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第18話 勢いで...結婚

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「レイラ、討伐のやり方教えてくれない?」

「ごめんね、リヒト…私は…その、戦う所は見せたくないんだ…」

レイラが戦う姿を見せたく無いのは良く解る。

レイラの字は『剛腕のレイラ』ブラスナックルで相手を殴り殺す。

そういう戦い方だ。

その戦い方のせいで『暴力的』『野蛮人』『品が無い』と貶められ。

陰口でオーク女とかゴリラ女とか言われていた。

「あのさぁ、他の人はどう思っているか解らないけど…俺はレイラの戦う姿、凄く好きだよ!」

「嘘は良いよ…村でも良く陰口言われたからね…カイト達だって…」

「陰口を叩いていたのは知っているよ! だけど馬鹿の言う事は放っておいて良いと思う!大体レイラに助けて貰っている癖に文句を言うのは筋違いだよ! カイトと一緒に子供の頃遊んでいた時にゴブリンに襲われた時に助けてくれたでしょう? 俺はあの時からレイラに憧れていたし、俺はレイラの戦い方は凄くカッコ良くて好きだよ」

確かに、相手をぶん殴る戦い方のレイラを好まない人間は多い。

頭の潰れたゴブリンや、目ん玉が飛び出たオークの死体が飛んできたら…怖いし…スプラッタだ。

俺も最初は怖かったけど、ゼウスさんに言われたんだ。

『お前は自分の為に戦い救ってくれた者を怖がるのか?』って。

レイラが助けてくれなければ、俺もカイト達もゴブリンのエサになっていたかも知れない…特に女の3人は苗床まっしぐらだ。

だから、俺は、それからレイラを怖がらず見る事にしたんだ…そして、途中から自然と恐怖は無くなり、寧ろ憧れる様になった。

「だけど、私は…戦えば戦うほど嫌われたの!…私の現状を見ていたリヒトなら解るよね?」

「それは、凄くついて無かっただけだよ?年頃の男が全員、見る目が無かっただけだよ…まぁ好かれても困るだろうけど、村長や村の長老たちはちゃんと評価していたでしょう? だから税金やツケもギリギリまで待ってくれていたんじゃない?」

「だけど、私は…リヒトに嫌われたくない…怖がられたくないんだよ」

もう散々、見ていたんだけどな…

「俺はレイラが戦っている所を見たけど、怖がっていた?」

「怖がってない…だけど…さぁ」

「言って置くけど嫌いにならないし、凄くカッコ良いと思うよ」

「嘘だ…よ」

どうすれば良いのかな…

このタイミングで、もう言った方が良いか…

もう…これしかないか。

「だったら、レイラ…俺と結婚しない?」

「へっ…?」

まぁ驚くよな。

「なに、驚いているのかな?俺はレイラが好きだ、性格も容姿も戦い方も全部好き…だから、レイラの戦い方を見て嫌いになるなんて無いよ」

「あの…リヒト?結婚ってあの結婚?」

「それ以外に何があるの? これなら信じてくれる?」

顔が赤い…このまま畳み込んじゃった方が良いかも知れない。

「え~と私27歳で、リヒトは15歳…12歳も違うし…見た目、親子にしか見えないよ…そのね…」

「あ~、そう言うの、もう良いから、それでレイラは俺の事どう思っているの?」

「…好き…好きだけど…その」

「好きなんだ…それなら、良いじゃん…さぁ行こう、すぐ行こう!」

「ちょっとリヒト何処に行くの?」

「さぁーさぁーさぁーっ!」

俺もレイラも家族は居ない。

知り合いと言っても村にしか居ないから…結婚するのなら二人だけの問題だ。

「ちょっと…あの…その…」

敢えて答えず、俺はレイラの手を取り、そのまま歩き出した。

◆◆◆

「え~とちょっとリヒト…あの…」

俺は冒険者ギルドの前までレイラを引っ張ってきた。

「さぁ、着いた…レイラ、好きです…愛しています! 結婚して下さい!」

俺にもレイラにも身内は居ないから、教会で盛大にする必要は無い。

冒険者ギルドに届けを出す『ギルド婚』で充分だ。

「あああっああの…何度も言うけど私おばさんだよ? 年齢差も12歳もあるし…下手したらリヒトのお母さんに近い歳だし」

「そんなの関係ないよ! 俺はレイラが好き…ちゃんと気持ちは伝えた…あとはレイラが答えてくれるかどうかだよ…」

「あの…私奴隷だし…ああいう事なら幾らでもしてあげるから…」

「その言い訳要らない! 俺は時間を貰っただけで、それ以外は貰った覚えはないよ…だから、好きかどうか?心の問題。 好きなら結婚して欲しい…嫌いなら解放するし、暫くの生活費も渡すから立ち去ってくれても構わない」

「はぁ~解ったよ! 私もリヒトが好き…だけど、これ凄くズルいよ…これじゃ私断れないよ…本当にズルいよ!私がリヒトに嫌いなんて言えない事解っていてだよね!ズルいよ…でも、もう仕方ないなぁ…仕方ない!いこうか?」

「行こう!」

俺達はそのまま冒険者ギルドに入りギルド婚の手続きをした。


◆◆◆

「はい、これで手続きは終了です! 二人とも冒険者なのですからこのままパーティも組んだらどうですか?」

『あれ母子位歳離れているじゃない? 犯罪じゃない?』

『え~あの歳位の年齢で若い子といけるの? それじゃ私でも』

『騙して結婚したんじゃない? あのおばさん『剛腕のレイラ』じゃないか』

『まさか脅して無理やり』

嫌な声が聞こえてくる…

レイラの顔も曇ってきたし釘をさした方が良いな。

「スーハ―スーハ―、僕がレイラを好きになってーーープロポーズしたんです!誤解しないで下さいーーーっ!」

大きな声で叫んだ。

「ちょっとリヒト…恥ずかしい」

「あっゴメン、パーティ登録ですよね?お願いします!」

「はい、それじゃ登録します! レイラさんがA級冒険者でリヒトさんがF級冒険者なのでパーティとしてはA級パーティとなります!」

「私、英雄パーティでS級だった筈だけど?」

「もう何年も真面な依頼を受けてなかったのでランクダウンです!でも良かったですね…あと2か月も遅ければB級でしたよ」

「そう?」

俺は危険な冒険をするつもりは無いから。

級は関係ないな。

「それでパーティ名はどうしますか?」

「レイラ、何か良い名前ある?」

「あはははっ、ごめん、頭がついて行かない…」

そりゃそうだ。

「すみません後日で良いですか?」

「それなら1週間以内でお願いします」

「了解」

こう言うのは勢いが一番大切だよな…


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