母様が紙を覗き込んだ。
時間が凍り付いた。
「「本当にこれが俺の(私の)息子のステータスか(なの)」」
両親は真っ青になり、司祭は気まずい顔をして僕を見ていた。
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