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第57話 手順を飛ばしていた

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「塔子、探索魔法」

「わかったわ聖夜……前方に3体魔物がいるわ。恐らく大した魔物じゃないわ」

「了解。綾子前方に杖を構えて……あっ、これはダメなやつだな」

「「またぁ~」」

オークが家族でこちらを見つめている。

しかも土下座して命乞いのポーズをし、目の前に、猪の獲物を置いている。

オークって知性が無い気がするんだが……

『あははははっ……どうする?命乞する相手を殺すの?』

これは殺せないな。

『殺せない』

「ああっ、それじゃ行くから、それ要らないから自分達で食べな」

「ぐうぉーー」

来夢が宿ったせいかなんとなく言葉が解る気がする。

これはお礼だな。

僕が手のひらをヒラヒラさせると、オーク達は頭を何回も下げて去っていった。

駄目じゃんこれ。

もう、魔物も狩りにくい。

オークで知能があるなら狩れるのはゴブリン位じゃないかな。

結局、僕は……魔物を狩るのを半分諦めた。

◆◆◆

次の村の冒険者ギルドで掲示板に魔族と王国との戦いについて掲示されていた。

『勇者は傷が治らず参戦せず』

『魔王軍相手に戦い騎士40名が死亡』

『村が滅んだ』

そして最後に『異世界人聖夜殿の帰還を歓迎する』

そんな感じの事が書かれていた。

間違っても僕は戻る訳にはいかない。

だって、もし戦場に出て、魔族から敬意を払われたら……魔族からの内通者に思われてしまうかも知れない。

敗北による『死の恐怖』は無くなったが、別の意味で戦いには参加出来なくなった。

基本的にもう、魔族と戦うことは出来ない。

魔物は全部大丈夫だと思ったんだが、どうやら違ったようだ。

この辺りはまた来夢に聞いてみるしか無いな。

ただこれで危機は去った。

あとは、静かに暮せる安住の地を探すだけだな。

討伐は難しいかもしれないから、貴重な薬草が生えているような場所が好ましい。

『採取』中心に切り替えて……戦争に参加せず。

ただ、楽しく生活出来れば、あとは要らないな。

◆◆◆

宿に帰ってきた。

「「「聖夜(くん)(様)」」」

部屋に帰ると三人が下着姿で迫ってきた。

良く考えたら、僕は少し前まで童貞だったんだよな……

これはこれで良いけど……もう少しまともな……あっ。

そういえば、僕……真面にデートした事が無かった。

「それはそれで良いけど、デートしない?」

思わず口をついてそんな言葉が出て来た。




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