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第4話 奴隷オークション

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この世界で俺には好きな人がいる。

正確に言えば憧れだ。

それは『元勇者のレイラ』だ。

年齢は今の俺よりかなり年上で恐らくは30歳に近いと思う。

髪はシャギーでシルバーブロンド、肌は白く凄く綺麗。不思議と日焼けすらしていない様に見えた。目は大きく瞳はやや赤みが掛っていて何とも神秘的だ。

そして体がダイナマイトボディと言うのか、ボンキュウボンだ。

はっきり言えばエロくて綺麗。

この世界は寿命が短いせいかこの年齢の女性はおばさん扱いで『需要』が無い。

まぁ人生60年の世界だから、仕方ないのかも知れない。

だが、俺の心はおじさんだ。

そんなの関係が無い。

10年位前にあって憧れた。

その時は、相手が勇者だし、俺は5歳の子供だから諦めるしか無かった。

そんなレイラが、今度『奴隷オークション』に掛けられる情報を掴んだ。

ギルドで聞いた話だが、どうやら本当の様だ。

しかも犯罪奴隷として売られるそうなので…俺にも手が届くチャンスがある。

だから『追放されて』丁度良かった。

追放されなければ、無理やり暫く休暇を取るか、許して貰えなければ自分から辞めていた。かも知れない

勇者パーティに所属しながらも俺には後ろ盾が居なかった。

だからパーティで狩った物は手に出来ないが、個人で狩ったり、手に入れた物は自分の物だ。

今迄溜めたへそくりは結構ある。

とはいえ、相手は『元勇者』恐らくは落札は無理だろう。

それでも万が一はあるかも知れない…そう考えて俺は奴隷市場に行く事を決めていた。

◆◆◆

奴隷オークション会場

その中でも俺が目当ての『犯罪奴隷オークション』は一番外れにある。

他の天幕のある会場とは違い、凄く粗末で普段は余り活気が無い。

そりゃ美女やエルフやダークエルフ等のオークション会場みたいに沸いたりしないよな。

ちなみにレイラは、犯罪を犯した訳じゃない。

しいて言えば魔族との戦いに負けただけだ。

3職(聖女 賢者 剣聖)を率いて戦い、魔族の四天王以下の幹部と戦い負けた。

それだけだ。

だが4職の他の仲間が死んだのにそのリーダーのレイラが生き延びた事を王や貴族が許さず、裁判に掛けられ…こうなった。

3職の中に王族に連なる貴族の息子が居たのが原因かも知れないが、その辺は流石に解らない。

元勇者でレイラは人気があった。

だが、王や貴族から嫌われた存在で齢も食った『犯罪奴隷』それなら…もしかしたらがあるかも知れない。

ちなみに『勇者』のジョブがカイトにあるという事はレイラにはもう勇者のジョブも無いだろう。

これなら『俺でも落札できる可能性がある』そう思って俺は、此処に来た。

だが、それは甘かった。

早く来たからテントには入れたが、テントの中は一杯だった。

『犯罪奴隷』は最底辺の奴隷オークションだから通常はこれはあり得ない。

恐らく全員がレイラ狙いだ。

鉱山で働かせるような屈強な男ばかりのオークションが続き、皆安値で落されていく。

殆どの人間が入札しない。

やはり殆どの人間ががレイラ狙いか。

そして、ようやくお目当てのレイラのオークションが始まろうとしていた。

「お待たせしました、本日最後の出品! 知らない者は居ないでしょう! 犯罪奴隷レイラぁぁぁぁー――金額は銀貨5枚からだぁぁぁぁー-っ」

「「「「「「「「「「うぉぉぉぉー-っえっ?」」」」」」」」」」」

一瞬大きな歓声が広がったが、すぐに消えた。

それと同時にお客の大半が席を立ち帰り始める。

「あれじゃ、流石に要らねーな」

「ありゃ、もう護衛すら真面に出来ねーな、クズ奴隷も良い所だ」

「どうりで、此処でオークションにかけるわけだ」

沢山の罵声が飛ぶ。

そうか、そうだよな。

魔族の幹部と戦ったんだ。

生き残ったとしても無事な訳ない。

まして自分を除き全滅したんだ…こうじゃなくちゃ可笑しい。

落胆したお客は次々と去っていった。

「ちょっと待って下さい!皆さん」

「こりゃ詐欺だよ。仕事休んでまで来たのによ」

「スラムの女や鉱山奴隷の方が、まだましじゃ無いか」

「こりゃ、奴隷としてもゴミだ」

「ババアで体までこれじゃ、幾ら有名人でも使えないな」

司会は慌てては居るが驚いて無い。

こうなると踏んで居たのだろう…

「仕方ありません…去る人が居なくなってからこのオークションを開催します。参加しない方は参加する方の迷惑ですから、速やかにお帰り下さい」

帰る筈だ。

レイラは隻腕隻脚の状態で顔にも傷があった。

15分位だろうか。

テントの中には、お客は俺も含み6名しか居ない。

後の5名は、鉱山で働かせる奴隷の購入者で恐らくこの後引き渡しがあるから居る。

そんな感じだ。

「それじゃ気を取り直して犯罪奴隷レイラぁぁぁー-金額は銀貨5枚からだぁー-っ」

俺は手をあげる。

「銀貨5枚――っ」

「さぁ、銀貨5枚がでました…他はいませんか? 他はいませんか?」

いや、席に座っているの、俺1人だから…必要ないだろう。

「はい、他に誰も入札者がいませんのでレイラはそちら…リヒト様の落札になります…おめでとうございます」

こうして俺は、レイラを落札する事に成功した。

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